それでは攻略スタートです。一体誰でしょうね~。
プロローグ
ある日の放課後の話だ。
「神様! 軽音部に入りませんか!!」
「断る」
「即答ですか!?」
エルシィのアホが何かトチ狂った事を言い出したので速攻で断った。
「ただでさえ駆け魂狩りのせいで僕の神聖なるゲームタイムが削られてるんだ。部活なんてゴメンだ!!」
「そう言わずに行きましょうよ~」
「って言うかオイ、何で軽音部なんだ?」
「そんなの決まってます。アニメ見て面白そうだと思ったからです!!」
「…………」
「な、何ですかその可哀想な物を見る目つきは!!」
アニメに触発されて部活を始めようとする300歳の悪魔ねぇ……
悪魔の精神年齢の成長速度が実に気になるな。
「……ちなみに、どんなアニメを見たんだ?」
「え? えっと確か……」
~~~~
「この事件の犯人は平田で間違いない!
何故なら、凶器となったこのギー太郎の持ち主は平田だからだ!!」
「それは違うぞ!! 痕跡なんていくらでも偽造できる! 痕跡が付いていたからって凶器とは限らない!
真犯人は別のギターを用意して、それで殴ったんだ!!」
「じゃあ誰だって言うんだ、あいつを殴った真犯人は!!」
「……山吹だ」
「なっ、正気か!? あいつも被害者の一人だったはずだ!!」
「だけど、残された可能性はこれだけだ。
あいつが真犯人で間違いない!!」
~~~~
「確か、こんな感じでした!!」
「……これは果たして軽音部に関係があるのか?」
「はい、何者かに放課後食べる予定だったケーキを叩き潰されて、その犯人を探し出すという軽音部ならではの場面です!!」
「殴られたの人じゃなかったのかよ!?」
「? はい。軽音部で人が殴られるわけないじゃないですか」
そりゃそうだ。そりゃそうなんだが……
そんな当たり前の事をエルシィにドヤ顔で言われるとムカつくな。
「まあいい。別に駆け魂狩りに支障が出ないならお前が部活に入ろうが一向に構わん。
だけど、お前楽器とか使えるのか?」
「はい! カスタネットなら完璧です!!」
「お前軽音舐めすぎだろ!!」
『とりあえず、透明化するなり何なりして適当に見学してみりゃあ良いんじゃないか?』
とのお言葉を神様から頂いたので早速実践します!!
……あれ? 軽音部ってどこでやってるんでしょうか?
と、普通のアクマであればここで慌てふためくでしょう。
しかし、私は優秀なアクマですからね!!
軽音部の場所が知りたいのなら耳を澄ませば良いのです!!
何故なら、軽音部はいつも楽器を弾いて……
……あれ? 良く考えたらアニメで見た軽音部ではいつもお菓子を食べていたような……?
い、いや、アニメでもたまには楽器を弾いていました! 私の運命力があればきっとその瞬間に合わせられます!!
そう、耳を澄ませば……
き、聞こえました! あっちの方です!!
やっぱり私は優秀なアクマでした!!
あっちの方の……あの教室ですね!
羽衣さんで透明化してこっそり見学です!!
「透明化、完了! 一方性防音結界、展開完了! さぁ行きますよ!」
部室に入ると沢山の人が色んな楽器を演奏していました!
アニメで見た軽音部とは比べ物にならない規模です! 見たことも無い楽器も沢山あります!
でも、ギターやベースらしきものが見あたらないですね……きっと前衛的な軽音に挑戦しているんですね!!
この大きな学校なだけあって凄い規模です! これはもうにーさまと一緒に入るしか無いですね!!
そうと決まれば早速にーさまを説得……いえ、せっかくだからもう少しだけ聞いていきましょうか。
皆凄いなぁ~。こんなに人が居るのに誰もミスしてません!
……ん、あれ? ボーカルが見あたらないですね。誰も気付いてないんでしょうか?
ふっふっふっ、これはもう現役アイドルの替え玉もやってるこの私がボーカルをやるしかありませんね!!
そんな事を考えながらコアクマがゆっくりと部屋を見回っている時、それは反応した。
ドロドロドロドロ……
攻略の始まりを告げる、駆け魂センサーが。