豊臣秀吉 「日本史上最も優れた天下人」   作:藤種沟

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八月入りましたね。
ゲリラ豪雨が毎日のようにやってきます。

洗濯物を干す主婦の敵ですよね………(〒*〒)

くじけず皆で頑張りましょう!


地上の神、織田信長

武田軍は三河の長篠城を包囲。

織田徳川連合軍は長篠城を救う為、設楽原に陣を構えた。

 

俺も長篠へ行き、合戦に参加した。

 

織田軍は陣に堀、柵、土塁を設けて、強固な陣地をつくっていた。

 

信長様いわくこの柵や堀は武田の騎馬隊の攻撃を防ぐ為のものだそうだ。

 

武田軍約一万五千人、織田徳川連合軍約三万人。

織田徳川連合軍は武田軍の二倍だが相手はあの武田の騎馬隊。

 

要はそれだけの兵がいないと倒せない敵なのだ。

 

並の相手とは違う。

 

 

 

 

合戦が始まった。

 

迫り来る武田の騎馬隊に織田軍は柵の後ろから新兵器、鉄砲を乱射した。

 

武田の騎馬隊は柵で進撃を邪魔され思うように進撃できず、やられるがままに鉄砲を撃たれていた。柵越しにその様子を見ていたが、あまりにあっけなかった。

 

織田軍の鉄砲の轟音に、武田騎馬隊はなす術なく崩されていた。

 

山県昌景、馬場信春などの武田四天王や、武田の一族衆ら歴戦の猛者が、次々とやられていく。

 

気づけば、彼らはもう壊滅寸前だった。

 

あまりにもあっけない。戦国最強と謳われた武田の騎馬隊がこうも簡単にやられるなんて………。

 

「猿!どうじゃ、新兵器鉄砲の力は!」

 

後ろから信長様の声がした。

 

相変わらず俺のことを猿と呼ぶ。

 

「もう馬に乗って刀を振るう時代は終わったのだ。」

 

柵の向こうで倒れる武田軍を見ながら信長様は呟いた。

 

この頃、まだ日本では鉄砲は珍しく、最新の兵器だった。

それゆえ、大名たちは南蛮(スペインやポルトガル)から来る宣教師から、自分の領内でのキリスト教布教許可の見返りとして鉄砲などを手に入れていた。

 

信長様もキリスト教の布教を許すかわりに宣教師から珍しいものをいろいろもらっている。

 

だから本願寺とかの伝統ある仏教勢力は信長様を嫌っているのだ。

 

「古きを捨て、新しいものを使わないと天下は取れないものでしょうか。」

 

俺は思わず聞いた。

 

「正確にはわしに従わないものを捨て、わしに従うものを使うのだ。」

 

ま〜た自己中心的なことを………。

 

「南蛮の宣教師どもはわしに頭を下げた。だから保護している。しかし本願寺や延暦寺はわしに逆らう。だから攻撃するのだ。

キリスト教だからどうとか仏教だからどうとかそういうことではないのだ。」

 

「はあ………。」

 

信長様の論理は本当に自己中心的だ。

 

さらに信長様はとんでもないことをいってのけた。

 

「もっと言えばこのわしが、この織田三郎信長こそが神なのだ。」

 

「………!!」

 

なななななんてとんでもないことを………。

 

いわゆる中二病か………?

 

「神に逆らうと、ああなる。」

 

信長様は鉄砲に散々撃たれ、壊滅、あるいは撤退している武田軍を指差した。

 

「神に従えば、神であるこのわしが功徳と利益を授けるのだ。」

 

俺は織田領の民衆が信長様の治世を喜んでいることを思い出した。

 

信長様は自分に逆らう者は容赦なく叩き潰すが、自分に従う者にはとても親切だ。

 

信長様は優しい殿様なのか残酷な殿様なのかずっと悩んでいたが、なんとなく信長様という人間が分かってきたような気がする。

 

信長様が日本全国を制覇したら、信長様に皆従うことになる。

 

ということはわりと信長様は皆に優しくなるのだろうか。

 

でも自分は神だと言い出す人に天下を取らせていいのだろうか。

 

 

 

あれこれ考えている間に戦いは終わっていた。

 

結果はもちろん織田徳川連合軍の圧勝。

 

徳川殿は勢いに乗って、駿河まで侵攻。

 

信長様は上機嫌で岐阜城へ帰った。

 

 

信長様はその後も領内で善政を敷いている。

 

美濃と近江の国境で身体に障害者のある者が乞食をしていたそうな。

 

信長様はその者を見て、近くの町の者を集めた。

 

信長様はその乞食の為に小屋を建て、町の者にはこの乞食に食糧を分けるよう言いつけたという。

 

また、旅人が不便だというので近江の瀬田川に橋を架けた。

 

信長様は「神」として自分に従う民衆に功徳と利益を授けているのだ。

 

俺は長浜(今浜につくった城下町は信長様から一文字もらって長浜に改名)に戻ってしばし休息をとっていた。

 

「兄者!」

 

「おう、小一郎。」

 

「長篠での戦い、どうだった?」

 

「ま、どうもこうもないが………いきなりどうしたん?」

 

「いや、兄者が長篠から帰ってきてからずっと元気がないもんで………。」

 

「いや、そんなことは………」

 

「また信長様に殴られたんか?」

 

「………」

 

「どうしたんじゃ兄者、俺は兄者と一番長く共に戦ってきたんじゃぞ。なんかあるなら言ってみ。」

 

「………最近、俺は信長様が天下人になって本当にいいのだろうか、と思うようになったんじゃ。」

 

「なんで?」

 

「………他の者に言うと………おそらく信長様がおかしくなったと思って、敵に寝返るかもしれんが………お前は信頼できる。」

 

 

 

 

 

「最近、信長様は自分のことを神だと思っているらしい。」

 

俺は他の者に聞こえぬようできるだけ小さい声で言った。

 

「神??」

 

「そうだ。自分のことを神だと言い出したんだぞ。もう気が狂ったとしか思えん。」

 

「でも最近信長様は民衆には優しいじゃないか。」

 

「それは神………いわゆる信長様が自分に従う民衆に功徳と利益を授ている、と信長様は考えている………。」

 

「まぁ、結果が良ければいいと思うけどな……。」

 

「でも………自分のことを神って………やっぱりおかしいわ。」

 

「それならなおさら我々、家来たちがしっかりしなくちゃな。」

 

「俺はついていけるだろうか。」

 

「なぁに兄者は農民の子から城持ち大名までのし上がったじゃないか。何を心配してるんだ。」

 

俺はふぅ〜、とため息をついた。

 

侍は大変だ。

 

あのまま尾張の農村で畑でも耕していた方が良かったかもしれない。

 

「信長様は自分を神と思える程大きくなったんだ。信長様が天下を取る日も近い。

兄者が望んでいた平和な世だぞ。

あともう少しだ、また一緒に頑張ろうや。」

 

小一郎は静かに言った。

 

しかしその静かな一言が俺の目を覚ました。

 

そうだ、平和な世だ。

俺は「なぜ侍を目指すのか」と昔聞かれたことがある。

 

なぜ侍を目指し、侍になったのか。

 

それは乱世を終らせる為だ。

 

 

………俺の父親は戦に巻き込まれ死んでしまった。

 

一つの戦によって一体何人の人間が俺の父親のように死に、俺のように悲しむのか。

 

増してこの戦国乱世、毎日のように戦がある。

 

何人の人間が死んでいくのか………。

 

俺は侍になって全国の大名を味方につけ、大名同士が戦をすることのないようにする。

 

俺自身が天下を取らなくても、それができる侍の手助けをしたい。

 

誰かがこの戦国乱世を終らせなければならない。

 

だから俺は最初、当時一番俺の目標に近かった大名、今川義元に仕官した(厳密に言うと今川家に属する侍、松下嘉兵衛様に仕官)。

 

しかしひょんなことで信長様に仕官することになったんだ。

 

昔は信長様は「うつけ」と呼ばれていたから俺の目標から遠くなったんじゃないか、とも思ったがそれだけにやりがいを感じていた。

 

薪奉行の時も石垣の普請奉行の時もただその目標に向かって進んでいた。

 

信長様はきっとこの乱世を終らせてくれる。

 

信長様の為に働けば乱世を終らせることにも繋がるのだ。

 

 

 

俺はいつの間にか前に進むことを忘れてしまったのかもしれない。

 

そうだ。信長様は天下を取るのだ。乱世を終らせてくれるのだ。

 

俺は平和な世の為、働かなければならんのだ!

 

 

 

 

俺は近江十二万石の領主だ。

 

一揆勢の国になってしまった越前の二の舞になってはいけない。

これ以上信長様の敵をつくってはならない。

平和な世から遠のいてしまう。

 

 

 

 

 

 

まず、俺はこの広大な領地をきちんと治める為、家来を増やすことにした。

今まで、俺は主に軍人としてやってきたから、十二万石の領地で政治をするには、今の家来だけでは足りないのだ。

 

どこかに良い人材はいないかな………。

 

 

 

 

 

 

そう思っていた矢先、早速良い人材が見つかった。その時、俺は鷹狩りの帰りで、あまりにも喉が渇いていたから、とある寺に立ち寄った。

 

「お〜い、いきなり来てすまないが茶を一杯くださらぬか‼︎」

 

「あ、これはこれは羽柴様、かしこまりました。早速うちの茶坊主に茶を入れさせます。」

 

 

しばらくすると十二、三くらいの歳の若造が茶を入れて俺に渡して来た。

 

「おう、これはかたじけない。」

 

グビグビグビ……

 

その茶は、ぬるく、量が多かった。

 

しかしあまりに暑い中で喉が渇いていたから、そちらの方が助かった。

 

(この茶坊主、俺の喉の乾き具合を計算しておるのか……?)

 

「もう一杯いただけぬかな。」

 

俺はもう一杯頼んだ。その茶坊主が、次はどのように茶を入れるかちょっと見てみたかったからである。

 

 

 

「お待たせしました。」

 

「かたじけない。」

 

次の茶は先ほどのよりもすこし少なく、そして温度もすこし熱かった。

 

グビグビ……

 

(う〜む……もう一杯頼んだらどうでてくるかな……)

 

「すまぬがもう一杯。」

 

 

 

「お待たせしました。」

 

次の茶は熱々で、量も少なかった。

 

グビッ……

 

「ふ〜……」

 

先ほどの茶で、舌も熱さに慣れ、この熱々の茶はよく飲めた。

 

(こやつ、俺に似とる……)

 

俺は、かつて信長様の草履を懐で温めていたことを思い出していた。

 

「坊さん、この茶坊主なかなか気が効くからゆくゆくは良い武将になるやもしれん。ここは一つ成り上がりの玄人であるこの俺にこやつをくれませぬか。」

 

 

こうして家来にしたのが石田佐吉。後の石田三成だ。

この時まだ十四歳であった。

 

 

 

 

 

他にも俺の遠い親戚である虎之助(後の加藤清正)、市松(後の福島正則)も家来にした。

少々気が荒いが槍の腕前はなかなかのものだ。

 

その他浅井の旧臣で有能な者はどんどん家来にした。

 

 

 

 

 

 

俺は近江のことばかりをやっている訳ではなかった。

 

信長様は越前の一向一揆を征伐する為、出陣。

羽柴軍も出動した。

 

羽柴軍の働きは目覚ましく、越前を通り越して加賀(今の石川県南部)まで進撃。

 

越前、加賀の一向一揆をことごとく征伐して信長様は帰陣した。

 

この時だった。

 

信長様が帰陣したのを知って、加賀の奥に潜んでいた一揆勢が急に攻めてきたのだ。

 

「今こそ信長様の役に立つ時だ。」

 

そう思って俺は一揆勢に突っ込み、一揆勢を蹴散らした。

 

無事越前、加賀は平定された。

 

 

 

 

 

 

しかしこの後、また信長様に敵対する勢力が現れた。

 

中国地方の覇者、毛利氏である。

 

毛利は水軍が強く、水軍慣れしていない織田家にとって厄介な敵だ。

 

毛利は京都を追われた足利義昭を保護しているから、必然的に織田の敵となる勢力である。

 

さらに毛利は本願寺に味方し、本願寺に兵糧を送り届けたりいろいろ援助しているらしい。

 

「毛利か………。」

 

是非とも我が羽柴軍が毛利と戦いたい。

 

もっと信長様の役に立ちたい………。

 

 

 

 

そう思っていた矢先、早くも毛利と織田の戦いは始まった。

 

毛利水軍が本願寺に兵糧を送り届けようとしたのでこれを阻止しようと織田軍も船を出し、迎え撃った。

 

長い戦いの末、織田軍の多数が討ち死にし、毛利軍は本願寺に兵糧を送り届けた上で自領に引き揚げていった。

 

これをうけ、信長様は烈火の如く怒り狂った。常勝織田軍にとって、水軍を操る毛利は信長様の天下布武の邪魔でしかなかったのだ。

 

俺は早速信長様に掛け合い、毛利討伐の仕事をもらって来た。

 

ふふふ、やっと毛利討伐か。

 

毛利輝元(毛利家の当主)!首を洗って待っておれ!

 

平和な世の為、信長様の天下の為、お前を倒す!

 

 




今回はちょっと張り切って長い文章書いちゃいました☆
まあでもこれくらいの方がいいのかな………?

今日も元気に頑張りましょう!

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