人が多くてもう大変!友達ともはぐれちゃいました………
自分の学校で迷子になるとは!
「むむむむ………。」
俺は悩んでいた。
「どうした兄者。」
小一郎が不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込んだ。
「やっと無事に明智光秀を討ち、ひと段落したというのにまたなんかあったのか。」
「いやな、今度清洲(愛知県清須市)で今後の織田家について織田家重臣が集まって会議をすることになったんだが………。」
「うむ………」
「誰を織田家の当主にするべきか………。」
今、織田家は信長様も、その嫡男信忠様も討たれ、織田家の当主は空席だ。
候補としてあがったのは信長様の次男信雄様と同じく信長様の三男信孝様だ。
順番からいけば次男の信雄様だが、織田家筆頭家老の柴田勝家殿は三男の信孝様を推している。
信孝様が織田家の当主になれば柴田勝家殿にとって都合がいいからだ。
信孝様は柴田勝家を信頼しているからである。
柴田勝家殿の下心が丸見えだ。
それに信孝様は此度の明智光秀との戦の首領(名目上の)だったのだ。
片や信雄様は真偽はどうか確かではないが信長様が心血注いで築いた安土城を燃やしたという話もある。
「ならば信孝様を織田家の当主にすれば良いではないか。」
「しかしなぁそうすると信雄様がどういうか………。」
皆が納得するように決めねばならない。
そうしないと信雄様を支持する人間と、信孝様を支持する人間に分かれて織田家が分裂しかねないのだ。
明智光秀を討ってまだ日も浅く、織田家が分裂するのはまずい。
俺は織田家の中でも嫌われているから真っ先にやられてしまう。
それに他の大名に個々で撃破され、織田家や我々織田家家臣が滅亡するかもしれないのだ。
(それにあまり大きい声では言えないが、俺は信長様の意志を継いで天下を取ろうとしているのに邪魔が入ると………)←下心
う〜む………難しい問題だ。
「信長様の嫡男も死んでしまったのか………じゃあ嫡男の嫡男、つまり信長様の孫なら誰も文句言わないんじゃないか。」
小一郎はそう提案した。
「それだ!!!」
そうだ。
当主が死んだらその嫡男が家を継ぐのは当然。
信忠様が亡くなったのならその嫡男が継げばいいんだ。
「しかし………。」
黒田官兵衛が口を挟んだ。
「秀吉様の意見がすんなり通るかどうか………。」
そうだ。
織田家の重臣四人で決めるのだ。
多数決で決めねばならないが、さっきも言ったとおり四人のなかの一人、柴田勝家殿は信孝様を推している。
その他の重臣は丹羽長秀殿と滝川一益殿だが、丹羽長秀殿はともかくとして滝川一益殿は俺のことを嫌っている。
滝川一益殿は柴田勝家殿の意見に賛成するだろう。
丹羽長秀殿も説得すれば俺の味方になってくれるだろうが逆に言えば説得されればあっちの味方になりうるということだ。
むむむむ………。
「まぁゆっくりと状況を見よう。」
その情報はある日突然やってきた。
「伝令!滝川一益殿、北条の軍勢と戦い、大敗したとのこと!」
「何!?それはまことか?」
「御意!」
伝令はそう言うと足早に陣を去った。
滝川一益殿は俺と同じように信長様に命じられ、織田家に敵対する大名(相模《今の神奈川県》の北条家)と戦っていた。
おそらく清洲での会議に出席しようとしてこちらに向かっていた途中で北条に追撃されたのだろう。
「滝川一益殿を重臣から外す理由ができましたな。」
黒田官兵衛がニヤリと笑い、囁いた。
「うむ………滝川殿には悪いが天下の為、我慢してもらおう。」
とりあえずまず滝川殿の代理を探さねばならない。
誰が良いか………。
誰か重臣になりうるだけの地位と領地を持っていて、俺の意見に賛成してくれる人………。
………
………
駄目だ。
皆俺のことを嫌っている連中ばかりだ。
さあてどうするかな………。
………(ポク)
………(ポク)
………(ポク)
!!!!(チーン)
いた!
地位もあって、俺のことをそこまで嫌ってない奴がいた!
信長様の乳母の実子で幼少の頃から信長様に仕えてきた池田恒興殿である。
彼は一時は俺と軒を並べて暮らした友でもある。
きっと俺の味方になってくれるだろう。
〜清洲城〜
「さて、皆の衆に集まってもらったのは他でもない。」
重臣筆頭の柴田勝家殿がおもむろに口を開き、俺と丹羽長秀殿と池田恒興殿に語りかけた。
「信長様亡き後の織田家をどうするか、を審議するのである。
そこでまず織田家の次の当主を決めたいと思う。」
そして柴田勝家殿は当然のごとく信孝様を推してきた。
「思うに信孝様は聡明で天下の覇者たる織田家の当主にふさわしい器であって………。」
と、なんか言っているが結局、自分が織田家の中での権力を握りたいのだ。
柴田殿はこの四人の中で唯一明智光秀との戦に参加していない。
滝川殿と同様で信長様の命令で、越後(今の新潟県)の上杉家と戦っていて、光秀謀反の際、光秀を討とうとしたが俺のようにはうまくいかなかったらしい。
そのコンプレックスからか柴田殿は自分の筆頭家老としての地位の保全に必死なのだ。
「お待ちください、柴田殿。」
俺は柴田殿の話を遮った。
「いかがされた、羽柴殿。」
柴田殿は少しイラついた様子で聞き返してきた。
「普通家督というのは嫡男が継ぐもの。信長様の三男である信孝様が家督を継ぐのは筋違いではあるまいか。」
「しかし信長様の嫡男、信忠様は明智光秀に討たれ………」
「では信忠様の嫡男である三法師様が家督を継ぐべきではあるまいか。」
「黙れ秀吉!三法師様はまだ三つ。天下の覇者たる織田家の当主が務まるわけなかろう!まさかおぬし子供を手なづけて天下を取るつもりだな!」
ギク………!!!
「まぁそう言うな柴田殿、信孝様が家督を継いだら信雄様がなんと言うか分からん。今、織田家は大変な時期。織田家が分裂するようなことがあってはならん!」
丹羽長秀殿が助け船を出してくれた。
「私は羽柴殿の意見に賛成する!」
池田恒興殿が叫んだ。
「私もだ。」
続いて丹羽長秀殿も叫んだ。
「むむむむ………。」
柴田殿は難しい顔をしている。
「三対一、織田家の当主は信長様の孫、三法師様に決定でござる。」
その後、織田家の旧領の配分も決めた。
俺は播磨、山城、丹波(今の京都府中部と兵庫県北東部)の領有が許され、明智光秀の組下大名を家来にすることも許された。
丹羽長秀殿には旧領若狭(今の福井県西部)と近江の湖西の志賀、高島の二郡を渡し、池田恒興殿には西摂津を渡した。
逆に柴田殿には俺が元々いた、長浜の城を渡した。
会議で決めたことはそれだけではなかった。
「何?!信長様の妹君、お市の方が柴田殿の嫁になった!?」
「ああ、兄者、何をそんなに驚くことがある?」
「い、いや………」
ああお市の方がなぁ………
ずっと好きだっ………なんでもない。(詳しくは第八話)
まぁそんなことはどうでもいいがこうなると柴田殿は信長様の義理の弟になる。
俺の天下取りの為には柴田殿は倒さなければならなくなるやもしれん。
「いずれは柴田殿とは戦わなくてはならんな………。」
俺がそう呟くと横で官兵衛が
「そろそろ織田家を乗っ取る時期ですかな………。」
と言った。
「ひ、人聞きの悪いこと言うな!信長様の意志を継ぐのだ。」
「平たく言えば織田家を乗っ取る、でしょう。」
「………」
官兵衛はたまに怖いことを言うな………。
今まさに柴田勝家と羽柴秀吉の熾烈な戦いが始まる。
秋っていいですね!
サンマ美味しいですから。
魚食べると頭良くなるらしいですよ。
(それなのにこの成績はいったい………なんでもありません)