サブタイが雑になってきている希ガス。
追記
この話の時期を中3の夏から中2の夏に修正しました。
夏休み直前の放課後。俺は相良達と翠屋で勉強会をしていた。
「わからーん! 晃一君助けてぇー!」
「少しは自分で考えろや」
はやてからの救援要請を断る。
見ると、特に魔導師組のはやて、高町、テスタロッサは苦戦しているようだ。仕事で忙しく、学校の勉強する時間があまりないのだろう。それを言い訳にはできないが。
「そういえば、晃一って最近成績上がってきたわよね」
最近、髪をばっさり切ってショートカットにしたバニングスがペンの先をこちらに向けてきた。
「まあ、それなりの成績出さなきゃいけないからな」
俺はエスカレーターで高校に進学するのではなく、高校を変えるつもりである。それで教師達を納得させるため、以前よりも成績を上げているのだ。
「晃一君、頭良さそうなのに順位はそうでもなかったよね」
「勉強してるとこほとんど見ないのに普通にテストで点取っとったな」
高町とはやてが『ずるい』と言いたげな視線を向けてくる。そういえば、高町も中学生になってから髪形をツインテールからサイドポニーへと変えた。心機一転ということらしい。
「何言ってんだお前ら、今まさに勉強してるじゃないか」
「その本何の本なんや?」
「サバイバル教本」
「なんの勉強よ……」
夏休みに入ったら短い間だけどまたサバイバルしに行く予定だからね。これはそのための資料というわけだ。
「晃一、ここおせーて!」
相良に聞かれた問題を見る。多少は難しいが、解けなくはないな。とっかかり方だけを簡単に教えてみる。
「ああ~なるへそ!」
どうやらそれだけで分かったようで。教えるのが楽でいいね。
「晃一君助けてやぁぁ……」
はやてから再びの救援要請。まったくしょうがないなあ。
「晃一君の説明、分かりやすいね」
はやてに解説をすると、一緒に説明を聞いていた月村が褒めてくれた。素の頭はバニングス達の方がいいだろうけどね。ここは年季の差というやつである。
「私達にも教えてくださいぃ……」
バニングスに教科書の内容を叩き込まれてる高町が助けを求めてくる。高町とテスタロッサは文系科目が苦手なんだっけか。教えてくれって言われても、社会は覚えろとしか言いようがない。
「あ、高町ちょっとこれ見て」
「?」
高町に見せたのはフランシスコ・ザビエルの肖像。教科書に載ってる一般的なやつね。興味を持ったのか、高町の隣にいたテスタロッサも覗き込んできた。
ザビエルの顎ヒゲの間にペンで点を二つ描く。
逆さにする。
ペンギンの完成。
「「ふふっ!!」」
お、うけたね。
「何遊んどるかああああ!!」
「にゃー!?」
バニングスに怒られちった。
「まあまあバニングスこれ見てみ」
「何よまったく……ふふっ!」
期末テストが終わり、中学二年の夏休み。
予定通り、俺はサバイバルをしに別次元世界に来ていた。無人世界であり、管理外世界なので自然保護隊とかもいない。
『くれぐれも怪我には注意してくださいよ』
「わかってるって」
ジェイドから再三の注意を受ける。前は幼かったのもあったし、よほどイレギュラーなことが起きなければ何の問題もないだろう。
『それにしても、なぜサバイバル』
サバイバルが初めてであるグリーヴァがそうこぼす。
「感覚を鍛えるのには、野生の中で生活するのが一番だからな」
『その理論が理解できません』
『マスターの理論は穴だらけのボッコボコですから、流すのが一番ですよ』
穴だらけじゃないよ。そこは夢と希望、そしてロマンで補うのさ。
「よし、まずは水の確保と拠点作りだな」
「……なんだここ」
拠点にしようとした洞窟で、妙なモノを発見してしまった。ぱっと見の感じは研究所か、工場といったところ。
やけに簡単に物事が進むとは思っていた。行動を開始してすぐに飲める水の流れる川を見つけることができたし、そのすぐそばに洞窟を見つけることもできた。
それでイージーモードかと思ったらこれだよ。
『どうしますか?』
ジェイドが聞いてくるけど、どうしようか。そこらじゅうにある機械は動いてるみたいだし、ちょっと面倒な感じがする。
でもこんな感じの施設の場合、何かしらのセキュリティがあって然るべきだと思うんだがなあ。
『特に何もありませんね』
そうね。安全なのかな。となると少しだけ探検してみたくもなる。
ちょっとだけ、奥に行ってみよっか。ね? 先っちょだけでいいから。
正直に言おう。後悔している。
「待てッ!」
「いやああああ!!」
何も考えず進んで迷う
朝食セットらしきものを持った女性と出会う
襲われる←今ここ
「どうやってここに侵入した!!」
「普通に入り口開いてたって!」
「そんな訳ないでしょう!!」
本当だって! 誰でもウェルカム状態だったって!
「ISを発動してもセキュリティに接続できない……!? 貴方、何をしたの!?」
「俺は無実だ!!」
てかアイエスってなにさ。無限の成層圏?
女の放ってくる魔力弾を躱しながら走る。精度が恐ろしく高い。一発一発がギリギリだわ。
『もう迎撃した方が楽では?』
ジェイドがそう言ってくる。確かにそうね。何か前にも似たようなことあった気がするけど。
グリーヴァを構え、女と相対する。
「おとなしく捕まる気になった?」
「散々攻撃されたからもう正当防衛だよね!」
今度はこちらからも魔力弾を放つ。
女は特に動じることもなく全て避ける。
「甘い」
当たるとは思ってないさ。俺の戦いは近接、短期決戦が基本。
八門遁甲を四門まで開く。
「革命舞曲ボンナバン!」
真っ直ぐに。離れていた距離を一気に詰め、女へと刺突をくり出す。
「くっ!?」
これまた避けられた。でも距離は詰めた。ここからは近接戦。俺のが有利。のはず。
剣と拳がぶつかり合う。力、強いな。見た目と合ってない感じがする。
「ふっ!」
「っ!」
大きく振るわれた蹴りを左腕で受け止める。重い。腕が軋む。だが散々戦い続けてきた俺の経験値を甘く見ないでいただきたい。
右手に持ったグリーヴァを振るい、左手に雷を纏う。
「千鳥!!」
初撃を躱して上体がぶれた女の隙を突いた攻撃。
「チッ!」
突き自体は当たらなかったが、迸る雷電が幾らかヒットした。女が顔を顰めた。
後退しようとするのが見えたが、そうはさせない。
踏み込み、もう一度右腕で攻撃。
女は両腕を上げ、防御の構えをとる。
しかし。
「!?」
何の衝撃もないことに、女が目を見開く。
右腕はフェイク。グリーヴァは持ってない。
――時雨蒼燕流 攻式 五の型
「 五 月 雨 ! 」
「ガッ……!」
クリーンヒット。
「……っと」
倒れていく女を支える。
『女性相手に一切の容赦のない攻撃。本当にありがとうございました』
「うっせえ、しゃあないだろ」
さて、どうしようか。
「ウーノ……そろそろ何か食べないと、さすがのドクターも餓死してしまうのだが」
「ん?」
「ん?」
餓死寸前の博士に食料を分けてあげた。焼き魚。
「いや~助かったよ。研究に夢中になると三食抜きとかザラだからね」
この博士、スカさん。自称天才科学者。通称は無限の欲望と書いてアンリミテッドデザイア。
「エロゲの悪役のようだ」
「性欲に限った話ではないのだよ」
ということは性欲も含むってことですかそうですか。
今いるのは研究室の一つ。ソファに座って博士と対面中である。
ちなみにさっきの女(スカさん曰くウーノ)は博士の横に寝かせてある。
「スカさんはここで何してんのさ」
「落ち着いて好きなものを作れる場所が欲しくてね」
へー。なんかちょっと怪しい気がするけどスルーします。
「そういう君はなんでこんなところに?」
「ちょっとサバイバルしに」
「ふむ、中々興味深いじゃないか」
何故に。どこが。
「ウーノさん強かったね」
「この子は本来戦闘向きではないのだがね」
「まじかい」
「情報処理が専門で、私の身の回りの世話もしてもらっているのだよ」
それでセキュリティに接続云々言ってたのか。美人さんに世話してもらってるとかスカさんうらやま。
「ぅ……ん……?」
お、ウーノさんが目を覚ました。
「……ッ!」
「まあまあ落ち着きたまえウーノ」
また襲ってきそうなウーノさんをスカさんがなだめる。
「しかしドクター!」
「大丈夫大丈夫。焼き魚美味しかったし、大丈夫だよ」
俺が言うのもなんだけど大丈夫かそれ。
「セキュリティに接続もできませんし……!」
「ああ、それは私がセキュリティを全部切ったからだね」
「え」
「ちょっと改造したくなって」
「…………」
場が静寂に包まれる。
……全部切る必要はなかったんじゃないかな。こう、少しずつ変えていくみたいな。
「一気にやった方が効率がいいだろう?」
効率だけな。他大事なとこがいくないけどな。
「…………すまない」
「……いえ、いいです」
この人、苦労人だわ。
終わらなかったです。
Sts本編前に関わらせるかすごい迷いました。UNOのキャラも迷いました。
あと、セキュリティに必死に呼びかけてUNOが涙目になるとか考えてましたが、キャラ崩壊は作者の本意ではないのでボツになりました。
感想批評誤字報告その他諸々お願いいたします。