もしも魔法を使う世界でも、わたしは魔法の夢を見る。 作:羽留
私の夢は魔法使いになることだった。
きっかけは幼い頃に見ていたアニメ。
主人公達はホウキに乗り空を飛び、魔法が使えるステッキを使い、己の為や友人のために時を止めたり、欲しいものを出したりしていた。
魔法を使う時には可愛らしいコスチュームを着ていた。
私はそんな主人公達に憧れ、せめて真似のできそうな髪型だけでも真似をし、母にねだり魔法のステッキの玩具を買ってもらっては、呪文を唱えた。
大人になり、社会人として働きながらも、その夢は消えてはいなかった。
ホウキでもなんでもいい。せめて空が飛んでみたい。なんなら、あの青いタヌキがもってる小さいヘリコプターみたいなのでもいい。
あの青いタヌキの道具は、魔法のない未来での魔法代わりの機械なんだろう。と。近くはなくても遠い未来、こんな世界でもありえるのでは無いのだろうか。
そんなことをいい歳した大人が考えるくらい、魔法を夢見てた。
そんな矢先のことである。政府からの発表があるとかでテレビは全チャンネルはこの国の総理の顔を中継していた。
《我が国は現状としてCO2の排出量が世界トップクラスである。主たるは技術により発達したロボット機器などによるものからだ。これ以上、CO2排出量を増加させるわけにはいかん!そこでだ。CO2を削減するために密かに研究をすすめていた。某大学の研究結果によると、このカードをつかうと簡単な魔法なら誰でも扱うことが出来る。たとえば、重いものを運ぶ。食べ物を温める。部屋を涼しくする。暖かくする。空を飛んで移動する。と、いうわけでこのカードは全国民に配られるので使うように!以上。》
こんな馬鹿げていて非現実的な話、誰が信じるのだろうか。
少なくとも同じ職場のおばs...お姉さま方は状況が飲み込めないのか固まっている。
嘘なのかとも思うが今日はエイプリルフールでも何でもない。そもそも国のおえらいさんが嘘とか冗談を言うのだろうか。
いや、あの総理なら言いそうだ。
けど。
実際にそのカードはポストに届いていたのである。
そして職場のドンからとんでもないことを言われた。
「このカードを使う以外でね、色々な魔法があるらしいんだ。利用者さんに関わるものも多くあるからね。それでね、ここからも何人かその魔法を使える人が出て欲しくて。上の人で行こうと思ったんだけどさ、ほら、なんせ記憶力悪いし、老眼で参考書とか見れない人も多いしね。だからさ、若いメンバーで魔法、覚えてきてくれない?僕はここで頑張るからさ!!君らに任せるよ!」
...いまさらながらうちの職場とは、介護施設である。なのでお姉さま方は60代もいたりする。
若いメンバーとは20代のことを指しているのであろう。ドンは30代である。本来ならこやつが行くべきであろう。なのに。
いや、文句を言ったところで始まらない。この馬鹿げていて。しかし自分の夢であった魔法。やるしかないのであろう。