気がつけば、1話で2万文字以上。さすがにそれを分割しないで投稿するのはどうかと思ったので何回か別けて投稿。
まずはこのSSについての注意点。
原作の杉崎キー君はハーレム状態ですが、雑あらすじを見りゃわかるかと思われますがこのSSではそんなことはないです。フラグとかはオリ主君が立てたり、回収したり、折ったりしてます。
なので、イケメンキー君を見たい方は原作やらアニメやら、他の方の生徒会作品を見ることをオヌヌメします。
では記念になるか微妙ですが第一話の前半どすぇ
「世の中がつまらないんじゃないの。貴方がつまらない人間になったのよっ!」
正面のとても先輩とは思えない幼児体型をした先輩がそんなことを偉そうに言ってのけた。
この発言だけを取ってみたら、第三者は何事かと思うだろうが俺からしたらいつものことである。この同年代よりも発育が一回りよろしくない先輩こと桜野くりむ先輩はこの碧陽学園の生徒会長である。
俺の一学年上の先輩で、生徒会長なのである。小学生にしか見えない体型にその言動、行動。全てが見た目とリンクしてるかのように幼いが、生徒会長なのである。
今の発言も何かの本の受け売りであって、物事にすぐ影響されてしまう人なのだが生徒会長なのである。
大事なことなので生徒会長を強調しました。
「ちょっと聞いてるの!?」
そんな近所の小学生にも同じ小学生と間違われてしまう(会長先輩親友談)会長先輩だが、ここの生徒会長に選ばれるくらいには人気がある。主にマスコット的な意味でだが。
そうそう。ここ碧陽学園での生徒会役員選抜は他とは違うシステムであり、学生による人気投票で決まる。しかも時期が入学式の前か後だったか忘れたが……かなり早い段階で行うのでほぼルックス重視の人気投票だ。
でもって、イケメンよりもかわいい女子とかに票が集まりやすく……歴代から碧陽学園の生徒会メンツは美少女で構成されてることがほとんどだ。かわいいは正義って言うしな。
まぁ、例外もあって人気投票とは別のシステムもあったりするんだが……それは追々だな。ていうか、原作読め。
「……すぎさきぃ」
「お、おいそろそろ会長を相手してやれって。会長泣く一歩手前だぞ!」
俺が軽くテンプレな説明を読者たちにしていたら、俺から見て斜め左。会長先輩から見て右隣の席に座ってる。二枚目風味の男子学生。
彼の名前は杉崎鍵。一応俺と同じクラスメイトで、俺含め男の生徒会役員である。奴は副会長。俺は雑務。
……望んでここに入ったわけではないとはいえ、この差はなんよ。こんなんだったら俺別にいらないよね?役職で雑務なんて言われるもんだから、他の生徒たちからも俺の立ち位置は雑務をやらされる下っ端みたいな感じになっちゃってるもんだし……はぁ、こんなツラは良くても性格は難有り。てか逆に良い所を見つける方がハードモードな年中発情下半身男の杉崎より下の俺ってなんなんだろうなー
「聞こえてるから!!めっちゃ声に出てるからっ!!俺ってそんな風に見られてたの!?」
「どうやら自覚がないらしい。まぁ良くある自分は普通だと言い張る人が、変人であるというやつと同じようなものだろう。彼は自分が常人よりも性欲がコントロールできず万年テントを張っている歩く公然猥褻物だということは周知の事実だというのに」
「だから声に出てるっての!!何!?俺お前になんか嫌われるようなことでもした!?」
おっと、今までのことは全て口に出していたらしい。会長先輩共々涙目になっているが、杉崎は放置でいいだろう。
だってヤローだし。杉崎の扱いが雑なのは今に始まったことではないし。
「で、なんでしたっけ。杉崎が童貞の不能野郎って話の続きでしたっけ?」
「違うわよっ!!昔は良かったなぁって話を……って、杉崎はどうして胸を抑えてるの?」
「い、いえ……男からの言葉とはいえ今のはすっげークるものがありまして……」
「否定しない辺り事実と見受けた」
「不能じゃないやい!!俺の相棒はいつでも美少女に向けれるビッグマグナムなんだい!!!」
「おう、その爪楊枝の自慢はせんでいいから」
「そんなに短くも細くもねぇよ!?」
「で、童貞なん?」
「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
「わっかりやすい反応だな~」
「……アンタたちいつまでそんな会話してるのよっ!!」
いつものように杉崎を弄ってると会長先輩が顔を真っ赤にして机を叩いていた。
本人からしたら力いっぱい叩いてるかもしれんが、そこまで音してないし、涙目でんなことされてもまったく怖くもなんともない。
「杉崎もだけど、四季ももう少し生徒会役員の自覚を……」
「いや、お言葉ですけど雑務にどうやる気を見いだせって言うんですか。しかも俺入りたくて入ったわけでもねーですし」
「そ、それは……」
嘆息交えて言い放つと、会長先輩の視線が左右に泳ぐ。
そう。俺はさっき話した人気投票で入ったわけでもなく、自分の意志で生徒会に加入したわけでもない。
つーか、誰が好き好んで雑務なんて職に就くと思うだろうか。
「なら今すぐにでも辞めてもいいんだぞ!!そうすればここは俺だけの楽園ハーレムに!」
「お、復活した」
「だから、生徒会は杉崎のハーレムじゃないから!私のお城よ!」
いやそれも違うけどな。
杉崎のハーレム発言についてはこれもいつものことである。俺と杉崎を除けば生徒会メンツは全員美少女だ。もちろん、俺らと違って人気投票で選ばれている。
なので、杉崎は会長先輩含めて4人の美少女を俺の嫁だのハーレムだの大好きだとうんたらかんたらと常日頃から言いまくっている。
……言っておくが、4人ってのは俺は入ってないからな?俺は俗にいう男の娘でもねーからな!100人中100人全員が男だと認識できる男だからな!
「さぁ、会長!
「深めないよ!!私と杉崎はそんな仲じゃないでしょう!?」
「じゃあ、会長好きです。超好きです。超付き合ってください」
「じゃあって何!?なんで杉崎はそんな軽薄に告白できるのよ?!」
「超と言えばあの窒素ちゃん良いよな。ロリは恋愛対象外だが嫌いじゃない」
「四季も四季で何を言ってるの!?そしてどうして私を見ながら言うのよ!!」
今日は会長先輩が弄られまくる日みたいだな。ますますヒートアップしていく会長先輩を杉崎に任せ、そろそろ俺の自己紹介でもしようか。すっかり忘れてたわ。
俺の名前は四季優。苗字はともかく、名前の方は一発で読むのは難しいだろう。ゆうではなくすぐると読む。
この碧陽学園の2年生で生徒会役員(雑務)である。家族構成は母のみ。いわゆる母子家庭ってやつだな。
趣味は……ゲームとかスポーツとかかねぇ?まぁ、色々やる方だとは思う。後バイトも週2,3のシフトで組んでいる。何をやってるかは……まぁ、そのうちな。
この二人との関係性は会長先輩とは先輩後輩だなー。端から見たら俺の方が先輩に見られてもおかしくないけど、俺が後輩だ。会長先輩とは去年ぐらいからの付き合いかね。その頃はまだ俺は生徒会に入ってはいなかったけどな。
で、杉崎とは今年から知り合った。去年はクラスが違ったが、今年は同じクラスで同じ生徒会役員。
今じゃこいつの言動に慣れてしまってきてるが、初めて出会った時はビックリしたわ。現実でハーレム目指してるやつがいるなんてよ。
「皆好きです。超好きです。皆付き合って。絶対幸せにしてやるから」
そうそう。こんな台詞だったな。ココで他4人に言い放ったんだっけ。
あの時は俺もいたが、杉崎は俺がいるってことを予想していなかったようで親の敵を見るかのように敵意むき出していたよな。
まぁ、男が自分一人だと思ってたら実はもう一人男がいましたーだもんな。気持ちはわからんでもないが、一々突っかかってこんでほしい。
そんなこんなで杉崎との仲は良くもなければ悪くもない……って感じかね。生徒会メンバーが関わってこなければ、基本良いやつではあるからな。
「そうよ!あの時点でこの生徒会に貴方のいいかげんさは知れ渡ってるのよ!誰でもいいから付き合えって堂々という人間に誰がなびくっていうの!」
「失礼な。誰でも良くはありません。涼宮ハ○ヒ風に言えば美少女以外に興味ありません」
「男の娘は?」
「男はノーサンキュー!!……と言いたいとこだけど、かわいければよし!」
読者の皆様。こいつのこの発言をよーく覚えておいてください。原作見てる方はわかるだろうけど、後のフラグになりますので。
「かわいいなら誰でもいいってことでしょうがっ!狙うなら異性だけにしておきなさい!あとやるならせめて富士見ファンタジア文庫的なたとえか、ハーメルン的なたとえで行きなさい!」
「いや、ハーメルンはダメでしょう……」
「一途なんです!美少女に!」
「括りが大きいわ!」
「普段からハーレムだの言ってるやつが一途なんて言っても説得力ねーな」
「希少種ですよ、美少女」
「そういう問題じゃない!複数の人間に告白してる時点で誠実じゃないのよ!」
「ええー、ふらふらしている主人公より良くないですか?最初からこう、バン!と俺はハーレムルートを狙う!と宣言している方が潔いでしょう?」
「残念ながら杉崎はギャルゲのモテモテ主人公とは違うわ!」
「そもそも、ギャルゲの主人公はまずハーレムを狙わんだろ。お前の発言はむしろ、主人公を引き立てるサブキャラって立ち位置じゃねーの?」
「いや!最近の主人公は恋をしようと積極的なんだ!俺の女の子に対する想いは本気なんだ!!」
「女の子というより美少女。だろ?お前と主人公の決定的な差は単数か複数かってことだ」
「そうよ!杉崎は言うなれば主人公の軽い親友タイプよ!リアクションが良い類のギャグ要員よ!」
便座カバー!!……杉崎と俺はともかく、この会話についてこられる会長先輩ってどうなんだ。
「ば、ばかな……俺が主人公でなければ誰が生徒会ヒロインたちを攻略するんだ……!?」
「私達を勝手にヒロインにしない!それに杉崎よりかは四季が主人公の方が遥かに良いわよ!!」
「え、なんスか。それ遠回しの告白かなんかですか会長先輩」
今までの会話の流れからしてそうとも取れる発言だよな今の。
あ、そうそう。俺の桜野くりむ先輩の呼び方についでが、俺は基本年上は名前で呼ばないスタンスなので、先輩とかの言葉で一括りにして呼んだり、苗字で呼んでいる。会長に関しては桜野先輩と呼ぶのもなんかしっくりこなかったので、会長先輩と呼んでいる。
一部には不評だったりする俺のスタンスだが、大半の人は文句とか言わんので呼び方を変えることはそうそうないだろう。
「ち、ち、ち違うわよっ!今のは言葉の綾というか、杉崎と比べたらまだ四季の方が良いって……だけであって……べ、別に告白なんかじゃ……」
顔を真っ赤にし、顔を俯かせごにょごにょと呟く会長先輩。
……冗談で言ったつもりだったのだが、今の会長先輩をかわいいと思ってしまった自分がいる。
口元に手を当てて、こっちの反応を真っ赤な顔でチラチラと様子を見てくる様は見ていて愛らしい。
俺にロリ趣味はないが、会長先輩って一応年上なんだよなー。こういう恋愛関係の話題にめっぽう弱い会長先輩だけど、ちゃんと意識している辺り、そこら辺の小学生とは違うってのを再認識する。
ま、さっきの発言も突然の事で、思ったことをそのまま言っちまったんだろうな。会長先輩には良くあることだ。
……で、だ。
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎ……!!」
机に握りこぶしを置いて、こっちを血の涙を流さんとばかりに睨んでくるバカ杉崎がいる。
仮にお前が主人公だとしたら、とても主人公がしていい顔じゃないぞ。
このままにらみつけられて防御力を下げられるのも嫌だったので、さっき会長が杉崎の好きです発言されて、紙パックのジュースを握った時に噴出され、拭きとって丸めたティッシュが俺の横に落ちていたのでそれを拾って、部屋の隅にあるゴミ箱にポーイ。
一度シュートを外した会長先輩とは違い俺が放ったシュートは離れたゴミ箱にも華麗に決まった。
ゴミはきちんとゴミ箱に!!
「……四季ってさ、なんだかんだ言っても優しい……よね。文句を言いつつも生徒会にだって入ってくれたし…さ」
「え?なんか言いました?よく聞こえなかったんですけど」
四季って名前は聞こえたので、俺に向けて会長先輩が喋ったのはわかったんだが定位置の席に戻るときにイスを引いた音のせいで、その後の事は聞こえんかった。
もう一度おにゃーしゃすと頼もうとしたが……
「な、なんでもないにょっ!」
聞く前に話を打ち切られてしまった。どうやら、盛大に舌を噛んでしまったようで涙目で口を抑えていた。
……なんつーか、見ていて飽きないよなこのロリ先輩は。
「なんでだあああああああああああああ!!主人公は俺じゃないのおおおおおおっ!?」
杉崎は杉崎で理解不能なことを頭抱えて、天井に向かって叫んでいた。意味わからん。
「キーくんの叫び声が廊下まで聞こえたんだけど……どうかしたの?」
なーんていつも通りしょーもない会話をしていると、俺の背後から……透き通るような声が響き渡った。
どうやら、杉崎の自称ハーレムの一人がやってきたようだ。
「なんてことはないですよ。いつもの発作とやらです」
後ろを振り向くと会長先輩とは正反対の長身&スタイルの大人の雰囲気を醸し出している女性が立っていた。
彼女は紅葉知弦。詳しいことは原作参照。
……手抜きすぎるって?どうせSS見てる人は原作とかアニメとか見てるし大丈夫だって。
「そう」
特に気にすることもなく、先輩は杉崎の正面である定位置の席に座った。
……発作で伝わるのか。こんな短期間で杉崎のキャラは生徒会内で確立してるってことだよな。
「知弦さん!!」
さっきまで頭を抱えていたというのに、急に顔を上げ先輩の方に身を乗り出す杉崎。
その唐突な行動に会長先輩ははひゃうっと声を上げ驚いていた。
「何かしら?」
「俺と優……どっちが主人公に向いてますか!?」
「お前はまだんなことを気にしてんのか……」
正直、主人公ってやつは自分のことを主人公だと思わないもんだと思うがな。
だって、ル○ィとか悟○が俺は主人公だー!だとか言わんだろ。言ってほしくもないが。
先輩はテーブルにノートやらお菓子などを鞄から取り出しつつ、こちらにどういうこと?と顔を向けてくる。
「あぁ、なんかこいつ自分がギャルゲーのモテモテで出来る主人公じゃなくて、主人公の悪友的なポジションのギャグ要員キャラだってことを会長に言われて納得出来ないみたいですよ」
「なんか言葉に悪意を感じるんだが……というわけです!知弦さんはどうおm」
「ユー君」
バッサリだー!ニコッと満面の笑みを浮かべて杉崎に告げた!普段だったら、先輩の笑顔に見惚れてたかもしれない杉崎だが、言い終える前に言われ、即答されるというダブルコンボに呆気無く撃沈した!
灰と化した杉崎を見て、さっきの笑みとは別のベクトルの笑みを浮かべる先輩だった。
そんな自分の親友である先輩を見て会長先輩は引きつった笑みを浮かべていた……相変わらずこの人はS気質だよな……
あぁ、それと紅葉知弦先輩は杉崎の事をキーと呼ぶように俺を呼ぶ時もあだ名で呼んでいる。
優すぐるは音読みでゆうって読むしな。それから取ってるんだろう。
「バッサリ斬りましたねー先輩」
「ギャルゲーが具体的にどういうものかは知らないけど、普段の行動を見てたらユー君の方が断然主人公っぽいもの。キー君には悪いけど、比較するまでもないわ」
「もうやめて知弦!杉崎のライフは0よ!!」
傷口に刀を刺してエグルレベルの追い打ちをスラスラと言って退ける先輩は超弩級のSであろう。
さすがに見ていられないと感じた会長先輩が某カードゲームで有名な台詞を言った。
何勘違いしてんだ?残念ながら、先輩のターンはまだ終了してないぜ。
「それよりもユー君。いつになったらその呼び方をやめるの?」
「うぇ……?」
先輩の矛先はこちらに向いた。
アカン。あの獲物を見つけた様な目……あの目をしてる先輩は……危険だ。
「もう私達が知り合ってから数年は経つのよ?それなのに、口調も堅苦しいまま」
「いや、だって先輩だし……最低限の礼儀は払わないといけないなーと思って」
「なら口調は百歩譲って良いとしましょう。いずれちょ―――――教育を施して上げる予定だし」
ちょっと待て、アンタ今調教って言おうとしたでしょ。言い直してもわかるわ!!
「呼び方って言われましてもねぇ……先輩は先輩っしょ?」
「学生の間は……ね。でもね、ユー君。私たちはいつまでも学生ではいられないでしょ?」
「まぁ、そうッスけど……」
「ほら、ユー君が好きなアニメでも言うじゃない。名前を呼べば友達だって」
「いや、アレは同性間で適用されるものであって、異性じゃまた別の話……」
「キー君は私を名前で呼んでるわよ?」
「はーっはっはっは!!優!お前に知弦さんを名前で呼ぶ度胸はないだろう!?なぜなら、俺は主人公!そしてお前は俺の友人ポジションだからだ!!」
イスの上に立ってこっちを見下ろして言ってくる自称主人公兼ハーレムの主にイラっときたが、良くあるSS物での転生者が他の人にモブだとか言うじゃん?アレを俺に言わなかっただけまだ許せた。
「杉崎は杉崎。俺は俺ですよー。俺基本年上の女性は馴れ馴れしく名前で呼ばないことにしてるんで」
そう、さっきも言ったかもしれんが俺のスタンス云々で不評だって言った一部の人は先輩だ。
中学時代から言ってたことなのに、先輩はこの呼び方にご不満があるご様子。
「いい?杉崎。アンタも四季を見習ってもうちょっと節操を……」
「だが断る!俺は自分を曲げない!!欲望に忠実でありたいんだああああああああ!!」
俺も自分を曲げたくはない。曲げたくはないんだけど……
「はい、ユー君。私の名前は?」
……Sモードのスイッチが入った知弦さんを俺一人で相手するのは辛いです……
「……紅葉知弦さんです」
「はい。正解。ご褒美にあーんしてあげる」
イスをこっちに寄せて近くにまで来て、自身で持ち込んできたスナック菓子を一摘みし俺の口に入れようとする。
……ホントSモードのこの人は活き活きしてるな。俺を辱めるのがそんなに楽しいか!!
「ぐぬぬぬぬぬ……!優の奴、ハーレムの主である俺を差し置いて……知弦さんからあーんだとぉ!?」
「だから、生徒会は杉崎のハーレムじゃないって……」
「会長!俺にしてくださいっ!あーーんっ!!」
「……えいっ」
「ふがっ!……か、会長!正確に狙えないのなら指で弾いたりしないでくださいよ!!」
食いもんで遊ぶんじゃありません。
……と、会長に叱ってやりたかったが今はそんなことはどうでもいい。重要じゃない。
ここで先輩のあーんを断ったら、今までの経験上これ以上にめんどくさいことになるのは目に見えている。ここは素直に口を開けておく。
「どう、美味しい?」
「……うす塩の味がします」
「そりゃうす塩だもの」
先輩の手が口に触れないように、こちらでなんとか顔の位置を調整させポテチだけを食すことはできた。満足そうにする先輩に対し、俺は頬が熱くなるのを感じた。
……なんの抵抗もなく、あーんをしてしまったのだが付き合ってもないというのに異性に……しかも先輩にしてもらうなんて。これだったら素直に先輩のことを名前で呼んだほうが良かったわな。
「よし、それじゃあユー君。私のことを呼んでみて?」
ここで名前で呼んでくれと言わない辺り、先輩らしいなと思いつつ。
「先輩」
「……」
だが俺は自分を曲げないっ!付き合ってもいない女子を下の名前で呼ぶのは俺のポリシーに反する!
先輩の周囲の温度が下がったような気がするが気のせいだろう。
杉崎と会長先輩がお互いに顔を見合わせて震えているのも気のせいだろう。きっと部屋が寒いだけだろう。
……そうに違いない!ていうかそうであってください……
「……ま、こればっかりは無理強いしてもしょうがないか」
よ、良かった。なんとか妥協してもらったみたいだ。ちょっと不服そうにはしていたが、自分の席に戻っていった。
杉崎も会長先輩もホッと胸をなでおろしている。
「そ、それにしても今日はどうも集まり悪いですね、俺のハーレム」
この空気を変えようと杉崎が話題を振ろうとする。こいつのこういう積極性というか、気が回る立ち回りはさすがというべきか。
「キー君のハーレムじゃなくて生徒会ね。いいんじゃないかしら?別にこれといってイベントもあるわけじゃないし。結局お菓子食べて喋るだけじゃない、最近」
先輩の言うとおり、基本生徒会メンツ全員が集合してもまともに仕事するわけでもなく各々が自由に過ごしつつ、駄弁って終了。正直お茶会をやってるもんだ。
俺は俺でジャンプを鞄から取り出して読み始めてるし。
「分かってないですねぇ、知弦さん。基本的に好感度は直接会わないと上昇しないんですよ。ほら、ギャルゲだって、よく移動場所でヒロイン決まるでしょ?」
「当然の知識のように言われても困るけど」
「合わないと上昇はしない……しかし、お前の場合は合う度に好感度が減少してるような気がしてならないんだが」
「それはお前の目が節穴だからだ!!俺のハーレムたちは素直になれないだけであって、内心俺と話してる時はドッキドキに胸がときめいてんだって。だから、今日も彼女らは俺との愛を育むためにイベントとかなくてもここに足を運びに―――――」
「だからこないんじゃないかしら。むしろ」
またもやバッサリ。杉崎がときめき云々抜かしてた時、何気なく会長先輩の方を見てみたら。んなわきゃないと首を振っていた。
節穴なのは俺じゃなくてお前なんじゃないんですかねぇ。
「でも、知弦さんは俺との愛を育みに来てくれたわけですね!」
「はい、ユー君。アメ食べる?」
「あ、ども。いただきやす」
知弦さんがこっちに腕を伸ばし、掌に置かれた飴玉を受け取る。
包装フィルムを見てみると、いちご味と書かれてた。
なんだ案外普通の味じゃん。先輩のことだからハバネロ味とかサルミアッキとか渡されるんじゃないかと警戒しちまった。
「……………あ、それで、キー君。何の話だったかしら」
「……くっ!しかしこういうクールキャラこそ、惚れたら激しいに違いない!」
いや、杉崎よ。それは二次元の話であって、三次元でキャラ設定を決めつけるのは如何なものかと……あ、でもこの世界じゃどっちでm―――――
「それいじょういけないわ!」
割りとタブーな事に触れようとしたら、会長が俺のとこまでやってきて、俺の口に何か貼り付けやがった。
……なにコレ。シール?
「あ、それは正解。激しいわよ、私。小学校で私に告白してきた男の子がいたのだけど、一日300通『好き』とだけ羅列した手紙渡して、精神崩壊まで追い込んだから。意外と脆かったから、私のお眼鏡にかなわなかったけどね……貴方たちはどうかしら?」
小学生からこの人はそんなことをしていたのか……Sの才能が開花したのはその頃からだったのか?
ていうか、会長の震えっぷりが尋常じゃないんだが。顔は青ざめ、自身の体を守るように抱きしめてガクブルとしている。体に万歩計でも貼っつけたら結構な数値がカウントされるんじゃなかろうか。
ていうか、貴方たちはってことは……俺も入ってるわけ?ココに男は杉崎と俺しかいねーから、そうだとは思うが。
で、杉崎はというと……意を決したかの様なキリっとした顔になっていた。
中身はともかく、面はイケメンの部類に入りやがるからなこいつ……イケメン爆ぜろ。
「分かりました」
「え、この話聞いた上で覚悟できたの?それちょっとポイント高いわ。私の中でキー君に対する評価が若干―――――」
「知弦さんとは体だけの関係を目指すことにします!心は入りません!」
…………これは俺でもわかる。冗談か本気かは知らんが、かなり最低な回答をしたんじゃないかコレ。
会長先輩でさえ、ないわーとか言ってるくらいだし。
にしても、こいつは本当に自分が主人公だと言い張る気なのだろうか。少なくとも王道物のギャルゲーとかエロゲーの主人公ならばそんなゲス発言はしない。
今のお前は主人公だとしても、鬼畜外道もののジャンルの主人公って言ったほうがしっくりくる。
残念なイケメンというのは杉崎に用意されたような言葉なんだろうなー
「……………ユー君はどう?私の全てを受け入れる自身はあって?」
あ、杉崎の発言はスルーですか。道端に落ちている石ころのごとくスルーされた杉崎はまだ好感度が足りないというのか……と顎に手を当てて真剣に考え込んでいた。
いや、むしろ好感度が高けりゃ高いほど体だけの関係は難しいと思うんだが……
で、見事な作り笑顔をこちらに向けてくる先輩に、俺は会長先輩に貼り付けられたシールをビッと剥がし。
「そうですねぇ……受け入れるかはまた別の話だとして、どんな形であれ、そうやって好意を伝えてもらうのは悪く無いですね。手紙300通書くのだって、結構な時間を浪費するわけで。自分の貴重な時間を好きな人に割くのって中々出来ることでもないと思いますし。まぁ、俺的には文字よりかは言葉で言われる方がいいですが」
柄にもなく、長く語ってしまったが紛れも無い本心である。アレだよ。よくアニメとかギャルゲのヒロインで、ヒロインが主人公の趣味や好きなことを知ろうと努力するシーンがあったりするじゃん。ああいうのめっちゃクルものがある。
健気に頑張る姿って良いと思うんですよ。ヤンデレとかも個人的には有りだとは思う。好きな人をどうこうしちゃいたくなるほど好きってことなんだろ?男冥利に尽きるじゃん。
まー、空鍋とかNiceBoat展開は見る分はいいが自分があんなめに合うのは御免こうむるが。
「そ、そう……」
てか、自分で言ってはなんだけど結構恥ずかしいことを真顔で言ったんじゃないか俺?現に先輩がそっぽ向いて宿題の方に戻っちゃったし。
……あれ?先輩良く見たら耳まで赤くなってるような……宿題に向かってるせいで俯いてるからちょっとわかりにくいが、なんかニヤけてない?
照れてるのか、それとも俺の回答がマジレスすぎて笑いがこみ上げてくるのかはわからんけど……
「よく見ておきなさい、杉崎。アンタより四季の方がよっぽどギャルゲーの主人公やってるわよ」
「ぐっ……う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ハーレムの主は俺なんだああああああああああぁぁぁぁ!!!」
あいつは叫ぶことが好きなのだろうか……会長先輩は人を指差すんじゃありません。
杉崎が壁に向かって「ハーレムの主は俺だ」と何度も連呼しまくって、ゆらゆらと頭をぶつけまくっているが、誰も止めはしない。自己暗示かけるほど追いつめられてるのかあいつは……?
哀れみの視線を向けていたとこで、ふと会長先輩の方を見てみると先輩のスナック菓子をサクサクと食べまくっていた。
「あの会長先輩。そんなに食って大丈夫なんすか?」
「うぐっ……こ、このくらいなら問題ないわよっ」
「いや、あなた昨日も先輩のお菓子漁ってましたよね」
昨日どころか、先週もそんな感じだった気が。間食するのは個人の自由だと思いますが、毎度先輩のお菓子をつまんでるのは如何なものか。
この年頃の女子は色々と大変だと聞くし。
会長先輩自身食いまくってることに多少は自覚があったのか、摘んだスナック菓子と自分の二の腕を見比べている。
「あ、漁ってなんかないもん!知弦のお菓子に毒が入ってないか、会長兼親友たる私がまず毒味を……」
「貴方は毎回毒味なんてしてるんですか?先に先輩が食べてるんですし、毒味する必要性はないじゃないですか」
「……っていうのはうーそっ、本当は知弦がお菓子を食べ過ぎて太らないように、私が食べて……」
「そんなことばっかしてると太りますよ」
あ、言った。俺がさっきから遠回しに伝えようとしていたことを杉崎が代わりに直球を投げてくれた。
会長先輩完全に固まっちたよ。
「……大丈夫!代々桜野家ではお菓子から摂取したエネルギーを身長に回してくれるスキルが受け継がれてて」
「そんな便利スキル持ってして、そんなおこちゃま体型ですか」
杉崎の言葉に思わず先輩の方を見てしまう。偶然視線が合うと先輩はにっこりと微笑む。
……比べちゃいかんが、とても会長先輩と先輩が同年代だとは思えん……
「ちょっと!今絶対知弦と私を比較したでしょ!!」
バレテーラ。露骨に先輩を見ていたのがいけなかったのか、会長先輩はハムスターのように頬を膨らませて俺の方をにらみつけてくる。
「そ、ソンナコトハナイデスヨ」
「わかりやすいくらいに棒読み!今に見てなさいよっ!私の成長期はまだまだこれからなんだからっ!」
「会長の成長期はとっくに過ぎていますよ」
「…………ええぃっ!」
あろうことか、会長先輩は先輩のお菓子を袋ごと奪い去り、袋を掲げて全て食べ尽くしてしまった。
なんとも潔い食い方だな。
「……次の問題の回答はメタボリックシンドロームと」
「………………」
先輩がノートに目をやったまま、そんなことを呟いていた。
そんな回答の問題が出たのかはしらないが、今の先輩の言葉に会長先輩はがっくりと項垂れていた。
後悔するくらいなら食べなきゃよかったのに。
「大丈夫ですよ、会長。もし、もらいてがなくなったら……」
「え?もしかして……太った私でも好きって言ってくれるの?美少女じゃなくなっても?杉崎……あなた……」
こいつの切り替えの速さは見習うべきものがあるよな。すっかり鬱モードから回復した杉崎は涙ぐむ会長先輩の肩に手を置き、何か慈愛の満ちた笑顔で会長先輩に告げた。
「もらいてがなくなったら……仕事に生きてください!」
「リアルなアドバイス!?」
「俺、陰ながら応援しますから!」
「陰からなんだ!私、基本は見捨てられるんだ!太った私には価値なんてないんだ!」
「まぁ、ですから太らないように気をつけてくださいっていう、俺なりの叱咤激励ですよ」
「あうー」
「ハーレムの主とやらはスパルタなんだな……自分には甘いくせに」
「何を言う!俺は常に自分を磨き続けているさっ、俺を愛する女の子たちも妥協することなく自分を磨き続けて欲しい!そう思ってるだけだ!」
それっぽいこと言ってるように見えるが、早い話が美少女は美少女のままでいろってことですね、わかります。
でもまぁ、杉崎が頑張ってるってのは事実なんだよなー。こいつ、人格破綻者に見えるが中身のスペックはかなり高いわけで……
「そういうわけなんで頑張ってください!俺のハーレムに留まるために!」
「あ、なんか急に太ってもいいような気がしてきた」
真顔で言い放つ会長先輩に杉崎は首を捻っていた。
杉崎がまともっぽいことを言った次の瞬間には何かしらのオチが回ってくる。これがいつものパターンである。
一通り会話が終了すると杉崎はどうしたらみんなをデレさせることが……等と言いながら、なんかのギャルゲーの攻略本を読み始め、先輩は宿題の方に集中し始め……会長先輩は先輩が次に出したお菓子を躊躇なく食べ始めていた。
杉崎のハーレム云々を抜きにしても、そんなにお菓子ばっか食べてると夕食食えなくなっても知りませんよー?
俺もジャンプの続きを読み進めようと、視線を下の方に移した。
そういや読み返して思った。四季君の容姿説明してなかった。
ギャルゲとかエロゲのCGで良くある絶妙な角度で顔が見えないあんな感じの容姿でいいんじゃいかな(適当)
この話でわかったかと思いますが、主人公と知弦さんは中学からの先輩後輩関係でごぜーます。詳しい過去話はそのうち。
四季君と杉崎の仲は中の上ッて感じ。決して悪くも良くもないみたいな。
覚えてたら次話投稿するので、この話見て興味出た方はまた見てくださると作者のやる気が上がるかもしれぬいぬい。
あ、忘れてた。タイトル思いつかなかったのでこのタイトルは仮になったりならなかったりしますけど何でもしませんから許してください