比企谷八幡とその周辺   作:無題

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 東京の方へ行っていたため遅れました。
 ポール・スミス展やルノワール展、ルーブルNo9展などなど大忙し。図録なども買っため出費も痛い…。



第六話 いざ行かん、桜屋敷へ。

『なにあの人、メイド着てるよ。コスプレ?』

『でも本格的だし本業の人かもよ。』

『マジて!記念にインスタ乗せよう。』

『止めときなって。あの人目がヤバイって。たぶん何人か殺ってるよ。』

『まさかのフローレンシアの猟犬!ヤバイ、ヤバイ!』

 

 す、すごい気まずい。ましてや視線が怖い。

た、確かに場違いだけど見ないでくれよぉ。昔の古傷がががぁあ!

 

 俺は今、京葉線快速で新木場駅へ向かっている。

 新木場駅からりんかい線に乗り換えて渋谷駅に向かいそこでサーシャさんと合流する予定であり、そこまでは自力で向かわなければならない。

 そこに関しては何も問題はないだ。

 千葉から渋谷なんて良く小町と一緒に行くからな。

 だけど問題はそこではない。問題は今、自分が女装をしているっていうことである。

 それもメイド服。

 一般的に見ることのない服装で回りにはコスプレでもしているように見えるのだろう。おかげで回りの視線が痛いのだ。

 これはキツい。元ボッチにはすごくキツい。

 何でサーシャさんは迎えに来れないんだよ!誰か助けてくれ…。

 

 

 

 あの女装教室から三日がたち、遂に桜屋敷に向かうときがやって来た。

 その間に雪ノ下家で使用人研修したり、平塚先生の独身仲間である音楽の小野先生(38歳)にボイストレーニングを受けたり前半と比べハードな修行が続いた。

 女声は元々雪ノ下の声マネが出来たが女声とは言えなかったため地声と裏声を合わせたミックスボイスの練習をしたのだが才能があったのか数日でマスターした。普通は何ヵ月も掛かるらしいが数日で完璧にするとは八幡恐るべし!と自画自賛する。

 途中陽乃さんの玩具になったり海老名さんのBLのモデルにさせらせそうになったりといろいろとあったがここは割愛する。詳しく説明すると本編が進まないからな。

 

 ついでに女装時の偽名はサーシャさんと奉仕部のメンバー+αで決めたらしい。

 『ハチマン』の『ハチ』を『ヤ』って読んで『マン』の『マ』を取って更に逆から読んで『真夜(マヤ)』。漢字は適当である。

 議論が白熱している中、由比ヶ浜が知恵袋で募集したら『真夜』に決まったらしい。ありがとうございますHN『一神龍』様。

 と言うことで比企谷 八幡あらため比企谷 真夜は集合場所である渋谷駅へ電車を乗り継いで向かうのである。

 

 

 

 ♪八時ちょうどのー快速東京行きでー私は私は千葉からー旅立ちますー。

 

 と鼻唄を歌いながらトランクに道具を積める。

 替えの洋服や下着はもちろん女物であるが八幡は狼狽えない。男の尊厳?そんなものは小町に預けた。探せ!とワンピースぽく心の中で呟く。

 実際あーだこーだ言っても仕方ないし雪ノ下の所でもうズタボロである。

 あの雪ノ下姉妹め。俺を着せ変え人形にしやがって。由比ヶ浜も小町も止めろよ。一緒にノリノリになりやがってよ。

 

 しかしそのおかげで女物は揃えることができたからよしと考える。女物は種類が豊富だから選ぶのに時間が掛かるからな。彼女らが選んでいる間に俺はスキルアップに手を付ける事ができた。プラス思考、プラス思考。

 

上下セパレートタイプのワンピース。

セミロングのスカート。

ストッキングを履いてエプロンを着ける。

胸元のリボンを着けてカチューシャを着けて完成。

 もちろん化粧済みである。化粧道具はサーシャさんお勧めのなのだがメイクボックスの中がぎっしりでいかに女性が大変なのかが良くわかる。女性の皆様。何時もお疲れさまです。

 

「お兄~ちゃん。準備できた~?」

「はい。大丈夫です。お気にかけ頂きありがとうございます。」

「あ、もう真夜さんなんだ。これじゃお姉ちゃんだね!」

 

 リビングから小町に呼ばれる。もう俺は比企谷 八幡ではない。比企谷 真夜だ。

 スイッチの切り替えは服装。サーシャさんを見習ってONとOFFはしっかりと分ける。そうする事によってボロを出さないようにするのだ。勝負服と思ってくれれば良い。

 そうして俺は手持ちトランクを持ってリビングに降りる。

 そしてリビングには見送りは小町と

 

「いつ見ても完璧な女性ね…。」

「やっぱり化粧ってスゴいんだねー!」

「お二人ともお見送りに来ていただきありがとうございます。こんな早朝からわざわざ私のために…。」

「完全に使用人だわ。」

「本物のメイドさん見た~い。」

 

 雪ノ下と由比ヶ浜の奉仕部二人が来てもらっていた。

 わざわざ放課後に来てくれるとは…。ありがとうございます!と使用人魂を燃やす。

 高校側には比企谷家の用事と言うことで平塚先生が休みを取ってあり、俺の事情を知っているのは比企谷家、雪ノ下家、由比ヶ浜と平塚先生、そして海老名さんである。さすがに他の人に女装しているとは言えない。バレたら八幡学校行けないよ!

 一色は使用人のことは知ってるけどな…。生徒会が忙しかったのかこの一週間、一度も奉仕部に来なかったのが幸いである。

 

「比企谷君。一週間後にまた会いましょう。」

「がんばってヒッキー!」

「サーシャさんの変わりちゃんとするんだよお兄ちゃん。」

「三人ともありがとうございます。一週間留守にしますが頑張ってきますのでお二人には学校での小町の事よろしくお願いします。」

「お兄ちゃん過保護だよ!って今はお姉ちゃんか。」

 

 そういって笑いが起きる。

 よし!小町よ。お兄ちゃん頑張ってくるからね。さぁ行くぞ。待ってろ桜屋敷‼

 

 そして冒頭に戻るのである。

 

 

 

 良く考えるとこの庶民的な通勤電車でメイド服の女性?が一人ぽつんと座席に座っているシュチュエーションは考えられないだろう。おかげで珍しい物を見る目で回りの人達がジロジロと見てくる。

 向かい側の座席に座る二人組の女子高生なんか『フローレンシアの猟犬』とかほざいていたぞ。

 だれがロザリタ・チスネロスだ。FARCに所属しているように見えるのか!と心の中でツッコむ。

 

 さながら目元に手をやるとメガネをかけていない事に気が付いた。成る程、カモフラージュしてないとアブナイ人に見えるのかとため息をつきながらセカセカと黒渕メガネを掛ける。

 すると女子高生二人組から『やだ…美人やん…。』との呟きが聞こえる。なんという事でしょう!冴えない男子高校生が同級生にカッコいいではなく美人と言われるこの現状を!

 …いいけどな。それぐらいサーシャさんや雪ノ下達が頑張ったって事だしベースの俺が美形って事だし。キレイと言われて嫌な人は男でもいないだろう。

 自分で言うのもなんだがデザイナーとして自分のファッションの幅が広がるということは創作活動の幅が広がりやすいという事であるしな。オネエっぽい人がファッション業界に多いのもそのせいだと思うし。

 

 そうしていると電車は新木場駅に到着。りんかい線川越行きに乗り換え渋谷駅へ向かう。周りの目は相変わらずだが今は恐がられるというより物珍しさで見られている。こんな時にはステルスヒッキーと思ったが流石にこの格好でステルスは無理があったみたいで何も変わらなかった…。何でこんな時に発動しないだ。

 せかせかと改札を越えて京葉線ホームからりんかい線ホームまで急ぐ。ふとキヨスクにMAXコーヒーを発見。糖分補給がてら350ml缶購入する。やはりコーヒーぐらいは甘くないとな。

 ちなみに売店のおばちゃんはMAXコーヒーを飲むメイドさんが妙に様になっており困惑したそうである。

 

 そうして快速川越行きに乗り込む。ここから約30分はまたヒマになるのである。この時間を使いサーシャさんから渡されたこの一週間の為の資料に目を通す。

 この資料は勤め先であるユーシェ様の情報や桜屋敷、同居人についてなど事細かに記載されている。ちなみにユーシェ様のスリーサイズはB88 W55 H80らしい。妙に詳しいなおい。

  ユーシェ様。本名ユルシュール・フルール・ジャンメール。どうやら貴族の方みたいで気が強そうである。桜屋敷の主人である桜小路ルナをライバル視しておりって桜小路‼ 遊星の婚約者じゃないか!これはヤバイ。まさか遊星も桜屋敷に居るんじゃないか。

 急いで資料を漁る。大蔵遊星、大蔵遊星。何処にもない…かな?資料をみた感じ遊星は一緒に住んでいるわけではないようだ。あっぶなかったわ。流石に知人に女装がバレたら大変な事になる。セーフセーフ。

 

 そうして俺は資料全体に目を通す。

 

『桜屋敷の人達にはサーシャさんのヘルプに来た使用人として話を通してる。』

『桜屋敷にいる花之宮は男性恐怖症なので注意する。』

『基本はユーシェ様の付き人なので屋敷のメイドとして行動しなくて良い。』

『期間は一週間。その間にバレない頑張って♥』

などなど…

 

…まあここまではまあいい。よくはないけど。

 しかし桜屋敷のメンバー表を見ていると無視出来ない名前が出てきた。

 

『山吹八千代』

 

何で八千代さんがいるんですか!サーシャさん、先に教えて下さいよ!ってか見られたくなあぁい‼ 久しぶりの再開が女装姿ってなんでやねん。

 よりによって八千代さんが桜屋敷の使用人リーダーってつまりバレる可能性が高い。本当にサーシャさんはなんて事してくれたんだ。あの人絶対楽しんでるでしょ。

 今週一週間は誰にも女装がバレないように過ごさないといけないがこれは結構キツイぞ。

 そうしてる間に『次は~渋谷~。渋谷です。』とアナウンスが入る。あぁ、胃が痛い…。俺やっていけるかな…。

 そうして俺は渋谷駅でサーシャさんと合流。そして桜屋敷に乗り込むのであった。

 

 

 

 比企谷八幡あらため比企谷 真夜は無事にこの一週間を乗り越える事が出きるのか!

 比企谷 真夜。注意するのは八千代さんだけではないぞ…。あの桜屋敷には大蔵衣遠も現れるしなんと言ってもこの中に一人、遊星がいる!

 

ハラハラドキドキの女装潜入編スタートです!

 

 

 

・桜屋敷での一幕

 

「遊星、ちょっと話があるんだが…。」

「ん?どうしたのルナ?」

「実はユーシェに気が滅入ったサーシャが実家の方に帰省するらしい。なので代わりのメイドを連れて来るそうだ。」

「誰の使用人が私に失望するって!失礼ですわ。」

「そうなのよ。もう私、この主人にはついていけないわ。」

「キィー。なにサーシャも一緒に乗っているのですの!ルナが変なこと言うからですわ。」

「まあまあユーシェ。落ち着くんだ。それでこの間は遊星は朝日になってもらおうかと思ってな。」

「え、ルナなんで? する必要なくない?」

「いいか、桜屋敷に唯一の男性である遊星が一緒に暮らしてると聞くとその名も知らない使用人が緊張してしまうだろ。それにサーシャは瑞穂に気を使って女性の使用人を用意したのにそこで桜屋敷に男性がいると訳がわからないではないじゃないか。」

「…本音は?」

「朝日と長く居たい。」

「わかったよルナ。その間は朝日になるよ。」

「わぁ、久しぶりに朝日に会えるのね!楽しみだわ。」

「結構ゆうちょは朝日になってるよね…。」

 

「でもサーシャ。わざわざあなた自身が選んできたから大丈夫だと思うけどどんな人なの?一週間同じ職場の上司になるから早く知りたいのだけど。」

「大丈夫よ八千代。安心していいわ。使用人としてはまだまだだけど服飾に関してはピカイチよ!」

「まぁ、ユーシェ様の付き人ならそれでも大丈夫か。」

「…それに久しぶりの再開だしね。」

「ん、何か言ったかしら?」

「何でもないわよ。」

 

 

 




感想、評価宜しくお願いします。

 偽名は一神龍さんのアイデアである『真夜』に決まりました。ありがとうございました。

 ポール・スミス展に行ったんですが服飾の世界はすごいですね。本物のポールのデザイン画も展示してありました。  
 ただグッズが全体的に高くて買うのを断念。ノートで3000円ってどういう事なの…。
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