アナゴ9時30分枠に出張する。   作:寅好き

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復活するオーズ

「……」

アナゴは今目の前で起こっていることが本当に現実のことなのかを疑わざるをえないことが起こっていた。

アナゴの主ペローナのそのまた主のモリアがルフィの影をペリペリと剥がし、巨大なハサミで切りはなそうとしているのだ。

影の剥がれる音は好きだななどと思っていたのは今は昔である。

モリアは

「三億の影はもらった。キーッシッシッシ。」と言うや否やルフィの影を切り離した。

それと同時にルフィも力なく人形のように動かなくなった。

モリアは手の中でもがくルフィの影を見てほくそ笑み、

「こいつを今からスペシャルゾンビにいれに行くぞ、お前達ついてこい。」

と言い、部屋を出ていく。

アナゴ達もそれに続いて出ていく。

しばらくモリアについていくと金庫の扉のような重厚な扉の前につく。

「なんか、銀行の金庫みたいだな。」

アナゴがそう呟いているうちに扉がギィーといかにも重いぞというような音をたて開かれた。

「寒ぅ!」

中から靄のように冷気が溢れだし、ついそんな言葉をもらす。

「当然だ。ここはスペシャルゾンビが納められている巨大な冷凍庫なのだからな。フォースフォスフォスフォス。」

ホグバックがその理由を述べ笑いだした。なにやらとてつもないものがありそうだなと思いながらアナゴはモリアやペローナに続いて入っていった。

(セルってどんな環境でも生きられるフリーザの血も流れてるんじゃなかったか?)とヤムチャは考えていたが、アナゴはそんなことは知るよしもなかった。

「こ、これは。」

「マジかよ。」

アナゴとヤムチャは息を飲んだ。寒さも感じられないほどの驚きであった。

冷凍庫の先にとてつもなく大きな凍りついたゾンビがあったからだ。

「どうだこれがスペシャルゾンビのオーズだ。さあオーズの復活だ。」

モリアは見るからに嬉しそうにオーズに歩み寄り、手に持つルフィの影を押し付ける。

みるみるうちに影はオーズに吸い込まれるように入っていき、ついにオーズが目を覚ました。

モリアは目を見開いて喜び、ホグバックはさも当然だといったように誇らしげに笑っている。アブサロムとペローナはアナゴやヤムチャと同じように驚愕に染まった顔をしていた。

皆が動けなかった時だった。

突然クマシーの背中からウソップ、チョッパー、ナミが飛び出し一目散に逃げていった。

呆気にとられた面々であったが、すぐに立ち直ったのはもちろんアブサロムであった。

「オイラの花嫁だ。待てーっ。」

といいそれを追い走っていく。

「あーあ。アブサロム行っちゃったよ。私達は行かなくていいんですか?」

アナゴはペローナに聞くがペローナは全く慌てることなく答えた。

「構わん。もとの部屋には私のアニマルゾンビがいるからなホロホロホロホロ。」

――――

「おいどういうことだよ。」

あれから30分程たつ。

アニマルゾンビをやっとの思いで振り切ったと思っていたら、急にナミの姿が消えたのだ。目の前になにもなかったかのように。

「花嫁は頂いていくぞ。」

「ウソップ、チョッパー助けてー。」

アブサロムの勝ち誇ったような声とナミの叫び声だけが部屋中に響いていた。

「俺のせいだ。俺がもっと警戒していれば。」

ウソップは膝をついて懺悔でもしているかのようにボソボソとそう呟いている。

「ウソップ、アイツらが来るよ立ってよ。」

先程まいたはずのアニマルゾンビが迫っているおりチョッパーが指摘するが、ウソップはピクリとも動こうとしない。

「居たぞ。もう逃がさん。」

アニマルゾンビの群れがウソップとチョッパーに襲いかかる。その数約2~30。非戦闘員の二人ではまず相手にできない数だ。

「ウワーっ。」

チョッパーが飛びかかってくるゾンビを見て悲鳴をあげる。

「チョッパー、ウソップかがめっ!!」

後ろから聞こえた声に全ての望みをかけ屈む。屈んだ頭のスレスレのところを猛烈な、もう爆風と言っても過言でない風が過ぎていきアニマルゾンビを全て壁にめり込ませていた。

「お前たち大丈夫か?何があったんだ。」

いつの間にかすぐ後ろに現れたピッコロが心配そうに覗きこむ。

「ピッコロさーん。」

チョッパーは感極まり泣きながら飛び付く。

「なんだかわからんが泣くなチョッパー。事情を話せ。」

「うん、実は………

「そうかそんなことが起こっていたのか。お前たちは直ぐに船に戻れ。何故かルフィとフランキーの気が船に向かっている。俺もロビンとゾロを連れて一端戻るそこでこれからのことを話し合うぞ。」

「分かったよ。直ぐに戻ってきてね。」

「ああ。」

チョッパーはウソップを連れて走っていった。

「ロビンとゾロの所に面白そうなやつがいるな。話を聞かせてもらうか。」

ピッコロはそう言うと気弾で壁を破壊しながら飛翔していった。

 


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