メテオリウム─翠晶眼の傭兵─   作:影迷彩

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 新年、あけましておめでとうございます。

 新年早々の投稿は、少し日常に近いストーリー。去年のようにままならない執筆速度にならないよう、展開は気をつけた上で勢い重視な空っぽストーリーで書きました。

 少しでも多く書く。この抱負を胸に、今年はこれから着実に投稿していきたいと思います。


──第七話 武器屋、傭兵達の幕間──
──武器屋、騒々なり──


 

 「ツキカゲぇ~そろそろ降りるぜぇ」

 

 カーチスの高笑いが機内に響くと同時に、輸送船アームドレイヴンは宙に止まる。

 一瞬の衝撃に、カヨウは足を転ばされた。

 

 「キャッ!?」

 

 「おい、行くぞ」

 

 ツキカゲはカヨウの肩をキャッチし、開いたドアから足で縄梯子を降ろす。

 

 「あ、ありがとうござ」

 

 「手を滑らすな、降りることに集中」

 

 「は、はい!」

 

 地表は砂嵐が止み、辺り一面に荒野が澄みわたって眺められる。

 ボウボウとした風音も鳴り止んだ。今この地にあるのは砂と翠色の目の爬虫類や植物のみ。

 そして、荒野を走る小屋のみ。

 

 「おうらい! おうらい!」

 

 それは正に小屋と言えるものであった。大輪と小輪で縁を支え、各所からチェーンやボイラー、排気口が忙しなく稼働している。壁一面はトタンや鉄、木材や防弾ガラス、メテオリウムで張り合わされている。

 

 「おうらい! おうらい!」

 

 バリケードで防御された玄関に、老人が一人で両手を大きく振っている。

 老人が見上げる上空には、小型の輸送船が小屋と並行して飛んでいる。

 輸送船からは、縄梯子を掴んで二人の男女が降りる。

 

 「ツキカゲじゃねぇか! おいよ、久しぶり!」

 

 「久しぶりだ、先生」

 

 老人は二人が降りた瞬間、やや長身な男性と握手をする。

 

 「あの、ツキカゲさん……ここは?」

 

 「俺のMT・TSと鞘を調達する場だ」

 

 ツキカゲと呼ばれた男性は、ショートヘアーの少女に後を追うよう前に手を向ける。

 

 「コイツはムナカタ・カネモリ先生、ここの刀匠だ」

 

 「へい嬢ちゃん、新入りのエニマリーかい?」

 

 カネモリは少女に近寄る。小柄な体格に着物を着用し、白髪とシワのつまった顔から鋭い眼光を発している。

 

 「は、はい、最近エニマリーに就きました、えと…アケヨです!」

 

アケヨは顔を赤くしつつも、カネモリに向かってしっかりと頭を下げる。

 

 「へぇへぇへぇ!! うら若い年頃にしちゃ挨拶できるじゃねぇか!」

 

 カネモリは快活に声を飛ばす。

 

 「よし、刀剣を用意するから、そこいらで待っていな!!」

 

 

 

 数刻前である。

 

 「刀が足りない」

 

 ツキカゲはクランチェインの全メンバーが集まった食卓にて報告する。

 

 「あららぁ、予測よぉり早く切れたねぇ、刀だけにかぁ? ハーハッハぁ!!」

 

 カーチスのジョークに、カヨウとグレイ以外は冷めた目で反応した。

 

 「え、え、ではツキカゲさんは、その、戦えず、ですか」

 

 卓の一番隅で、カヨウはオドオドしながら発言した。

 

 「そうだねぇ、誰かさんが無駄に戦わさなければねぇ……」

 

 「フフっ。カーチス、朝食も冷めますよ」

 

 グレイは微笑みながらカーチスを戒める。クランチェインの中で、カーチスに注意するのはグレイ一人だけであるのだ。

 

 「んっんー。さぁてサバイバちゃん、周辺マップで登録反応を確認してなぁ」

 

 サバイバはタッチパネルを入力し、卓上にマップを写し出す。

 

 「周辺に反応7つ。うち4つが無登録、2つが警備隊の反応、1つが……お、ちょうどいい所にいたぞ」

 

 カヨウはノイズの走るマップ上の7つのマーク、そのうちの刀が描かれたマークを確認する。

 

 「カネモリ工房、いい時にいましたぁ! よぉし、今日は工房への立ち寄りだ、任務も喧騒もねぇしな!」

 

 

 そういった経緯で、ツキカゲとカヨウはカネモリのいる移動工房に移っていた。

 

 「そういうわけだ先生、いい太刀筋のものをあるだけ頼む」

 

 「本当にいいのは売らんぞ。おまえはすぐ壊す!」

 

 カネモリはツキカゲに悪態をつきながらも、二人を工房内へ案内させる。

 

 「お前のせいで刀は壊れ、しかし供給は続く。お前一人でいい商売繁盛になる。別に嬉しくもねぇがな!」

 

 工房内は狭く、しかも壁はツギハギだらけで古くさい。車輪やレーダー探査を除くと、数年紀以上前に築かれた小屋そのものである。

 カヨウは今まで感じたことのないノスタルジーを思いながら、カネモリに案内されながらツキカゲの後ろをついていく。

 

 「師ぃ匠!! 客ですか!? おや、ツキカゲさん!?」

 

 奥から工具マスクをした一人の少女が飛び出し、カネモリの元へ向かってきた。

 

 「マサ、ツキカゲを鍛治場へ連れていく、オメェはこっちの嬢ちゃんを待合室へ案内しな」

 

 「……あいあーいサ!!」

 

 マサと呼ばれた少女は一瞬落ち込んだ表情をしたが、すぐさま顔を明るくしてカヨウの方へと向かう。

 カヨウはマサの瞳の色に気づく。黒でも白でもなく無色。ツキカゲと同じ眼であった。 

 

 「アタシはマサ、ここの一番弟子です。こちらへご案内しなす!」

 

 「あとは頼んだぞ、マサ」

 

 カネモリとツキカゲは鍛治場に入室する。

 待合室に連れていかれ、カヨウは室内に立てつけられたベンチに座る。

 

 「では、しばらくお待ちをぉ!」

 

ドアベルを鳴らしてマサは退室した。

 一人で残されたカヨウは、ぼんやりして車輪の音を聞いていたり、ロッカーに備え付けられたケースの中の新聞に目を通した。

チリリーン!

 カヨウは新聞を読んでいる途中、ドアベルが鳴り響いた。

 私たち以外にもお客さんが来た。カヨウはそう思い、待合室に入る者を見て、そして驚愕と恐怖した。

 

 「失礼いたす」

 

 入室した男の特徴。灰色のコート、200センチはあるであろう巨躯、それに見合うのがコート上でも分かる剛腕。更なる特徴として、灰色のコートは十字架の意匠をあしらっている。

 

 「は、わわわ……」

 

 カヨウは牧師めいたその男に見覚えがあった。遠くから見ただけだが、その男が斬られるのを見ていた。

 

 「おや、先客がいるとは珍しい」

 

 片手に分厚い本を構え、サングラスの奥からその者はカヨウの小さい体躯を見下ろす。

 その瞳はマサと同じ、ツキカゲと同じ無色だ。

 

 「はて? 俺を凝視して、一体どうしました?」

 

 分厚い本、聖書のページを開く、牧師服の翠晶眼。

 いやまて、偶然似た人かもしれない。カヨウは咄嗟にその仮定に逃げる。

 

 「しばらくお待ちねぇ、エクスプリーストさん!」

 

 マサのアナウンスに、カヨウは咄嗟に新聞で顔を隠した。やはり、この男は前にツキカゲと闘い、そして敗北を喫したエニマリーなのである。

 

 

 「斬れ!!斬れぇい!!斬れぇぇぇぇぇいぃぃぃぃ!!」

 

 鍛治場では、カネモリが念を込めた叫びをあげながら、メテオリウムにレーザーを掃射していた。

 来客か。隣の閲覧室に正座し、カネモリが刀を製造をするところを窓越しに見ていたツキカゲは、外でアナウンスが鳴ったことには気がついた。

 

 「カネモリ先生、席を一旦外す」

 

 「ぶった斬れぇぇぇぇぇぇぇぇいぃぃぃぃぃ!!! ん、いいぞ!!」

 

 ツキカゲは立ち上がり、念を込め叫びを止めぬカネモリを背に退出する。

 

 

 「俺はエクスプリースト。見てくれのとおり牧師であり、そしてエニマリーをしております」 

 

 分厚い書物を胸にあて、エクスプリーストはカヨウに頭を下げ挨拶する。

 

 「んー、知り合いじゃないの御二人さん? アケヨさんがずっとエクスさんを見ているけど」

 

 警報を受話器に置き、マサは室内の二人を見る。

 

 「うーん、俺の中では記憶にありませんね……いや、どこかでお会いしたような……ん、私が見上げたとき」

 

 「いえいえいえいえ! ひ、人違いでした、私たちは面識一切なく」

 

 「おい、アケヨ」

 

 待合室にツキカゲが入室してしまった。

 咄嗟にカヨウが身を起き上がらせるも、手をあたふたと振っただけではツキカゲとエクスプリーストの対面を止めることは出来なかった。

 

 「……アンタ」

 

 「おや」

 

 「あ、アナタたちが知り合いですね!」

 

 数秒顔を合わすツキカゲとエクスプリーストに、マサは元気よく質問する。

 

 「あぁ、コイツをぶった斬った」

 

 「ハイ、彼にぶった斬られました」

 

 二人はマサに体を振り向き、交互に答えた。

 マサとカヨウが顔をひきつらせた中、室内にカネモリが入る。

 

 「マサぁ!!待合室に敷居は立てと言うただろうがぁぁぁ!!」

 

 カネモリは怒声をあげ、握り拳を振り上げマサを叱りつける。

 

 「すんませんっした!! これから立てるっす!!」

 

 マサは頭を下げて大きく謝る。

 

 「もう遅いわぁ!! じゃから敷居は立てろっち言うただろ!!」

 

 「まぁまぁカネモリさん」

 

 エクスプリーストはカネモリとマサの間に入り、掌を二人の前に出して静止させる。

 

 「俺達のことなんて気を使わずに大丈夫ですよ。そこの彼に斬られたことなんて、全く気にすることもない程度です」

 

 ピクリと、ツキカゲはエクスプリーストの発言に反応する。

 

 「じゃ、じゃがな……弟子の不備にはのう」

 

 「この程度の傷、何も気を労することありません。ですので、どうか気を静めになって」

 

 「そうだ。俺もコイツなんて、手応えが無さすぎてすっかり忘れちまってた」

 

 ツキカゲの無遠慮な煽りに、隣にいたカヨウは顔を蒼白にした。

 

 「ツキカゲさん!?」

 

 「恨みを買うのは慣れている。だったら、外で第二戦といくか?」

 

ドアを指差すツキカゲに、エクスプリーストは彼の指先を見ず鋭い顔を見下ろす。

 

 「フッ、まだ体を動かし足りないのでしたら、この外で再び私の周りを跳び跳ねますか」

 

 「体が鈍ってんだ、さっさと構えろや」

 

 「そ、そこまでです!!」

 

一種触発とした雰囲気の二人の間に、カヨウはあたふたと手を震わせながらも、上目遣いで二人に怯える目を合わせた。

 

 「あ、争いなんて、もう終わった争いなんて、続けても痛いだけです」

 

 (ほう。アケヨ、この娘は出来るのう)

 

 勇気を振り絞って仲裁に入るカヨウの姿に、カネモリはアゴヒゲをさすりながら感心する。

 

 「で、ですのでツキカゲさん」

 

 「なんだ?」

 

 「す、すみません!!」

 

 ツキカゲはカヨウに向け、鋭い眼つきと共に威圧感も向けてしまう。

 

 「ツ、ツキカゲさん……」

 

 「……あぁ、外だろうが、カネモリ先生の近くで戦は法度だ」

 

 ツキカゲはエクスプリーストに向けた構えを解く。

 

 「えぇ、俺こそ冗談が過ぎました。同じ得意客ゆえ、些か嬉しく興奮してしまいましてね」

 

 エクスプリーストもまた、威圧感を消して椅子にゆっくりと座り込む。

 

 「当たり前じゃろが、目の前でワシの作品同士が打ち合うのは我慢ならん」

 

 カネモリは眉間に皺を寄せて腕を組む

 

 「マサ!! ボイラーの点検じゃ!! および採掘機器の装填、そして床掃除じゃ!!」

 

 「えぇ……お、御忍(おす)!!」

 

 ゲンナリしたマサは、カネモリに睨まれ背筋をピンと伸ばす。

 

 「ふぅ……客同士が相席とは、また珍しいことになったもんじゃ」

 

 カネモリは鍛治場に戻り、マサも待合室から退室する。

 待合室には、カヨウとツキカゲ、エクスプリーストが残された。

 

 

 「え、えと」

 

 カヨウはツキカゲとエクスプリーストを交互に顔を向ける。

 触発する雰囲気は消えた。そうなのだろうとカヨウは感じた。

 カヨウはとりあえずツキカゲの隣に座る。エクスプリーストはカヨウの目の前の椅子に座っている。

 

 「えっと……うーん……」

 

 不自然に静まった室内の雰囲気に、カヨウは居心地の悪さを感じる。

 

 「……エクスプリーストさんも、ここの常連でしょうか」

 

 「えぇ、最近ここをお気に入りにしています。あと、エクスで結構です」

 

 エクスプリーストは気のいい笑みで答える。

 

 「俺の得物はここで造られていてね。俺の性に合う武器でした」

 

 クックックッと、エクスプリーストは笑いを抑える。

 

 「何でも、俺に似合うイメージで造ったと。あの弟子さん、中々いい武器職人です」

 

 「そうでしょ!」

 

 障子が開き、エプロン姿のマサが入室する。

 

 「あら、マサさん、清掃はどうなのですか?」

 

 「ふん、今のを聞いて確信したわ。やっぱアタイには武器を作るのが一番だと!」

 

 意気揚々と、マサは手に持ったモノを掲げる。それは鞘であった。

 

 「それは、何だ?」

 

 「フッフッフッ、これぞ武器の新境地、近接主体のツキカゲさんがオールレンジに立ち回れる便利武装!」

 「マサァ!!」

 

 マサの背後に、レンチを持ち怒気を放つカネモリがいた。

 

 「お前ぇ……掃除はどうしたぁぁぁ!!」

 

 「う、うるさぁぁぁい!! いっつも掃除に掃除って!!」

 

 マサは鞘を振り上げ、半泣きで怒鳴り返す。

 

 「アタイだって武器は作れる!! なのに鍛治場に入れてくれない!!」

 

 癇癪をあげながら、マサは地団駄を踏む。

 

 「掃除も隅まで出来ぬ輩が、俺の鍛治場に入るんじゃねぇ!!」

 

 「掃除なんて、武器を作る時間がなくなるじゃない!!」

 

 「ハッ、武器? こんな歯車だらけの工作がかい!?」

 

 カネモリはマサの製作した鞘を取り上げる。

 

 「テメェの作る武器には一本木ってのがねぇ! 無駄なものを付け足しおって!」

 

 「無駄とは何よ! 見なさいよ、アタイの作った武装を!」

 

 マサは泣きながら、椅子の横にあるロッカーから鞘を取り出す。それはツキカゲが普段携行する鞘と同型であった。

 

 「例えばコレ!! ”火影走”! 仕込んだ薬莢と油圧式ローラによる抜刀の高速化! 一切見切られることなく相手を瞬殺できるわ!」

 

 「そうかい。じゃあ、そんだけ速い刀を、誰が掴んだまま放てるってんだい?」

 

 ツキカゲが手をあげる。

 

 「……すまねえツキカゲ、おめぇみてぇなデタラメは他にいねぇからな」

 

 「と、とにかく!!じゃあ、“雷影砲”!! 納刀時も射撃兵装として機能!! コンパクト収納かつ速射性にも優れ、更にセンサーにより目標へ自動照準! 目標を確実に射殺!」

 

 「さりげなく、センサーなどの技術も入れられているのですね」

 

 マサが新たに取り出した鞘に、エクスは感心を寄せた。

 

 「そんなの、鞘と拳銃で十分じゃねぇか、なんで合わせる?」

 

 「うっ!?」

 

 「便利かもしれねぇが、わざわざそんな面倒な武器を使うやつがいる? 便利すぎて射撃として不十分じゃねぇのかい」

 

 ツキカゲは火影走を持っていない手をあげる。

 

 「ツキカゲ……おめぇは確かに拳銃は使わんしな」

 

 「あとエクゼスカッター! 絶対防御と絶対切断の矛盾機能!! あらゆる攻撃から身を守り、あらゆる対象を掴んで挟み殺す!!」

 

 マサは握り拳を作って主張する。エグゼスカッターは手元になかった。

 

 「あぁ、あの見るからに取り回しと重量が最悪なギロチンか。何でそんな形にする必要がある?」

 

 「エ、エクスさんの見た目にぴったりだったからです!」

 

 「えぇ。俺もアレには常に助けられています。どうも持久戦が苦手な変異能なので」

 

 「ツキカゲにエクス、顧客であるのは嬉しいが、口出しせぬでくれ!!」

 

 カネモリは眉間にしわを寄せる。

 

 「どうよ!? アタシの武器は、きちんと人気あるのよ!」

 

 「フンッ、例え売れようが、貴様がなっていないのには変わりあらん!!」

 

 得意気になっているマサに、カネモリは態度を崩さない。

 

 「よいか! 真に大切なのは心じゃ! 心頭一点して作る武器こそ嗜好なり! 武器なぞ、下らぬ機能は付けずにそれで十分じゃ!!」

 

 「下らぬ機能って何なん!? 時代は多機能、予想だにしない機能で選局を変えるのは志向よ!」

 

 お互いに一歩を譲らない争いに、カヨウは仲裁に入ろうか慌て、他の傭兵二人は静観する。

 

 「そんなに機能特化したいのじゃら、エメラメイル重工にでも移籍しやがれ!!」

 

 「確かにそうね!! あそこは私みたいな、どんな武装でも作れる人材が欲しいハズよ!」

 

 「何でも作れるとぬかすな!! 武装なんてのは、倒すのに銃と刀を作るだけで十分なんでい!」

 

 カネモリの剣幕に、マサはビクリと背筋を震わす。

 

 「マサ!! 貴様は武装を作る意味を考えろ!! 工房に入るのはそれからだ」

 

 マサは肩を震わせるのみ。ただ悔しさを堪え、涙目でうつむくしかなかった。

 ガシャンと、一瞬床が揺れ、外の景色が一瞬停止する。

 

 「ッキャ」

 

 カヨウが頭を抑える。

 

 「ほれ見ろ、整備不足でガタがついてきとる。さっさと直さんかい!!」

 

 「わ、わかりました!!」

 

 言われたことをやるしかない、そう思いマサが部屋から出る瞬間。

 

 「ヒャッハハハハハ!」

 

 外からけたましいクラクションと共に、砂漠賊が数台のバイクで襲いかかってきた。

 

 「キャアっ!?」

 

 砂漠賊のバイクがカネモリ工房に密着する。乗り込むのは時間の問題だ。

 

 「前からつけてたが、有り武器を全部頂くぞ!!」

 

 「キャアアアアアっ!?」

 

 壁を切りつける音に、カヨウとマサはお互いを抱いて怯えた。

 

 「チッ、次から次へワシを怒らすない!!」

 

 剣幕の形相で、カネモリは先程から大人しい傭兵二人に振り返る。

 

 「ツキカゲ!! エクス!! 報酬は武装の特別価格セールス!! 任務は"面倒な客を全員蹴散らせ!!"」

 

 「任務、了承」

 

 「任務、承りましょう」

 

 ツキカゲとエクスプリーストは同時に立ち上がり、ドアへと向かう。

 

 「お二人とも……」

 

 二人の後ろ姿に、カヨウは投げる言葉を思いつけなかった。

 二人の背中は、絶対的な強さを隠さず威圧として放っていた。

 

 「あ、二人とも武装は!?」

 

 マサは咄嗟に質問を投げた。

 

 ((あ、手持ちがない))




 いかがだったでしょうか。

 久しぶりに、あのキャラを再登場できたことに、私自身はとても嬉しく思っています。
 今回の彼は味方、果たして戦闘にどれほどクランチェインと共闘できるか。私はこういう一期一会、昨日敵は今日友な展開が好きなので早く書きたいです。

 あとがきはこのぐらいで、また次回!

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