「うーん、動かしやすいし、骨脚は早くて強いし。やりやすいね!」
ACSLPをやる
「強化人間最高!!銀狐はバグるまで勝てなかったけどそれ以外は楽勝だ!」
ACLRPをやる
「ライウンに勝てねぇ……。てかLRにこそ強化人間は必要だろう……。」
そんな感じの数週間でした。あとやっぱレイン可愛い。
「オペレーター、中間地点を通過した。情報より敵は少ない」
ディルガン流通管理局。数人のレイヴンに対し、この地への強行偵察任務を依頼したが、そのどれからも良い返事を聴くことは出来なかった。
仕方なく、アライアンス戦術部隊は手持ちの戦力でこの仕事を行う事にした。バーテックスの襲撃予告時間まで残り24時間。幸運にも、未だ戦力を他に回すだけの余裕が戦術部隊にあった。
二脚型のMTの攻撃をかわし、そのコックピットに向かってリニアライフルを放つ。
ACですら耐えられない衝撃に、MTの脚がふらつく。その隙を見逃さず、エヴァンジェは左手のムーンライトで切りかかった。
強行偵察任務には、エヴァンジェ本人が行うこととなった。その時に余裕があったレイヴンは彼の他にはトロット・S・スパーとゴールディ・ゴードンのみ。どちらも能力に申し分は無いが、ディルガン流通管理局の重要性を考えると、最精鋭戦力であるエヴァンジェこそが最適だと考えられたのだ。
「レーダーを確認していますが、反応は少ないです。そのまま偵察を続けて下さい」
アライアンスから派遣されて来たオペレーターの声に頷き、そのまま作戦を続ける。
道の半ばにバリケードとして置かれているトラックなどを跨ぎ、爆風による破片すらも気にしながら、エヴァンジェは進む。
「その奥の扉を開けば外に出ます。迎えのヘリとはその広場で合流して下さい」
「あぁ、了解した。……ん?」
エヴァンジェがレーダーを確認する。ミラージュ製のヘッドパーツに内蔵されたレーダーに、先程までは確認できなかった反応が見えた。
「オペレーター、前方に何か反応がある。確認してもらえないか?」
「いま確認します……これは、AC?」
「なるほど、守備隊が少ない理由はこれか」
エヴァンジェは、自分と繋がるオラクルのチェックを軽く行う。AP、及び弾薬に問題は無し。ACの出力も充分。ならば、行くか。
「撤退しますか?」
「いや、この時点でバーテックス側のACを削れるのならば戦況は大きくこちらに有利になる。戦闘が終わってから迎えに来てくれ」
「了解しました」
ライフルを構え、ゆっくりと扉に近付き身を隠す。そして、開放しようとスイッチを……
「!?」
オラクルに備え付けられている音声センサーが、広場から発せられた巨大な音を捉えた。
反射的に、エヴァンジェは機体を通路内へと避難させた。
次の瞬間、扉が爆音と共に吹き飛んだ。
青い爆風、エヴァンジェは舌打ちした。こんな威力を誇るレーザー兵器は1つしかない。そして、それを装備しているレイヴンは……
崩れようとする廊下を高速で駆け抜け、広場へと出る。
『敵ACを確認 ストラックサンダーです』
カメラに敵ACの姿を捉えた新鋭のコンピューターが、内部に搭載されたデータから該当する機体を解析し、その説明を行う。
『敵は複数のエネルギー武器を装備、被弾時の熱暴走は危険です。特に高火力の肩武器に注意して下さい。』
「やっと来たか。命令だ、死んでくれ」
「ライウンか……!」
紫色の逆関節機体。稲妻を抱く雷雲のエンブレム、肩部に背負う大口径のクレスト製レーザー兵器。
晴天の下に出現したバーテックスの尖兵は、アライアンス戦術部隊の長を討ち取るべく、自らの持つ雷をオラクルへと放った。
リニアライフルを放ちながら、エヴァンジェは右に建ち並ぶ倉庫へと身を隠した。
だが、そんな障害物などまるで存在しないかなように、着弾したレーザーはそれらを一瞬で吹き飛ばす。強大な熱量をマトモに食らった倉庫群は、まるでもとからその場には存在していなかったとでも言うかのように溶解し、蒸発した。
エヴァンジェはその攻撃を紙一重でかわす。少しでもかすれば、オラクルもこれらと同じ運命を辿る事になるだろう。
……まずは、動きを止める必要があるな。
エヴァンジェは、オラクルの武装の中から肩部のリニアガンを選択する。さらに、EOを展開。ライフル弾を使用した実弾タイプのオービット兵器、これも、補助としては充分な威力を持っている。
カメラを操作、オラクルを高速で移動させつつ、高度を頻繁に変えるストラックサンダーを中心に捉え続けロックの完了を待つ。
紫色のACに表示されていた黄色いサイトが、赤く変わる。
瞬間、クレスト製の傑作小型リニアガンから、中口径榴弾が次々と放たれた。
「グッ……!」
ライウンの苦悶の声。重量の逆関節機体は旋回、そして安定性は高くない。装甲性能を考えると、APに関しては微々たる損害だろうが。機動性に関しては致命的なダメージを与えているはずだ。
ガシャン、という重い音と共に。ストラックサンダーは地に堕ちた。だが、エヴァンジェはリニアガンの射撃を止める事なく、左腕のブレードを展開する。
ミラージュ製のイレギュラーナンバー。月色に塗られた鞘から、蒼い光が伸びる。
「……?」
接近しながら、エヴァンジェはリニアガンの爆風の中に立つストラックサンダーの姿を見る。選択している武装は大口径レーザー。一撃を狙っているのか?
ならば、とエヴァンジェは本来なら斬撃の為にブーストをかけるべき位置で、オラクルに対して右方向へのベクトルを加えた。
爆音が響く。先程までオラクルがいた場所を、蒼色の轟雷が貫いた。
やはり、ライウンは一か八かを狙ったらしい。確かに、あれが命中すれば勝負は五分に戻っていただろう。直撃によりダメージを受けるパーツの事を考えると、そのまま敗北になることすらも考えられる。
だが、ライウンはその賭けに負けた。ならば、その運命はもはや1つだ。
ブーストを一気に噴く。機体が宙に浮き、オラクルは地に張り付いたストラックサンダーへと斬りかかった。
手応え、あり。黒煙のあがる紫色のACを眺めながら、エヴァンジェはエネルギーで形成された刃を格納する。
「やはりな……」
その言葉を最期に、ストラックサンダーは爆散した。
「やはり……?」
ライウンの末期の言葉が、エヴァンジェの頭にひっかかる。何がやはりというのだ、最初から、負けるのがわかって勝負を挑んで来たとでも?
少し思考を巡らせ、エヴァンジェはすぐに頭を振った。いちいち、死者の考えに想いを馳せるほど時間は残されていない。
「オペレーター、作戦終了だ。施設の防衛部隊は殲滅。このまま施設を占拠する。トロットに連絡してくれ、第六MT大隊をここの防衛にあてる」
「了解しました。お疲れ様です、すぐに迎えのヘリを送ります」
「あぁ、頼む」
エヴァンジェはゆっくりと息を吐く。CPUが作戦の終了を告げ、システムが通常モードへと移行する。
とりあえず、いまは休もう。この24時間はキツイものになる。休める内に休んだ方が良い。
迎えのヘリの音を聴きながら、エヴァンジェはゆっくりと瞳を閉じた。
「なんでこいつは管理局を強行偵察してるんだ?」
コジマ溢れる湖底実験場、売店で買った矢鱈と味の濃いポテトチップスとコジマコーラをお供に、床に置いたタブレットPCから流れる情報に一人突っ込んだのは私ことジャンヌ・オルレアンです。
カラサワでの砂漠のモグラ叩きの手を止めた私は、まず横に置かれたポテトチップスを二枚摘む。それを口に放り込むと、指をしゃぶり、横に置いてある資料をめくる。
仕事をする事こそが安息と言い放つ生粋の社畜であるアクアビットの技術者たちが、全精力をかけて解析したオラクルの内臓データ。新鋭コンピュータなだけあって、情報量や精度が高いそれらデータを纏めた紙束をぺらりぺらりとめくりながら、私は少し考える。LR時代のレイヴンリストは意図的に見ないようにしている、サークシティで会うまで、どんなアセンか見ないようにしているのだ。
しかし、オラクルが管理局強行偵察ということは、レイヴンは前線基地でも襲撃したのかしら。でも、そしたら隊長は部隊のメンバー引き連れて「次も敵とは限らんだろ」とか言ってる筈だからなぁ。
パソコンを操作して、少しばかり映像を巻き戻す。うん、やはり一人で見るためにデータをもらっといて正解だった。見直しできるのはありがたい。……むむ、やはりこいつはライウン。見間違いでは無いな。
どうしてこのエヴァンジェは原作通りの行動をしてないのだろうか……いや、そっちの方が面白いから個人的には良いのだが……。
あれだろうが、世界線的なアレなのだろうか。確かに、あのバーテックスルート以外にも隊長がイケメンになるルートはあるのかもしれない。あれか、「レイヴンこそがドミナントであると認め、彼を庇いパルヴァライザーへ特攻したいった隊長」という指定をしたから、ラストだけ一致した私の知らない隊長が来たのかしら?
だとしたら、そんな隊長がどんな24時間を過ごしたかはとても気になる。
2本目のコーラに手を伸ばし、フタを開ける。今度、アイスクリームでも持って来てコーラフロートでも作ろうかな。そんなことを思いながら、PCを眺め続ける。
ヘリコプターに乗せられ、ACの電源が落とされたのか映像が一旦途切れ、すぐに新しい映像が流れ始める。
……今度はルガトンネルか。まぁ、バーテックスルートに行ったレイヴンが受けるとは思えんな。
10時、12時、そして14時にも動きは無い。まぁ、だが、そろそろ…………
「隊長!ACの反応です!」
ガラブ砂漠。AC輸送用のヘリには、バリオス・クサントスとオラクルの二機が繋がれていた。
「私がやろう。トロットは先にバーテックスと合流してくれ」
その言葉と共に、オラクルはヘリから切り離された。
『メインシステム 戦闘モードを起動します』
砂嵐の向こう側、多数のヘリ部隊や重量型のMTと共にACが一機確認できる。
いま、アライアンスが使える戦力を頭の中で検索する。本部直轄のあの臆病者、戦術部隊のAC、二人組の傭兵、ジナイーダ、そして……
あのレイヴンだったら、ここまでかも知れないな。そんな事を思いつつ、エヴァンジェはライフルを構える。
機影を捉えたコンピュータが、この戦いの前に入力されたACデータの中から、目の前の機体の正体をエヴァンジェに伝える。
『敵ACを確認、ヘヴンズレイです』
エヴァンジェの頭に、あの若者のあどけない笑顔が浮かぶ。アライアンスの汚れた実体を見ることができず、ただ彼らが掲げる正義の看板を盲信する哀れな猟犬。
成る程、裏切り者の討伐には丁度良い駒だ。
『敵はECMメーカーを装備、敵補足が困難と……』
いや、ヘヴンズレイ自体のECMは問題無い筈だ。だが、このノイズに塗れたレーダーは……
重MTに対し、ノーロックでリニアライフルを放つ。衝撃により動きを止めたその相手に対し、すれ違い様に一撃を加える。
間違いない、あれは、奴の隊のMT。
金と自らの命を優先するあいつが、アライアンスの命令でも僚機を貸し出すとは考えられない。と、なると……
砂塵を突き破り、黒いACが突っ込んでくる。ブレードレンジと引き換えに、絶大な威力を手に入れた短刀が、目視さえ困難な戦場でも妖しく光る。
「うぉぉぉッ!!」
ジャウザーの、正義に酔いしれた声。
それをマトモに受けず、受け流すようにムーンライトを振るう。
こいつだけに、意識を集中するわけにはいかない。この砂塵の何処かに、奴が……!
瞬間、エヴァンジェのレイヴンとしての勘が、反射的にオラクルをヘヴンズレイから離れるようにブーストさせた。ほぼ同時に、ジャウザーも身を引く。
一瞬の後、数発のライフル弾が通り過ぎた。その動きから、エヴァンジェはもう一機のACの位置に見当をつける。
漠然とした影、だがミラージュ製の新鋭コンピューターは、それだけの情報で敵ACの情報を解析してしまった。
『敵ACを確認、レイジングトレントⅣです』
「すまんな元隊長、賞金は貰っていくぜ」
「隊長!どうしてバーテックスなんかに……!」
2つの声が同時に響く。エヴァンジェは一度息を吐く、ACだけでも二対一。さらに、この視界の悪さだ。
だが、彼奴と相対する事と比べると、何の問題もないに等しい。
エヴァンジェは機能しないレーダーの代わりに、脳内に敵の位置を記すとまずは目隠しをするMTを撃破する為に動き出した。
「……………」
何故ジャウザーが、とは最早突っ込まない。本当に、いま見ている24時間は、私の知っているソレとはまるっきり違うらしい。くそ、アライアンスの良心が。何も言わずに潜入した隊長やら早い段階でヤられる他の戦術部隊のACと違って最後の最後までアライアンスの為に頑張る健気な子なのに……こんなに早い段階で出てくるなんて……
さらにもう一機は干な重量二脚のゴールディか。W鳥かつ高火力なEOを装備している。援護機としては充分だろう。自分でも、ほんの少しは苦戦するかもしれない。
だが、隊長は、現実と電子の双方の砂嵐を一切気にせず砂の海を進む。
鮮やかなもんだ。MTやヘリを落とすその洗礼された動きには、ある種の美しさすら感じられる。
重MTが全滅したからか、ECMが解除された。私は新たなコーラに手を伸ばす。あぁ、ポテチも新しいのを開けるか。
小ジャンプの繰り返しと、強化人間特有のエネルギー効率の良さから、接敵以降一瞬足りとも停止せずに機動し続けるオラクルに、他の二機は翻弄されているようだ。時たまレイジングトレントのEOからの射撃が飛んでくるが、後はその姿を捉える事すら出来ていないらしい。
格が違うってか、私は呟いた。まぁ、あのジノを倒し、特攻兵器の襲撃からも生き延び、ライウンに対しても圧倒的な差で完封してみせた隊長からしたら、この二人程度は歯牙にも掛けない程度の存在なのだろう。
選択武装が切り替わる。軽量リニアだ、こいつには嫌な思い出しかない。最初に隊長と戦ったときに、こいつの連射を食らったせいでマトモに戦う事すら出来なかった。その程度もクソも無いじゃないか!とジャックに叫んだあの時のことは今でも記憶に残っている。
ピョンピョン飛びながらリニアガンを撃ち続けるその姿はまさに変態。爆風でよく見えないが、相手は恐らくジャウザーだろう。コア損傷、頭部損傷、コア破損、腕部損傷、脚部損傷、さらに頭部破損
何も抵抗できずに、若者の機体は削られていく。
レイジングトレントも僚機を救いに行こうとするが、頻繁に動き方を変えるオラクルについていけないらし。見当違いの場所を通り過ぎるレーザーから、映像を見ているだけの私でもその事はよくわかった。
「隊長……あなたは……」
爆音、黒煙を吐いたヘヴンズレイは、正義に酔った若者と共に砂漠に散った。
「ジャウザー!!」
ゴールディの声。まぁ、ほぼほぼチェックメイトだろう。オラクルは冷静に、冷酷なまでに、先程までヘヴンズレイだったものから視線を外し、レイジングトレントⅣへと照準を向ける。
私が、ゴールディ程度の腕だったら間違いなく逃げるだろう。アライアンスからの罰則があるかもしれないが、それでも命あっての物種だ。それこそ、自分もバーテックスに逃げても良いかもしれない。
だが、結局レイジングトレントは撤退しなかった。リニアガンの猛攻の中。動けなくなった重量二脚のACは、最期はそのコックピットをムーンライトに貫かれ、果てた。
「死にたくな……!」
生々しい声である。しかし、アライアンスはこれで二機のACを失った事になる。残りは…………あぁ、森か。これはもうバーテックスの勝利で決定ですね。クラッカーでも鳴らそうかしら。
「すまん……」
ポツリ、と呟いたエヴァンジェの声が聞こえる。まぁ、この時は秘密でバーテックスに潜入する事が目的だったからな。バレない為とはいえ、少しは葛藤があったのかもしれない。
「トロット、こちらの戦いは終わった。すぐに合流を……」
エヴァンジェが無線に対しそう声を入れる。だが……
「隊長!すいません!もう……」
ノイズの混じった声。これは……襲撃を受けているのか?
「誰の襲撃を受けている?」
珍しく、焦った風な様子でエヴァンジェが尋ねる。もしや、わりかし奴さんの事を信頼していたのかしら。
「奴です!ジナイ……ぐぁっ!?」
直後、爆音が響く。エヴァンジェは二度、トロットを呼びかけるが、彼から返事が返ってくる事は無かった。
ジナイ……一体何イーダなんだ……?
24時間は、未だ始まったばかりである。これからどんなドラマが起こるのか、私はちょいとばかりワクワクとしながら、4本目のコーラの栓を開けた。
PSPでACとか向いてないにも程がある。(四年ぶり二度目)
でも楽しい。