閣下に憑依した中二病がこの素晴らしき世界に来るそうですよ?   作:三頭龍

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「我が勇者は何時現れるのやら…」

 とある噂話を冒険者から聞く。

曰わく、何故か低レベルで世界トップクラス。

曰わく、この頃上記が頻繁に発生。

曰わく、魔王の城否、別の目的遂行。

 

 我が転生を果たして数時間でこの騒ぎ。

察するに天界で神々が多量に送り込んで居ると。

 

 我はそんな輩を目の前に少し期待を持つ。

神器を持つならば我が悪の御旗を打ち砕けるのかと。

 

「いざ来たれ英傑共よッ!死力を尽くせ!知謀を尽くせ!蛮勇を尽くし我が胸を貫く剣となって見せよッ!」

 

 彼の宣言はチート持ち冒険者の足を動かす。

 

   一人、伝説の武器を所持していた。 

     戦いますか?逃げますか?

                 Yes

                  No

 

「俺の名前はリク!お主の首を頂戴しようか」

 

 彼は冒険者に絡まれた…

彼に選択の余地は無く、相手は既に王都でも名を馳せる強者の一人。

 

 リクが切りかかるものの、彼は軽く自身の爪で弾く。

確かに今までのモンスターは断然強者だが…モンスターは彼からすれば皆雑魚に分類される。例外を除いて…

 

 我は形状から千の魔術を起動し検索に入る。

飛び交い剣は障害物を意図も簡単に切り裂き彼に迫るが難なく避けながら剣を誘導し他冒険者を滅する。

 

 形状と飛び交う神話武器の正体は、北欧神話から…勝利の剣と結果が出る。

 

 リクの特典は北欧神話で有名な勝利の剣。

持ち主の意志に反応し望むままに洗浄を飛び交い切り裂けない物は無いとまで言わせる伝説の剣。

 

 リク自身は特にする事も無く安全圏から剣を操って居るに過ぎない…これから察するにリク自身は弱者と。

 

 方針が決まれば後は実行あるのみだ。

勝利の剣が飛び交う中、彼は軌道を見切り一撃を入れる。

 

 勝利と言う固定概念を前にしてアジ=ダカーハは全身全霊で勝利を弾く…此こそ我が目指す閣下であろう。

 

 確かに剣は最強の伝説の剣かも知れない…

だが、実態は経験が未熟な上に神を裏切らないように制限が有る為我に当たることは無く敗北していた。 

 

 それ所か彼が避けてる間に数人は重傷を負っている。

コントロールが上手く無い…どちらが悪だか、

 

    一人、大魔法使いが現れた。

     戦いますか?逃げますか?

                 Yes

                  No

 

「私はアロン!貴様は私の餌に過ぎない」

 

 彼は魔法使いに絡まれた…

彼に選択の余地は無く、相手は世界トップクラスの大魔法使いであろう。

 

 魔術vs魔法の対決が此処に始まる。

両者共に詠唱を開始し始めると周りの冒険者は全力で四方八方に逃げ出す。

 

 両者同時に発動した。

魔法使いなアロンは、マラゾーマを繰り出す(約二千度)

魔術を使用する我は、翼を使い空へ上がりマラゾーマを交わしつつ、水の魔術+氷の魔術+雷の魔術により拘束し雷を一撃与えて終了した。

 

 本来は魔術など使わず自身で戦う方が強いは楽だ。

我の場合は同時に3詠唱か一詠唱を3分割させられる。

 

 確かに実力が有るのは理解した。

…が、故に我は強すぎたことを改めて理解した。

 

「…つまらん、我が罰だ。絶望をくれてやる」

 

 今日こそ面倒に成り周囲一帯を魔法陣として、大魔術を発動させる。

 

 周囲の草木は燃え上がりモンスターさえ煉獄に焼かれチート冒険者こそ無事だがすぐさま逃げ出す。

 

 ……一人の青年を除いて

 

 その青年は伝説のロット風な姿をしていた。

手に握るのは魔剣だが評すべきはその勇敢さ…しかし、愚かさの方が勝る。

 

「貴様が我が勇者と成り得るか…見せて貰おうか!!」

 

 この勇敢で愚かな者の為に…

我は、再度構えを改めて攻撃に望む。

 

「僕は美しき女神に、この魔剣グラムを戴いたミツルギキョウヤだ!」

 

 魔剣グラム…北欧神話最大英雄の一人・ジークフリートが愛用した剣。

 

 主神オーディンが林檎の木にさし財宝の後継者候補者を募らせ結果としてジークフリートが国や王位を手に入れ最終的にはオーディンに折られた剣。

 

 ミツルギが切りかかるも剣術は淡く紙一重に避ける。

対術を心掛けて居るようだが大陸程の質量を三メートルに圧縮した彼はビクともしない。

 

 魔剣グラムは石は簡単に断ち切るが閣下の爪以下だ。

簡単に弾かれ腹部に一撃彼の拳が入れば鎧は砕ける。

 

「終わりだ、今を生きる愚かな勇者よ。貴様では──この“悪”の御旗は砕けないッ!」

 

 ミツルギキョウヤは腹を押さえて膝を着く。

その絵は、勇者が魔王に屈服するかを思わせる絵だ。

 

「……つ……!!!」

 

 絶句。

だが、ミツルギの頭に一言のみ過ぎる。

 

「な…なんだお前は」

 

 息を切らしながらもミツルギは我に問う。

お前は何者かと…

 

「我こそは悪神、魔王アジ=ダカーハ。宗主より全人類の悪を背負いし不倶戴天の化身なりッ!」

 

 その言葉は屈服させる所かミツルギを立ち上がらせる。

 

「…な、なら僕は…お前を倒さないと生けない理由がある!だからお前を倒す…魔王アジ=ダカーハ!!」

 

 魔剣グラムに光が集まり光り始める。

光が集まり終えると剣を構え一撃。

 

 ミツルギと魔剣グラムが今出せる最大の一撃。

彼は動くこと無くその一撃を受ける。

 

 これが人類の意志の力か…

かつて彼が棄てた世界と人間の身体。

 

 彼──ミツルギキョウヤは、どちらが強者かを弁えた上で自身の意志で立ち上がり最大の一撃を放つ。

 

 ミツルギの全力は彼の純白な皮膚を少し血で染める。

その血から、新たな眷属が産まれる。

 

「ちッ、僕の全力を持ってもこの程度か…」

 

 地面を強く己の拳で叩く。

崩れ去る身体に最早立てる力は残って居ない。

 

「誇るが良いマツルギよ。貴様は我に傷を負わせた…これからを楽しみにしている」

 

「ミツルギだぁぁぁぁ!」

 

 ミツルギの意識は其処で無くなる。

我は彼の足を掴み西の方角へ投げ飛ばす。

 

 ミツルギは馬車の上に落ち一命は取り留めたようだ。

ただ、残念な事に今日の記憶は無いようだが…

 

焼けた森に残る生物は我と…小鳥一匹だ。

 近寄る鳥は、我の足元に舞い下りる。

 

「許せ…我は悪に生きる者故だ」

 

 そして鳥を持ち上げ握り潰す

 

 

 

 

 

 

 ……事は出来なかった。

六つの目から流れるものは──涙。

 

 我は、今悲しんで居ると実感した。

転生して、閣下に成って気づく──彼女が人間を愛したように自分は生き物を愛して居るのだと…

 

 故に目的は変わらない。

俺が存在すれば何かが死ぬ──ならば我を殺せる者を集めるしか無い。

 

 悪の御旗を──魔王として世界に君臨する。

さすれば、いつの日か我を打ち砕けるだろうと。


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