「起きろ、唇。」
「んあ。なんだぁ。クマシーか、昨日は残業でまだ3時間ぐらいしか寝てないんだぁ。今日は有給休暇ってことで頼むわ。」
「そんなもの、ない。」ドガッ
「痛って~。」
――――
「容赦ねえなあ、クマシー隊長はぁ。でなんなんです?」
「アブサロム様、呼んでる。」
「こんな朝早くなんなんだぁ。じゃあ行ってくるよ。」
「ん。」
というやり取りがあり、アナゴはアブサロムのところに行くことになった。
まあ、アナゴにはアブサロムが呼んでいる訳はなんとなく分かっていたが、昨夜の疲れがいまだにとれておらず気分は最悪であった。
「ここの部屋がアブサロムの部屋だったかなぁ?」
アナゴは広い屋敷の中を迷っていたまだ来て約3日屋敷の内部を把握しているはずかなかった。
「……でよ、……したら女の子達が、……めて、もう……なんだよ」
「なんと……ましいヤツだ。オイラも……があったらな。」
「お前の……も魅力的じゃないか。俺も……と……したいよ。」
「フッフッフ、これだけは……の特権だ。」
ふと立ち止まった部屋の中から和気あいあいとした会話が聞こえてくる。
何を話しているかまでは分からないが、昨夜の謎の男とアブサロムが話しているということは分かった。
昨日敵同士であった者達が和気あいあいと話していることは不思議に思われたが、目的地に着いたという安堵の気持ちのほうが勝り、嫌な気分も失せ、軽やかに部屋の中に入っていった。
「ちわ~。アナゴで~す。」
何処かで聞いたことのあるようなフレーズではいる。
「おお、アナゴか、朝早くにすまんな。」
「……、アブサロム様は本当にいい怪人だなあ。」
普段からペローナにドSな対応をされているアナゴにとって、アブサロムのちょっとした気遣いも心にくるものがあった。
「今日来てもらったのは、昨夜お前が捕まえた、こいつのことだ。」
「こいつは主のところに連れていくのではないんですかぁ。」
「ああ、そうなんだが、コイツと話をしてみたらかなり面白いヤツで意気投合してしまってな。仲間にしてくださいと箴言するつもりでな。お前にもそれを言っておこうと思ってな。」
「僕は構いませんが。主は許してくれるでしょうかぁ。」
「まあ、大丈夫だろ、コイツの強さは普通ではない。戦ったお前からも言ってもらえれば。」
「分かりました。」
アナゴは了承した。サラリーマンであるアナゴにとって上司からの頼みには、「YES」と「はい」の二択しかないからである。
ということで、謎の男を連れてゲッコーモリアのところに向かった。
――――
「そういうことか、キシシシシ。」
アナゴが昨夜の戦いについてゲッコーモリアに説明し、アブサロムが続けて仲間にしたいという意見を述べたところであった。
「アブサロムの提案についてどう思う。」
モリアはその場に集まっている、ペローナとホグバックにも尋ねる。
「ホロホロホロホロ、私はどちらでもいいな。コイツは可愛くないし、私は要らないけど。」
「フォースフォスフォスフォス。この男の力はこの体があってのもの、マリオで再現することはできません。ですから仲間入りには賛成です。」
ペローナ、ホグバックはともに仲間入りに賛成ではあっても、反対することはなかった。
「そうか、だがお前には聞きたいことが2、3ある。正直に答えよ。」
「ああいいぜ。」
「お前の名前と、何処から来たのか答えよ。」
「俺の名前はヤムチャ、来たのはお前たちじゃあ分からないと思うが〈西の都〉だ。」
『???』
ヤムチャの答えに一同が疑問符を浮かべる、この世界にも、アナゴの世界にも〈西の都〉というところはないからだ。
「分からないと思うぜ。なんたって異世界なんだからな。」
ヤムチャの放った発言に皆が驚かされた、とんだいかれたヤツとも思われる発言ではあるが、この男ヤムチャはまるで嘘をついているようには思えないほど堂々と自信満々に答えていた。
「まあ、いい。では異世界であるとして、どうやってここへ来た。」
話がおかしな方向へ行きそうであったのでモリアが仕切り直す。
「神龍に〈俺でも無双できて、女の子にモテモテになる世界へ行きたい〉って願ったらここに来ていたんだ。」
『………』
もう一同頭を抱えるしかなかった。
神龍ってなに?願ったってどういうこと?荒唐無稽な話である。
「はあ。もういい。次の質問だ。」
これ以上問い詰めても無駄と判断しモリアは大きな溜め息をつきながら話を進める。
「お前の力についてだ。お前はアナゴとの戦いでレーザーみたいなのを放ったとかいう。レーザーを放てるのは〈ピカピカの実〉の能力者だけだ。そして〈ピカピカの実〉は海軍の大将黄猿が食っていて存在しねえ。どういう能力だ。」
「どう説明するか。簡単に言うと〈気〉を使ったとしか言えないが。」
「気?」
「生き物であれば誰もが持っている物だ。ある程度修行しないと得られない物だがな。まあ見せてやるのが手っ取り早いな。見せてやるから縄を解いてくれ。」
ヤムチャはそういうと縄の結び目をモリアに見せる。
「逃げはしない。仲間になりたいんだし、お前さんには戦ってもいいことは無さそうだ。」
「分かった。解いてやれ。」
モリアが言うのでヤムチャの縄が解かれた。
「あ~あ。スッキリした。じゃあ見せてやるぜ。ハアッ」
ヤムチャが手を壁に向け、掛け声を発すると、手のひらから黄色い閃光と同時に光弾が発せられ、壁に当たると同時に爆発した。壁には見事に穴が開き、回りには粉々になった瓦礫がパラパラと音をたてながら舞い散っていた。
アナゴ以外はその光景を唖然として見ていた。
「これでも抑えたんだぜ。俺の仲間だったらこの星自体を破壊できるしな。」
もう何がなんだか、と一同がカルチャーショックを受けるが、それと同時にモリアは心が踊る思いもあった。これならカイドウも倒せるのではと。
「キシシシシ。いいぞ。だが最後の問だが、これが一番心配なことだ。」
「なんだっていいぜ。」
「お前の力は聞いたことと、実際に見たことでよく分かった。だがなあ、なぜかお前を見ていると、〈噛ませ〉のように感じ、〈噛ませ臭〉がするんだが。俺は簡単に死ぬようなやつは仲間にいれたくはない。」
「……。だ、大丈夫だ。俺は今まで(天津飯に)足おられたり、(人造人間20号に)腹を貫かれたり、(セルJrに)腕おられたり、重症はおったことはあるが、俺は不死身だから死んだことはない。し、死んだらここにもいないしな。それにこんなに強い俺が死ぬはずないだろ。それと〈噛ませ臭〉ってどんな臭いだよ」
少しの間があったあと、堂々とヤムチャは宣言したので、これからの成り行きを見て判断と言うことになった。
「お前については分からないことが多すぎるが、優秀な部下になりそうだということには変わりない。仲間になれヤムチャよ。」
「おう、いいぜ。(今まであっちの世界では戦力外、ゴミクズとまで言われた俺が。俺の力を求められている。ああ、こっちの世界へ来て良かったぜ。なんか嬉しくて昇天しそうだぜ。)」
心の中と発言は全く違うが、こうしてゲッコーモリアの部下として強くて悪い海賊ヤムチャが誕生した。
果たして、ヤムチャはワンピースの世界で活躍し、ヘタレの称号を返上できるのだろうか?