凰母娘が中国に戻ってきて一週間過ぎ、彼女ら母娘も徐々に食堂の一員として常連に認められてきた
「行ってくるぞ」
自宅兼食堂の出入り口である戸を勢い良く開けショルダーバックをかけ出かける風助
台所のシンクには彼が平らげた食事の皿が山盛りになっていた
「よくも、まぁこんなに入るわよね」
その量を見て鈴は呆れている
そばで見ているこちらのほうがお腹いっぱいになる勢いで食べる風助に驚嘆の声しか上がらない
(まぁ、悪い奴ではないんだけどね)
この一週間で彼の人となりはだいたい把握できていた
というのも彼の行いはこの辺に住む住人ならよく知っているのだ
曰くいじめっ子を助けた、曰くそのいじめっ子をいじめていた子がたちの悪い輩から助けた、通りすがりの妊婦を助けた等数え切れないほどである
「ふーうーすーけーくーん」
と後片付けをしていると風助を呼ぶ声がし外を見ていると風助と同い年くらいの少女二人がいた
「あー!!年増女!なんであんたが出てくるのよ」
失礼な物言いにはぁとため息をついて説明する
「風助ならもう学校に行ったわよ」
がっくりと肩を落とす
彼女らは風助に助けられた少女で彼のことを想っているのだ
(気持ちは分からないでもないけどね)
自分も似たようなことがあって同じことをしている
「今から学校に行けば追いつくんじゃないの」
二人ははっとなりあわてて学校へと向かった
「なんていうか、中国版一夏みたいよね」
と感想をのべ鈴も出かける準備をした
そして訓練が終了した帰り道
「んんー!今日は早めに終わったしあっちの訓練でもしようかな」
訓練所の整備のために訓練が早上がりとなったために普段よりも早めに帰路についていた鈴だったが視線の先にある人物を捉えた
(風助?)
急いで何処かへと向かっている彼の姿にちょっと好奇心が湧きあとを追いかけた
「はぁ、はぁ、あいつこんな場所で何やってんのよ」
姿を見失ったが幸い道は一本道でこの道を進んで行けば彼のもとへとたどり着く
そう思い鈴は足を進めた
道の先が開きそこに風助がいると思った鈴はとりあえず文句を言おうと決心したがそこでは思いもよらない光景が鈴を待っていた
そこら中にある岩に決して低くはない崖そしてその岩を背負い崖を登っている風助
道具もなしに己の手足のみで登っている光景は誰が見ても危ない
どうすればいいか慌てて考えているとなにか重い物が落下したような音が響きわたり音の発信源を見ると風助が鈴の方を見ていた
「おめぇ、こんなことで何やってんだ?」
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