忠誠の儀の後、セバスが帰還した。そして、彼からもたらされた情報は、二人の支配者に大きな衝撃を与えるものだった。それこそ、例の強制的な精神の安定化が起こるほどに。
「草原だと?」
「沼地じゃなくて?」
「はい。ナザリックの周囲は草原になっており、知的生物の存在は確認できませんでした」
「知的生物はってことは、生物がいるにはいたんだよな。その生物の戦闘力は?」
「どれも取るに足らない、レベル一にも満たないような小動物ばかりでした。また、空にはこの第六階層と同じように夜空でした」
「夜空……? 空に天空城やメッセージのようなものはなかったか?」
「はい、そのようなものはございませんでした」
魔法によって二人だけに通じる会話を始める。
(モモンガさん、俺の記憶がバグってなかったら、ナザリック地下大墳墓は沼地にあるはずだよな?)
(ええ、そのはずです。どうやら、単にゲームが現実になったって話じゃないみたいですね)
(小動物しかいない草原とか、初心者ステージかよ。チュートリアルがあるといいんですけどねー)
(シルクさん、真面目にやってください)
(真面目にやれるか! 頭がパンクしそうだわ! ああ、一回寝たい。……というか、この身体に睡眠は必要なんでしょうか?)
(さあ? アンデッドや精霊に疲労という状態異常は存在しないはずですから……必要ないんじゃないんでしょうか?)
(てか、本当に人間やめたなら、俺ら生きているって言えるんでしょうか? 今の俺、炎なんですけど。正確には星のオーラ的なあれの塊なんですけど。五感のうち、触覚と味覚と嗅覚がなくなっているんですけどー! 逆に聴覚と視覚は良くなった感じがします)
(それを言ったら、俺なんて骨ですよ? まあ、守護者たちNPCは俺達に従順みたいですし、彼らにも働いてもらいつつ、警備体制の強化ということでよろしいですか?)
(異存はないです)
「聞いてのとおりだ、ナザリックは謎の転移に巻き込まれた可能性がある。このことに関して何か心当たりがあるものはあるか? また、各階層に異変はあったか?」
首を横に振るう守護者一同。もっとも、モモンガもシルクも返答を期待していたわけではない。そもそも、NPCが認識している『通常』が、プレイヤーの考えているそれと同じとは限らない。墳墓の外に出ることもそうだし、モモンガの話では、アウラやマーレはフレンドリィ・ファイアはずっと解禁されているという認識だったそうだ。そういった認識の違いが他にもないとは思えない。
何はともあれ、NPC達には自分達への叛意がないことは確認できた。後は彼らを信頼して、安全を確保するべき範囲を自分達からナザリック地下大墳墓へと拡大する必要がある。
アルベドとデミウルゴスが主体となり、第九階層や第十階層を含めたナザリック地下大墳墓全体の警備体制の変更することになった。更に、大墳墓全体を隠すため、上空には幻術をかけ、壁部分はマーレの魔法で大量の土で隠すことも決定した。
ある程度の隠蔽と警備体制が完成したら、調査隊を組んでここがどこなのかを把握する必要がある。情報系魔法やアイテムを見直す必要があるだろう。
「私とシルクさんは今後の話し合いを行うため、一度円卓に向かう。緊急事態が発生した場合はただちに知らせるように。……最後に、お前達にとって私達とはどのような存在だ? まずはシャルティア」
「モモンガ様は美の結晶。まさにこの世界で最も美しいお方でございます。対して、シルク・タングステン様は幻想の王。その力の前では神さえ平伏すでしょう」
「コキュートス」
「モモンガ様ハ守護者各員ヨリモ強者デアリ、マサニナザリック地下大墳墓ノ支配者ニ相応シキ方カト。シルク・タングステン様ハアラユル真偽ヲ見抜ク賢者デゴザイマス」
「アウラ」
「モモンガ様は慈悲深く、深い配慮に優れた御方です。シルク・タングステン様は厳格でありながらも、愛に溢れた御方です」
「マーレ」
「お、お二人とも、す、凄く優しい方だと思います」
「デミウルゴス」
「モモンガ様は賢明な判断力と、瞬時に実行できる行動力も有される方。シルク・タングステン様は深い知識と経験により、常に千手先を見通される方。端倪すべからず、という言葉は御二方のためにあると思われます」
「セバス」
「モモンガ様は至高の方々の総括に就任された方。シルク・タングステン様は至高の方々からモモンガ様に劣らぬ信頼を向けられていた方。そして、最後まで私達を見放さずに残っていただいた慈悲深き方々です」
「最後になったが、アルベド」
「モモンガ様は至高の方々の最高責任者であり、私どもの最高の主人です。そして私の愛しい御方です。シルク・タングステン様は星の法の番人であり、私の愛しい御方の唯一無二の親友でございます」
愛しい御方という言葉に、存在しないはずの頬を引きつらせながら、モモンガは言う。
「……成る程。各員の考えは十分に理解した。私の仲間達が担当していた執務の一部もお前達に委ねる。今後とも忠義に励め」
「じゃあな、お前ら。先に言っておくけど、無理はするな。疲れたら休め。何があるか分からない状況下では精神的な余裕がものを言う」
大きく頭を下げた守護者達が拝謁の姿勢を取るのを見ながら、モモンガとシルクは指輪の力を使い転移する。
転移先の円卓で、モモンガとシルクは顔を見合わせた。骨と炎なのだが、そこに疲労感が見えるのは気のせいではないはずだ。
「え? 何あいつら、あの高評価。マジでしたよ、シルクさん」
「モモンガさん、あいつらの忠誠心? 信頼? が、とにかく重いっす」
はあー、疲れた、と深い溜め息を吐き出す至高の存在二名。無論、非生物である彼らに呼吸は不要な行為であるため、ただの感情表現だ。
「美の結晶って。アンデッドの視点だとこれがイケメンなのか?」
「幻想の王とか、俺は神官だから幻術の類は使えないっての」
「守護者全員よりは強くないよ。シャルティアには相性悪いしなあ。ネタビルドだからそこまで強くないし」
「俺の場合、攻撃に関してはへっぽこもいいとこだぜ。とろいし」
「というか、俺達ってNPCに愛とか優しいとかって思われるようなことしましたっけ?」
「覚えてないですね……。てか、俺、厳格とか思われていたのか」
「俺にはそんな大した判断力も行動力もないよ……」
「先読みはそこそこできるけど、得意ってほどではないわー。あと、たんげいって何て意味なんでしょうね?」
「確かにまとめ役だったけど、実際は連絡係ってところだったし、褒められるような立場じゃないっての!」
「最古参のモモンガさんと後発の俺じゃ信頼の度合いは違うって」
「最高の主人かぁ」
「星の法の番人って何ぞ……?」
それが守護者各員の言葉を反すうした彼らの素直な感想だった。有体に言って、疲れていた。未知の状況もそうだが、されたこともないような称賛を受けることは想像以上に精神的な負担をもたらした。
称賛とは優れた人間に贈られるものだ。もっと言えば、優れたことに対して贈られるものだ。だが、自分達は彼らに褒められるようなことをした覚えがない。ユグドラシルでは最強ギルドの一員でも、リアルの視点から見ればただの廃人プレイヤーだ。
「ところでモモンガさん。俺の勘違いだったら謝るんですけど、アルベドの設定いじりました?」
アルベドの言動は奇妙だった。忠誠心を感じたのは他のNPCと同じだが、妙にモモンガへの比重が高い気がしたのだ。いや、あれは忠誠心というより、もっと別のプラスの感情だ。
それから、この不可思議な現象が起こる前に、モモンガは何やらコンソールを出していた。あれはアルベドの設定を変更していたのではないだろうか。本来ならば設定の変更は無理だが、スタッフ・オブ・アインズ・ウールゴウンを持つモモンガならば可能だ。
骸骨であるは故に表情は見えないが、声に露骨なくらい動揺が表れた。状況証拠だけではなく、心証も疑わしくなった。
「な、何を証拠に」
「……タブラさんがいても同じ台詞吐けるのか、骸骨。早めに言った方が楽だぞ」
「ごめんなさい! 悪気はなかったんです! 出来心だったんです!」
やはり、モモンガは玉座の間に到着してからギルド武器の力を使って、アルベドの設定を書き換えたそうだ。
「元はどんな設定でしたっけ?」
「いや、やたら長い設定だったんですけど、最後の一文に、その『ちなみにビッチである』って」
「さすがはタブラさん。ひでえ。いや、これはない。マジでない」
基本的に、ユグドラシルでは18禁内容はご法度である。運営にバレたら即アカウントを停止されるほどだ。しかし、意外と穴は多い。サキュバスのようなエロ系モンスターもいる。このナザリックに配置されているNPCでも、際どい設定のNPCが何体かいる。
具体的には、シャルティアだ。エロゲーを愛する男が製作したため、エロ方面にやばい属性がてんこ盛りだ。あくまで『設定』であり、本当にどうこうなる訳ではないが。また、エロ最悪の二つ名を与えられたローパーもいる。
さすがにビッチは気の毒だと思ったのか、モモンガはアルベドの設定からその最後の一文を消去したそうだ。しかし、消すと今度は何か物足りない。膨大な設定の羅列に思えたが、あの分量は絶妙な加減だったのだろうか。
『モモンガを愛している』
本当、魔が差したとしか思えないような内容だった。
「モモンガさん、アンタ何書いてんの?」
「い、いや、違うんです。最後なんだし、ちょっとくらいいいかなーって」
「まあ、文句はないんですけどね。アルベドは俺が作ったNPCじゃないし。タブラさんの性格的に、逆にアリだと言いそうだし」
でも引くわー、という言葉を喉に押し込むシルク・タングステン。文字数がぴったり同じことに、奇妙な運命を感じながら、忘れることにする。
「まあ、いいや。じゃあ、恥ずかしい告白大会だ。実は俺もモモンガさんに謝らないといけないことがあるんだ」
「え?」
「モモンガさん」
いつになく神妙な声で、シルク・タングステンは爆弾を投下した。
「俺が内緒でレベル百NPC作ったって言ったら怒ります?」
■
モモンガが骨の手で円卓を殴りつける。
「怒るに決まってんでしょうが! 何やってんだ、シルク・タングステンッ!」
「おお、珍しい。モモンガさんがキレた」
「珍しいじゃないですよ! というか、いつですか? いつ作ったんですか!」
「一ヶ月前です」
「めっちゃ最近じゃないですか!」
怒りが高まり精神安定化を受けるモモンガだが、完全に感情が消えるわけではない。じりじりと弱火で焼かれるような感覚が胸に残る。赤い眼孔をシルクに向ける。
「やっぱり、アンタるし★ふぁーと仲良かっただけはあるな!」
「いやあ、それほどでも」
このアインズ・ウール・ゴウンにおける最大の問題児こと、るし★ふぁー。ゴーレム職人としてはかなり有能だったが、それ以上に問題児だった。彼以上に問題児という言葉が似合う男もそうはいないだろうというくらい問題児だった。ただ、彼の名誉のために言っておくと、『最大の問題児』であっても『唯一の問題児』ではなかった。というか、アインズ・ウール・ゴウンにはほとんど問題児しかいなかった。
多少の誹謗中傷や風評被害はあるものの、アインズ・ウール・ゴウンがDQNギルドであったという点は偽りでもなければ誇張でもないのだ。五大最悪と呼ばれるNPC達がいたり、第八階層があったり、カルマ値が極悪になるほどPKをしたりしたが、それらを意気揚々とする辺り、問題児集団であることには違いない。
ぶっちゃけ、シルク・タングステンも自分がかなりの問題児であるという自覚はある。アインズ・ウール・ゴウンでなければ、自分は所属ギルドを内部崩壊に追いやった自信がある。るし★ふぁーと仲が良かったのは結局、問題児的な思考がかみ合ったからだ。あと、ゴーレム作りも好きだった。ただ、自分以上るし★ふぁー未満の問題児も決して少なくはなかった。
そんな問題児集団をまとめあげる辺り、モモンガのカリスマはやばい。カリスマというか、人の心を埋めることが得意なのだろう。時代が時代なら、それこそ革命を起こせたかもしれない。……リアルでは完全に人類はデストピア状態なため有り得ないが。NPC達の評価は自分に対するものは的外れだが、モモンガに対してのものは案外適切なのかもしれないとシルクは思っている。まあ、今は褒めるよりも言い訳の時間だ。
「いやあ、どうせまだ容量余っているし。作っても誰も文句言わないだろうし、そもそも気付かないだろうし」
「ええ、気付きませんでしたよ! どうせ金貨なら宝物殿に山のようにありますから、あと一ヶ月くらいならもつと思って支出は細かく見てませんでしたしね。……ところで、どんなNPCです? まさかルベドより強い奴なんて作ってないでしょうね?」
モモンガの心配はもっともだと思いつつも苦笑してしまう。
「いや、あいつは滅茶苦茶弱いよ。単体なら、プレアデスでも倒せるぜ」
「え? でも、レベルは百なんでしょう?」
ユグドラシルにおいて、レベル差は絶対的な概念の一つだ。レベルが十違うだけで、よほど相性が良くない限りは勝率はないと考えていい。
しかし、プレアデスのレベルは五十前後。普通ならば相性が良くても無効化されるようなレベル差だ。しかも、集団ではなく単騎で相手にできるという。
「レベルは最大だ。そのレベル百のうち、種族は二十で、職業は八十だ。だけど、その八十全てを、後方支援特化に回している」
「後方支援特化、ですか?」
「
「でも、素の能力が低くても、強化を重ねれば普通に強いのでは?」
ユグドラシルでは弱い職業にはそれなりのメリットがあり、強い職業にはそれ相応のデメリットがある。ただ一方的に弱いなど普通なら有り得ない。しかし、シルク・タングステンは普通ではなかった。
「自分への強化に制限をつけて、他人への強化を強くするって
「頭おかしいですね、シルクさん」
「自覚はあるよ?」
おどけるように肩を竦めるシルク。表情は変わらないが、むかつく表情をしているに違いないとモモンガは理解する。
「種族は妖精、職業はそれに合わせた吟遊詩人。名前をローラ。俺の可愛い可愛い娘さ」
妖精は幻術を得意とする異形種だが、ナザリックにはNPCにもPOPモンスターにもいない。いや、いなかった。つまり、唯一の妖精ということになる。職業が吟遊詩人でも、種族が妖精ならば幻影が使えるだろう。何があるか分からない現状では色々な能力があった方が心強い。
それにしても、他人の強化と弱体化にレベル八十を全てつぎ込むとか、どんなめちゃくちゃなビルド構築にしたんだ。
「ちなみに、容姿は初恋の人とリアルの俺をたして二で割りました。十代前半の女の子です」
表情筋のない骸骨であるはずなのに、モモンガが引いたのが分かった。
「黒歴史じゃないですか。パンドラズ・アクターとは別ベクトルで」
「だから言いたくなかったんですよ」
「というか、シルクさん。アンタ絶対、『娘を守る父親』と『父親を応援する娘』というイメージで作っただろう」
「よく分かりましたね、そうです」
「だってシルクさん、防御特化じゃないですか。チーム戦だとタンクしかできないじゃないですか。回復魔法はほぼ自分が使う用じゃないですか。あと、ダメージ肩代わりするスキル持っているじゃないですか。それに加えて、初恋の相手がモデルになっているなら、そうに決まっているじゃないですか。ドン引きですよ」
「うるせえよ、骸骨が。童貞の想像力をなめるな」
「俺だって童貞ですよ! ……はッ! つまり実戦使用しないでなくなっちゃったじゃないですか!」
「その体で性欲あんの? ちなみに、俺はない。アルベドやメイド達を見ても全く悶々しなかった。無論、デミウルゴスやコキュートス相手に興奮することもなかった」
「いや、俺はそこまでじゃなかったんで……。残滓程度ですけど」
モモンガはアルベドやシャルティアに攻められてどきまぎした瞬間を思い出す。表情のないアンデッドで本当に良かったと思う。あれだけ高評価を受けているのにだらしない姿を見せることなどあってはならないことだ。失望されたら叛逆される可能性だってあるのだから。
「そうですか。アンデッドは元々生物だからですかね? 最初から非生物として存在する精霊にはないんでしょうかね」
はっはっは、と天井を見て軽く笑うシルク。だが、突然、モモンガに向き直る。表情が動かないために分かりにくいが、真剣な真顔をしているのだと思う。
「
突然、日本人の名前を口にした。
「田んぼの田に中目黒の中、優しいで、田中優です。リアルでの俺の名前です。ああ、有り触れた名前って言うのはいいけど、手抜きな名前だとか言わないでくださいね。俺、マジでこの名前を愛しているんで」
「え?」
突然本名を出したシルクに戸惑いを隠せないモモンガ。リアルを特定できるような情報は、オンラインゲーム上では昔からご法度のはずだ。
「強制終了が出来ない以上、帰れないわけじゃないですか。いや、帰るって言い方でいいのかな? この世界はゲームじゃないみたいだけど、もしかしたら、俺達はリアルにいるのかもしれない。まあ、じゃあ『戻る』でいいか」
「戻るって、現実にですか?」
「人間に戻るって話だよ」
現実を突きつけるように、シルクは言う。
「俺、こんな性格だから、戻る方法を探すより、この体をどうやって受け入れるかを考えちゃうんですよ。打開策じゃなくて妥協策を考えちゃうっていうか。まったく、我ながらあの頃の思考がまだ抜けない」
「あの頃?」
「あ、これもこっちの話です。とにかく、他のギルメンはいねえし、プレイヤーも少なくとも近くにはいねえし、リアルとのコンタクトはできねえし、運営もいねえし、NPCはあの態度だ。つまり、俺はこれからモモンガさんと一蓮托生なわけだ」
「ええ、そうですけど」
「だから、腹を割ろうと思ってさ。いや、俺も今から人生の全部を言うつもりはねえよ? 間違いなく引かれるって思い出も結構あるしね。ただ、これから本気で命を預ける人に、本名……いや、もう本名って言っていいのか分からないけどさ。『ゲーム』の中だけの情報しか教えないってなんか不義理じゃない? 関係の名前は変わらない。俺と貴方は友達で、仲間だ。だけど、名前は変わらなくても、内容は変わるんじゃない?」
「…………ええ、そうですね」
モモンガはローブを軽く引っ張り、身なりを整えた。本人は怒るだろうが、その動作はパンドラズ・アクターによく似ていた。やはり被造物は創造主に似るのか。
「鈴木悟です。リアルでは友達も恋人も家族もいません。小学生卒業の、有り触れた社会の歯車の一つです。ユグドラシルが、人生のすべてでした。だから、リアルに未練はありません。むしろ、貴方と一緒にいられるだけ、今の状況の方がいいです」
「おおう、結構言うね、モモンガさん」
「あと、それから、本当だったらユグドラシル終了の時に言うべきだったんでしょうけど……」
「ん?」
何を言うつもりなのかと身構えるシルクを見据えて、モモンガは両手を円卓につけて、頭を下げた。
「最後まで残ってくれて、本当にありがとうございました……!」
それの感謝は、どういう意味なのだろうか。この意味不明の状況に一人きりでなくて良かったという意味なのか、それとも、一人きりで寂しい最後を迎えずに済んだという意味なのか。はたまた、最後まで友人だと思える人がいてくれて……最後に
似たようなことは言われたはずだが、改めて言ってくるということは、違った意味合いなのだろう。
「こちらこそ、モモンガさん」
シルク・タングステンには手を伸ばすことしか出来なかった。
ただ、残った甲斐があったと思うべきなのだろうか。
オリ主はそこそこ壮絶な人生を送っています。それについては後々。ただ、ナザリック的にはかなりの地雷です。あ、ナザリック所属のNPCが踏み抜きそうって意味でね?