翌日! 神様との会話をちひろさんにお伝えしました!
「とまあそんな感じでした……」
「う~ん……理解はできるんだけどさ、バンドを頑張るのはあくまでも私たちの目的であって恩返しとはまた別だと思うんだよね。
もっとこう分かりやすいのは無いの?」
「そう言われましても……」
分かりやすいのが無いからこうなってるんですよね。
神様にも欲が無いわけではないんでしょうけど、もっと分かりやすい欲であってほしいです。だからこその神様なんでしょうけど。
「…………あー、やめやめ。発想を変えよう。
桂木が欲しがってる物を送るんじゃなくて、桂木が喜びそうな物を送ろう」
「……それ、余計に難しいですよね?」
「ええい! つべこべ言わずに考えるんだエリー!」
「無茶言わないでくださいよ……」
そんなポンポン考えつくならとっくに何か言ってますよ。
「それじゃあさ、最近駅前にできた話題のお店のお菓子を送るとか」
「それ、ちひろさんが食べたいだけですよね?」
「そ、そうだけどさ! いいじゃん! 自分が欲しい物から考えるってさ!」
「神様、前に甘い物が苦手って言ってた気がします」
「ダメか……他に意見は? それじゃあ京!」
「そこで私に振るんか。欲しい物欲しい物……
……あ、そう言えばシャーペンの芯を切らしてた。後で買っておこう」
シャーペンの芯ですか。無いと地味に困りそうですけどわざわざ送るものでもないですね。
「それなら……結っ! 何かある!?」
「……母の声が届かない家、ですかね」
「スケールがデカすぎるよ!!!」
そう言えばこの前、ゲーム倉庫がいっぱいになりつつあるとか言ってた気がします。
倉庫をプレゼントすれば喜ばれるかもしれませんが……そんな簡単に用意できる代物じゃないですね。
「ふふっ、家というのは流石に冗談です。
桂木さんはゲームが趣味なのですよね? でしたらゲーム機やソフトを送れば良いのでは?」
「あ~……それは無理。
あいつ、ゲーム機なんて死ぬほど持ってるし、ソフトも多分死ぬほど持ってる。
よっぽどの物を送らないと喜ばれないよ」
「そうですか……それなら仕方ありませんね」
そう言えば前にレア物のゲームを取り逃したと嘆いておられていましたが……神様でも入手困難な物を私たちが入手するのは不可能でしょうね。
「それじゃあ…………どうしようか」
「ちょっ、ちひろ!? 私は!?」
歩美さんが何故かスルーされたので講義の声を上げました。
どうしたんでしょう? ちひろさん。
「だってさ、歩美に聞いても靴とか答えそうだもん」
「そ、そんな事……無いもん」
「ほぅ? じゃあ歩美は何が欲しい?」
「え、えっと……新しいスパイク……とか」
「それってほぼ靴じゃん!!」
スパイクというのは確か靴の裏に付ける刺でしたよね。
確かにほぼ靴ですね。速くはなるかもしれませんが、歩く分には邪魔になりそうですし神様が欲しがるとも思えませんね……
一応、皆の意見は出揃いましたけど、まともなのが無いですね。
「……よしエリー、この中から決めてくれ。
1、時間
2、駅前で売ってるお菓子
3、シャーペンの芯
4、家
5、スパイク
さあどれがいい!!」
「いや、この中から決めるんですか!? ロクなものが無いですよ!?」
「……うん、分かってる。ちょっと言ってみただけ。
時間……お菓子……シャー芯……家……スパイク……う~ん、難しい」
「神様に喜ばれるもの、喜ばれるもの……」
神様の性格を考えると実用的な物の方が喜ばれそうですよね。
やっぱり時間……いや、それだと何も送らないって事ですからねぇ……
甘いお菓子がダメなら甘さ控えめのお菓子……いや、神様って食事すら面倒くさがってましたね。
シャーペンの芯は……少なくなっていたら後でこっそり補充しておいてあげましょう。
家、せめて倉庫は……よく考えてみても無理ですね。結さんなら用意できなくもないかもしれませんが、やっぱり無理でしょう。
スパイクは論外です。普通の靴ならまだしも、スパイクなんて邪魔になるだけです。
「…………ん?」
「どうしたエリー、何か閃いたか?」
「いえ、大した物じゃないんですけど……」
閃いた事を話してみました。
本当に大した意見ではないと思うのですが、皆さんの反応は劇的でした。
「うわっ、それは盲点だったわ」
「喜ぶかは微妙だけど、嬉しくないって事は無さそうだよね」
「あの店の定休日は……うわっ、明日だ。今日なら大丈夫のハズ」
「そういう事でしたら今日この後早速探しましょうか」
私の意見はアッサリと採用されました!
よーし、頑張って捜しますよっ!!
そして、翌日……
神様への贈り物を用意できた私たちは神様の家……と言うか、私の家に集まりました!
「おじゃましま~す!」
「へ~、カフェと繋がってるんだ。何か少し親近感湧くな~」
「そう言えば京って家がクリーニング屋だっけ?」
「うん、そう」
「アルバイトの募集などは……していないようですね」
「ゆ、結? もしかしてアンタお金に困ってる?」
「そういうわけではないのですが、なるべく早く自立したいので。先立つ物があるに越したことはありませんから」
「すげー事考えてるなぁ……」
そう言えば私の家に皆さんを招くのは初めてでしたね。皆楽しそうです!
「あれ? エリー、西原さんって居ないの?」
「今日はお仕事みたいですねー」
「仕事? バイトか何か?」
「あっ、えっと……そんな感じです」
「? ……まあいいか」
「と、とにかく、神様を呼んできますね!!」
神様のお部屋の扉の前で呼び掛け続ける事も覚悟していたのですが、幸いな事に呼んだらすぐに出てきてくれました。
「は、早いですね神様。どこか具合でも……?」
「丁度攻略が一段落した所だったんでな。で、サッサと用件を言え」
「あ。はい! ちひろさん達とお礼がしたいので下まで来てください!」
「……その件は気遣いは要らないと一昨日言ったはずだが?」
「そう言われたって引き下がれませんよ! お時間はとらせませんので来てください!」
「……ハァ、本当に少しだけだぞ」
神様が素直でありがたいです! ここでこじれると不毛な争いになりますからね……
「来てやったぞ。手短に済ませろ」
神様らしい横柄な態度にちひろさんが少しムッとした表情を見せましたが、すぐに切り替えて話し始めました。
「そうだね。それじゃあ手短に。
まず、部室の件でお礼を言わせて欲しい。ありがとう、桂木」
ちひろさんの言葉に続いて皆でありがとうと頭を下げます。
手短にと言われているので長々と下げるような事はしませんでしたが、短い時間でなるべく感謝の気持ちを込めました!
「感謝は受け取った。それで?」
「もう一つだけ。これ、贈り物」
「贈り物だと? 僕にか?」
「他に誰が居るのよ。ほら、開けてみて」
私たちがお店で買って、私たちの手で適当な包装をした贈り物を渡します。
厳重に包装したわけではないので神様の手ですぐに開けられました。
「……靴?」
「そう、靴。
エリーから聞いたけど、ゲームショップ巡りとかするからそこそこ外出はしてるんでしょ?
だったら長時間歩いても疲れないような良い靴があったら良いんじゃないかって」
「なるほど。よく考えたものだ。
……高原あたりの案か?」
「実際に靴を選んだのは私だけど、考えついたのはエリーだよ」
「エルシィが!? おい、嘘は良くないぞ」
「いや、ホント。ちょっと信じがたいけど」
「2人とも! どういう意味ですか!!」
まったくもう、それじゃあ私がちょっとおバカさんみたいに聞こえるじゃないですか!!
「誰が思いついたかはともかく良い物を貰った。感謝するぞ」
「桂木が満足してくれたなら皆で頑張った甲斐があったよ。
それじゃ、今日はこの辺で。また学校でね」
「ああ、またな」
こうして、神様へのお礼はひとまず何とかなりました!
心置きなく私たちの音楽を高めていきましょう!
さぁ、今日も特訓です!!
ギイイィィィン!!
「あわわ~!」
「エリー! またアンプのつまみいじったの!?」
ま、まだまだ前途多難ですが、精一杯頑張ります……
いやぁ、難産でした。年内に書き上げて見返してやるという謎の歪んだ執念で書き上げましたよ(笑)
後先考えずに書き始めたので『靴』という結論に辿り着くのが凄く大変でしたよ。いかがだったでしょうか?
贈り物を考えるって凄く大変なんだと実感しました……
次回はヒロインの攻略です。2~3人の攻略が終わると夏休み終了と決めていたので次回はまだ夏休みです。どうやって遭遇させよう……
ちなみに、残っているカードは今引いたカード含めて5枚。
青山美生、春日楠、生駒みなみ、日常回A、ジョーカー(倉川灯) です。
日常回Aは1回しかドローしてないですが、強制的に1回入れたのでその分1枚抜いてあります。
春日檜さんは楠さんより後としているのでまだ候補にすら居ないという。
次回で駆け魂討伐数が12になるのでジョーカーが解禁されて残った誰かがスキップされる可能性が……ホントどうしよう。ジョーカーを引いた時の考えます。
では、次回もお楽しみに! 1月中に仕上がると……いいなぁ……