魔法の世界にこんにちは   作:ぺしみんと

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また書き方を少し変えてみました。

修正しました。


35話 ファースト・コンタクト

 よし、今週もお仕事といきますか。

 

『先週行ってませんよね』

「何のことやら」

 

 先週はリスティの方を手伝ってたからね。あくまで非常勤の嘱託だから、行ける時に行けばいいのさ。

 今週こそ訓練施設を使いたい。早くVR訓練を体験したい。そしてあわよくばSAOやりたい。

 

 いつも通り、月村家の所有地にある転送ポートへと向かう。慣れたもので、最早顔パスである。元々猫ちゃんくらいしかいないけど。

 

 光に包まれ、いざ転送。もう目はやられない。そう、ジェイドがいればね!

 

『私モノクルですけど』

「プラシーボプラシーボ」

 

 スパシーバスパシーバ。イミワカンナイ?俺も分かんない。

 

「……っと、お?」

「あれ?」

 

 ミッドチルダに着いたと思ったら、目の前にはやてがいた。後ろには守護騎士達の姿も見える。皆同じく管理局の制服姿だ。

 

「晃一君、ちょうどよかった!」

「え、なに」

 

 鉢合わせたことに一瞬はやてが驚くが、あくまで一瞬。直ぐに笑顔になり、俺の手を取る。

 そして特に説明もないまま手を引かれ、再び転送ポートの中心へ。光に包まれさあ転送。

 

 ちょっと、俺来たばっかなんだけど?

 

 

○○○○○

 

 

 どういうことか説明キボンヌ。

 

「いやー海鳴市にロストロギアの反応があったみたいでな。レリックの可能性があるから機動六課に出動要請が来たんよ」

 

「 ま た 海 鳴 か 」

 

 ジュエルシードもロストロギアだったんだろ? フィクションじゃあるまいし。まじでなんなの海鳴市。

 

「せっかくこっちに来たことやし、機動六課のみんなに海鳴のみんなのこと紹介しようってことや」

 

 成程。そういえば俺もフォワード陣と会ったこと無いな。高町率いるスターズ隊の二人は顔だけ知ってるけど、テスタロッサ率いるライトニング隊の方は一切知らない。

 

「ザッフィーとツヴァイが見当たらないが」

「ザフィーラは六課の護りをお願いして、リインはなのはちゃん達の方についてるんです」

 

 俺の疑問にシャマルが答える。じゃあ俺は六課にいた方がいいんじゃ?

 

「晃一君は非常勤やし、私達がいないと訓練施設使わしてあげれんよ?」

「じゃあ俺帰るわー」

「ちょい待てや」

 

 なにさ。要は今日オフってことだろ?

 

「紹介っ、するって、言った、やん!」

 

 痛い痛い脛を蹴らないで地味にくるから。脚が自由に動くのが嬉しいからってその使い方は止めてください。

 

「紹介するのは月村達で十分だろ」

「スバル達のデバイス作ってくれたやん」

 

 まあ、そうだけど。正直、めんどくさいです。

 

「いいから行くぞ。久しぶりに剣を交えようじゃないか」

「ちょいシグナムさんお仕事は?」

「調査の合間は暇になるで」

「さすが主」

 

 ちょっと。

 

 シグナムに首根っこを掴まれ、ずるずると引きずられていく。否、ドナドナされていく。

 

 ヴィータちゃんへるぷ。

 

「諦めろ」

 

 んな殺生な。

 

 と、そこへ。

 

「はやてちゃん!」

「すずかちゃん!」

 

 月村がやって来た。あれ、何でここに?月村家の所有地だからいてもおかしくはないけど。

 

「久しぶりだね〜」

「ほんまに」

 

 俺の疑問を他所に、笑顔で抱き合う二人。

 俺と違って月村達は魔法関係者ではないから気軽にミッドチルダに行くことはできない。これは嬉しい再会だろう。

 

「なんや悪いな。わざわざ迎えに来てもらって」

「ううん、気にしないで」

 

 ん? 迎えに来てもらった?

 

「月村ははやて達が来るの知ってたのか?」

「うん、連絡もらったよ」

 

 俺の質問にあっさり答える。あの月村さんシグナムにドナドナされてるこの状況に突っ込みはないですかそうですか。

 まあいい、それよりもだ。

 はやてを見る。視線を逸らされた。おいまて。

 

「俺だけ言ってなかったな?」

「会う前に言ったら来なかったやろ?」

「そりゃ勿論」

 

 質問を質問で返すなよ。思わず正直に答えてしまったじゃないか。

 

「そこ否定しないと駄目なんじゃ……」

「相変わらず適当に生きてんなお前は」

 

 別にいいだろ、別に。

 

 月村家の車に皆まるごと乗せてもらい、拠点へと向かう。なんでも、バニングス家の所有地に仮の指令本部をたてたらしい。高町達はそっちの方に直接転送され、人数の問題ではやて達はこちらの転送ポートに転送されてきたそうだ。

 

 さて、そろそろ仕事の話をしよう。

 

「ロストロギアの居場所は分かってんのか?」

「細かい場所はまだ。反応があった場所の付近をフォワード陣に探索してもらう予定や」

 

 高町達はおそらくもう探索を開始してるだろうとのこと。シグナムとヴィータも向こうに着いたら探索にでるそうだ。

 

「晃一君も探索頼める?へんなの見つけたら報告してくれるだけでええんやけど」

「この町で変じゃないものを見つけられる自信がない」

「晃一君はこの町を何だと思っとるん?」

 

 人外魔境。

 

 

○○○○○

 

 

 仮拠点に到着した。丸太造りのコテージである。綺麗な湖の畔に建っており、仕事の拠点というよりはキャンプ場といった方がしっくり来る気もする。

 

「はやて!」

「アリサちゃん!」

 

 バニングスが駆け寄ってきた。はやてが先ほどと同じように抱き合う。バニングス以外の人影が見えないので、おそらく高町達はもう探索を始めたのだろう。

 

「無事晃一は捕まえれたみたいね」

「おかげさまでな」

 

 まるで俺がペットかのような言い草だな。

 

 そういえば、相良もいないのか。月村とバニングスの二人が来るの知ってたら、あいつもこの場にいそうなものだが。

 

「透はなにか用事があるみたいよ?」

 

 バニングスが誘ったが、断られてしまったらしい。珍しいな。バニングスに誘われてたら何が何でも来そうなものだが。

 

 と、そこで着信音。はやての端末である。

 

「お、なのはちゃんから最初のデータが送られてきた。そろそろ私たちもお仕事開始せなあかんな」

 

 シグナムとヴィータが探索に出た。

 

「じゃああたしはみんなの夕ご飯の食材を買ってくるわ」

「ごめんなあ、アリサちゃん」

「いいのよ。せっかくこっちに来たんだから、おいしいもの食べていきなさい」

 

 バニングスは笑いながらそう言う。こういうとこほんとかっこいいと思います。

 

「私も行くよ、アリサちゃん」

「いいの、すずか?」

「うん。バーベキューなんてどう?」

「いいわね!」

 

 こうして、月村とバニングスは食材の調達へ。あの二人だとA5の肉とか当たり前に買ってきそうだな。

 

 さて、俺はどうしようか。探索しても見つけられる気がしないんだよね。こういう類の事はやったことないし。

 

「……やっぱり山に行こうかな」

「なんなん? そんなに山が恋しいん? 野生に帰りたいん?」

 

 いやだって、フォワード陣も結局いなかったし。

 

「じゃあここで私達と一緒に待機で」

 

 拒否権はナシや、と告げられてしまった。にべもない。

 

 今日はやけにグイグイ来るというか、強引だね。どうしたのさ。

 

「最近仕事が忙しすぎるし晃一君は全然顔を出さないし。強引やないと会うこともなくなるやろ」

 

 ジト目になり、責めるようにはやてが言う。……まあ、放浪してる自覚はあるけど。

 

 リインフォースの一件のせいか、あるいはそれより前の一人暮らしが原因か、はやては関係が切れるということをひどく恐れている。大分前から、薄々気づいてはいたことだ。そして恐らく、これは治るということはない。

 

 特にリインフォースの件は俺も関わってるからなあ。リインを殺したのは俺なわけだし。

 

「しゃあない、事務仕事なら手伝ってやんよ」

「ホンマに?というかできんの?」

「エイミィさんから手解きを受けてたからな」

 

 だからどうしても、はやて相手には甘くなってしまうんだよね。

 

 

○○○○○

 

 

 探索開始から時間が経ち、フォワード陣から送られてくるデータを解析すること数時間。どうやら一通りの調査が終わったようだ。

 

「さ。細かい分析はお願いしたし、暫くはお休みやな」

「ん」

 

 俺達も送られてきたデータの整理を済ませ、管理局の本部の方にデータを送った。ロストロギアの詳細を調べてもらうのだ。結果が出るまでは休憩となる。フォワード陣もこちらに向かってるだろう。

 

「結果が送られてくるまでどんくらい?」

「多分、夜までかかるんやないかな」

 

 今は昼と夕方の間くらいだから、結構時間あるね。

 

「夕ご飯はやっぱりこっちで取ることになりそうやね」

「月村達が買ってきた食材が無駄にならなくて良かったじゃないか」

 

 BBQですねBBQ。

 

「よし!じゃあなのは達が来る前に準備始めちゃいましょ!」

 

 パンと手を叩き、バニングスがそう提案する。そのまま、バニングスの指揮で準備に取りかかることになった。

 

「晃一君、バーベキューセット運ぶの手伝ってくれないかな」

「あいよー」

 

 ちまちま運ぶのも面倒なので、バインドでグルグル巻きにして一気に運ぶ。

 

「おー。5つ一気に運ぶとは力持ちやね」

「鍛えてますから」

「晃一、この鉄板も運んでくれない?」

「おーう」

「お、鉄板もあるんか。これは本場の鉄板焼きを皆にふるまわなあかんな!」

「だからお前似非だろ?」

「似非やっ、ないっ、わっ!」

 

 突っ込みで執拗にローを狙ってくるのは止めてって。

 

 仕事が一段落ついているのもあり、弛緩した雰囲気の中セッティングをしていく。

 

 そして、はやてが張り切って鉄板焼きをし始めた頃。

 

「ただいまー!」

「お、帰ってきたな」

 

 高町とヴィータが戻ってきた。スバル・ナカジマとティアナ・ランスターもいる。皆制服ではなく私服姿だ。ヴィータはいつの間に着替えたのだろう。まあ制服で徘徊してたら目立つだろうけど。

 

「この匂い、バーベキュー!!」

「って、部隊長が鉄板焼いてる!?」

 

 ナカジマ妹が肉の焼ける匂いに顔を輝かせ、ランスター妹がはやてを見て驚く。部隊のトップが張り切って料理してるのは、新人からしたら驚きだろう。

 

「そんなに驚かんでも」

「あれだよ、レジアスさんが屋台ラーメンやってるような感じだろ」

「……想像してみると結構しっくり来るんやけど」

 

 もう少し痩せないと屋台にはまらないかもしれないけどね。

 

 部隊長とバーベキューに気をとられていた二人だったが、そこでようやく知らない顔がいることに気づいたようだ。

おずおずといった様子で、ランスター妹がはやてに尋ねる。

 

「……あの、部隊長。そちらの人達は?」

「ん、初対面やね。自己紹介といこか」

「あたしはもうしたからいいわ」

 

 バニングスが言う。高町達が転送されてきたときに済ませたのだろう。じゃあ俺と月村か。

 

「何度もするのもあれだし、ライトニング隊が来てからで良くないか?」

「来たで」

 

 あら。

 

 見ると、テスタロッサとシグナム、そして子供3人がこちらに歩いてきていた。え、ちっちゃ。一人はツヴァイだけど。あれがライトニング隊の新人か。

 

「……お兄さん!?」

 

『え?』

 

 え?

 

 




地の分を意識して増やしてみたら一話で終わらなかった。前より分かりやすくなってたら幸いです。

感想批評誤字報告お待ちしております。

追記

ツヴァイを書き忘れていました。

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