「……倒した、の?」
「はいっ! 完全に消滅しました!!」
「……良かったぁ……」
安心していると、桂馬くんからメールが来た。
下から見てたが、駆け魂は倒せたのか?
うん。倒せたよ!
良かった。それじゃあ僕は家に帰る。
分かった。じゃあ、またね。
携帯を閉じる。
にしても桂馬くん、返信速いなぁ。私も速い方だと思ってるけど、桂馬くんの方がもっと速い。
「エルシィさん、家に帰るので、送ってもらえないでしょうか?」
「勿論ですよ! 今回は本当にお疲れ様でした!
またお願いしますね!」
「うん。
……え?」
「それでは、参りましょう!!」
さっき、『また』お願いするって言ってた気がしたんだけど……き、気のせいだよね?
あと、今回は家の前にクレーターができた。
何か少しずつ感覚が麻痺してる自分が怖い。
そして翌日、歩美さんは大会に出場してぶっちぎりで優勝したらしい。
せっかくだから応援に行きたかったんだけど、お仕事の都合がつかなかったので諦めざるをえなかった。
更に翌日、学校では凄く楽しそうな歩美さんの姿を見る事ができた。
「見て見て桂木! 新聞にも乗っちゃったよ!!
って、あれ? 私、何であんたなんかに話しかけてるんだろう……?」
歩美さんは、攻略の間の記憶を丸まる失っていた。
他の人たちも桂馬くんの応援は覚えていないみたいだ。
これが良い事なのか、悪いことなのか、私にも分からない。
「高原……優勝おめでとう」
「あ、ども……あれぇ?」
桂馬君は、どう思ってるんだろうな……?
後で勉強を教えてもらうついでにそれとなく訊いてみよう。
「席につけ。HRを始めるぞ」
よし、今は勉強しよう! 留年女子高校生アイドルなんて嫌だからね!
「何と、今日は転校生が来る」
「センセー、女子ですか? 男子ですか?」
「女子だ」
転校生が女子だと聞いて男子が騒ぎ出す。
もちろん桂馬くんは全く気にせずゲームしてるけど。
「さぁ、入れ」
あ、あれ? 何だか凄く見覚えがある。
人違い……じゃないよね? なんだかんだで1週間近く顔を合わせてたんだから。
「初めまして! 桂木エルシィです!
お兄様の桂馬ともども、よろしくお願いします!!」
ど、どどどどどういう事!?
転入だけならまだしも、桂馬くんの妹って!!
私は錯乱してるけど、桂馬くんは多分もっと錯乱してる。
[ブー ブー]
マナーモードになってる携帯が鳴ったので、開いてみると桂馬くんからのメールが。
おいっ、どういう事だ!? 何か聞いてるか!?
あの悪魔は一体何を企んでる!!
私にも分からないよ!!
分からないか。スマン。後で直接訊いてみる。
男子生徒の質問攻めに遭いながらメールしてきたらしい。器用だなぁ……
……ホント、どうしたんだろう、エルシィさん。
とりあえずストックはここまで。
次回の更新は未定です。