今日も、一日ハイスクールが始まる。
俺、兵藤一誠はそう思いながら家から出てきた。学校からほど近いアパート暮らしで、自分のバイト先からも結構近い。最高の、立地条件のアパートだ。
このアパートを借りるとき自分のバイト代から家賃を払……おうとしていたのだが、養父にその旨を伝えた瞬間いつの間にか入居書類の家賃欄の口座がそっくり養父の物になっていた。養父曰く「ハイスクールに行くんだ。遊ぶ金は重要だろう?そんな家賃のために、チマチマチマチマ節約なんかさせてたまるか」だそうだ。バイト先の店長はあんたで、バイト代出すのもあんただろうに……。
アパートの鍵を掛け、公道に出ると知ってる二人が歩いて来た。松田と元浜だ。
「お~う、イッセー。おはよう」
「今日はお前のアドヴァイスどぉおーりに覗きを完遂させて見せるぜぇ」
朝からこいつらは……。
「わざわざ、宣言するな」
「「ぐぇっ!!」」
俺はそう言いながら二人の頭を軽く叩く。
「行くぞ。時間は有限だ」
学校につくと、幾人かの学生が俺の方を向く。
「兵藤君だ!今日もかっこいいわぁー」
「文武両道、完全無欠、その上その立場に慢心しないで前を見続ける!」
「本当に、兵藤君の横を歩いてる二人とは違うわぁー……でも、なんであの三人よく見るんだろう」
「ハッ!?まさか………」
……8割女子だな。なんで、俺のことを注目するんだろうか。
「そりゃ、お前完璧超人の上他の生徒に対してめっちゃ優しいじゃねぇーか」
「男子にも女子にも同じように接して、困ってれば見捨てない。そりゃそうなるわな。知ってるか?お前、ファンクラブとかできてるらしいぜ?」
俺が考えていることを見ぬいたかのごとく二人が俺に対して言ってくる。
「いや、だがな。俺は普通に接しているだけなんだが?」
「「之だからイケメンは」」
?どういうことなんだまったく。
「おれはそこまで美形ではない。騒ぐんだったら……あっちだろ?」
そういいながら、俺は後ろの一団を指さす。そこには、2人の女性と1人の男性が歩いていた。
「キャァー!木場君!!」
「リアスお姉さま、朱乃お姉さまこっち向いてぇー!」
俺よりやはり騒めきが段違いだ。
「そりゃそうだろ。人数が違うし人気もあの“二大お姉さま”の前では差があるだろ」
「にっくき俺達の敵木場祐斗とお前の人気は五分どころかお前の方が上だけどな!!ちくしょう!!!」
「はぁ、なんだんだまったく」
俺は二人の言葉を聞き流しながら、下駄箱を開ける。するとそこから、一枚の手紙がひらりと落ちた。
これは、まさか―――
「……も、元浜氏。ま、まさかこれは……」
「あっ、ありのまま今起こったことを話すぜ。普通に俺たちが学校に投降したと思ったら、伝説ともいわれる“下駄箱ラブレター”をもらっている友人がいた。イケメンだとか、モテるだとかそう言うちゃちなもんじゃあ断じてねぇ。もっと恐ろしい何かだこれはぁ!!」
……二人が言ってることから察するにやっぱりこれは。
「恋文ってやつなのか?始めてもらったな」
「「死ねぇ!!このモテ王者め!!!」」
そう言いながら、全力で殴ってこようとする二人の攻撃をかわす。
「やめろ、当たったらなんだ……痛いだろう」
「少し位俺達の溜飲下げに協力しろこのイケメン野郎……それで?お前、それに対して返答しに行くのか?」
俺は、その言葉を聞きながら手紙の封を切り中身を読む。
そして、少し考えるふりをして……二人に対して言う。
「まあ、断る断らないにしても……いくしかないだろう」
*************************
「確か、場所はここだな」
俺は、恋文に書いてあった場所に来ている。街から少し外れた場所にある公園だ。
少し奥に入り、噴水の前まで行くと一人の学生服の女性が立っていた。
うちの生徒ではなさそうだ。
「っ!……来てくれた」
「えーと、君が“天野夕麻”さん?」
そこにいたのは、まあ、美しい女性だった。おそらく、うちの二大お姉さまには劣るくらいだろう。
前世でも、まあ、他の奴らが言うには女っ気がなかったらしいからな。それでも、女性を美しいだとか優しくしようだとか思う。属に言う“イタリア男の血”らしきものは流れていた。それは、今世でもクーリングオフが効かないらしく一応残っている。
「すみません、遅くなってしまって。待っていたのですね……」
「いえ、そこまでは待っていません。それで……手紙を読んでくださいましたか?」
「ええ、読ませていただきました」
確かに、手紙を読んだ。熱い熱い“ラブレター”を。
あのリアクションならば、あの手紙は本気の物なのだろう。俺はそう理解した。
「……でしたら……受けてもらいますか?」
「……すみません、俺はあなたと付き合うことはできません。俺は、まだ学生でそう言うことをするのには早いですから」
空から、―――鳥の羽搏きだろうか―――音が聞こえたような気がした。その音を聞いた瞬間、夕麻さんは声を出した。
「―――ッ!?早く、逃げてください」
「?……それはどういう――――――」
その瞬間、空から光の槍のようなものが飛んできた。
「―――ッ!?危ない!!!」
夕麻さんは、その槍を見た瞬間俺のことを突き飛ばした。
*********side レイナーレ**********
私の名前はレイナーレ、堕天使だ。
自分はそれなりに高い地位についている……と思う。
周りは、“至高の堕天使”を目指しているけど私には目指す意味が分からなかった。
普通に仕事をし、友人と喋り、部下と会話する。それだけで、楽しかった。
あの男、ドーナシークが来るまでは……。
奴は、ある日私の部下として配属された。最初は、差しさわりのない性格で接してきた。しかし、日を増すごとに奴はその性格をあらわにしていった。
暴力、暴言、etc…etc…
その内奴は、私の大切な部下を魔法で支配し始めた。私は、部下を助けようとドーナシークに戦いを挑んだが奴は部下を殺すと脅してきた。
私にとって、部下はもはや宝だった。それを、殺されるわけにはいかなかった。
私は……部下を殺さないのを条件に……あいつの言うことに従った。
そして、奴は“至高の堕天使”になるためにとある少女の“神器”を奪う計画を始めた。
神器は、人間にとって魂と同じくらい大事なものだ。方法は様々だが……抜き取ることはできる。しかし、それはすなわちその人間の死を意味していた。
更には、それを邪魔するだろう“神器”を持っているものを殺すことも計画していた。
私は、それを聞いて止めなくては―――そう言う衝動に駆られた。
私は、奴が寝ている内に奴が作っていた神器の所持を疑われている人間のリストをこっそりと盗み見た。
その中に、要注意人物と書かれた人間を見つけた。
―――兵藤一誠―――そこには、そう書かれていた。
私は、その名前を見た瞬間この人間だったら私達を助けてくれるかもしれないと思った。
そこから私の行動は早かった、ラブレターのような様相で彼に手紙を出した。
私からの―――私達からの精いっぱいのSOSだった。
時間と場所を指定し、来てくれることを祈った。
来てくれるかどうかわからない。冗談だと思い、来てくれないかもしれない。
しかし、私は一縷の望みを託して待った。
そして、彼は来てくれた。
あの手紙は、ラブレターのように書いた。しかし、よく読めば私達のSOSが見えてくる。
もし、彼がこの私のSOSに気づいてくれているならば・・・・・・私達の目の前には光明がさすかもしれない。
彼は、単純な女性の告白への対応としてここに来た様子だった。
そして、自分の身分を学生だといい付き合うことを是としなかった。
しかし、そこに一つの羽音が迫っていた。間違いない、奴だ。ドーナシークだ。
私は彼を殺すわけにはいけないと彼を突き飛ばした。その瞬間、空から光の槍が飛来してきた。恐らくもう……私は助からない。
ああ、ごめんね。ミッテルト、カワラーナ。あなた達を助けることは……出来なさそう……。
――――しかし、数秒経っても槍は飛んでこなかった。それどころか、奴の焦る声さえ聞こえる。
「な、何だその人型の“何か”は!!!?」
私が恐る恐る目を開けると、そこには人型をした“何か”が浮遊していた。その人型の腕からは少し煙のようなものが上がっていた。腕ではじかれたのだろうか、少し離れた木には奴が放った光の槍が刺さっていた。
何が起こっているのか、全く分からなかった。この浮遊した“何か”は一体なんなのだろうか。そしてこの浮遊した“何か”が、私のことを救ったのだろうか。
すると、突き飛ばしてしまった一誠さんが立ち上がりながら口を開いた。
「ふぅ……やれやれ、やっぱり会いに来て正解だったようだな」
すると、浮遊していた人型の“何か”は彼の元に近づいていった。
「攻撃されるのは覚悟の上だった……」
そういいながら彼は完全に立ち上がる。
「『夕麻さん達を守る』、『お前も倒す』」
そして、私を守るかのように私の前に立つ。奴から、私を隠すように。
「『両方』やらなくっちゃあならないってのが『今の俺』にとって辛いところだな」
彼は、そういいながらやつに向かって睨みつけ口を開いた。
「覚悟はいいか?俺はできてる」
to be continued→
ED YES-Roundabout
いかがだったでしょうか、第二話。
「ハングリー精神を持って生肉を調理する」略して半生です
この話を書いていた時、思わず「ブチャラティィィィイイイイイイイッッ!!!」と叫びたくなり惚れかけました。
ブチャラティかっこいいよ、ブチャラティ。
それでは、また次回もお楽しみください。
しーゆーあげいん、BYEBYE!!
感想、批判、誤字修正、ベネ!!―――お待ちしております。