もしエルシィが勾留ビンを使えなかったら   作:天星

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かのんの挑戦状
プロローグ


 麻美の攻略を終えた翌日、警戒しながら教室の扉を開けて中へ進む。

 エルシィも後に続いて入ってきて、しばらく何事も起こらない事を確認した所で僕は大きく息を吐く。

 そして段々と笑いがこみ上げてきて、最後には大笑いになった。

 

「ふははははは!! ついに、ついに駆け魂に追われる事無く教室でゲームができるぞ!!」

「おーい、うるさいぞオタメガ」

「フッ、貴様のような現実(リアル)女にはこの僕の喜びが理解できないだろうな」

「別に理解しなくたって良いですよ~だ。オタメガの気持ちなんてね」

 

 小阪は本当にどうでも良さそうにそう言いやがった。

 いつもなら言い返してる所だが、今日の僕は気分が良い。テキトーに無視してゲームを始める事にする。

 

「も~、神様ったら。

 ごめんなさいねちひろさん」

「いいっていいって。オタメガだし。

 それよりエリー、今度ガッカンランド行こうぜ! 何かかのんちゃんがゲリラライブやるとか噂になってるからさ」

 

 ガッカンランドの奇策は早くも効果を上げてるようだな。何か上手い具合に噂が湾曲しているようだ。

 

 ……そう言えば、中川は今頃どんな事やってるんだろうな? あいつも駆け魂狩りに追われていないのは久しぶりだと思うが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、仕事と仕事の合間の僅かな移動時間を利用した岡田さんとの会話がきっかけだった。

 

「え、ゲームですか?」

「え? ええ。そうよ」

 

 岡田さんは膨大なスケジュールを流れるように説明してて私は重要な部分以外は殆ど聞き流してしまっていたのだけど、『ゲーム』というフレーズが聞こえて反応してしまった。

 

「ゲームの仕事って言うと、アフレコですか?」

「それが、今回はちょっと違うの。

 あなたを題材にしたゲームを作りたいって話なのよ」

「わ、私を題材に!?」

「ええ。具体的な話はまだ全く決まってないけど、いわゆるリズムゲーム? みたいな感じにしたいらしいわ」

「…………」

「? どうしたの?」

「……この件の細かい資料とかってあります?」

「あるけど……何に使う気? 友達とか部外者に見せるのはダメよ?」

「流石に丸ごと見せる気は無いですよ。私の口からちょっとかいつまんで話すだけです。

 ちょっと相談したい人が居るので」

「まあ、あなたなら変な事にはならないか。

 はい、これが資料よ」

「ありがとうございます。話の腰を折ってしまってすいませんでした。スケジュール確認の続きお願いします」

「ええ。その次の予定は……」

 

 私を題材にしたゲーム……

 桂馬くんに相談すれば何か良い効果が得られるかもしれない。

 このゲームに関する打ち合わせは今日の夕方かぁ……

 ……相談するなら今すぐ連絡するしか無いかな?







今回の話はアニメや原作にチラッと出てくるゲームの話です。
アニメ版では『かのんの挑戦状』
原作では『クレセント☆ステージ』
というタイトルがそれぞれ確認されていましたね。

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