もしエルシィが勾留ビンを使えなかったら   作:天星

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 昨日の活動報告の方にコメントを下さった方、ありがとうございました。
 あっちの方に返信しても伝わるか怪しいのでこの場でお礼を言わせていただきます。




04 軟弱者

  ……翌日 放課後……

 

「本日も宜しくお願いします!」

「来たか。昨日は不覚を取ったが今日はそうは行かんぞ。

 さぁ、来るが良い!!」

「ちょ、ストップ! ストップです! まだ着替えてないし、昨日の続きなんてやってたら命がいくつあっても足りませんよ!!」

 

 『来るが良い!』とか言っておきながら今にもこちらに向かって駆け出しそうな師匠を牽制する。

 危なかったような気がする。

 

「む? では一体何をする気だ?」

「と、とりあえず着替えますね。それから話しましょう。

 

 昨日と同じようにコートをバサッと脱いで丁寧に畳んで隅っこに置く。

 今日の衣装は昨日よりも飾りが多いものを選んだ。慣れていくに従って少しずつ増やしていく予定だ。

 

「……相変わらず軟弱な衣装だな」

「師匠も着てみます?」

「なっ、い、要らん!」

「そーですか。じゃあ今日の内容に関してなんですけど……」

 

 さっきも言ったように昨日の続きなんてやってられないのでちゃんと考えてきた。

 師匠が手加減できなくなるのは私の攻撃に脅威を感じるから……らしい。

 だったら威力を落とそう。具体的にはスタンガンは置いておこう。

 そうして、まずは武器を持たない無手の武術の心得から学んでいこう。

 ……そんな感じの事を、師匠に伝えた。

 昨日ようやくスタンロッドの最新モデルが届いたからそっちも試したかったんだけどね。仕方ないね。

 

「……なるほど。そういう事ならそうしてみるとするか」

「宜しくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、そろそろ休憩にしよう」

「ハァ、ハァ、ハァ…………わ、分かりました……」

 

 師匠はやっぱりスパルタだ。疲れて動けなくなってからが本番とでも言わんばかりに容赦が無かった。

 昨日と比べたらずっと安全だったけど……何度か命の危機を感じたよ。

 

「お、お水……は、取ってきますね。コップがあるなら師匠の分も汲んできますけど……」

「休憩時間なんだからお前は休んでおけ。私が取ってくる」

「……すいません……ありがとうございます……」

 

 師匠の言う通り、1歩も歩ける気力が無い。ここはお言葉に甘えさせてもらおう。

 武道館の床に仰向けになる。

 あぁ……もう限界だ…………意識が………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 身を守れる程度の武術を学びたいとかいう中途半端な動機で部室を訪ねてきたあの少女は意外と根性があった。

 どうせ今までの部員のようにすぐに逃げ帰ると思っていたが……なかなかやるじゃないか。

 

 しかし、逃げないなら逃げないで問題が出てきた。

 その問題とは……あの軟弱な服だ!

 初日よりもヒラヒラしたものが増えているじゃないか!!

 しかも、中川はアイドルをやっているというだけあって顔も軟弱だ。あんなのに目の前をうろつかれたら集中できないではないか!!

 

 ……い、いや、こんなものは問題ではない。私が耐えれば良いだけの事だ。精神修行の一環だと思えばいい。

 しかし、奴はどこであれだけの技術を習得したのだ? 無手での組手でも光るものを感じるが、スタンガンを持った時の奴は異常だ。猫型スタンガンがかわ……軟弱だとか、そんな事を考える余裕すら無くなる。なるべく相手を傷つけないようにしているとはいえ私に本気で捌かせるとは。

 軟弱なくせに、奴の実力は本物だ。

 

 

「おい中川、水を持って来たぞ……と、何だ。寝ているのか」

 

 私が部室に戻った時、中川は最初に脱いで畳んだコートを枕にしてすやすやと眠っていた。

 ……軟弱な。

 だが、休憩を指示したのは私だ。しばらくそっとしておこう。

 私は修行を続けるとしよう。あまり騒がしくしないようにして……

 

ニャ~

 

 どこからか、ネコの鳴き声が聞こえた。かなり近い。

 周囲を見回すと、そのネコはすぐに見つかった。

 

「……どこから入って来たんだ。まったく」

 

 ここは普段使う人が私以外には居ない。そのせいか、こうしてたまに妙な小動物が紛れ込んでくる。

 どこかに穴でも開いているのかもしれないな。

 

「お前に構ってるヒマは無い。さっさと去れ。シッシッ」

 

 私が追い払う動作を見せてもネコはニャーニャー鳴くだけで去るつもりは無さそうだ。

 

「……そうか、それが貴様の答えか。覚悟は良いだろうな?」

 

 二度と来る気にならないよう、少々痛い目を見てもらうとしようか。

 そう決意して、私はネコの首を掴んだ。







 護身術に関する薀蓄なんて筆者には語れないし戦闘描写は苦手過ぎて切り捨てているのでサクサク進んでいきます。
 か、神のみはラブコメだから戦闘なんて要らないし!

 主将のモノローグの『軟弱』は原作では2通りの意味がありましたが、本話のものはとりあえず全て『かわいい』と置き換えてお読み下さい♪
 主将がかのんの顔に対してどの程度反応するか少々迷いましたが……エルシィの泣き顔や桂馬の顔に反応しているのでまぁ普通に反応するだろう、と。顔って言うより容姿全般かもしれませんけど。
 ……こういうまとめ方をすると若干変態っぽいな。主将。



 いつもは『学力がー、学力がー』とうるさい筆者ですが、今回は根性についても話してみます。例のファンブックの評価項目にしっかりとあるので。
 ただ……この評価、何かすっごく信用できないです。

 桂馬・かのん・歩美・楠・七香 といった連中が最大の5なのは大いに同意できます。エルシィが5なのも……まあ良しとしましょう。
 しかし、長瀬先生とハクアは何故か4。いやいや、5で良いでしょう。
 ノーラの4もどうなんでしょう? ハクア並に努力家っていう評価になっちゃってますけど? ハクアが5だとしても4は高すぎるような……

 ……そんな感じで、あくまでも主観ではありますがあまり信用できなかったり。ホント何なんでしょう。コレ。

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