もしエルシィが勾留ビンを使えなかったら   作:天星

7 / 343
前回、本作では初めての感想が届きましたよ。
白犬のトトさん、ありがとうございました!
いや~、ホント嬉しいなぁ~。
他にも感想送ってくれる人が居ないかな~ チラッ
……うん、まぁ、感想出す出さないは人それぞれなので、無理はしないで下さい。
感想が来ればモチベーションは上がりますが、現在はある意味3作同時投稿とかいう狂った事をやってるので更新ペースを上げるのも難しいですし。

それでは、本編スタートです。


06 違和感

ガシャッ ドサッ

 

 そんな感じの物音と、その後に続いて響いた悲鳴が私たちの会話を遮った。

 

「何だ? 誰かが転んだか?」

「桂木くん! あれ! 歩美さんが!」

 

 悲鳴のしたすぐそばでは倒れたハードルと、その側でうずくまる歩美さんの姿。

 まさか、怪我したのかな?

 軽い捻挫であっても陸上選手にとっては致命傷になる!

 自力で立ち上がる事もできないのか、歩美さんが担架で保健室へと運ばれていく。

 

「……あれ?」

 

 何だろう、何か違和感を感じる。

 何か、こう、何だろうなぁ……

 とりあえず、歩美さんを携帯の写真で撮っておく。後で確認してみよう。

 

「姫様、どうしたんですか? 歩美様を追いましょう!」

「うん、分かった」

 

 

 

 保健室の扉のすぐ側で透明化して陸上部の人たちの会話を聞き取る。

 

「ええっ、捻挫!?」

「どうなるの? 大会は明日なのに……」

 

 やっぱり、捻挫しちゃったんだ。

 私たちの目的は歩美さんに大会に出てもらう事ではないけど……

 

「ねえ、桂木くん、どうにかならないのかな……?」

「……ちょっと黙っててくれ。今考えてる」

「ご、ごめん」

「…………」

 

 桂木くん、何を考えてるのかな……?

 私は再び陸上部員たちの話に耳を傾ける。

 

「……ねぇ、あそこのハードルの間隔、ちょっと変じゃなかった?」

「そう言えば……あそこだけ短かった」

「だよね!? そうじゃなかったらすっ転ぶわけないもん!」

「まさか、誰かが動かした?」

 

 ハードルは動かされていた……?

 って事は、誰かが歩美さんに怪我して欲しかったっていう事?

 怪我をさせたかったって事は、大会に出させたくなかった?

 それで一番得する人物は……あの補欠の先輩?

 って事はまさか!!

 ……いや、仮にそうだったとしても攻略には関係無いか。

 歩美さんが怪我して走れないっていう事実は変わらないし。

 

「あの、桂木くん……」

……怪我……先輩……ハードル……応援……

 

 ……ダメだ。聞いてない。

 ……あ、そうだ。あの写真見てみよう。今更何か分かった所でどうにもならないけど。

 

 写真に写っているのは担架に載せられ、苦悶の表情をしている歩美さん。

 う~ん、やっぱり何か引っかかってる。

 服装は陸上部としては至って普通だし、顔も表情以外はプロフィールの写真通りだ。

 アレ? 写真どおり……?

 そうか、じゃあ私が感じた違和感は……

 

「桂木くん。分かったよ」

「……お前も気付いたか。

 どうやら、見えたようだ。エンディングが!!」

「え、え? あの、姫様? 神様?」

 

 私にゲームの知識なんて無いけど……間違いなくこれは凄く重要な事だ。

 私と、そして多分桂木くんも見つけたコレが、心のスキマなのかもしれない。

 

「付いてこいお前たち、駆け魂は今日出るぞ!

 駆け魂を倒す準備は良いな?」

「うん! 精一杯歌わせてもらうよ!」

「じゃあ、今から告白しに行くぞ! その後は頼むぞ!」

「桂木くんこそ、お願いね!」

「任せろ。僕は……落とし神だ!!」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。