空条承太郎と奇妙な女神の守護者達 作:( ∴)〈名前を入れてください
エジプトの町の中。朝日ももう直ぐ登り始める、そんな時間の中今2人の男の勝負に決着がつけられようとしていた。
「その脚が治癒するのに何秒かかる?3秒か?4秒か?治ったと同時にスタープラチナをてめーに叩き込む!かかってきな!」
ビシ、ビシ!と血塗れの男の身体が再生していく音が鳴り響く中、同じく血塗れの学生服を来た偉丈夫が倒れふす男を上から見下ろしながら言い放つ。彼の名前は空条承太郎、仲間と共に病気の母を救う為にその原因たる男DIOを倒す為に旅に出て仲間と共にここまで来た。倒れ伏す男の名はDIO、承太郎が倒すべき相手であり今、承太郎によって追い込まれている。承太郎の旅の終着点であるDIOとの戦い
今その決着がつけられようとしていた。
「『抜きな!どっちが素早いか試してみようぜ』というやつだぜ…」
「(こ…こけにしやがって!
しかし… しかし!承太郎、貴様はやはり人間だ!この土壇場でお前は…くくくく…ごく短い時の流れを持った人間の考え方をする!
『後味の悪い結果を残す』とか『人生に悔いを残す』だとか…便所のネズミのクソにも匹敵する下らない考えが命取りよ!クックックッ!このDIOにそれはない!あるのはたった一つの思想だけだ!たった一つ!)」
邪悪の化身。100年の時を生きた吸血鬼DIO、彼にとって空条承太郎とは、便所の糞にすら劣る存在だとタカをくくっていた。その男は旅の中で強くなっていき、このDIOの世界へと入門してきて、今このDIOを倒さんと目の前にいる。目の前の男は自身が絶対的な有利であるのにそれを捨てて西部劇のガンマン宜しくの勝負を仕掛て来た。取るに足らない人間の発想だと心の中でほくそ笑みながら逆転の一手を取る為の策を練る。
「(『勝利して支配するッ!』それだけよ…それだけが満足感よ………!過程や方法など)」
「どうでも良いのだァァァッ!」
大声をあげたその瞬間DIOは承太郎に向かって自分の血液を彼の目に向かって放つ!つまり目潰し!DIOは正々堂々戦うつもり等サラサラなかった!彼が望んでいるのは勝利して支配するそれだけが達成されるのならば例え汚い事ですら喜んでやるのだ!
「ぐぅっ!」
思いもよらぬ目潰し!承太郎は思わずそれをモロに受けてしまう!今承太郎は隙だらけであり、それを逃さぬDIOでは無い!
「勝った!死ねェ承太郎!」
DIOのスタンド『The World』が承太郎目掛けて攻撃を仕掛ける!その攻撃は今の彼は目を血液によって目潰しされている状態!とても対処が出来る状態では無い!
だがッ!承太郎は心の思うがままに狙いを定めスタープラチナの拳を放った!狙いは自分の斜め上!DIOが自分を攻撃するならば蹴りで仕留めてくるであろうと本能的に悟ったのか迷いない一撃をぶちかましたのだッ!
「オラァァッ!」
「無駄ァァッ!」
The Worldの脚とスタープラチナの拳がぶつかり合う…暫くの沈黙の後スタープラチナの拳に、ピシリとヒビが入り始める。
「フゥン」
「………………」
DIOは確信したッ!自分の勝ちだと!承太郎のスタンドの拳にヒビが入った!それはつまりThe Worldの攻撃がスタープラチナにモロに入ったと言う事!
「(勝ったな。承太郎…貴様のその性根が仇となったようだなァッ!これでジョースター御一行は全滅ッ!これでこのDIOを止めるものなどいない!)」
これで自分の運命に纏わり付く犬の糞のようなジョースターの一族を根絶やしにする事が出来たと!
絶頂!今DIOの精神の中では勝利の美酒に酔いしれていたッ!これからの展望に心を震わせ己のスタンドを更に強め全てを支配してやると心の中で息巻いていくッ!
最早彼の中で今恐れるもの等何も無かった!だが…現実は彼の予想もしなかった結末を弾き出すッ!いや…この結果は当然だったのかもしれない。己の心の赴くままに!仲間の為に!大切な母親の為に!誰よりも勇気を持って戦った男と、自分の為だけに戦った男の精神の強さ等比べる事も余りにも烏滸がましい、この結果はそれを考慮すれば当然とも言えるものであった!
スタンドは己の精神そのものッ!ならばその強さは心の強さによって変化する!
今、承太郎の精神とDIOの精神を比べればどちらが強いか等比べる事も無く!
「バッ…馬鹿な。このDIOが……このDIOガァァァァッ!」
「…スタープラチナ!」
バキバキバキと音を立てながらスタープラチナの拳を受け止めた脚からDIOのスタンドThe Worldが縦真っ二つに両断されていく!スタンドと本体は一心同体ッ!その中でも近接系スタンド使いであるDIOは己のスタンドの受けた傷をそのまま受けてしまう!
そして傷はThe Worldの身体を両断していき、DIOの肉体も同時に真っ二つにしていった!
邪悪の化身DIO 再起不能 (死亡)
静寂、DIOが倒れ辺りを風の音だけが彼等を包み込む。承太郎は何も喋らない、今彼は一体何を考えているのだろうか。死んでいった仲間達へ倒した事を伝えたいのかもしれない、遠く日本にいる母親の身柄を案じているのかもしれない。
暫くの間の沈黙の後DIOを見下ろしながら承太郎は呟くように言い放つ。
たった一つの真理を
「…お前の敗因はたった一つ、たった一つの簡単な事だ」
「お前は俺を怒らせた」
こうして邪悪の化身DIOを倒した空条承太郎はその旅の終着点へとたどり着いた。これからの彼の旅路は新たな冒険へと誘ってくれるだろう。彼の人生はまだまだこれからなのだから!
だが運命は彼に更なる戦いを求め始める。陳腐な言葉だが神が彼を見つけてしまったのだ。既知感に苛まれ苦しむ神が己の知らぬ英雄としか呼べぬ男を見つけてしまったのだ。何と言う悲劇であろうか、何という事であろうか。彼は今、神によって全てを台無しにされそうになっているのだッ!
自分自身の都合だけで世界を自分の脚本で動かす喜劇の一つの中に彼を新たなキャストの一員として入れようとしているのだッ!
(武器も言葉も(人を)傷つける)
「Et arma et verba vulnerant Et arma」
(順境は友を与え、欠乏は友を試す)
「Fortuna amicos conciliat inopia amicos probat Exempla」
(運命は、軽薄である 運命は、与えたものをすぐに返すよう求める)
「Levis est fortuna id cito reposcit quod dedit」
(運命は、それ自身が盲目であるだけでなく、常に助ける者たちを盲目にする)
「Non solum fortuna ipsa est caeca sed etiam eos caecos facit quos semper adiuvat」
(僅かの愚かさを思慮に混ぜよ、時に理性を失うことも好ましい)
「Misce stultitiam consiliis brevem dulce est desipere in loc」
(食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はなし)
「Ede bibe lude post mortem nulla voluptas」
(未知の結末を夢見る)
「Acta est fabula」
世界は逆転する。彼のいない世界へと、彼が負けていった世界へと塗り替えられていく、そうして世界は新たな結末へと塗り替えられた。
「勝った…このDIOが勝ったのだ!フハハハハハハ!」
「取るに足らん人間共よ!支配してやるぞ!我が知と力の前にひれ伏すが良いッ!」
こうして1人の男が消えた事により、この世界は新たな結末を迎えた。彼では無く邪悪の化身が勝った世界へと
そして星のタロットの掲示を持つ男が新たな世界を旅する物語、星のタロットの掲示する意味は希望、ひらめき、願いが叶う。彼の新たな旅はタロットの掲示通りに導かれるのだろうか?
そして彼のいた世界は一体どうなってしまうのか?
全ては水銀の蛇の思うがまま、さぁ今宵のグランギニョルを始めよう。