「ただいま、帰りました。」
「ホロホロホロホロ、お帰り唇。」
アナゴが土下座姿で、ルフィとフランキーを連れてペローナの元に突然現れた。
ペローナは突然現れたことなど意にも介さず柔らかい微笑みを浮かべて出迎えた。
「ひぃっ。」
一般人が見れば見惚れてしまうであろうペローナの微笑みであったが、アナゴはその笑みを見た瞬間に身の毛もよだつような戦慄を覚えた。
「あのぅ、ペローナ様、麦わらのルフィとフランキーとかいう機械男を連れてきたんですが。許してくださるんですよねぇ。」
アナゴは恐る恐る自分の手柄を述べながら、探り探りペローナに聞く。
「ご苦労。許すってなんのことだ?」
ペローナの熱の籠らない冷えきった言葉がアナゴの心を氷つかせる。回りで見ているアニマルゾンビ達も背筋に冷たい物を感じながら、少しも物音をたてず成り行きを見守っている。
「ぺ、ペローナ様は、麦わらのルフィを連れてきたらサボりを許してくださるとおっしゃっていらっしゃったと思われたのですが。」
あまりの恐怖におかしな敬語になりながらも僅かな望みにかける。
「ホロホロホロホロ、私はそんなこと言っていないぞ、なあクマシー。」
ペローナの急な問いかけに普段であれば必ず声を出すクマシーであるが、空気をしっかりと呼んでブンブンと音がするほど首を縦にふり続けた。
クマシーが首をふる度に中から「ぅゎ」とか「どこ触ってるのよ」などがしていたことには誰も気付くものはいなかった。
「だそうだ。後で裁きを申し渡す。」
アナゴのいちるの望みも簡単に打ち砕かれて、アナゴは崩れ落ちた。
「で唇。お前の力があれば麦わらともいい戦いができたはずではないのか。」
「私は終われるのに慣れてなくてぇ、あとなぜか網を見たら怖くなりましてぇ。」
アナゴはなんとか体勢を立て直して、後頭部を掻きながら話す。
「ほう、いいことを聞いたぞ。」
ペローナは何かに閃き、いたずらっ子のような笑みを浮かべ、それを見たアナゴはしまったと後悔したが、後の祭であった。「では麦わらを連れてモリア様の所へ行くぞ。麦わらと機械人間を縛って連れてこい。クマシー、唇。」
「は…「喋るな」
「はい。」
クマシーは喋ることを止められ、唇の声だけが響いていた。
――――
モリアの部屋に行くために石造りの長い階段を昇っていると、同じくモリアの部屋に向かうアブサロムとヤムチャに出会った。
「お、アナゴじゃないか。さっきは危なかった所を助けてくれたみたいだな。ありがとう。」
「俺もピッコロから助けてくれてありがとな。」
アブサロムとヤムチャから真摯に頭を下げられて改めて勇気を振り絞り助けて良かったと思いながらも、ペローナのお仕置きを受ける原因となった二人を恨む気持ちもあったのは言うまでもない。
そんなこんなでモリアの部屋まで談笑しながら向かって行った。
――――
「夜明歌·クー·ドロア」
「ふっ」
リューマが黒刀秋水をフェンシングのような構えで前に付きだし加速をつけてピッコロに迫る、しかしピッコロは白いマントを翻し簡単に避けると同時にがら空きになったリューマの背中に裏拳をいれる。
「グッ」
リューマはうめき声をあげながら遥か後方に吹き飛ぶ。
しかしながら長い廊下を転がりながらも見事に受け身をとり、刀を構え
「酒樽舞曲·ルミーズ」
と呟きピッコロに衝撃波を飛ばした。
だがそれも当然のようにピッコロに掌で払われた。
「お強いですな。驚きで目が飛び出そうですよ。ゾンビですから目はないですがね。ヨホホホホ」
リューマはピッコロの強さを実際に身を持って感じ、敵ながら素直に称賛した。
「お前もなかなかの強さだ。ただ威力は十分だが、全ての技が直線的すぎる。光の早さを遥かに越えても簡単に避けることができるぞ。」
「これはお厳しい。おやまだ戦いは終わっていませんよ。」
ピッコロは素直に感想を述べ、背を向け去ろうとしており、リューマがそれについて問いただす。
「なに、俺がお前を倒してもいいんだが、倒したら倒したで、俺は仲間に恨まれることになる。それにな、お前も同じ剣士とやりあいたいだろうなと思ってな。もうちょっとそこで待っていろ、お前も満足できる剣士がここにやって来るからな。」
そうリューマに対してピッコロは呟くと後ろを振り向くことなく、去っていった。
(ナミ達がどうもおかしなことになっていそうだ、少し急ぐか。)
ピッコロは赤い絨毯がひかれた長い廊下を一蹴りで抜けて行った。
――――
「俺についてこい。」
「あら行き止まりよ。」
ピッコロの話に出た剣士ゾロはいつも通り屋敷のなかで迷子になっていた。
「どうなってるんだ、そういえばロビングルグルコックはどこに言った。」
「あれ居ないわね。」
「ちっ迷子かよ。まあいい行くぞ。」
「いいのかしら。」
二人はサンジのことだから大丈夫だろうということでそのままスルーしてルフィを探しに行った。いつになったら着くのだろうか。