「アナゴ少し顔を貸せ、オイラの花嫁になるであろう女を見せてやる。」
アナゴが来る麦わら海賊団との決戦に向けて準備をしていた時に、ヤムチャと作戦をたてているはずのアブサロムがやって来ていい放った。
「おいおいこの惨状見ればわかるだろお。この緊急時に出掛けたらあとでペローナ様にどんな目にあわされるかあ。考えるだけでもおぞましいぃ。」
今までアブサロムに付き合ってはペローナのお仕置きを味わうといったことがテンプレになっていたのでなんとかその惨事を避けるためにアナゴは断った。
「惜しいな。ペローナのお仕置きを恐れて男にとっての天国を覗くいや、目の当たりにするのを諦めるとは、ああ情けない。」
「……いいだろう。そこまで言うならいってやろうじゃないかあ。ペローナ様がなんだあ。」
アナゴは元来友人を悪い道に引っ張っていく方である。ということで、強いおしと誘惑に弱かった。ということで仕事をほっぽってアブサロムとともに部屋を出ていった。
「クマシー。唇はどこだ?」
入れ違いでやって来るペローナ。
「唇は「喋るな。ジェスチャーで説明しろ。」…」
クマシーに対してムチャぶりである。ペローナに伝わるまで10分を要した。
そこまででイライラが溜まっていたペローナは鬼の形相でアナゴへのお仕置きを考え始めたという。合掌
「でヤムチャと一緒にどこへ行くと言うんだあ?」
「黙ってついてこい。ヤムチャを見ろ、真剣な顔でいるだろ。」
アナゴがヤムチャを見ると真剣な顔ではあるが、なぜか鼻血が垂れている、その姿を見て改めてアナゴは、ここに来て良かったのだろうかと再度考えさせられたという。
「ここだ。お前たちオイラに掴まれ、透明化する。」
「頼んだぞ。」
(コイツらのしたいことは大体分かったなあ。まあここまで来たんだ付き合おう。)
なんだかんだ言いながらアナゴは悪友たちと楽しむことにした。
――――
「チッなんなんだここは、ゾンビだらけじゃねえか。たいして強くはないが、アイツらが心配だ。…それに一瞬だけ気になる気が感じられた。あの屋敷からだな。」
ナミ達を追いピッコロが後れ馳せながらもモリアの屋敷に辿り着いた。
ドアを開けると豪華な調度品や絵画、剥製、動物の毛皮といったものがところ狭しと飾られている。
「フン、先ほどのゾンビ達と同じか。気を持った調度品とはな。姿を現せ化け物ども。」
ピッコロがいい放った瞬間、調度品達が動きだし、ピッコロに襲い掛かった。
結果はいうまでもないだろう。
死屍累々と地に横たわる化け物達。ピッコロはその中の1つに尋問中である。
「この屋敷に人間が三人来たはずだ。どこにいる言え。」
「へっそんなことが言えるかよ。」
熊の敷物は悪態をつく。
「まあいい。お前の他に聞けばいいことだ。死ね。」
「ま、ま、ま、待ってくれ。言うから、言いますから。」
ピッコロが向けた手のひらから感じられる、避けることができない死を感じ取った熊は全てのことを嘘偽りなく喋った。
「そうか、分かった。」
ピッコロは全てを聞き、熊の敷物を放り投げ、目にも止まらぬ早さで部屋をあとにした。
「界王が寄越したこの拘束具のせいで気を感じられる範囲が極端に狭くなっている。なんてもんを渡しやがる。」
走りながらピッコロは愚痴を溢しながら目的地に向かっていた。
――――
「はあ、いい湯ね。」
ナミがここまでの精神的な疲れと身体的な疲れを風呂場で癒していた。
『……』
その後ろで不埒ものどもが見学していることに気づくこともなく。
(やめろアブサロム。いくらなんでもそれはするな。)
(止めるなヤムチャ。据え膳食わぬは男の恥だ。)
(そうは言うが、あの女はそれを望んではいない。)
「何か聞こえたような。」
(…………)
「気のせいか。」
ヤムチャとアブサロムが何かについて議論を交わしている傍らで、アナゴはただの傍観者になっていた。何を見ていたかは言うまでもないが。
(もう我慢ならん。)
(おい。)
アブサロムがヤムチャの制止を振り切りナミを拘束した。
「え、なに、あんたたちは何者、ウソップ……」
見えぬ者に動きを拘束され、いきなり姿を現したヤムチャとアナゴを見て取り乱しながらも助けを呼ぼうとするがそれも妨害される。
(誰か助けて)
ナミが心のなかで届かぬ願いを懇願していた。
「ピッコロいきなりどうしたんだ。そこはナミが。」
「うるさい。どけ。」
ウソップの声とピッコロの声が響いた瞬間に、風呂のドアが弾けとんだ。
「んんんん~~~」
「待っていろナミすぐに助けてやる。」
ピッコロがナミに声を掛けすぐさま姿が消える。
「ワター。」
「グハァ。」
ピッコロが空を殴る。なにもないはずの空間が揺らめきそれと同時にアブサロムが姿を現し壁に突っ込んでいった。
一撃で壁にめり込んだアブサロムは意識がとんでいた。
「やはり前に感じた巨大な気はピッコロだったか。なんのようだ。」
「なんのようとはご挨拶だな。お前を連れ戻しに来たんだよ。」
いきなりヤムチャとピッコロが話始める。後ろでは助けられたナミがウソップとチョッパーにバスタオルをかけられている。
「俺は帰るつもりはない。」
「ならば力ずくで連れて帰る。」
ピッコロが宣言すると、ピッコロを中心に突風が巻き起こる。
(や、ヤバイ。以前よりはかなり弱い気だがそれでも俺の数倍はあるぞ。どうすれば……そうだ。)
ヤムチャはピッコロの気に気圧されて動けないアナゴに「変身しろ」と言い、戸惑いながらも能力を発動させたアナゴを前に出した。
それと同時に突風が止み、ピッコロが驚愕の声をあげる。
「セ、セルがなぜここに。」
「形勢逆転だな。俺達にはパーフェクトセルがついているのだ。」
先ほどの弱気はどこにいったという感じでヤムチャが強気でいい放った。
当事者であるアナゴは状況についていけずぼ~としているが。
だがその余裕もすぐについえることとなる。
「ん」
ピッコロがなにか違和感に気づいた。
しげしげとアナゴを見つめるピッコロ。
照れるアナゴ。「ヤムチャよ。よくも俺を謀ってくれたな。やつはセルではないな。」
「いややつはセルだ。」
冷や汗を流し、声を裏がわせながら反論するヤムチャ。
ピッコロはフッと勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「あの唇はなんだ。」
「なんと。」
ピッコロが突いた唯一の違いにヤムチャは急所を突かれ、地面に崩れ落ちた。
「帰るぞ、ヤムチャ。」
ピッコロが歩みよったその時だった。
「太陽拳。」
「し、しまった。」ヤムチャの危機にすかさずアナゴが太陽拳を発動した。強烈な光が風呂場に溢れた。
「ヤムチャ、アブサロム行くぞ。」
アナゴは二人を抱え瞬間移動で逃げ去った。
「く、くそう。またしても太陽拳とは。セルじゃないからと油断した。すぐに追いかけるか。お前たちはすぐにルフィと合流しろ、もうそこまで来ているはずだ。」
ピッコロはすぐにとびだそうとするができなかった。
『行かないでピッコロさ~ん』
とナミ、ウソップ、チョッパーがマントに泣きながらしがみついていたからだ。
三人はなんとしてもピッコロを行かせてはならないと火事場のバカ力を発揮した。
「ハァしかたない。ルフィの所まで一緒に行くぞ。」
『ありがとうピッコロさん』
溜め息をつくピッコロを横目に目を輝かせた三人であった。