風助の腹の音とチャイムの合唱が教室に響いた瞬間、風助は萎れてたのが嘘の様に勢いよく席を立ち教室を出て食堂へと向かおうとした
「待ちなさい!」
「何だ鈴、俺もう腹ペコだぞ」
一刻も早く食堂へと向かおうとする風助を鈴は呼び止めた
「食堂はこっちよ」
鈴が指差した方向は風助が今行こうとした方向とは逆方向であった
鈴はため息をつき風助の個人教師である山田先生の方を見る
「山田先生、こいつ見ての通り奇跡的な方向音痴なんでしばらくの間お昼はこいつに付き合ってくれませんか?」
(そうですね、今後のことも考えるとそっちのほうがいいかも知れませんね)
少し考えそして
「いいですよ、生徒との交流も教師の役目ですからね」
承諾した
食堂に着いた風助は目をキラキラさせてあっちこっち目を配らせる
彼の視線は潤しい女子生徒や教師ではなく彼女らが口にしている料理であった
「おぉ、すげぇ旨そうな飯だぞ!」
涎が溢れ袖で拭い朗らかに笑う
「お、あんたたちはじめて見る顔だね」
「おう、昨日こっちに来たばっかだぞ」
風助たちの注文の番がまわり、見慣れない風助たちに調理師の女性は話しかけた
「そっちのあんたは男の子らしいけど随分ちっこいね。本当に高校生かい?」
「風助くんはまだ小学生なんです。事情があって飛び級で編入したんですよ」
女性の疑問に隣に居た山田先生が答えた
「そうかい、まぁこっちも食べ盛りの子が増えたんだ。作り甲斐があるってもんよ。で何にするんだい」
「じゃあ…………」
「やっぱぁ、米はこっちの方がうめぇな」
茶碗にこれでもかとよそわれた米を一心不乱に口に運び噛みしめる
口で咀嚼し米の甘みを堪能し、塩で味付けされた焼き魚の身を穿り米の余韻が残る口内へ放ると魚の味と米の味が互いを引き立てあい自然と笑みが溢れる
「風助くん、すごい食べるね」
風助の食事を眺めていた女子の一人がぽつりと感想を零す
風助と山田先生が座っているテーブルの上には空になった皿が大量にあり、風助の向かいに座っている山田先生も引き攣った笑いを浮かべながら自分の料理を食べていた
「おい、鈴。そんなに大量に頼んでどうするんだ?」
「言ってるでしょ、あたしが食べるわけじゃないって」
風助が自分の分を全て食べ終えたと同時に鈴と聞き覚えのない声が聞こえてきた
「山田先生、こいつのお守り任せてすいません」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ほら、残り持ってきたわよ。一夏、もありがとね」
鈴と一夏と呼ばれた少年の他に、ポニーテールの少女と金髪のロングヘアーの少女が風助の頼んだ食事を運んでくれたようだ
「ありがとうな、えぇ……と」
「む、私は篠之ノ箒だ、箒と呼んでくれ」
「私は、セシリア・オルコットですわ、セシリアと呼んでくだざいまし」
「おう!俺は風助」
「そうか、お前が新しく来た男性操縦者の転入生か。俺は織斑一夏だ」
4人は軽く自己紹介し、頼んだものをテーブルに置く
「ところで風助くん、待っている間随分とおかわりしていたみたいだけど何杯たべたのかなぁ?」
鈴は風助の横に立ち、訊ねる
「えぇ……じゅ、十五杯だぞ」
風助は額に冷や汗をかきながらゆっくりと答えたが
「あれ?確か今ので二十杯目だったような」
「あ!」
「へぇ……」
笑みを浮かべ風助を睨みつける鈴に風助は蛇に睨まれたような感覚に陥る
笑みが消えた瞬間風助の舌を思いっきり引っ張り上げた
「このぉぉバカベロカエル!お代わりは二十杯までだって言ったでしょうが!!!」
「あでぇぇぇえぇ」
「おい、鈴食べ過ぎたからってそこまでしなくっても」
「なに言ってんのよ、こいつの辞書に食べ過ぎなんて文字はないわ」
舌から手を離さず引っ張り続けながら返事をする
「こいつは、百杯以上食べるのよ、際なく食べさせたら他の人に迷惑かかるから制限つけたのにあんたはぁ!」
鈴と自分の怒りの矛先が微妙にずれていることに一夏達は苦笑いをするしかなかった