episode ZERO 「始動」
赤い夕陽が照らす誰もいない公園に二人の男女がいた。
すると女性は頬を朱に染め、後ろに手を組んで俯く
「ねぇイッセーくん…」
「なんだい?夕麻ちゃん?」
「私のお願い聞いてくれる…?」
イッセーと呼ばれた男性、本名:兵藤一誠はグッと握りこぶしを作り上げ、小さなガッツポーズをとった
「(キタコレ!きましたよ!初デート、夕暮れの公園、別れ際のキス!)」
高鳴る胸を抑えて一誠は口を開いた
「お願いってなにかな?」
だが、夕麻の口から思いもよらぬ返答が返ってきた
「死んでくれないかな?」
「………え?」
一誠の思考は停止した。それもそうだ。いきなり恋人に死ねと言われれば誰だって思考は停止する
「あれ、ごめん、もう一度言ってくれないかな?」
きっと聞き間違いだろう。
一誠はもう一度返答を要求した。だが
「死んでくれないかな?」
そのときだ。なんと夕麻の背中から黒い鳥のような羽が生えてきたではないか。
夕麻は背中の羽を羽ばたかせ、宙に浮き始めた
「あなたと過ごしたわずかな日々、楽しかったわ」
そう言い、夕麻が手をかざすと光る槍のようなものが具現化される
「槍…?」
一誠がそう呟いた瞬間。夕麻は槍のようなものを握った手を投げるように振るう。
――ザシュッ
生々しい音と共に赤い鮮血が散る
「ガハッ…!?」
一誠の腹に先程の槍が深々と刺さり、貫通していた
それを見て夕麻はにこりと微笑む
「ごめんね♪あなたが危険因子だったから早めに始末させてもらったわ♪」
そう言い、夕麻はくるりと一誠に背を向ける
「恨むならその身に神器を宿した神に恨んで頂戴ね♪じゃあね♪」
そう言いながら夕麻の背中の羽は消え失せ、そのままスタスタと歩き去ってしまい、一誠はガクッと膝をついた
「(何が…なんだか分からねぇ…紅い…俺の…血……死ぬのかな…)」
一誠は己の鮮血が付着した手を見下ろす
「(どうせ死ぬならあの美少女の腕の中で…死にたかったな…)」
「…あなたね。私を呼んだのは…ふぅん…面白いことになってるじゃない…ふふふ…いいわ。あなたの命、私が拾ってあげる。私のために生きなさい」
ある廃墟に一人の老人と一人の少年がいた。
だが老人の体はボロボロの状態であり、所々が出血していた
「おじいちゃん!」
少年は老人と視線を合わせるようにしゃがんだ
「くっ…ここまでのようじゃな…」
「おじいちゃん…一体全体どうなってるんだよ…!」
だが老人は説明せず、だらりと体を壁に預ける
「ふっ…すまんが、ワシの胸のポケットを漁ってくれ…そこにお前さんを守ってくれる守り神がいる…」
少年は恐る恐る老人の胸のポケットに手を突っ込む。するとポケットの中から「Z」と書かれた黒いペンダントが現れた
「これは…」
「こいつは…ワシの最高傑作…そしてお前さんをずっと守ってくれる相棒みたいなもんじゃ…」
「それって…どういう…」
だが老人は更に口を開いた
「いいか…よく聞け…こいつを手にしたお前は今から…たった今から人間を越えるのだ…!神にも…悪魔にもなれる力を手に入れたのだ…!」
「神にも悪魔にも…なれる力?」
「そうだ…神になり、世界を導くのも悪魔となり、世界を破滅させるのもお前の自由だ…!」
すると老人は上空を見上げる。すると何人の黒い人影がこちらの居場所を探すようにキョロキョロと見回している
「くっ…見つかるのも時間の問題か…!ワシのことはいい…お前はソイツを持って逃げろ!」
「でも…!」
「行くのじゃ!機械の魔神、「マジンガーZ」はお前の言うことしか聞かないように細工してある…!」
「マジンガー…Z?」
「いけぇ!そしてマジンガーZと共に生きろ!!!」
「っ…!!」
少年は決意したのかペンダントを握り締めて老人から離れるように走り出した
「そうだ…それでいい…兜甲児よ、世界はお前のものじゃぁぁあああ!!ワッハハハハハ!!」
老人が高笑いするとその体に数本の槍が貫いていった…
つづく