夜の帳が完全に降り、暗がりの中にある公園。
そこには二人の人影と一人の異形の姿があった。
一人は、もう一人の前に立ち空を飛ぶ異形を睨み付ける。一人は、自分の前に立つ人間を心配そうに見つめる。そして、一人は狼狽え眼の前の存在に対して思惑する。
(クソッ!!あのアマを仕留めれなかった!!用済みになったから、最後にあの男の餌にするためにわざと情報を与えるようにしたのだ。始末しやすいようにだ!!)
思惑する男はその眼を心配そうに見つめる女性から変え、ずっとこちらを睨み付けている人間に目を向けた。
(だが……なんなんだこいつは!!神器を覚醒していないが、何かを察する能力があると思って早々に始末を付けようとした矢先に!!あの浮いてる“何か”はいったい何なんだ)
空に浮き狼狽える男は思惑し続ける。眼の前の、何か恐ろしい“凄み”をもった男について。その傍らに浮く、人型の“何か”について。
(まさか、あれがあの男の神器だというのかッ!?神器に覚醒していないようにしていたのは、カモフラージュで本当は神器に覚醒していたというのかッ!!?だが、あんな神器“見た事がないッ!!!”)
だが、そこまで考えて狼狽えていた男―――ドーナシークは思い立った。
(だが……よく考えろ、ドーナシーク。奴自身は、“丸腰”だ。奴自身には、神器以外に自分のみを守る手段が“一つもないッ!!”)
そこまで考えて、ドーナシークは手に力を集める。
(奴はどうやら、誰かを庇う様に動く人間らしい……そこを突けば、奴とあのアマを始末でき―――「おいッ」―――!?)
「どうしたんだ……早く攻撃して来いよ……俺と相対する“覚悟”はできているんだろう?」
そういいながら、ドーナシークを睨み付けていた男―――兵藤一誠が挑発するように言う。
しかし、“相手をただの特殊な人間”と思っていたドーナシークは一誠を嘲ながら口を開いた。
「ふん、だがだ……お前は所詮下等な人間ッ!!そこのアマを庇いながらッ!!いったいその威勢!!何分間もつかな?!」
すると、一誠はフムと口から音を出しながら、そしていう。
「確かにそうだな。この状況はとても俺にとって不利だな。とても勝てそうにない。
――――――だから、俺は“覚悟”させてもらうぞ」
すると、人型の“何か”はドーナシークに相対するように姿勢を固め始める。
「ふん!!この状況で戦う“覚悟”かッ!!?そんなもの、そのままみじめに負けて死ぬ“覚悟”よッッ!!!ゴミみたいな“覚悟”だッ!!」
「……そいつは違うな……俺が決めた“覚悟”はッ!!」
その瞬間、“何か”は拳を繰り出した。ドーナシークに……ではなく―――
「なっ!!?」
彼らが立っていた“地面”に対してだ!!
「ここから、彼女を連れて逃げる“覚悟”だッ!!!」
すると、“何か”が殴った部分に何かが張り付いていた!!
「こ、これはいったい?」
何が起こっているかわからない、一誠の後ろに立っていた女性―――夕麻が地面に張り付いた“何か”に驚く。
「夕麻さん、少し失礼するよ」
そう言いながら、一誠は。
「キャッ!!」
夕麻を抱きかかえた。
そして体を少しそらし、ドーナシークから夕麻を見れないようにした。
「開け、“ジッパー”ッ!!」
一誠の声と共に、地面に張り付いた何か―――“ジッパー”が音を立てて開き始めた。
開き切ったジッパーの先には黒い空間が広がっていた。
そして、一誠はその開き切ったジッパーを確認してそこに体を滑り込ませた。
一誠と夕麻が体を入れ切った瞬間、ジッパーは音を立てて閉じ始める。
「それじゃあな、汚い黒羽野郎」
閉じていく“ジッパー”の中から一誠はドーナシークに対して言う。
「グッ、逃がすかぁッ!!」
ドーナシークは、そう言った瞬間その手に光の槍を生成しその閉じてゆくジッパーに対して抜き放つ。
しかし、その槍が届く前にジッパーは閉じ切りジッパーの持ち手の部分の消失してしまった。
ドーナシークはそれを見て苛立つ。
(クソォッ!!クソォォオオオッッ!!この私が、ただの下等な人間に逃げられただとッ!!!この至高の堕天使になるべくして生まれたこの私がッ!!!ただの人間の餓鬼ごときにィィィイイイイッッ!!!しかも、しかもだッ!!あのクソアマと一緒に逃げられるだとッ!!!冗談じゃない……冗談じゃあないッッ!!!)
「クソォ!!!あの餓鬼がァ!!何処に行きやがったッ!!!!」
ドーナシークは怒りながら、叫び散らす。
すると、先ほど一誠が立っていた場所に魔法陣が現れる。
「チッ、ここの管轄の悪魔にばれるのは拙いな」
ドーナシークはそう言うと、そこから足早に退散した。
その直後、魔法陣が光りそこから紅髪の女性が現れた。
*********side リアス**********
「……これはッ!」
私の名前は、リアス・グレモリー。悪魔……そう呼ばれる存在だ。
私はここで、悪魔として生活してきた。
“グレモリー”として、悪魔としてこの領土を監視してきた。
今私は、大きな魔力の流れを使い魔が感知しその場所にやって来た。
そこは、一見なにも無かったかのように見えた。
しかし―――
(これは……光の波動?)
私は、その場に残る力を感じた。それは、堕天使や天使が使う力だった。おそらく、ここでその勢力のどちらかが戦ったのは確実だ。
だがしかし、妙だ。それ以外の力を感じない。
おそらくここで堕天使と何かが争ったのだろう。しかし、その力の質が一つだというのは明らかにおかしい。
そう思い、その場所を見渡すと“何か”を見つけた。
「これは……」
それは、駒王学園の生徒手帳だった。
……いや、確かに生徒手帳なのだがかなり紙を足しているのか普通の生徒手帳と比べるとどう考えても厚かった。それが、制服の生地の切れ端と共に落ちていた。
誰の物か確認するため中を確認すると、予想外の人物の名前が書かれていた。
「兵藤……一誠ッ!」
それは、駒王学園で語り草になっている“生徒会長に直談判して風紀委員を作った人間”の名前であった。
「一度帰って、調べる必要があるわね……」
私は、そう思い部室に戻るために魔法陣を出し中に入った。
彼の生徒手帳をその手に持って。
*********side イッセー**********
……やっと行ったか。そう思い俺は、“木の中”からジッパーを開き出てくる。
ふう、久々に使ったが……昔と同じ感覚で使えてよかった。
そう思い、俺は宙に浮く“人型”を見る。
こいつは、“スティッキー・フィンガーズ”。スタンドといわれる、超能力の一種だ。
スタンドは、その人間の精神が形となった“パワーあるビジョン”……らしい。俺は、詳しいことは知らないが養父がそう言っていた。
この世界で生まれる前……つまり前世では“触った場所にジッパーを取り付ける”能力を持っていた。だが、俺が子供になりそもそもの精神力が減ったのかどうかはわからないがジッパーを取り付けられる量が両手に付いたジッパーの分までになってしまった。
今の“スティッキー・フィンガーズ”がつけることのできる最大のジッパーの数は“12個”。
だが、この数だけでもその場から緊急的に離脱することは可能だ。
「あ、あの……」
「おっと、すまないな。夕麻…さんッ」
俺はそう言いながら、夕麻さんを地面に降ろす。……どうやら、腰が抜けて立てないらしい。
「あ、あのそれは……」
「ん、ああ、こいつか……そうだな……」
何というべきだろうか、先程の光景……空を飛ぶ黒い翼を付けた男、その男が手から出した光の槍、そして、魔法陣から出てきた
スタンドはスタンド使いにしか見えない……その条件は完全に無視されているが今は考えるのはやめよう。
「俺の“相棒”と言うべきかな?」
「そうですか……」
「さて……君もさっきのと同じ“翼を付けた者”なんだろう?」
「え、ええ…堕天使です」
堕天使か……なるほど。だから、黒い翼が生えていたのか。
本当に“オカルト”の存在なんだな……。
「すまないな……あの状況じゃ、君を連れて逃げることしかできなかった」
「い、いえ……大丈夫です……」
しかし、そう言う彼女の顔は優れなかった。おそらくは……
「君は、君の友人の事を憂いているのか?だったら、大丈夫だ。さっき言ったろ、『夕麻さん“達”を守る』ってな」
「えっ……?」
「俺は一度覚悟したことは投げ出せない質でな。安心しな、絶対に救って見せるさ」
そう言いながら、俺は夕麻さんを落ち着かせるために頭を撫でる。
さて、俺の家で匿うことはできるだろう……だが、家で待機してもらうには危険が多すぎる。仕方ない、養父が「何かあったら頼れ」と言っていたのだ。頼らせて貰おう。俺より、あの人の所の方が安全だろうからな。なんてったって、俺が前世を含めて見た中で“最も最強なスタンド使い”なのだから……ジョルノを除けばだが……。
さて、俺はさっきリアス先輩が出てきた場所を見る。そこは、先ほどまで俺の破れてしまったポケットから出ていった俺の生徒手帳があった場所だ。
しかし、その生徒手帳はリアス先輩に持ってかれてしまった。
「はぁ……やれやれだ……」
俺は、この先に起きるだろう“何か”に対して辟易した。
to be continued→
ED YES-Roundabout
いかがだったでしょうか、第三話。
ちなみに、この話でこの作品を投稿する際に作った書き溜めは最後となります。
こっからは、某漫画家先生のごとく“どんどん沸いてくる創作意欲”のままに書いて行きたいと思います。
ちなみに、章のタイトルはイタリア語で“旧校舎の悪魔”となります。
直訳では、“古い教育的な建物の悪魔”と言う意味になるはずです。
章タイトルは、基本的にはイタリア語で表現して行きたい所存です。
それでは、次回もお楽しみに
しーゆーあげいん、BYEBYE!!
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