「どう言う事ですの⁉これは」
試合の様子をモニターで観戦していたセシリアは驚きの声を漏らす
慢心していたとは言え初期設定で自分を追い詰めた一夏ならば鈴相手でも勝機は十分にあると思っていた
だが蓋を開けてみれば一方的にやられているのが現状である
「ふむ、まぁまぁ食い下がっているな。予想以上の成果だな」
担任の織斑千冬は落胆するどころか一夏を褒めていた
「どういう意味ですか?千冬さん?」
「織斑先生だ!凰は現時点で一年最強の生徒だ。同い年であいつと渡り合う者等数える程度しかいないだろうな」
現に鈴は生徒会のスカウトを受けており次期生徒会長候補の最有力と教師陣からの評価を受けている
そんな相手に未だ一撃も喰らって無いこと自体、讃えられる事である
「だが、一夏には秘策がある」
完全に一夏が敗北すると思っている千冬の考えを否定する様に箒は言う
「あぁ…瞬時加速の事か。それなら、凰はすでに気付いているだろうな」
だがそれすら否定する
「そんなはずは」
「逆に聞くが何故、瞬時加速を取得していないと思う?」
一夏のISは完全な近接戦闘に特化した機体
相手に接近できなければ意味がない
ならば瞬時加速は最低限、取得するべき技能だ
現に鈴は一夏と一定距離を保ち警戒している
(このままじゃ、こっちが先に力尽きちまう…)
一夏は意を決して鈴の懐に飛び込んだ
「ぐっ!?」
見えない何かに勢いを消され動きが止まりその隙きに鈴が双天月牙を振り下ろして来た
一夏はそれを打ち払い、バックステップで距離をとった
「驚いた?これが私のとっておきの龍砲よ。今のはほんのジャブ、これからが本番よ」
「くっ……」
一夏は顔を然める
不可視の攻撃、これでは鈴の懐に潜り込むのはかなり困難となってしまった
(こうなったら瞬時加速で距離を詰めて一気に決着をつける!)
一発逆転を狙い仕掛けようとした瞬間アリーナに轟音が響き渡った
「………」
「これもISなのか?」
突如現れたソレは、あまりにも異様であった
人よりも遥かに巨大な姿、全身装甲、無機質なソレは佇むだけでも周囲に畏れを抱かせた
ソレは一夏の姿を確認したかと思うと突然攻撃を開始した
「!?」
間一髪避けるがその攻撃はバリアーを貫通し一夏は冷や汗をかく
『織斑、凰聞こえるか。今すぐ退避しろ、そいつの攻撃は絶対防御も効かない!命を落とす危険性がある!』
「いえ、このままあいつを引きつけます。もし私達が逃げたら無差別に暴れるかもしれません!せめて観客の避難が終わるまでは任せて下さい」
『分かった、だが決して無茶をするなよ』
鈴は千冬と交信を終えると一夏と合流した
「あんたは別に退避してもいいのよ?」
「女に任せて、男の俺が逃げる訳にもいかないだろう」
そういい、微笑むが鈴は彼の言葉が全く響かなかった
だがそう言ってられる状況ではない
今はこの事態を切り抜く事だけを考える
しかしこの時誰も気付かなかった。
この大嵐の中に飛び込む2つの影に
いかがですか?