魔法の世界にこんにちは   作:ぺしみんと

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まさかの7000字越え。


39話 リスク

 次の日。

 

 昨日に引き続き、俺は訓練場へと足を向けていた。

 

 時間帯は昼。今は新人達が訓練に使ってるだろうと、はやては言っていた。

 

 つまりは修行に使うことはできないということだが、足は止めない。修行をしにいくつもりではないのだ。ランスターの様子を見に行くつもりなのである。理由は、ちょっと、気になったから。

 

『珍しいですね』

「自覚はあるさ」

 

 ただ、俺に何故無茶をするのかと聞いてきたあの時、ランスターは確実に焦っていた。

 

 あの時の俺の答えはほぼ紛れもない本音だけど、余計なことを言ってしまったような気もするのだ。

 

 焦燥に駆られたような、道に迷ってしまったような、あの眼。危うげな雰囲気は、まるで、『あの時』の高町のようで。

 

 だから少し、嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 訓練場に到着。現在展開されているのはビル街のフィールドらしい。高めのビルの上にテスタロッサ、ヴィータ、キャロ、エリオの四人の姿を発見したので、とりあえずそちらに向かう。

 

「よう、おつかれ」

「お兄さん!?」

 

 キャロが驚きの声をあげた。ヴィータとエリオも意外そうな顔をしている。ま、当然の反応か。

 

 3人は皆、バリアジャケットを解除していた。どうやらこいつらは今は訓練中ではないようだね。

 

「珍しいじゃねーか、お前が来るなんて」

「ま、なんとなくな」

 

 ヴィータに適当に返事をしながらも、ここにいないスターズ隊の方へと目を向ける。俺達のいるビルから少し離れたところで向かい合う3人。上の方では高町が空中に浮き、それと対面するようにして地上にランスターとナカジマが構えていた。

 

「今、なにしてんの?」

「分隊ごとのツーマンセル実戦をするとこだ。今はスターズ隊の二人だな」

 

 ヴィータが説明してくれた。成程、実戦か。ちょうど良かったかな?

 

「準備は良い?」

「「はい!!」」

 

 高町に対し威勢良く返事をする二人。どうやら始まるみたいだ。

 

『レディー……ゴー!!』

 

 レイジングハートから発せられる合図。模擬戦、スタート。合図と同時にランスターとナカジマが動いた。

 

 高町が挨拶とばかりに魔法弾を数発放ったが二人はこれを難なく回避。ランスターがすぐさま離脱をはかり、ナカジマは空中に光の道をつくりだす。

 

「あれがウイングロードか」

 

 空中に形成されていく帯状の魔法陣。その上をナカジマが駆けていく。いやローラースケートだから滑ってくか。

 

 実際に見るのは初めてだが、中々便利な魔法だな。陸戦魔導師でも高さのある動きができるんだから。

 

 高町の方は特に動き回るということはせず、ナカジマへ魔法弾を放つ。走り去るティアナはひとまず置いておくようだ。どう攻めてくるか、お手並み拝見というわけね。

 

「ん?立体機動は使ってないのか?」

「ああ。まだ早いって、なのはがな。アンカーは今まで通り使ってんだけど」

 

 走って移動するランスターを見て俺がふとこぼした疑問にヴィータが答えてくれた。そっか、まだ使ってないのね。勿体ない。せっかく俺頑張ったのに。

 

 ちなみにだが、立体機動ができるように俺がしたのは2つ。1つはアンカーの射出と回収を早くすること。もう1つは銃を推進力として利用できるようにすることだ。

 

 前半はともかく、後半は結構苦労した。思った方向に進めるようにデバイス側でサポートできるようにしたり、放出する魔力を効率良く推進力に変えれるようにしたりするのが大変だったのだ。

 

 まあ、それは置いといて。

 

 高町がナカジマへ攻撃していると、背後からオレンジ色の誘導弾が襲ってきた。ランスターがビルに隠れながらも操作しているのだろう。

 

 高町は全ての誘導弾を回避していく。流石というべきか、動きに無駄がないね。

 

 大きく動き回るナカジマとは対照的に、高町はあまり位置が変わっていない。これは、戦闘スタイルの違いもあるかな。ナカジマは近接戦闘がメインで、高町は砲撃魔導師だし。

 

 高町の桃色の魔法弾とランスターのオレンジ色の魔法弾が飛び交い、ナカジマがその間を動く。

 

 と、そこで不意に、扉が開いた。

 

「あ、もう模擬戦始まっちゃてる……ってあれ?晃一?なんでここに」

「遅刻かテスタロッサ?」

「ち、違うよ!」

 

 来たのはテスタロッサだった。息を乱しているところを見ると、結構急いで来たらしい。

 

「……ほんとは、私がスターズの相手も担当しようと思ったんだけど」

「あいつ、ここ最近訓練密度が濃すぎるからなあ」

 

 テスタロッサとヴィータが言う。訓練密度が濃いってのはそれだけ高町が新人達の訓練に当ててる時間が多いということだろう。

 

「なのは、直接訓練に関わらないときも、ずっとモニターと向かい合って訓練メニューを考えたり、皆の陣形チェックしたりで」

 

 若干困ったように言うテスタロッサ。なんというか、ワークホリックは相変わらずのようだね。

 

「修行してばっかのやつが言うか?」

「ずっと修行してるわけじゃないぜ?」

 

 休みはしっかりとるようにしてるよ。全力で休むのも修行の効率を上げるためには大切だからね。

 

「素振りは欠かさないようにしてるけどな」

「何回?」

「一万回」

 

 グリーヴァの素振りと正拳突きに蹴り。合計三万回は欠かしません。

 

「相変わらずだな……っと、お。クロスシフト」

 

 呆れた顔になっていたヴィータだったが、戦ってる高町達の方を見ると真剣な表情に戻った。話をしてるうちに戦況が変わったようだ。

 

 目を向けてみれば、隠れていたランスターが出てきていた。本格的に攻めるつもりなのだろう。

 

 走りながらも十数個の誘導弾を一度に生み出すランスター。

 

「クロスファイア……シュート!!」

 

 そして放たれる魔法弾。うねるように動きながらも上昇し、高町へと向かっていく。

 

 その時、高町の表情が少しだけ変わった。俺の隣にいるヴィータとテスタロッサもである。

 

「どうした?」

「いや、クロスファイアのキレがいつもより悪いような……」

「コントロールは悪くないんだけど……」

 

 そうなのかね?俺は普段のクロスファイアを知らないから良くわからんが。

 

 探るような目をしながらも魔法弾をかわしていく高町。一度避けられても旋回してまた高町へと向かう魔法弾。

 

 高町は魔法弾の量の割にはあまり動いていないように見える。恐らく、これは高町の動きを制限する目的だろう。

 

 とそこで、高町へと向けて光の道が生み出された。ナカジマのウイングロードだ。動きを制限したところへ大きな一撃をぶちこむ作戦のようだね。

 

 それに気付いた高町は誘導弾を数発生み出し、ナカジマへと撃った。

 

 だがナカジマは進行を止めない。正面から突っ込みながらも紙一重で避けようとした。当然、避けきるということはできず、いくつかの誘導弾がかすってしまう。

 

「こらスバル!危ないでしょ!」

「すいません!ちゃんと避けますから!」

 

 当然高町からの叱責が飛ぶわけだが、それに対してのナカジマの返答が少し妙だった。

 

「ん、あれは……」

「どうしたの?」

「高町の顔見てみろ」

「なのはの?……あ!」

 

 テスタロッサが声をあげた。他の3人も気付いたようだ。

 

 高町の顔に、赤い点がゆらめいていた。多分、狙撃用のレーザーポインタだと思われる。

 

 高町自身も気付いたらしく、すぐさまポインタの出所へと目を向ける。

 

 そこは、ビルの上。いつのまにか移動していたらしいランスターが銃を構えていた。使おうとしているのは恐らく砲撃魔法。

 

 再びナカジマがウイングロードを作りながら高町へと突貫していく。先ほど言った『うまく避ける』とはこちらのことを指していたのか。

 

「うおおおお!!」

 

 リボルバーナックルからカードリッジを排出させ、ナカジマが正拳突きをくりだす。プロテクションを展開し、受け止める高町。

 

「ティアッ!」

 

 ナカジマが叫ぶ。撃つ気か? そう思うと。

 

 ビルの上で構えていたランスターが消えた。フェイク・シルエット、幻影魔法だ。

 

 本物は……………上。

 

 高町の頭上高くまで広く展開されていたウイングロードの上を駆けていた。

 

「あれは、魔力刃!」

「ッ!」

 

 テスタロッサが声をあげた。エリオとキャロは息を飲んでいる。

 ランスターはクロスミラージュの一方をリロードさせ、魔力刃を作り出したのだ。

 

「……!」

 

 ウイングロードから飛び降り、ランスターがもう一方を後ろの方へと向けた。ジェットエンジンの要領で推進力をつけるつもりだろう。

 

「何してんだアイツッ!」

 

 ヴィータが叫んだ。……あれは、特攻かます気だね。

 

 ダガーもジェット噴射も俺がデバイスに設定したものじゃない。明らかに不安定だ。

 

 重力も合わさり、強い勢いをつけたランスターが高町へと急降下する。

 

 そして。

 

 

 

 激突と共に、爆発が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅん……、ん?」

「あら、起きた?」

 

 ベッドの上で、ティアナは目を覚ました。傍らにはシャマルが座っている。

 

「あれ……」

 

 まだ意識がはっきりしていないのか、少しだけボーッとしているティアナ。まばたきをしながら、シャマルを見る。

 

「ここは医務室よ。何があったか、覚えてる?」

「ッ!!」

 

 シャマルの言葉で意識が完全に覚醒した。思い出した。

 

 なのはへと特攻をかけたティアナ。その結果は、失敗だった。

 

 モードリリースをしたなのはに片腕で止められてしまったのだ。

 

『私は! もう誰も傷つけたくないから! 無くしたくないから!!』

『……少し、頭冷やそうか』

 

 もう一度攻撃を仕掛けようとして、撃墜された。

 

「……ッ!」

 

 拳をきつく、握りしめる。

 

 悔しい。悔しくてたまらない。

 

 あれだけのことをしても駄目だった。なのはには理解してもらえなかった。才能が無い自分には、ああすることしか、できなかったというのに。ああしてでも、自分は強くなりたかったのに。

 

 無力感に苛まれる。

 

 しばらくうつむいたまま固まっていると、足音が聞こえてきた。医務室に誰かが入ってきたらしい。

 

 なのはかと思い、ティアナは少しだけ体を強ばらせたが、来客は予想していた人物とは違った。

 

「ランスター起きたんだって?」

「ちょ、ちょっと。今はダメですよ晃一君!ティアナちゃんまだ……」

 

 古夜だった。

 

 慌てた様子のシャマルに見られてきょとんとするティアナ。ふと、自分の体を見下ろす。

 

 現在のティアナの格好は、下着の上にシャツを一枚着ているだけ。寝てる間に脱がされたのか、ズボンは履いていなかった。

 

「きゃあっ!?」

 

 慌ててシーツで体を隠す。古夜を睨むのも忘れない。エリオ相手とは違い、年上の男性に見られるのは流石に恥ずかしい。

 

「少しは頭冷えたんじゃねーの」

 

 一方古夜は、からからと笑うだけ。ティアナのにらみつけるは効果がなかったようだ。あと頭はむしろ熱くなったと言いたい。

 

「着替えるんですから、早くでてってください!」

「着替えたら、もう一度訓練場に来い」

 

 シャマルに背中を押され追い出されていく古夜が、そう言葉を残した。

 

「心配すんな、高町教導官は呼んでねえよ」

 

 

 

 

 

 

 訓練場に向かうティアナ。その足取りは重い。あのことがあって訓練場に戻るのは、気が進まなかった。

 

 気を失ってから大分時間がたっていたらしく、辺りは暗い。涼しい

 

 そこにいたのは古夜と、シグナムだった。

 

「で、どういうことだ古夜?」

 

 シグナムが古夜に尋ねた。それを見てティアナが眉をひそめる。シグナムは何も知らないのだろうか。

 

 気にする様子もなく古夜が話を切り出す。

 

「模擬戦するぞシグナム」

「それは、構わんが……」

 

 いまいち、状況がわからない。そう言いたげなシグナムだったが。

 

「こっちは八門遁甲もつかうからさ」

 

 古夜の言葉を聞いて、表情を変えた。

 

「な……!それは、本当か!?」

「本当さ」

 

 騎士甲冑へと変身し、レヴァンティンを抜くシグナム。古夜もバリアジャケットを展開してグリーヴァを構える。

 

「しっかり見とけよランスター」

 

 シグナムを見据えたまま、ティアナに言う。

 

「――八門遁甲 第6 景門 開」

 

 古夜が何かを呟いた瞬間、彼の全身から青い魔力が溢れだした。

 シグナムはどうやらこの状態を知っているようだ。

 

「その状態のお前と戦えるのを、心待ちにしていたぞ」

 

 嬉しそうに、だが目付きは鋭く真剣な表情のまま言う。

 

 向かい合う両者。武器はお互いに剣だ。中段に構える古夜と、刀身をさげ脇に構えるシグナム。

 

 緊張感が高まる。

 

 古夜の目的はわからないが、ティアナは自然と真剣に両者を見ていた。見なければならないような、そんな気がしたのだ。

 

 最初の構えから動かぬ両者。

 

 そして、古夜が。

 

 

 

 

 

 グリーヴァを手放した。

 

 

 

 

 

「な……!?」

 

 古夜の手のひらから落ちていくグリーヴァ。やけにスローに見える。

 

 あまりに予想外。シグナムもティアナも、状況が理解できなかった。

 

 だからこそ、思考に空白が生じた。

 

 致命的な一瞬の隙。

 

 はっと、気付いた時にはもう、古夜は懐まで入り込んでいた。

 

「ッ!」

 

 右の正拳突き。左の掌底。さらには両手での掌底。

 

 とっさにレヴァンティンが張ったプロテクションも踵落としで砕く。

 

 そこから膝蹴り上げでレヴァンティンを弾き飛ばし、浮いた体に両の手で手刀を叩きつける。

 

 最後に、腰を捻り力を溜めての貫手。シグナムを吹き飛ばした。

 

 

 

「――虚刀流 奥義 七花八裂」

 

 

 

 一瞬の勝負だった。

 

 

 

 

 

 

「さて。今俺は、隙を作るためにグリーヴァを手放し、そのまま素手で攻撃したわけだが」

 

 古夜が突如ティアナの方を向き、そう切り出した。

 

「騎士甲冑を素手で殴ったからな。何ヵ所か骨にヒビが入ってる」

 

 手をひらひらと振る古夜だが、その手には血がにじんでいた。

 

「何が、言いたいんですか」

「リスクの話だよ」

 

 昼の模擬戦でのお前の戦い方のこと、とそう付け足す古夜。

 

「リスク覚悟の特攻。まあ、大体はお前が昼の模擬戦でとった戦法と同じようなもんだ」

 

 ティアナのおこなった特攻。あれは外していたら、あの勢いのまま地面に激突していただろう。リスクの大きさでは今の古夜の戦い方とほとんど同じ。

 

 古夜がティアナを見つめ、告げる。

 

「はっきり言っておくぞティアナ・ランスター。あの戦い方では、絶対にお前の夢は叶わない」

「……ッ!あなたになにがッ!!」

 

 わかるんだ。そう言おうとしたが。

 

「俺の魔力量なんだがな、Aランクまでなるって言われてたのに、Cまで下がっちまった」

「なっ……!」

 

 古夜の言葉を聞いて、詰まってしまった。

 何でもないことのように言ったが、魔力量が減るとは、魔導師にとって致命的だ。

 それに老衰ではなく、古夜の若さでそれほど下がるというのは異常だ。自然に起こることではない。

 

「原因は明白。最初に使った八門遁甲だよ。分かりやすく、魔力ブーストって言うか。あれはリンカーコアの過剰使用だからな」

 

『死門』を開けばリンカーコアが消し飛ぶし、八門遁甲を使うだけでリンカーコアへの負担は溜まっていく。

 

「それ抜きにしても、あの動きだ、人の体で耐えられたもんじゃない」

 

 呼吸を1つおいて、古夜が言う。

 

「そう遠くない内に、俺は魔導師としては戦えなくなるだろう」

「そ、んな」

 

 何故平然と言えるのか、ティアナには理解できなかった。魔導師として戦えなくなるのは、ティアナにとっては夢が潰えることと同義だからだ。

 

「無茶を重ねるってのは、お前が歩もうとした道ってのは、こういう道だ。少なくとも、執務官向きじゃない」

 

 八門遁甲を使う使わないの話ではないのだ。ティアナが模擬戦でやろうとした特攻。あれを続けて、長生きできるわけがない。ほぼ間違いなく早死にするだろう。

 

 もっともそれは、古夜にも言えることなのだが。

 

「俺は確かに、無茶を続けてここまで強くなったと言った。でもな……」

 

 ティアナを見据える。

 

「強くなりたいっつって、俺の真似をするのは止めろ」

 

 

 

「でも、じゃあ私は……」

 

 肩を震わせ、ティアナが言う。

 

「私は、どうしたらいいんですか!!」

「知らんよ」

「このッ!?」

 

 ティアナの質問をコンマ数秒で切り捨てる古夜。思わす彼女が彼に掴みかかろうとすると。

 

「俺は教導官じゃない。そういうのは……」

 

 古夜が、ティアナの後ろを指した。

 

「そこにいる、高町教導官に聞け」

 

 はっとして、振り返る。そこにはいつのまにか、なのはがいた。

 

「な、なのはさ……!呼んでないって……!」

「呼んではいないな。勝手に来たらしい」

 

 思わず顔を前に戻し騙したなと古夜を睨むが、やはり効果はないらしい。またもからから笑っている。

 

「ティアナ……」

「な、なのはさん……」

 

 なのはの方へと向き直るが、かなり気まずい。どうしたものかと迷うと、ばん、と古夜がティアナの背中を押した。よろけてなのはの方へと2、3歩近づく。

 

「ちゃんと話してこい、お前の言う才能云々。後悔しないようにな」

 

 

 

 

 

 

 まあ、こんなもんでしょうか。

 

 バリアジャケットを解除する。こんだけお膳立てすりゃ、しっかり話し合うだろ。

 

 ランスター達のもとを離れ、吹き飛ばしたシグナムのところへ。

 

 シグナムはもう立っていたが、騎士甲冑は砕けていた。全力で殴ったからね。腕超痛いよ。

 

「悪かったなシグナム」

「いや、構わんさ」

 

 興味深げな視線をこちらへ向けてくる。

 

「それにしても、どういう風の吹き回しだ?」

 

 ああ、まあ今回のは特例というか。ぶっちゃけ個人的な理由だよ。

 

「あいつがあんなことしたの、若干俺のせいっぽいからな」

 

 かなり焦ってたから、俺の言葉が無くてもああなってたかもしれないけど。

 

 でもそれはIfの話で、俺の言葉が引き金になったのは確かだと思うから。

 

 そういうの、嫌なんだよ。

 

 どっかの知らない誰かが無茶やって死んでもなんとも思わないけどさ。

 

 自分の言葉のせいで、あんな生き方を決められるのは嫌だ。

 

「ましてランスターの場合だと、ティーダさんに呪い殺されそうだからな」

 

 いつぞやと同じようにおどけて言うと、シグナムはそうか、と言い笑った。

 

「それよりも古夜。先程の話、本当なのか?」

「ん?どの話?」

「お前が魔導師として戦えなくなるという話だ」

 

 ああ、あれね。

 

「まじまじ。魔力量のこととか全部丸ごと真実だよ」

 

 魔力量の減少はいつだかの検査のときに発覚した。知ってたのはハラオウン親子とユーノだけ。

 

「オフレコで頼むぜ?」

 

 あまり知られたい内容じゃない。

 

「それは……いや、了承した。だが……」

 

 若干顔を伏せ、申し訳なさそうな顔になるシグナム。何さ?

 

「それなのに私は、お前にアレを使わせてしまったのか……」

「やめろよ」

 

 シグナムが何やら変な勘違いで謝って来そうだったので先んじて止める。

 

 そこで謝られても困るだけだ。

 

「誰のためとかじゃなく、俺が使いたい時に、俺のためだけに使ってんだから」

 

 今回のランスターの件もそう。

 

 俺の言葉のせいで、ってのが嫌だったから。だから、教導関係の話には全く触れなかった。

 

 

 

 俺はいつだって、自分のために動いてきた。今回も、同じことなのである。

 

 

 




うちのティアナ撃墜はこんな感じになりました。

そして空気を呼んだスカさん。彼は彼でやりたいことやってたり。
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