アーシアはどきまぎしていた。
正直言えば悪魔は悪い人しかいないと思ってた。
しかし、ある出来事をきっかけにその考えが変わった。
そして現在、アーシアは甲児の部屋にいる。
昨日、甲児はすぐさまバイクを運転してアーシアを自らの寮の部屋に保護したのだ。
その翌日。甲児は学校を休んだ。
そのことをリアスに報告したら案外すんなりと了承してくれた。
すると甲児の携帯電話に連絡がきた。
なにしろオカルト研究部のみんなとは顔合わせの時、全員のメアドを交換したのだ。
携帯電話の画面には「塔城小猫」という文字が映っていた。
甲児は耳に携帯電話を当てる
「もしもし?」
『………』
無言だ。逆に圧力がかかって怖い
「小猫ちゃん?」
『…もうあんな無茶はしないでください。甲児さんは心配する身の事も考えてください』
恐らく昨日の事だろう。甲児は苦笑いする
「へへへ…わりぃわりぃ。心配かけて悪かったな」
『…大丈夫です。ではゆっくり休んでください』
そう言って電話は切れる。ふぅっとため息を漏らし、甲児は部屋の中へと入っていった。
するとアーシアがシスターらしく天に祈りを捧げていた。すると甲児の気配に気づいたのかくるりと甲児に向き直る
「おはようアーシアちゃん。調子は?」
「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました。」
そして軽い朝食を済ませ、すっかり昼を回ってしまい、甲児は家にいさせるのもアレなのでアーシアを外に連れて出かけることにした。
どこに行こうかとまだ決まっていないらしく。甲児は歩きながら考えてる。そんな甲児の後ろをアーシアがちょこちょこと歩きながらついていく。
するとアーシアが口を開いた
「あの。甲児さん……」
「ん?」
「昨日のあの姿…本当に甲児さんだったんですか?」
あの姿。恐らくマジンガーZのことだろう。甲児は応えた
「あぁ。あれはおじいちゃんから託されたんだ。」
「託された…?」
「うん。おじいちゃんが言うには「マジンガーZさえあれば神にも悪魔にもなれる」って言ってたけど、俺は神様にはなれっこないし悪魔になんかなりたくない。俺はこの力で世界を守っていくんだって心に決めたんだ。」
「…とても強い決心ですね…」
すると公園に差し掛かった時、聞こえなれた声が聞こえた
「甲児?」
二人はその声がした方向へ振り向いた。そこには一誠がいた。すると嬉しそうな笑顔を浮かべてこちらに走ってきた
「あれ?イッセーじゃねぇか」
「よかったぁ…無事だったんだな!」
「おうよ!それにアーシアちゃんを連れ出すことに成功したぞ!」
「さっすが甲児!」
甲児の背中からひょっこり顔を出すアーシア。それを見た一誠は安堵の表情を浮かべた。そして甲児はある提案をした
「なぁイッセー。12時を回ったことなんだし、アーシアちゃんと一緒にメシでも食いに行かねぇか?」
「お!いいなそれ!行こうぜ!」
~~~~~~
ハンバーガーショップ
「あの…ナイフとフォークがありませんけど…」
「これはな。手で掴んで食べるんだよ?」
「そうでしたか!では手を清めませんと…」
「ちょちょちょちょ!?!?聖水はダメだって!?ウェットティッシュ使って!」
「すいません!ではお食事の前のお祈りを…あれ?イッセーさん?」
「ヴォエェ…」
「イッセェェェェエ!?!?」
~~~~~~
ゲームセンター
「うわー!ラッチューくんですよ!甲児さん!イッセーさん!」
「ヘッヘーん!俺に任せな!」
「今度こそ負けないぜ?」
「おうよ!くらえ!」
「甘い甘い!」
「なにぃ!?俺のあのコンボをかわした…ぎゃあ!」
「っしゃあ!!悪魔に勝ったァ!!」
とことん遊びつくした三人は夕暮れの公園を歩いていた。
「あー…遊びつくしたなぁ…」
「だなぁ…」
「はい…少し疲れました」
よいしょっと三人は公園のベンチに腰を掛ける。すると甲児は何かを思い出したかのように口を開いた
「そういえばアーシアちゃん」
「なんです?」
「アーシアちゃんのその力、すげぇな!どんな傷を治しちまうなんてさ!」
するとアーシアの表情が曇ってしまい、ついには静かに涙を流してしまう
「おいおい甲児。お前何かアーシアの気に障るようなこと言ったか?」
「いや。そんなことはねぇと思うけど…」
「いえ…甲児さんは悪くありません。ときどき思い出してしまうんです…」
そんなアーシアの口から自身の過去について語られた
~~~~
それは彼女が聖女と崇められたときのことだ
とある地方で生まれ、捨てられた彼女は教会の孤児院でシスターや他の子達と一緒に育てられ、八つのときにその癒しの力を身に宿す
ある日、怪我をした子犬をその力で治癒したところをカトリックの関係者に見つかった
その日から、彼女の人生は変わる
訪れる信者に加護と称して、体の不調を治してあげる
噂はすぐに広まって、彼女は大勢の人から〝聖女〟と崇められた
彼女の意思を完全に無視して
しかし彼女は、自分の力が役に立つのが嬉しかった
これはきっと神様が授けてくれた力なんだ、だからありがとうございます
彼女はそう天に感謝した
けど、少しだけさみしい思いもした
彼女には、心許せる友がいなかったのだ
みんな優しい、大事にしてくれてる、しかし同時に自分を見る目が、どこか異質なものを見ているような視線を送っていると彼女は理解していた
そいつらは、彼女を人間として見ていなかったのだ
治癒ができる、道具としてしか見ていなかった
そんなある日、彼女は怪我をした悪魔を発見する
優しい彼女は、放っておくことなどできずその悪魔を治癒してしまう
それをたまたま見ていたカトリックの関係者はそれを報告する
当然、その事実に驚愕した
治癒の力は、神の加護を受けたものにしか効果を及ぼさない
事例は過去にもあったようで、神の加護を受けない悪魔を、そして堕天使すらも治癒する力は、やがて〝魔女〟として恐れられるようになる
「悪魔を癒す魔女め!」
聖女として崇められた彼女は、あっけなく捨てられた
~~~~~
悲惨すぎる過去だった。まさかこんな少女が辛い思いをしてるとは思ってもなかっただろう
するとアーシアは泣き出してしまう
「私には夢があります…普通にお友達とお買い物したり…おしゃべりしたり…もっと…いっぱい…いっぱい…!」
すると甲児は優しく微笑み、わしわしとアーシアの頭を撫で始めた
「何言ってんだよ。俺達はもう友達じゃねぇかよ!なぁ!イッセー!」
「あぁ!今日いっぱい話していっぱい遊んだ!買い物だっていつでも付き合ってやる!!」
「甲児さん…イッセーさん…!」
だが彼らの友情を引き裂くかのように声が聞こえる
「それは無理ね」
三人が声がした方向へ振り向くとそこには天野夕麻がいた。それと同時に一誠は絶望に満ちた表情になる。それもそうだろう。何せ元カノでもあり、自分を殺した張本人でもあるからだ
「なんだ生きてたの。しかも悪魔?最悪…」
甲児はアーシアの盾になるように立ち上げる。そして夕麻はゆっくりと歩み寄る
「彼女は私たちの所有物なのよ。半日かかってようやく見つけたと思ったら。最初に言っておくけどアーシア、逃げても無駄よ?」
――やはりこいつもアーシアをモノとして見てないのか…!
甲児はぎりりと歯ぎしりをした。すると夕麻は手を掲げると光の槍を形成する。だが一誠は先手を打っていた
「セ…セイクリッド・ギア!!」
言葉と共に左腕に光が集まり、そしていつしか部室でみたように赤い籠手が装着されていた。続く甲児もペンダントを掲げ
「マジン、ゴォー!!パイルダーオォン!!」
光が彼を包み、マジンガーZを装着する。すると夕麻はマジンガーと赤い籠手を見た瞬間驚愕の表情を浮かべるがすぐに余裕のある嘲笑したような表情へ戻した
「へぇ…上の方から貴方の
「なに!?」
「貴方のそれはね?
ちらっと今度はマジンガーZに視線を移す
「なるほどねぇ…やっぱり報告通り魔神は破壊されず、まさか孫の手に渡るなんてねぇ…」
『テメェ…!よくわからねぇが何故マジンガーを狙う!』
「いい質問ね。その魔神はかつて古代の神の右腕から作られた。謂わば「神の化身」。そして本来ならば私達堕天使の手に渡り、世界のバランスを保つための存在なのよ。けれど貴方のおじいさん「兜十蔵」が私達の存在を恐れ、魔神の譲渡を拒んだ。だから仕方なくあなたのおじいさんは殺させてもらったわ」
『じゃあ…てめぇらがおじいちゃんを…!!』
「さぁ、それがわかったら大人しくその魔神をこっちに寄越しなさい」
だがマジンガーZはアーシアを守るように構えると
『ふざけるな!テメェらなんかにマジンガーを渡してたまるかってんだ!!』
「そう…なら…力づくでも頂くわ」
そう言うと夕麻が腕をひゅんと振るう。そして光の槍は一直線にマジンガーZに向かう。だがマジンガーに直撃する寸前槍は屈折して一誠の腹部を貫通する
『イッセー!?』
「イッセーさん!」
「ぐあっ!アーシア…逃げ…!」
するとアーシアは両手を腹部にかざすと緑色の光が発現し、瞬く間に彼の傷を治していく
「アーシア。帰ってきなさい。もしその要求を拒むなら、そこに二人を殺すわ」
『うるせぇ!やれるもんならやってみやがれ!』
マジンガーZは右手を突き出し、ロケットパンチを放つ態勢に入った。だが…
「…わかりました…」
アーシアがマジンガーZの前へ出る
『なっ!?アーシアちゃん!』
思わず体制を解くマジンガー。そして夕麻が着地した
「いい子ね。こちらへいらっしゃい」
その後、アーシアの視線がマジンガーと一誠に向けられると微笑んだ
「ありがとうございます。イッセーさん。甲児さん…そして…さようなら」
その一言で彼らは理解してしまった
己の無力さを…
「命拾いしたわね。次邪魔をしたら本当に殺すわ。じゃあね、イッセーくん♪魔神くん♪」
そう夕麻が告げると彼女はアーシアを連れて飛び去ってしまった。一誠は思わず膝をがくりと落として跪いてしまう。
「くそう…何が…何が守るだよ…!」
するとふと一誠はマジンガーへ視線を移す。そしてマジンガーが俯いたと思うと右腕を思い切り振り下ろしたかと思うと地面に巨大なクレーターが出来上がる。そして顔を上げて魔神は吠えた。己の無力さに怒りを抱きながら
「クソ…クソオオオオオオオオオオオ!!!!!」
相変わらず文才クソすぎだなぁ…