とある海の上、ダーバンを巻き、白いマントをはためかせ、見るからに体調が悪そうな緑色の肌を持った人物が空中に浮かんでいる。
「クソッ。悟空のやつこの俺に雑事を押し付けるとは。」
男は見るからに憤りながら呟いている。
なぜこの男がこのワンピースの世界にいるのか、それは二時間前のことである。
――――
「ようピッコロ。」
「いきなり現れるとはどうしたんだ悟空?それにお前は死んでいるはずではないのか?」
突如姿を現した山吹色の胴着を着た男に少しもたじろぐことなく、ピッコロと呼ばれた男は返した。
「ちいっと面倒なこと界王様に頼まれちまってよ。おらは死んじまっててできないからよ、ピッコロ代わりにしてきてくれねえか。」
「ああ構わんが、で界王になにを頼まれたんだ?」
ピッコロに問われた悟空という人物は、少し戸惑い苦笑いを浮かべながら話すところによると、ヤムチャがドラゴンボールを使い異世界に行った、それはどうでもよいのだが、その異世界ではヤムチャが行くだけで世界的な均衡が崩れてしまいそうであること、そのためにヤムチャを連れ戻してほしいと頼まれたということであった。
「俺がたかがヤムチャの為に異世界へ行かなくてはならないのか?ベジータやクリリンではダメなのか?」
先ほどまで微笑を浮かべていたピッコロは話を聞くと、笑っているのは同じだが、怒りを含みひきつった笑いを浮かべながら悟空に聞く。
「いやあ、ベジータは聞くだけ無駄だと思うしよ。クリリンはなんか18号とやっとデートにこぎつけたから邪魔しねえでくれって頼まれちまってさ、ピッコロしかいなかったんだ。」
わっかの浮かぶ頭に両手を組み話す悟空という人物は悪びれることなく話した。
「ちっ本当に面倒ばかりかけるやつだ。しょうがない行ってやるか。」
「おっとピッコロわりいんだが、行った先の世界ではおめえの力は強すぎて色々影響がでちまうらしいからこれを着て力を押さえて行ってくれって界王様から渡されてんだ。」
「最初から俺を行かせるつもりだったのか…。」
ピッコロは悟空という人物から今着ているものと見た目は変わらないダーバンとマントを受け取り着用する。
「な、何?」
ピッコロは驚きの声をあげる、着用した瞬間からみるみる内に力が抑えられ、元の戦闘力の一万分の一ほどに抑えられたようである。
「おらはもう戻らなくちゃいけねえんだ。頼んだぞピッコロ。」
「ちょっと待て悟空~~~!」
――――
ということがあったのだ、それからこれまた界王が手引きしてくれナメック星のドラゴンボールを使いこの世界にやって来たのだ。また異世界の人物が現れたので某ヤサイ王子であれば、「異世界人のバーゲンセールだな。」などと言うのであろう。「ヤムチャのバカの気は感じられんな。この世界が広いのか、俺の力が弱まっているからか、もしくはヤムチャの気が弱すぎるのか。まあ後者であろうな。」
―――
「ハクション!」
「いきなりクシャミか大丈夫かヤムチャ?」
「たぶんどこかの美しい女性が俺のことを噂しているんだろうな。」
ヤムチャは恐ろしい人物が迎えに来たことも知らず暢気にアブサロムと談笑していた。
――――
「クソッどこまで俺に面倒をかければ気がすむんだあのバカは。くまなく探すのには広すぎる」
ピッコロは海上で途方にくれていた。
その時後方からある海賊船がやって来ていた。
「おい、前方になにかいるぞ?」
緑のマリモ頭の男がマストの上の部屋から船員に告げる。
「どれどれ、おマジだってえーーーっ空中に浮いてるぞ。それに緑色の化けもんだ。」
長っ鼻の男は尻餅をつきながら驚いている。
「おもしれぇ。そいつのほうに行こうぜ。前進だーフランキー。」
「ああ分かった。」
ビキニパンツの男は麦わら帽子の少年に言われ舵をとる。
「おいおいマジでいくのかよ。まあルフィは言い出したら聞かねえからな。」
金髪のグルグル眉毛がそう言うと船室から出てきた黒髪の女性は
「また面白いことがありそうね。」
と穏やかな笑みを浮かべながら後から出てきて頭を抱えている海図を持った女性と話していた。
「おーい、そこで浮かんでいる緑色ー。」
「ん?クリリンの声がしたと思ったんだが。ここにアイツがいるはずもないしな。聞き間違いか。」
「おーい、聞こえないのか。」
「ここまで近づかれるまで気づけなくなるとは、界王め洒落たものくれやがって。」
ピッコロが振り向くと、すぐ後ろまでライオンの顔が船首についた船がやって来ていた。
「俺を呼んでいたのはお前か?」
船首に立っている麦わら帽子をかぶった少年に、なにかを探るかのようにピッコロは尋ねた。
「ああ俺だ。俺はルフィ、お前は?」
「お、俺か?俺はピッコロだ。」
ピッコロは警戒していたはずであったが、いつの間にかルフィのペースに乗せられていた。
「おい、ピッコロ俺の仲間になれ。」
『ちょっと待てー。』
後ろからやって来たルフィの仲間達がルフィに待ったをかける。
「おいおい、あんな不気味な化け物みたいなやつを仲間にいれるっていうのかよ。」
長っ鼻の人物がルフィに突っ込む、
「ああそうだ、空に浮かんでるし、なんか面白そうなやつじゃねえか。もう俺は決めた。」
あとからやって来た仲間達はこうなったルフィには、なにをいっても通じないことは分かっているので、途方にくれている。
見かねた黒髪の女性が仲間達に助け船を出す。
「船長さん。あなたはいいとしても彼の意向も聞かなくてはね。」
「ロビンちゅわーんナイスアシスト。」
「ロビンよくやってくれたわ。」
グルグル眉毛と航海士であろう女性はロビンに称賛の声をあげる。
「それもそうか。ピッコロどうだ?俺の仲間にならないか?」
ルフィは屈託のない笑顔を浮かべてピッコロに問いかける。(((頼む断ってくれ)))
仲間達は必死に願っていた。こんな素性も分からない男?を仲間にするなんて考えられないと。
ピッコロは普通では即断るところであるが、この世界が分からないこと、そして、悟飯以外で自分に裏もなく好意というか、興味を抱いてくれたことに嫌な感じもしなく、また悟空に少し似た感じがしたため少し、思案した末に了承した。
「おっし、決まりだな。」
「ああ、だが俺にはすることがある。それが終わったら抜けさせてもらうが構わんか。」
「ん~ん。まあしょうがねえか。サンジ~めし~ピッコロの仲間入りだ宴会だ~。」
「悪いな俺は水しか飲まん。」
異世界人ピッコロが麦わら海賊団に加入した。