豊臣秀吉 「日本史上最も優れた天下人」   作:藤種沟

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こんにちは、手羽先ちゃんで〜す。
皆さん、夏バテしてませんか?
クーラー効いた部屋で小説読んで暑さを吹き飛ばしましょう!


秀吉、城持ち大名に

さて小谷城に到着した俺は信長様に小谷城攻めを任された。

 

俺はまず小谷城の京極丸というところを攻め、奪い取った。

 

小谷城には浅井長政とその父、浅井久政が立て籠もっている。

 

京極丸は長政の立て籠もる本丸と久政の立て籠もる小丸の中間にあるから京極丸を占領すれば二人の間で連絡が取れなくなる。そうすれば浅井軍の士気は下がるはずだ。

 

その上で俺は小丸に攻め入りこれも占領。

久政は切腹した。

 

「今回は張り切ってらっしゃいますなぁ。」

 

蜂須賀小六と竹中半兵衛は俺の活躍がまるで嘘のようだ、というようなびっくりした顔をしている。

 

「俺が活躍してそんなにおかしいか?」

 

俺はちょっとムッとした。

 

ちょっと場の雰囲気が重くなってしまった時、弟の小一郎がやってきた。

 

「兄者、信長様から手紙だ。」

 

「おう。」

 

俺は乱暴に手紙を掴み取って読んだ。

 

「何っ!!!」

 

俺の不機嫌な顔はたちまち明るくなり、俺は跳び上がった。

 

「小一郎殿、秀吉様はいったいどうしたのだ?」

 

「さあ………ただ浅井長政に嫁いだ信長様の妹、お市の方を小谷城が落城する前に救い出せ、という命令がきただけなのに………」

 

皆がひそひそとなんか言っているのをよそに俺は安心感に浸っていた。

お市様が………これでやっと心置きなく小谷城を攻められる………。

 

「分かった!」

 

小一郎がいきなり叫んだ。

 

「ひょっとして兄者、お市様に………」

 

「惚れてなんかないからね!」

 

俺は無意識のうちに叫んだ。

 

「いや、その、そんなこと、ないからね。」

 

俺は必死に弁明する。

 

「………」

 

沈黙………

おそらく冗談のつもりで言ったのだろう。

からかった張本人の小一郎が一番驚いている。

 

「………」

 

「何をぐずぐずしておる、半兵衛!速くお市様を助ける準備をせんか!」

 

「あ、はい!」

 

さすがの半兵衛も動揺しているようだ。

くそ〜小一郎め、余計なこと言いおって!

 

その後お市様とその娘三人は小谷城から救出された。

 

今回の手柄でお市様と結婚できないかな………何でもない。

 

その後信長様自ら小谷城に入り、ついに浅井長政も自刃。

 

長政の長男は殺され、ここに浅井家は滅びた。

 

 

 

 

 

俺は浅井の旧領をもらうにあたって名字を変えることにした。

 

新しい名前は「羽柴秀吉」。

 

信長様の重臣の丹羽長秀様と柴田勝家様から一文字ずつもらい、「羽柴」。

 

非常に器用でどんな任務でも引き受け、「米五郎左」の異名を持つ丹羽長秀様と、ひとたび戦場に現れたら敵が恐れおののいて逃げ出す程凄まじい働きをして「鬼柴田」と異名をとる柴田勝家様………

 

俺もいつかこの二人のような名将になりたいと思い、このような名字にしたのだが、丹羽長秀様はともかく柴田勝家様はとても迷惑そうな顔をしていた。

 

俺は柴田様だけでなく織田家の武将皆に嫌われているらしい。

 

どこの馬の骨か分からん水呑み百姓の子の分際で信長様に取り入り、いつの間にか浅井の旧領約十二万石(一石は一人の人間が一年間食べる米を収穫できるだけの土地)の領主になっている。

信長様に古くから使える重臣達は面白くないに違いない。

俺が頑張って織田家に尽くし、手柄を立てるほどどんどん俺は嫌われていく。

 

俺に好意を持っているのは上司だと丹羽長秀様、同僚では前田利家、池田恒興くらいのものである。

 

ま、そんなことはともかく、俺はついに城持ち大名となったのだ。

 

早速、今日から俺の城となる小谷城に入った。

 

と簡単に言うが小谷城は険しい山の上にあるから本丸に行くにも大変だ………。

 

「ふう………やっと山頂に着いた………」

 

「しかし城が山の上にあるというのも疲れるなぁ。」

 

俺も俺の家来も皆疲れてしまった。

 

「こんな山の上に城があっちゃ不便だなぁ。」

 

さすが今まで俺たちをさんざん苦しめてきた難攻不落の名城である。守るにはこれほど素晴らしい城はないが、普段使うにはあまりにも不便すぎる。

 

「近江の中心、琵琶湖からも遠いし………。」

 

………

 

「琵琶湖のほとりで山道を歩かなくて済む城を築きましょう。」

 

小一郎も半兵衛も小六もぜひそうしよう、という目をしている。

 

そして琵琶湖のほとりにある今浜というところに城と城下町をつくることにした。

 

 

 

 

翌年の正月は愉快だった。

 

織田家の武将や近隣諸国の大名が信長様の居城、岐阜城にやってきて宴が開かれた。

信長包囲網も事実上崩壊し、信長様の天下が近づいたのだ。去年までのように、今度は浅井、次は朝倉、足利義昭、というような忙しい日々は終わったのだ。

 

普段はあまり笑顔を見せない信長様も、今日はニコニコしている。

 

 

 

しかしその愉快な一時も一瞬で終わった。

 

信長様は皆に見せたいものがあると言った。

 

さあ何が始まるかとわくわくして待っていた。

 

「待ってました‼︎」

 

「やんややんや……」

 

 

しかし、そこには俺たちの予想だにしないものが出てきたのだ。

 

朝倉義景、浅井長政、その父浅井久政の頭蓋骨を漆塗りにして金粉をかけた、いわゆる薄濃がそこにでてきた。

 

しかもそれに酒を注ぎ、皆で飲めというのである。

 

皆、信長様の前だから顔だけは笑っていたものの心底喜んでいるものは一人もいなかった。

 

俺も飲んだ。

 

吐きそうになったが信長様の手前、そんなことはできない。

 

「信長様の執念は凄まじい。」

 

今浜に帰った俺はそう呟いた。

 

そして浅井の旧領である俺の領地をしっかり守らなければならない、とも思った。

 

じき民衆にこの宴のことが噂になるだろう。

 

そうすると民衆は信長様を怖い殿様、と思い、一揆を起こすかもしれない。

 

信長包囲網が崩壊したとはいえまだ石山本願寺は健在なのだ。

 

 

現に元朝倉領の越前では一揆が起こり、一揆勢が越前を支配してしまったそうだ。

 

さらに武田信玄の子、武田勝頼が徳川家康殿の領地である高天神城に攻め入り、それを奪い取ったという報せが届いた。

 

こういう時が一番つけこまれやすい。

俺の領内では一揆が起こらないよう気をつけねば。

 

俺は、そうでも思わないと、これから健全に働けないような気がしたのだ。

 

 

 

 

 

しかし信長様はやられてばっかりではない。

 

伊勢長島の一向一揆を討伐する為、出馬。

 

この伊勢長島の一向一揆は昔、信長様の弟、信興を自害に追い込んだもんだから信長様は彼らを恨んでいたが、忙しくて討伐できなかった。

しかし、今度こそはと張り切って信長様は諸方面から一揆勢に攻めかかった。

この時、我が羽柴軍からは小一郎を出陣させた。

小一郎は先陣を務め、相応の働きをして帰ってきた。

 

小一郎が言うには信長様は赦免を願い出た敵を許さず、兵糧攻めにして年来の鬱憤を晴らし、敵の城から抜け出して逃げようとする一揆勢を容赦なく切り捨てたという。

三か月ほどの籠城で、一揆勢は半数以上の者が餓死したという。

一揆勢は降参したが、城から退去する一揆勢を鉄砲で狙撃、あるいは切り捨てたという。

 

他の一揆勢の城は四方から火をつけて立て籠もる一揆勢ごと焼き払ったという。

 

「いつもの事ですが信長様は自分に逆らった人間には容赦ないですな。」

 

小一郎の話を聞いた俺の家来どもは口々にそう呟いた。

 

 

 

しかしその一方、信長様は領国内の道を舗装し、関所を撤廃して、領民の交通や物資の流通は楽になったという。

 

民衆は皆、信長様の治世を喜んでいるという。

 

信長様は優しい殿様なのか怖い殿様なのか未だによく分からない。

 

彼は、一体何を目的として天下を望んでいるのか。

 

俺には、それがよく分からなかった。

 

 

 

 

しかし次の敵はそう簡単には倒せないだろう。

 

信長様の次の標的は父、信玄から戦国最強と謳われた武田騎馬軍団を受け継いだ、武田家第十八代当主武田勝頼だ。

 

今、徳川領を次々と攻略し、三河の長篠(今の新城市)までやってきた。

 

これに対し信長様は徳川殿を救う為、岐阜城を出陣。

 

今、織田と武田の一大決戦が始まろうとしていた。




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次話お楽しみに〜(^v^)
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