「千冬お姉ちゃん?」
「あぁ私だ、夜分遅く済まないな」
そうすまなそうに言う千冬お姉ちゃんを尻目に、お姉ちゃんの手をぎゅっと握り此方を睨み付ける兎のパジャマを着たラウラ・ボーデヴィッヒさんを見つめる、すると彼女はぶるりと体を震わせ千冬お姉ちゃんの腕にしがみ付く。
「わっ私を食べても美味しくないぞ‼︎」
ふー‼︎と彼女なりの威嚇をしながら言うが……此れは…可愛い過ぎますね
「お姉ちゃん、ラウラ・ボーデヴィッヒさん、取り敢えず部屋の中へ」
「あぁ…済まない一夏」
短い会話をしてから私達三人は部屋に入って行った、勿論ですが私と千冬お姉ちゃんは自分の鼻を抑えて。
「其れで…用事とは何ですか?」
二人に声を掛けながら、千冬お姉ちゃんにはお茶、ラウラ・ボーデヴィッヒさんには果汁100%のオレンジジュースを置く。
「むぅ…子供扱いするな」
「ッ‼︎」
「千冬お姉ちゃん、ティッシュを」
「すまない一夏」
ジトっと此方を見ながらオレンジジュースを美味しそうに飲むラウラ・ボーデヴィッヒさんを千冬お姉ちゃんにティッシュを渡しながらホッコリとしていると、飲み終えたラウラ・ボーデヴィッヒさんが口を開く。
「如何してお前は強いんだ」
「私が強い?」
彼女…ラウラ・ボーデヴィッヒさんがそんな事を言いだしました、其れに対し彼女は肯定し頷く
「あぁ何故お前は織斑教官…織斑お姉ちゃんよりも強いのだ、織斑お姉ちゃんを悲しませたお前が‼︎」
ラウラ・ボーデヴィッヒさんが怒りを露わせ吠えた
「お前の様な人間が織斑お姉ちゃんよりも強い力を持っているのだ⁉︎何故だ!何故貴様等兄妹は織斑お姉ちゃんを苦しませるしか出来ないのだ‼︎」
……確かにラウラ・ボーデヴィッヒさんの言い分は分かる、私や兄は確かに千冬お姉ちゃんに多大な迷惑を掛けています、私は前迄は『織斑の出来損ない』と呼ばれていた弱者であり、弱者であるが故に兄に辱められ…誘拐犯に殺害されました。
兄は『天才』と言う立場に甘え虫の如く甘い蜜を啜り、弱者であった私を辱めた、万年発情強姦魔です。
そんな兄妹が千冬お姉ちゃんを苦しめていないかと言えば其れはやはり否としか言えない、故にラウラ・ボーデヴィッヒさんの言葉を否定出来ない。
然しです…其処に私の強さが関われば話は別です。
「ラウラ・ボーデヴィッヒさん、確かに私や兄は千冬お姉ちゃんに多大な迷惑を掛けているのは承知しています」
「一夏ッ!」
「ですが……ですが私が強いと言う理由と此れとは話が別です、私自身強くなったのは千冬お姉ちゃんの為では有りません、私が生きる為に強くなったのですよ。」
そう…あの世界では力が無ければただ淘汰されてしまう様な世界に居たから私は強くなったのです。
「強く無ければ、唯の弱者ではあの世界では生きてはいけないから師を見つけ教えを乞いそして、強くなった迄です。」
「………」
唖然とし沈黙するラウラ・ボーデヴィッヒさん、時間が幾ばくか過ぎラウラ・ボーデヴィッヒさんが再び口を開く
「何故そんなにも強いのだ」
「其れは先程答えた筈ですが?」
「違う力では無く心、精神の事だ…お前が居た場所はそんなにも過酷な場所だったのなら、何故心が折れなかったのだ?」
「二度と弱者になりたくなかったからですよ」
「ッ⁉︎」
ラウラ・ボーデヴィッヒさんが息を呑む、まるで其れは似た境遇の人を見つけた様な
「そうか……そうだな…弱者にはなりたくないな…」
「えぇ二度と御免ですよ」
「……織斑一夏、私はお前の事を見間違った様だ…織斑春彦を見た後だった所為からか、お前も春彦の様な自身の才能に胡座をかく様な人物だと勝手に思って居た…済まなかった。」
その場で頭を下げるラウラ・ボーデヴィッヒさんを制する
「この程度で頭など下げないでください」
「然し!」
「まだ唯の口論程度です…いきなり殺し合いにならなかっただけマシです。」
この言葉は偽り等なく、本当の事です…その所為か何度死に掛けたか。
「ッ…そうか、では織斑一夏夜分遅くに押し掛け済まない…そろそろ私は部屋に戻ろう。」
すくっとラウラ・ボーデヴィッヒさんが立ち上がり其の儘ドア迄行き、私に背を向きながら語りかける。
「明日の放課後、織斑春彦を襲撃をする」
「そうですか」
「あぁ…其れではまたな織斑一夏」
そう言った後、部屋から出て行ったラウラ・ボーデヴィッヒさん
「さて…私も部屋に戻ろうかな」
そう言いながらドンっと何処からともなく日本酒を取り出し床に置く
とても帰ろうとする態度では有りません
「はぁ……その日本酒何処から出したのですか…」
「まぁそんな細かい事は気にするな…今日は付き合え一夏」
ズイッと猪口を渡され、渋々受け取る
「一応聞いておくが酒は飲んだ事はあるよな?」
「はい…まぁ何度かは」
あの世界に居た時はお師匠様と一緒に偉い方達に付き合い、何度かお酒は飲みました。
その問いに嬉しそうにする千冬お姉ちゃんに呆れますが…まぁ悪くはないですね。
「言っときますが飲み過ぎは駄目ですからね?」
「あぁ分かってるさ」
其れから…何杯か二人でお酒を飲んだ後、千冬お姉ちゃんは自室に戻って行きました。