書くのすごく大変でした。
(まだ慣れてないもんで………)
とにかく読んでみてください!!
さて、信長様に使えることになった俺。
まずは小者(雑用)として信長様に使えた。
「出かけるぞ!」
信長様の声。
信長様はいつものように大名らしくないだらしない姿をしている。しかしその格好や口調とは裏腹に、その目には何か悲しげなものが宿っていた。
俺は信長様の草履を雪の上に並べた。今日はいつになく寒かった。
信長様は草履に足を入れると、俺の方に向かってきてその足で俺を蹴った。
ドカッ‼︎
俺は思わず後ずさりした。
「猿!!貴様、予の草履を尻にひいていたな!?」
いつの間にか呼び名が猿になっている。
(確かに俺は猿と呼ばれていたが信長様にはそのことはいっていない。そんなに猿に似ているのか………)
おっとそんなくだらないこと考えている場合ではない。
信長様のその寂しげな目に、怒りの炎がともっている。
「草履がぬくい‼︎この草履のぬくさは貴様が尻にひいていたとしか思えん‼︎」
俺は必死に弁明した。
「め、滅相もございません‼︎外は寒いので殿の足が冷えないよう草履を懐ろで温めていたのです。」
そう言うと、信長様は少し考えたようなそぶりをした後、馬に乗ってどこかへ行ってしまった。
信長様は自分の感情をなかなか人に表現しない人だ。だからこの事が信長様にどう受け取られたか分からなかったが、俺はとにかく自分なりに信長様の役に立ちたかったのだ。
しかし、この事があってから、俺はよく信長様に呼び出されるようになった。どうやら、信長様は俺の事を気に入ってくれたらしい。
それからというもの、俺はいろいろなことをした。
俺は、信長様が自分の事を買ってくれていて、必要とされていると思うと嬉しくて、夢中になって働いた。村の嫌われ者のままであったら、まずこんなことはなかったと思う。
まず薪奉行(薪を集めたり配ったりする役職)。
この時織田家では皆、薪を無駄使いするもんだから薪代がかかってしょうがなかった。俺はその薪代を三分の一にするといって引き受けたのだ。
具体的に何をしたかというと薪を商人から買うのではなく領内の枯れ木を薪にしたり小者達に節約を呼びかけたりした。
皆にはケチ、と言われたが、見事に薪代は三分の一になった。
清洲城の石垣の修理が行われた時には普請奉行(土木建築を管理する役職)を担当した。
俺が普請奉行をやる前は大雨のせいもあってか約一ヶ月間石垣が崩れたままであった。
当然信長様はとても怒っていた。いつまでも城が崩れたままだと、敵の来襲があった時に防げないからである。
俺はその修理を半月でやれ!、と言われたのだ。
普通の人間ならそんなこと言われたらおじけずくだろう。
前の普請奉行が一ヶ月かけてもできなかったことを、半月で、しかも築城の経験など全くない小者上がりの男がやるだなんて………。
しかし俺はおじけずきはしなかった。恐怖や不安よりも、子供の頃からの夢であった武家奉公ができる、自分が必要とされている、という前向きな気持ちの方が強かった。だいたい俺自身がやらせてください、といったのだから。
俺はまず修理するところをいくつかに分けた。そして一区間に一組、と作業を分担させ、一番速くできた組にはより多くの褒美をやることにした。皆、褒美が欲しいもんだから、夜まで仕事をして、結果的に予定より速く修理が済んだのである。
俺は美濃(岐阜県南部)攻めの時も活躍した。
信長様は当時たくさんの大名がいて分裂していた尾張を統一すると、次は美濃へと侵攻した。敵は美濃の国主、斎藤龍興だ。
龍興の居城、稲葉山城(後の岐阜城)は金華山という山の頂上に建ち、山の麓には長良川が流れ、まさに難攻不落の城だった。信長様は何度も攻め込んだが織田軍はいつも撃退されていた。
そこでまずは美濃に織田軍の拠点をつくることにした。織田軍は美濃の墨俣というところに城を構えようとし、柴田勝家様(織田家の重臣)や佐久間信盛様(織田家の重臣)などが墨俣に出陣したが、いずれも撃退されていた。
しかし、墨俣には、なんとしてでも城が欲しかった。
ここで俺の出番だ。俺は信長様に願い出て、墨俣築城という織田家にとって大変重要な戦略を行うことになったのだ。
まず俺は尾張と美濃の国境の地侍を味方につけることにした。地侍というのはその土地に元々いる侍で織田にも斎藤にも味方しない者どもである。
俺はその地侍の中で蜂須賀小六という者に目をつけた。蜂須賀小六率いる軍団は地侍の中でも土木工事が得意な連中で、今回のことにはぴったりな人間である。
「我々蜂須賀党は織田にも斎藤にもくみせず今までやってきた。それを今更織田に味方などはできませぬな。」
俺は蜂須賀小六を味方につけるべく説得をしていた。しかし、小六はなかなか首を縦に振らない。
「そもそも、我々蜂須賀党を味方につけて何をさせるつもりなのじゃ?」
小六はものすごい貫禄で俺を圧倒する。
しかし、ここで負ける訳にはいかない。
「……城をつくろうと思いまして……」
「城?」
「はい‼︎それも……一夜で‼︎」
「一夜ぁ?はっはっは‼︎」
小六はその大柄な体を揺らして大笑いする。
「おぬし本当に言っているのか?城が一夜でできる訳なかろう‼︎夢の見過ぎじゃ‼︎はっはっは‼︎」
「夢は見ねば叶いませぬ‼︎」
俺は笑い声に負けないように叫んだ。
「城は早くつくらねば斎藤方に気づかれて撃退されまする。それゆえ皆墨俣に城をつくることは夢のまた夢だと諦めています。しかしそれがしはその夢をあなたと共に叶えたいのです‼︎」
「笑止‼︎そんなできもしないことの為に我々蜂須賀党は動けぬ‼︎」
小六の目は、さっきとは打って変わって真面目になった。
「……お帰り願おう。」
「……」
しばし、静かな時間が流れた。
しかし、俺は諦める気はなかった。
「それがしはもともと貧しい農民の子でした。幼い頃から侍になるという夢を見、皆に馬鹿にされてきました。
武家奉公するようになっても、最初に奉公したところからは追い出され、なかなかうまくはいきませんでした。諦めかけたこともありました。」
「……」
「しかしそれがしは夢を捨てずに走り続けた。だから今、普通の百姓では到底できない築城という大きな仕事を仰せつかるようになった‼︎これからも夢を見る‼︎絶対に諦めなければ道は開ける‼︎そう思っています‼︎」
「……」
「小六殿……確かに一夜での築城は夢かもしれませぬ。しかし、この猿めを信じて協力してくれませぬか……」
「……」
「それがし、できもしない夢を叶えるのが得意な性分でござる‼︎」
俺は小六の手を握り、ニコリと笑った。
「……分かり申した。……その夢、小六も叶えとうござる‼︎」
「小六殿……‼︎」
「はっはっは‼︎早速築城に取り掛かりましょうぞ‼︎」
こうして、猿と蜂須賀党による築城が開始された。
とにかく、この仕事は速くやらなければならない。ぐずぐずしてると斎藤軍にやられちまう。しかし城さえできれば応戦できるのだ。
「城を一夜で立てて見せましょう‼︎」
俺は信長様にそう宣言したのだ。他の織田家中の二の舞だけは避けなければならない。
まず、蜂須賀小六とその家来を使い、木曽川の上流の山から木材を切り出した。川に流して、木材を組み立てながら城を建てるところに運び、墨俣でいっきにかたちにする。これなら速く城を築くことができる。
「急ぐんだ‼︎城さえできればなんとかなる‼︎とにかく急げ‼︎」
数日後、見事墨俣の城は完成した。そのあまりのスピードに、斎藤軍は撃退することもできず、それを契機に織田家への裏切り者も出る始末となった。
この城こそが、後の世の人々が、「墨俣一夜城」と讃える城である。
そしてこの城を基地にして見事、織田軍は稲葉山城を落としたのだった。
信長様は本拠地を稲葉山城(この時、岐阜城と改名)に移し、天下統一に向けて突き進んで行くのだった。
ふう………
楽しんでいただけたでしょうか?
次話お楽しみに!!