夏休みが半分終わってしまいました☆
………
何てこったいもう半分すぎたのかよ!
時間が経つのは速いですね〜
俺は毛利討伐を任され、今頃中国地方で毛利軍を蹴散らしている……
はずだった。
しかし今俺は北陸の上杉討伐軍として北陸にいる。
俺は毛利攻めの足がかりとして播磨(今の兵庫県南西部)の豪族たちを織田家の味方になるよう調略していた。
そして小寺官兵衛(後の黒田官兵衛)などが織田軍の味方になりこれからもっともっと播磨の豪族を味方につけようと羽柴家一同張り切っていたところだった。
しかし信長様が急に我が羽柴軍に上杉討伐軍に合流するよう命じたのでしぶしぶ北陸までやってきたのだった。
上杉家当主、上杉謙信が織田領の七尾城に攻めてきたので織田家の武将全員で迎え撃とうというのだ。
越後の龍と呼ばれる上杉謙信には織田家の武将全員でかからねば勝てないというのであろう。
上杉謙信は自ら毘沙門天(北方の守護神)の化身と称し、戦勝率なんと97パーセント!
播磨担当の羽柴軍も動員しないと勝てない敵なのかもしれない。
とはいうものの播磨だって今重要な時なのだ。
仲間になった豪族たちもいつ毛利に寝返るか分からない。
ぐずぐずしていると毛利に播磨が取られてしまう。
むむむむ………なんとか播磨に戻らしてもらえないだろうか。
「殿、軍議の時間です。」
「おう、分かった、すぐ行く。」
軍議か………。
俺は織田家の中では嫌われてるから俺の意見なんか誰も聞いてくれないだろうよ。
〜軍議の席〜
「わしはこのまま一気に上杉軍を攻め入ろうと思う。」
総大将の柴田勝家様はそう言った。
一気に攻め入る………。
ちょっと待て、相手はあの上杉謙信だぞ!
勝率97パーセントの上杉謙信だぞ!
あの武田信玄と互角に戦った上杉謙信だぞ!
いくら織田軍総動員したとはいえ上杉謙信にまっすぐ突っ込むなんてあまりにも無謀だ。
「お待ちください。」
俺はそう言って手を挙げた。
「どうした、羽柴殿。」
柴田様は不機嫌そうに俺を見つめた。
「相手を甘く見てはなりません。もっと慎重に事を進めるべきです。」
「何を言うか!我々は織田軍の精鋭だ!それに指揮は鬼柴田と恐れられるこの柴田勝家がとるのだ!謙信なぞ恐るるに足らん!」
「しかし………」
「おぬしいつからわしと対等に話せるようになったのだ!わしは織田家筆頭家老柴田勝家だぞ!わしがこうと言ったらこうなのだ!」
「いやここは軍議の席ですから意見を言ってもいい………」
「黙れ!百姓の子供の分際で生意気な!口を慎め猿め!」
「まあまあそう怒るな柴田殿。少し言い過ぎじゃ。」
丹羽長秀様が止めに入った。
「羽柴殿、柴田殿は上杉攻めの総大将。ここは柴田殿に任せてみようではないか。」
「むむむむ………」
軍議が終わった。
勝家様は本気で上杉に突っ込むらしい。
はっきり言って兵を無駄死にさせるだけだ。
俺にはやる事が沢山あるのにここで兵を失いたくない。
それに柴田様は俺の事を侮辱した。
俺の事を侍と認めていないのだ。
………
長浜に帰ろう。
そして一刻も早く播磨に行くんだ。
俺の居場所はここではない……。
「引き揚げだ!」
羽柴軍は柴田様の陣を後にした。
しかしこれは重大な命令違反だ。
信長様の命令で北陸に言ったのに信長様に無断で帰って来たのだから。
俺はおそらく信長様に呼び出され、怒られるだろう。
もしかしたら打ち首になるかもしれない。
しかし播磨が取られたら織田家にとって大きな損失だ。
毛利は、京都を追われた将軍足利義昭や本願寺と手を組み、いろいろ企んでいる。
上杉だけが織田家の敵じゃないのだ。
今回の事は信長様が勝手に羽柴軍を北陸に行かせたのだ。
現場の状況を無視した命令だ。
信長様は家来の助言や意見を聞かない。
全部一人で決める。
信長様だって短所もある。
信長様の命令が完璧な訳じゃない。
それを補うのが我々家来の役目だ。
信長様にも我々家来の意見を聞いてほしい。
案の定、俺は信長様に呼び出された。
用はわかっている。
勝手に北陸から撤退した事を咎めるのだろう。
俺は罪を咎められる為に信長様のところへ行く。
俺は一生懸命信長様に訴えるつもりだ。
敵は上杉だけじゃない事。
播磨を取られる事がどれだけ織田家にとってどれだけ大変か、という事。
信長様に家来の意見を聞いてほしい、という事。
「羽柴筑前守(秀吉の役職)秀吉でござる。」
「おう、入れ、」
信長様の重く、低い声が聞こえた。
部屋に入るといきなり信長様が般若のような形相で叫んできた。
「猿!貴様わしの命令に逆らい勝手に帰ってきおって!」
「………」
「神にも等しいわしの命令に逆らうとは良い度胸だ、叩っ斬ってやる!」
信長様の声は、屋敷をガラガラを崩すような、それほどの勢いであった。普通に喋っていても信長様の声はとんでもないのに怒るともっと恐ろしい。
「貴様首を出せ‼︎」
「お待ちください、信長様、私の話を聞いてください。」
うるさい程心臓が動く。
果たして信長様が俺の話を聞いてくれるだろうか。
「何か死ぬ前に言いたい事でもあるのか?聞いてやる、申してみよ。」
どうやら俺の話を聞いてくれるらしい。しかし俺の意見が通るかどうか……。
「信長様、我々羽柴軍を播磨に戻してください。」
「………何⁉︎………貴様わしの命令に逆らうだけでは飽き足らずまだわがままを言うか!!」
「違うのです、今播磨の豪族たちは織田につくか毛利につくか迷っています。今播磨を空にすると、ここぞとばかりに毛利が豪族たちを調略するでしょう。そうすると豪族たちは皆毛利の味方についてしまいます‼︎播磨が取られてからでは遅いのです‼︎
この際我が羽柴軍でなくても構いません。上杉だけでなく毛利にも軍を派遣してください。」
俺は、額を畳にこすりつけた。
「………猿、貴様わしが上杉討伐の兵として播磨担当の軍を北陸にやったのは間違いだったと言うのか?」
信長様の顔はどんどん険しくなって行く。
「信長様といえども間違いはあります。それを補うのが我々家来の………」
言い終わらぬ内に信長様が叫んだ。
「貴様、全知全能の神であるこのわしが間違えただと!!
お前たちはただわしの命令に従って動いているだけではないか!!
思い上がったことを言うな!!」
すごい気迫、殴られないのが不思議なくらいだ。
手には滝のように汗が流れる。喉が渇き、吐き気がする。
しかし、ここで押されてはいけない。
「信長様、誰にでも間違いはあります。全知全能な存在などないのです。
火の神に水の事を頼めるでしょうか、山の神に海の事を祈れるでしょうか。
神様だって失敗はします。だからいろいろな神々がそれぞれ補い合って世を統治しているのです。」
「………」
信長様が始めて黙った。
「我々家来は道具ではありません。信長様を支え、補う為の存在です。我々の意見も少しは聞いていただければ………」
信長様がすっかり黙りこくってしまった。
少し言い過ぎたか………。
「羽柴筑前守。」
信長様が改まって俺の名を呼んだ。
何て言ってくるか………。
「おぬしの願い聞き届けようぞ、おぬしへの罰は謹慎で許してやる。謹慎の期間が終わったらすぐに播磨へ行け!」
「は………ははっ!」
信長様………分かってくれたのだろう。
信長様の部屋を後にした後、俺は喜びと達成感で満ち溢れていた。
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(いつも同じような後書きだがネタがない訳ではない《ウソ》)