ハイスクールD×D改   作:キャラメルマキアート

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ハイスクールD×Dに嵌まってしまったので試しにあげてみました。


プロローグ

 夢を見ていた。

 

 

 その夢の中で、俺は何時も"赤い双龍"に出会う。

 

 

 その龍は俺を遥か上より見下ろす程に大きく、放たれる威圧感も凄かった。

 

 

 そしてもう一人は全身を赤い鎧に身を包んだ龍の戦士だ。

 彼は一切、ものを喋らなかった。

 

 

 相対して分かったのは、この"赤い双龍"が、偉大で、強大で、尊大で、絶大で、膨大な年月を経た最強の存在だと言うことだった。

 

 

『お前は、何故そのような眼をしている?』

 

 

 眼? そんなことを言われても俺には分からない。

 

 

『その全てに絶望したその眼だ』

 

 

 ああ、そういうことか。理由は簡単だよ。

 俺の両親が"誰か"に殺されたんだ。

 生き残ったは俺だけ。

 俺だけ(・・・)、不自然に生き残ったんだ。

 

 

『ふむ、そうか。それでお前はどうしたいんだ?』

 

 

 どうしたい? そんなの死にたいに決まっているだろ?

 親父もお袋も死んで、俺には何も無いんだ、何も。

 

 

『それをお前の両親が望むのか?』

 

 

 俺はこの世界で一人なんだ。家族がいない、たった一人なんだ。

 死ぬことくらい許してくれよ。

 俺はお前みたいに強くない。

 

 

『そうだな、確かに俺はお前より遥かに強い。お前など動かなくとも直ぐに殺せる』

 

 

 そうだよな、何たってお前らは"最強の龍"なんだろ?

 太刀打ちなんか出来るはずがない。

 

 

『だが、お前は俺を越える素質を持っている。それこそ、この世全てを統べる最強の龍へとなる素質がな』

 

 

 最強? 素質? この俺に? 馬鹿も休み休み言ってくれ。

 俺は只の一般人だっての。

 

 

『......そう思っているのはお前だけだ、人間』

 

 

 そんなことを思ってるのはお前だけだろ、"(ドラゴン)"。

 

 

『まあ、良いだろう。だが、努々忘れるな。お前は選ばれし存在なのだということを』

 

 

______神をも滅ぼし、世界の頂点に立てる"最強の龍"の卵だと言うことを。

 

 

 そして、夢は終わりを告げようとしている。

 

 

 いつも中途半端で、最後まで話すことが出来ない。

 

 

 俺はあいつらに伝えることが出来ないのだ。

 

 

 自分がとてもとても、弱い存在なんだと。

 

 

 

 

 

 

 早朝。

 まだ起きている人間は少なく、疎らに見るのは外で水やりをしているおじいさんや、犬の散歩をしているおばあさんくらいだった。

 俺はそんな風景を見ながら、毎日牛乳を配るアルバイトをしている。

 別にこの時間帯に、起きるのは苦痛ではなかったし、何より金になるのだ。

 やらないわけはない。

「おはようございまーす! 牛乳でーす!」

「あら、一誠ちゃん、おはよう。今日も元気で良いわねぇ」

 何時もこの時間帯に家の前で掃除をしている優しそうなおばあさんは今やっている作業を止め、こちらに笑顔を向けた。

「ははは。俺の取り柄だからね。はい、牛乳」

 俺は自転車の籠の中に入れていた牛乳を三本取り出すと、それをおばあさん_______ばあちゃんへ手渡した。

 確か、息子さんが出てって今は旦那さんとペットの小次郎(柴犬)の三人暮らしなんだっけか?

 そのせいか、俺のことを息子か孫のように接してくれるのだ。

「毎日、ありがとうね。あ、そうだ、ちょっと待っててね」

 ばあちゃんは、そう言って家の中に入っていく。

 三十秒程待っていると、何かを入れたタッパーを持って来た。

「はい、これ、うちで作った煮物だけど持ってて」

「ありがとうございます! ほんと、すいません、毎度毎度、お世話になっちゃって......」

 ばあちゃんから渡されたのはどうやら筑前煮らしい。

 ここへ牛乳配達へ来ると、いつもお裾分けに何か食べ物をくれるのだ。

 前回は確か、おでんだった気がする。

「いいのよ、いいのよ。気にしないで。私が好きでやってることだから。一誠ちゃんの顔を見ると元気が湧いてくるのよ」

「ばあちゃん......」

 不覚にも泣きそうになってしまった。

 元気を貰っているのは俺だって同じだ。

 毎朝、こうやってばあちゃんが掃き掃除をしているのを見るだけで安心さてしまう。

 少なくとも、心の拠り所にしている部分があった。

「っと、いけない。配達残ってるから、またな!」

「はい、頑張ってね」

 首を振って、涙を誤魔化すと、自転車のサドルに跨がった。

 振り向き様にばあちゃんに手を振って。

 俺は次の配達場所へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

「兵藤一誠、世界史100点。流石だな」

「......ありがとうございます」

 三時間目は世界史の授業だった。

 今日は前回やった小テストの返却日であったのだ。

 答案用紙には"100"の数字と大量の赤丸。

 今回は割りと簡単だったはずだ、確か。

「兵藤君って凄いよね。運動も出来るし、勉強も出来るし」

「性格も優しいしねー」

 自分の席に戻る最中、女子達のそんな声が耳に入った。

 いや、うん聴こえちゃってるからね。

 俺は別に難聴とかそんなんじゃないし。

 それにそんなに褒めても何も出ないんだけど、本当に。

「......はぁ」

「おいおい、何で溜め息吐いてんだよ? お前満点だったんだろ?」

「ほんとだ。他の奴に恨まれるぞ?」

「あー?」

 席に戻ると、二人の男子が俺の周りに集まってきた。

 松田と元浜。

 前者は丸刈り頭が特徴のスポーツ青年。

 後者は眼鏡が特徴のインドア青年。

 自分で言ってて酷い説明だとは思う。

「俺の点数見ろよ」

 松田はそう言って、自分の答案用紙を見せてきた。

「13点って......もう少しちゃんと勉強しろよ」

「保健体育なら満点なんだけどなぁ」

 豪快に笑い流す松田。

 そう、こいつは馬鹿なのだ。

 保健体育を除いた全ての科目で赤点ギリギリもしくは、赤点の点数を叩き出す成績で言えば下から数えた方が早い。

 但し、身体能力に至っては学内トップクラスであり、中学の時はインターミドルに出場する程のスプリンターだったらしい。

「片寄り過ぎなんだっつうの、お前は。元浜はどうなんだよ?」

「うん? 俺か? はっ、見ろよこれを」

 元浜は自慢気に、答案用紙を差し出してきた。

「98点......流石だな、お前は」

「特待生のお前に言われても嬉しくないぞ」

 元浜は松田とは違い、成績上位者だ。

 大体、学年で十位以内に必ず入る程だ。

 俺達の通う駒王学割りと名の通った進学校で、勉強のレベルも高い。

 その中で、トップの成績を出すというのは中々に凄いのである。

 しかし、それを考えると松田はよく入れたなと思えてしまうな。

「そうだ、一誠。今日終わったら俺ん家で、お宝(・・)上映会するんだけどどうだ? 明日休みだし、泊まりでさ?」

「とても良い物を入手した。間違いなく満足出来るだろう」

「......あー、うん」

 少し引き気味になってしまう俺。

 この真逆な性質を持つこの二人の共通点。

 それはエロスの求道者であるということだ。

 エロ本、AV、エロゲー、18禁同人誌と、ありとあらゆるエロスに詳しいのである。

 健全な男子高校生として、そういうものに興味があるのは必然であるし、俺もそれは同じだ。

 しかし、余りにもディープであるため、たまに着いていけなくなってしまうのだが。

「悪い、俺はパスだ」

「あれ? 何かあんのか?」

「まあ、少し用事があるんだよ。また今度にしてくれ」

 そう言って断ると、二人は「しゃあねぇなあ。もっと良いのを揃えて待ってるぜ」と、言ってくれた。

 この二人は本当に良い奴らなのだ。

 変態じゃなければ、普通にモテるんじゃないかと俺は思っている。

 

 

 まあ、変態であるので台無しではあるのだが。

 

 

 

 

 

 

 所変わって、お昼時間。

 現在、俺は生徒会室に呼び出されていた。

 いや、別に悪いことをしたとかそういうことではない。

 実際、悪いことをしたのなら職員室に呼び出されるのが普通だ。

 生徒会の権力が教師並み、もしくはそれ以上に大きいのは、漫画やアニメだけの話しなのである。

「いらっしゃい、兵藤君。コーヒーを用意しました」

 どうぞ、そう言って音も立てずにコーヒーのカップが目の前のテーブルに置かれた。

「ありがとうございます、支取生徒会長」

 黒髪ショートに金のヘアピンを付け、眼鏡をかけた少女、"支取蒼那"へそうお礼を言った。

 学年は三年生。

 俺の一つ上の学年だ。

 彼女の挙動は、一つ一つが御嬢様然としているというか、雰囲気が滲み出ている。

 きっとどこかの御嬢様なのだろう。

 分からないが。

「では、早速ですがお願い致します」

「はい、分かりました」

 緊張した面持ちで生徒会長は何か乗せたプレート皿を出してくる。

 手が震え、カタカタと皿が音を立てているのを確認出来る。

 今、この生徒会室には彼女と俺しか居ない。

 もし、誰か他の人、生徒会役員が居たのならば、こんな醜態(彼女の弁)を晒さない筈だ。

「クッキー、ですね。......チョコクッキーですか?」

「いえ、コーヒークッキーです。奇をてらってみました」

 確かに、匂いを嗅いで見るとコーヒーの香りが鼻腔をくすぐった。

 コーヒーの香りが強いので、豆を使用しているのだろう。

「だからですか。珍しくコーヒーを出してくれたのは」

「はい、そういうことです」

 論理的ですよねと言わんばかりのドヤ顔だ。

 何時もなら紅茶を出してくれる生徒会長が珍しくコーヒーを出したのは、このクッキーとの組み合わせを考えてのことなのかと、変な関心をしてしまった。

「では、頂きますね」

「はい......」

 先程よりも更に表情を強張らせて、生徒会長は此方の様子を見てくる。

 食べづらいから、等とは言えないが少しは抑えてくれないだろうか。

 容姿端麗な少女にじろじろと見られてしまうのは、何というか心臓に悪い。

 俺は男なのだから。

「率直に言いますね......」

「......はい」

「不味いです......」

「......はい」

 二度、彼女は同じ言葉を言ったが、それに追従する表情は違かった。

「まず苦すぎです。というか焦げてます」

「はい」

 コーヒークッキーの見た目からは黒くあまり焦げているとは判断出来ないが、食べてみて炭素っぽい味が俺の舌を襲った。

 その中で最も苦みの強く感じたのがクッキーの裏側だった。

「オーブンの焼き時間を見誤ったというのが恐らくだとは思いますが。多分レシピ通りに作ったんですよね?」

「はい、そうです。基本には準じています」

 彼女の真面目な性格上、それは絶対の筈だ。

 俺の知る人間で、彼女程真面目な人物は居ない。

「レシピに書かれているオーブンの焼き時間を少し低めに設定してから焼き始めるのが良いと思います。オーブンにも癖がありますからね」

「なるほど......」

 頷きながら、メモ帳にボールペンで書き込んでいく生徒会長。

 ボールペンとメモ帳、どちらもお洒落な細工がされており、値段も高そうだ。

 どうでもいい考察ではあるが、彼女の気品さが持っている道具から表れている。

「あと、組み合わせの飲み物に関してですが、これなら甘いミルクとかの方が合うと思いますね。まあ、個人の嗜好にもよりますけど」

 牛乳は好きだ。

 朝、必ず一杯の牛乳を飲む。

 それは既に日課となっている。

 バイトで何本か牛乳を貰うのだが、ラッキーと言える。

 牛乳の万能性は凄い。

 そのまま飲んでも良いし、何か料理に使ったりと可能性の塊と言えるだろう。

 牛乳、卵、小麦粉、砂糖があればパンケーキやクレープが作れるし。

 牛乳の力は凄く偉大だと思う。

「後はですね_______」

 その後、駄目な部分とそれの改善方法を事細かに指摘した。

 彼女は物事をズバズバともの言っても、へこたれず改善しようとする。

 本当に真面目な人だ。

「遠慮無い意見、ありがとうございます。とても参考になりました」

 メモ帳をパタンと閉じると、丁寧にお辞儀をする生徒会長。

 そんな生徒会長に俺は一言。

「どういたしまして、です」

 目線を合わせずにそう返した。

 何というぶっきらぼうぷりだ。

 自覚出来ている分、少し嫌になる。

 もう少し愛想良く出来ないものだろうか。

 ばあちゃんの時みたいに。

「ごめんなさい。こんなことに付き合わせてしまって......」

「良いですよ、別に。知られたくないことは誰にでもあります」

 見た目は完璧、しかし味が不味くなる、そんな漫画やアニメみたいな出来事を引き起こす腕の持ち主だなんて、当初は信じられなかったが。

 ギャップ萌えとしてはありなのではというのが、俺の持論である。。

 完璧程つまらないものは無く、不完全程未来があるものも無い。

 ギャップ萌えというのも一つの未来と言えるだろう。

 出生率が下がる現代の日本において、異性に魅力的だと感じさせる要素を持つ存在が居れば、それは改善に繋がるのでは。

 この子のことを好きだ、恋人になりたい、結婚したい、そして愛の形だ。

 異性の嗜好に合わせた魅力を持てば、それは何処かで出会いとして、かち合うことだろう。

 別に料理が出来なくとも生きてはいけるのだ。

 今の時代、旦那の方が主夫していてもおかしくはない。

 それを考えると生徒会長はばりばり働くキャリアウーマンタイプと言える。

 愛の形は人それぞれ。

 意見を押し付けるわけではないし、してはいけないとも思っている。

 まあ、全て俺の持論で説得力等皆無、論文に起こすには余りにも下らないし、お粗末だ。

 こんな下らないことを考えている時間があるのならば勉強をした方が良い。

「コーヒー、美味しいです」

「ふふっ、それはありがとうございます」

 生徒会長はくすりと笑顔を見せた。

 うん、これがギャップ萌えという奴か。

 

 

(そもそも、どうしてこんなことになったのか......)

 

 

 コーヒーを飲みながら、深い思考に落ちそうになるが、大したことはない。

 ある日、家庭科室に忘れ物をし、それを取りに行ったら生徒会長がお菓子を作っていたのだ。

 焦げた匂いを漂わせ。

 クエスチョンを浮かべる俺と、慌てる生徒会長。

 それがファーストコンタクトだった。

 そこから始まったこの関係ではあるが、別段悪くはない。

 紅茶もコーヒーも美味いし。

 何より生徒会長は綺麗だ。

「そう言えば、何時もならそろそろあいつが来る頃だと思うんですけど、珍しいですね」

「ええ、彼にはお仕事を頼んでいますから」

 随分と用意周到なわけで、そう口に出しそうになった。

 あいつ、彼。

 俺と彼女の共通認識で、この三人称に該当するのは一人しか居ない。

 匙元士郎という男だ。

 学年は二年、つまりは俺と同い年。

 現生徒会の書記を担当している。

 性格は至って真っ直ぐな男と言うのが分かりやすい。

 そして、生徒会長に恋をしていることも。

 あいつは俺に会うと変に絡んでくる。

 原因は簡単だ。

 俺と生徒会長が微妙に(?)仲が良いからだ。

 故に幾分、俺は少し罪悪感を感じている。

 決して、どうすることも出来はしないが。

 まあ、あいつが生徒会長に告白すればいいだけの話だ。

 うん、俺は悪くない......はず。

「どうしました? 兵藤君?」

 考え込んでしまった結果、沈黙の時間も長くなってしまったらしい。

 生徒会長が心配そうな表情で此方を見ている。

「いえ、何でも。只......」

「只......?」

 生徒会長は首を横に傾げて、そう続けた。

 うん、可愛い。

「世の中って、残酷だなぁって......」

 

 

 

_______この生徒会長、凄い鈍感なんだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

「一誠くーん。待った?」

「ああ、うん。今来たところだよ。夕麻ちゃん」

 駒王学園最寄りの駅前。

 そこで俺は彼女(・・)を待っていた。

「じゃあ、行こうっ。ねっ?」

「ああ、行こうか」

 そう言って、俺と夕麻ちゃん_______天野夕麻は腕を組む。

 今の状況を簡単に言うと所謂、放課後デートという奴で。

 俺と彼女は恋人同士というわけなのだ。

「何処行くの?」

「えっと、最近出来た喫茶店なんだけど。何かパンケーキが美味しいらしいよ」

「へぇ、楽しみ~」

 そう言って、夕麻ちゃんは嬉しそうに俺の腕を抱き締める強さを強くする。

 夕麻ちゃんは巨乳で、Eカップあると言っていた。

 故に感触は最高と言えるわけで。

「......うん。俺もだよ」

 これが精一杯の解答だった。

 

 

 

 そして、この至福の時から、まさかこんなことになるなんて思いにもよらなかった。

 

 

 

「ねえ、死んでくれる?」

 

 

 それが彼女、天野夕麻がデートの最後に俺に対して言った言葉だった。

 

 

 

 ああ、もう。

 本当にふざけてるよ。

 俺の人生って奴は。




たまには気分転換に別のを書くのもありですね。
新鮮です。

あと、変態要素は少な目ですYO。
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