翌日、朝
「桂馬ーまたいつでも来るんじゃぞ。
じいじい待っとるからな」
「うん」
「体を大事にするんじゃぞ。夏だからって薄着になりすぎないようにの」
「うん」
「お義母さん、漬物ありがとうございました」
「いいのよ。気をつけて帰ってね」
「ありがとうございました~!」
「エルちゃんも体には気をつけてね」
「はーい!!」
「にーちゃん、また遊ぼうね!」
「あ、ああ……」
「約束! 破ったらたたりが出る!」
「……早まったか」
そんな感じの見送りを受けてから出発する。
しかし、その直前に待ったをかける者が居た。
「待ちなさーい!!」
もう既にエンジンがかかってる車の窓を開けて声のした方へと視線を向けると金髪サイドテール……黒田棗が居た。
ここまで走ってきたのか、顔を赤くして息切れしている。
「どうした、そんな慌てて」
「ハァ、ハァ……な、名前!」
「?」
「アンタの名前、まだ聞いてなかったから教えなさい!!」
「ん? そんなの中川に訊けば良いんじゃないのか?」
「そりゃそうだけど……直接聞きたかったのよ。アンタの口からね」
「……まあ構わんが……桂木桂馬だ」
「桂木桂馬ね。しっかり覚えたわ。
この私に名前を覚えられるなんて、光栄に思いなさい!」
「あー、光栄だなー」
「アンタねぇ……まあいいわ。それだけだから。じゃあね!」
それだけ言って、元来た道を帰って行った。
何がしたかったんだアイツ?
「神様凄いですね。あのプライドの高い棗さんがわざわざ人の名前を覚えるって相当ですよ?」
「そんなんであの業界でよく過ごしてこれたな」
「ああいえ、あくまで一般人相手にって事です。仕事上で会う人の名前は普通に覚えてましたから」
「ふーん」
そんなに気に入られるような事をしたか?
……まあいいか。ゲームしよう。
……数時間後……
「……うぷ、酔った……」
「神様……学習しないですね……」
……一方その頃……
「これらの証拠は全て貴方を示している!
さぁ、何か反論はありますか!!」
「ば、バカな!! そんなもの私は知らない!! 何かの間違いだ!!」
「これだけの証拠を前に言い逃れしようとは、愚かなのデスね!
さぁ、とっとと白状するのデス! 真実はいつも一つなのデスからね!!」
「う、ぐ、うぉぉおおおおお!!!!」
かのん達は修正された台本……と言うより修正前の台本で収録を再開していた。
その台本を細かく検証すると犯人役のはずの人物のアリバイが確立されており、探偵役こそが真犯人である事を読み取れる非常に優れた台本であった。
このドラマは出演者の演技なども評価されてしばらく後に大ヒットする事になるのだが……それを知る者は今はまだ居ない。
最後ちょっと短いですが、これで帰省編終了です!!
かのんがあの形で登場する事は割と最初の方から決まってました。棗さんは迷っていたのですが、結局出してこんな感じになりました。
梨枝子編と言うより棗編って感じになってます。棗さんの出番の方が多い気がします。
章タイトルや各話のタイトルも開き直って大体がドラマに関するものになってます。例外はプロローグと3話と6話だけ。2話も何気にドラマ関係だったりします。
まぁ、今回は攻略が無かったから仕方ないね♪
では例の企画です。一応参加者が2名ほど居たので続けてみようと思います。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=170398&uid=39849
次回は日常回Bを引きました。
そんなに分量は多くないですが……ちょっと年内には厳しいかもしれません。出せたら出しますけど。
ではまた次回お会いしましょう!!