「よし、出港だぁ。」
アナゴは無人島での1日をなんとかきりぬけ、昨日作った筏に乗り、自分の居場所探しと、復讐(いやがらせ)をしに人がいる大陸を目指していた。
ついでに言うと、この筏には水しか乗っていない。セル化すると、食べることは必要なくなり、水さえ飲んでいれば生きていけるという、とんでもなく役立つ特性を備えていたからである。
しかし、アナゴは航海をとんでもなく甘く見ていた。
(1日あればどこかにつくだろ)と甘過ぎる考えで筏に乗って飛び出したので、夜になると既に飲み水が尽き始めていた。
そんなこんなで航海を始めて丸1日、
「ああ、喉が乾いた。なんでもいいから飲みたい。ただ雨だけは勘弁してくれ、溺死するぅ。」
アナゴはけっして馬鹿ではない、なんと京都大学を出たという設定まである。しかし、それと航海とは話が違う。アナゴが干からびかけていると、どこからか樽が流れてきた。アナゴは咄嗟に起き上がり、「飲み物がありますように、飲み物がありますように。」と祈るような気持ちで樽を開ける。
運命は無情であった。開けた瞬間なにやら発光弾が飛び出し、空で弾けた。
期待をおもいっきり裏切られたアナゴは、神を怨みながら、眠りにつこうとしたが、
「喉が乾きすぎて眠れんぞぉ。」
ということで起きていた。
しばらく経つと夜にはまだ早い時間であるはずなのに、辺りが暗くなる。
「おいおい、どういうことだよぉ。」
アナゴは周りを見回す。すると驚くべきことに、今まで海しかなかったはずであるのに、目の前に島が迫っていた。
アナゴにとっとは待ちに待っていた大陸であるが、なにか怪しく嫌な感じがする。しかし、このままなにもしなくても干からびて死ぬだけであるので、それよりはましと上陸することにした。
しかし、アナゴにとっては死ぬ方がましと思うことになるとは、つゆとも思っていなかった。―――
「おいおい、暗い上になんて不気味なところなんだぁ。なんか幽霊でもでそ……。」
アナゴは固まった、言霊というのは本当にあるんだなぁと現実逃避しかけながら。
目の前には犬がいる。ただの犬ならよかったのだが、首が3つあり、大きさも体高ですらアナゴの大きさを越えている。
アナゴの頭には3つの選択肢が浮かんでいた。1 逃げる。
2 戦う。
3 ムツゴロ〇さんになる。
原作のルフィならば2と3の会わせ技という人間離れした行動をしたが、アナゴは人間離れした見た目ではあるが、普通の人間である。
つまり、迷うことなく1を選ぶ、ついでに言うと、当然セル化してだ。
「マジかよ。どうなってるんだぁ~。」
「ガウ、ガウ、コン。」
走るセルを追うケルベロス、相当シュールな現場である。
アナゴは恐怖から一匹犬ではないということにも気づかずに、チーターも真っ青な速さで駆け抜けていった。
「はぁ、はぁ、なんとか、巻けたかぁ。えっ……。」
アナゴは目を擦る、しかし現実は変わらない。目の前で人面樹とユニコーンが酒盛りをしていた。
「ぶるぁぁぁ!!」
『ヒィィィ。』
アナゴがあげる悲鳴に、人面樹とユニコーンも驚き逃げていった。
アナゴも走り続ける
「なんなんだぁ、ここは。私はもう死んでいるのか。ここは地獄かぁ。」
アナゴは周りを見回すと最悪の状況である。墓場にいた。
アナゴはもう次はどうなるか普通に予想がついたので、全力で走り抜けた。
後ろから『おい。』という声が聞こえた気がしたが、無視することにした。
「やっとまともなところに出た。」
目の前に洋館が建っている。普通は怪しく思うはずであるが、アナゴはもう普通に考えることができない状態であった。
(事情を話して休ませてもらおう。)
思い立ったが吉日(実際は大凶になりそうだが)ということでアナゴは洋館に入っていくのであった。
「ごめんくださいぃ。誰かいませんかぁ。」
生きている物の気配はしない。洋館に入るとかなり豪華な作りであり、絵画が何枚も掛けてあり、熊の毛皮、豚の剥製などが飾られてある。
アナゴは嫌な汗が止まらない。ホラー映画の主人公になった感じだ。しかも、容易に先が読める。
絵画が揺れ始め、熊の毛皮も動き出す。
「¢β*∴§」――――
「あれ?」
アナゴの周りには先程襲いかかってきた幽霊達が死屍累々と転がっていた。
どうやらアナゴは恐怖が限界を越え、発狂して幽霊達を倒したらしい。
「お前やるではないか。ガルルルル。」
目の前には、虎の顎を持った男が立っていた。