ハイスクールD×D~目覚めし運命の奴隷~   作:半生

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OP Diggy-MO-爆走夢歌


Act.7 “はぐれ”と“はぐれ” その①

「教会に近づいたぁッ!!?」

 

オカルト研の部室にそんな女性の声がこだました。

 

「少し困っていた人がいたものでな…………やっぱり、不味かったか?」

 

その声を聞いた、俺はそう言った。

今日はまた休日であり、バイトで出た余りのケーキ―――明日から品揃えを変えるために廃棄になる―――を片手にこの部室までやって来た。

ちなみに、そのケーキは塔城さんが食べている。いま、4ピース目に突入した。俺が持ってきたのは大体2ホールから2.5ホール分ほど。うちのケーキは、1ホールが大体8ピース程なのでもう4分の1から5分の1を一人で食べた計算になる。

その横で、一緒にレイナーレさんもケーキを食べている。

 

レイナーレさんは、この間連れてきてからこのオカルト研の部屋内で寝泊りをしている。この学校は、完全に悪魔の土地なのでそう易々と侵入されることはないそうだ。

 

 

俺の言葉を聞いたリアス部長は、少し怒りを顔に浮かべながら俺に対してこう言った。

 

「……いい、イッセー。二度と……二度と教会に近づいたらダメよ。教会は天使たちの土地。私たち、悪魔にとっては踏み込むことすら自分の身を危険に晒す場所なの。……それこそ、私達の弱点である光でできた槍がいつ飛んでくるかわからないわ」

 

「……そうか……」

 

かなり危ない行動をしてたんだな俺は……。

俺が死んでしまったら、レイナーレさんとの約束が果せなくなってしまう。

俺の勝手なイメージだが、悪魔は契約を必ず履行すると思っている。

しかし、悪魔だって、言ってしまえば少し違うだけで人間と同じだろう。

もしかしたらそうなっていない可能性も有る。

よくよく考えてみれば、少し軽率だったかもしれない。

 

その可能性を考えれば、手を差し伸べることにもう少し慎重にならなければならなかった。

 

横を見れば、先ほどまでケーキを食べていたレイナーレさんが涙目でこちらを見ていた。

すまないことをしたな……。俺の行動のせいで、もしかしたら友人たちを救えなくなるところだったからな。

 

「あらあら、女の子は泣かしてはいけないのですよイッセー君」

 

いつの間にか、裏から姫島先輩が出てきていた。

 

「……そうするつもりじゃなかったんですよ姫島先輩」

 

「うふふ、今後は気をつけてくださいね」

 

姫島先輩は、そういうとリアス部長のほうを向いた。

 

「さて、お説教はすみましたか、部長」

 

「………そうね、ここら辺にしましょうか。それで、朱乃?何かあったの?」

 

リアス部長がそう言うと、姫島先輩は懐から古い様相の手紙を取り出した。

 

「大公から、はぐれ悪魔討伐の依頼です」

 

それを聞いた、俺以外のレイナーレさんを含む全員が顔を引き締めていた。

 

 

*****************************

 

 

俺たちは、オカルト研の部室を離れ街の郊外にある廃墟に向かっていた。

さすがに、誰も監視をつけていたい状態になるようでレイナーレさんも着いてきている。

 

(はぐれ悪魔か……)

 

ここに向かう前に、リアス部長やレイナーレさんから話を聞いた。

 

『はぐれ悪魔』

 

自分の主人を裏切り、主人を殺したり主人の所から逃げ出した眷属悪魔のことを言うらしい。

彼らの大半は、自分の欲を満たすためにそのようなことをする。

得た大きな力を、振るいたくなってしまうからなのだろう。人間とは……いや、精神を持っている生物というのはそういう物だ。

スタンド使いにも、そう言うやつはいる。スタンドの矢などで急に目覚めたりした奴は、特に。

 

はぐれ悪魔は見境なく人を襲ったりする。そのため、各勢力でははぐれ悪魔は見つけ次第殺すことにしているらしい。

 

(それにしても、『裏切り者』か………)

 

前世の俺も……いや『俺達』も組織の方から見れば、『はぐれ』だったんだろうな。

それもそうだ。自分の組織のボスに歯向かいそのボスの親衛隊を殺した挙句、正確には違うがボスさえ殺したのだから。

 

今の契約者と言うべきか、リアス部長はどうなのだろうか。

俺はまた、何かに失望し裏切りことになるのだろうか。

あの時の、『パッショーネ』の『ボス』のように。

 

 

 

廃墟のすぐそばまで近づくと、周りにはいやな予感が張り付いていた。

 

「………血の臭い……」

 

そう、俺の斜め前を歩いていた塔城さんがつぶやいた。

嫌な予感がするのはわかるが、臭いはしなかった。かなり鼻が利くんだな。

 

「さて、イッセー。いい機会だから、貴方には悪魔の戦いというものを経験してもらうわ」

 

「……それはつまり俺に、『戦え』……そう言っているのか?」

 

「………いいえ、そう言うことではないわ。あなたが、悪魔に転生したときに使った『悪魔の駒(イーヴィルピース)』。その特性を教えるために今回は見ててもらうわ」

 

駒の特性?なんだそれは?

俺がそう考えていたら、リアス部長がそれ読んだかのように話を進め始めた。

 

「そうね、まずは駒の特性の前に私達悪魔の歴史の軽いレクチャーから入りましょう」

 

そう言うと、リアス部長は立ち止まりこちらに向き直った。

 

「前に、言ったわよね?私達悪魔と天使、それに堕天使は三竦みの関係にあると。それは何百年も前の戦争から続く睨みあいなのよ」

 

リアス部長は、更に語る。

 

「大昔、私達悪魔と堕天使、それに神の率いる天使は三つ巴の大規模な戦争を起こしたの。大軍勢を率いて、永遠にも思える期間その戦争は続いたわ。その結果、どの勢力も疲弊し誰も勝利者がいないまま戦争は終結した」

 

そこを引き継ぐように、今度は木場が話し始めた。

 

「その時の、悪魔側の被害もすさまじい物でね。当時、爵位を持っていた大悪魔の方々のその部下の大半を戦争でなくしてしまったと聞いているよ。それこそ、戦争のために作られていた軍団が保てないほどに」

 

さらに、そこから今度は姫島先輩が続く。

 

「純粋な悪魔の方も大勢なくなったと聞いています。しかし、戦争が終結してもその三竦みの睨み合いは今も続いています。どの勢力も弱っていますが、隙を見せれば危うくなります」

 

リアス部長に戻り、語る。

 

「そこで、悪魔は少数精鋭の制度をとることにした。それが『悪魔の駒(イーヴィルピース)』なの」

 

なるほどな、そういう物だったのかあれは。

 

「つまり、悪魔側の一時の兵力の確保。その為に人間を転生させる駒が作られた……そういうわけか?」

 

「そうね、おおむねその解釈で間違ってはいないわ。そもそも、悪魔は出生率がかなり低いの。それを、カバーするために作られたものと言っても過言ではないわ」

 

そう言いながら、建物を見据えながらリアス部長は話を続ける。

 

「駒が作りだされる際、そこに『チェス』の特性を取り入れたの。それぞれの駒の特性を転生する際に与えることにより、軍団の代わりに眷属に強大な力を与えることにしたのよ」

 

ふむ、それが『特性』というやつなのか。

 

「この制度は、作りだされてまだ2~3百年程度なの。………その内、爵位持ちたちの間で自分たちの下僕や眷属たちを自慢しあう為に一つのゲームが作りだされたわ。『レーティングゲーム』、そう呼ばれていてね。行ってしまえば駒が生きて動く大掛かりなチェス。これが悪魔の間で大流行。今では、これの良しあしによって悪魔の地位、爵位にすら直結するようになったわ。最近では、『駒集め』と称して優秀な人間を自分の手駒にするのも流行ってるの」

 

「契約するときに、対価として眷属にしたのはそのゲームのためなのか?」

 

「……そうね、正直に言って渡りに船だったわ。実は、貴方が風紀委員会を作った頃から勧誘しようと思っていたの。でも、接点の無い人物からいきなり言われても不審者と思うだけでしょ?」

 

いきなり、『悪魔になってください』なんて一般人から見たら狂人よ、とこちらを向きながらリアス部長は言った。

 

「……それもそうだな。それで?俺もいつかそのゲームに参加するようになるのか?」

 

「そうなるわね。でも、それはまだ先の話。私はまだ成熟した悪魔ではないから公式の大会には参加できないし、ゲームをするにしてもさまざまな条件をクリアしなければいけないわ」

 

なるほどな。つまり、これはそのゲームの予行演習でもあるのか。実践に勝る物はない。

実践を積めば、失敗を事前に防げる。それは、前世で経験済みだ。

さて、そうなってくると気になってくることが一つある。

 

「じゃあ、リアス部長。俺の駒はいったい何なんだ?」

 

「イッセー、あなたの駒は……」

 

リアス部長が何かを言おうとした瞬間、廃屋の闇の中から何かの影が現れた。

 

 

「旨そうな匂いがするぞ?でも、不味そうな匂いもするぞ?」

 

 

闇の中から現れたのは、言うなれば“異形”。

上半身は、裸の女性だ。ロングの黒髪で、割と筋の通った顔立ちをしている。

そこらのイタリア人なら、思わず声をかけるに違いない。

しかし、それ以外は化け物のそれだ。

下半身は、四本足の獣になっている。

右手には、まるで岩から削りだしたかのような槍を持ちその右手には――――

 

「ご飯ももうこれだけだし、ちょうどよかった(・・・・・・・)

 

――――引きちぎられた子供の手が握られていた。

 

「はぐれ悪魔バイサー、グレモリーの名においてあなたを消し飛ばさせてもらうわ」

 

俺が、バイサーとやらの様子を見ているとリアス部長がそう言いはなった。

 

「小娘が………貴様も、この餓鬼のように泣き喚いて命乞いするようにさせてから―――」

 

その言葉が聞こえた瞬間、俺の腕に力が入るのを感じた。

おそらく、それを行ったのは自分のためだけなのだろう。怒りが沸々とわいてくる。

悪とは、自分のためだけに弱者を利用するものの事。

あいつの行動は、まさしくそれだッ。

………だがだ……今、俺の中に起こった怒りをブチ撒けるのは簡単だ。だが、それにはスタンドを晒すことになる。

それは、今は避けなければならない。俺は、冷静にリアス部長達の戦いを――

 

「―――ぐちゃぐちゃに食い散らかせてくれるわぁッ!!!」

 

――ただ、観る事にした。

 

 

 

奴は、叫びをあげこちらに突っ込んできた。

 

「悠斗」

 

「ハイッ!!」

 

それを、リアス部長は冷静に観てから木場に指示を飛ばす。

それを聞いた木場は、閃光のような速さで駆け出した。

 

「さて、レクチャーを始めさせてもらうわ」

 

リアス部長はそう言うと、木場の方を向く。

木場は、どこから取り出したのか両刃の西洋剣を手にとんでもない速さでバイサーの攻撃をいなしていく。

 

「悠斗の駒の特性は『騎士(ナイト)』。高速の戦いを主軸とする駒よ」

 

木場の西洋剣の速度はどんどんと上がっていく。途中から認識が軽くできなくなり、誰にもばれないようにスタンドの目を通して見始めようやく認識できた。

速い、それに(剣に関して全く知識はないが)太刀筋も正確に見える。

その内、木場はバイサーの片腕を切り飛ばした。

 

悲鳴を上げ木場から逃げるように他方に走っていく。

そこには、塔城さんの姿がいた。

 

「どけ、小娘ぇッ!!」

 

バイサーは、そのまま塔城さんのことを踏みつぶした。

 

「と、塔城さん!?」

 

レイナーレさんがその様子を見て驚く。

 

さて通常、仲間がこのようになれば誰かが焦る。

だが、(外には出ないようにしているが)俺とレイナーレさん以外だれも焦っている

 

「大丈夫よ、レイナーレさん。小猫の駒は『戦車(ルーク)』。特性は、馬鹿げた力と強靭な防御力。踏みつぶされた程度で小猫は―――」

 

リアス部長がそうレイナーレさんに言うと、バイサーの足がせりあがり塔城さんの姿が現れた。

 

「―――やられることはないわ」

 

「………流石にちょっとだけ重いです」

 

そう言うと、塔城さんはバイサーの足を横に除ける。

そして――

 

「吹っ飛べ」

 

バイサーの腹めがけて、拳を突き出す。

すると、バイサーが軽く吹っ飛んでいく。

ああ、これは怒らすのは危険行為だな。

養父がもし、あの異名を本人に言ったら多分吹き飛ばされるぞ。

 

「さて、最後は朱乃ね」

 

「あらあら、うふふ。さて……どうしましょうか」

 

姫島先輩はそういいながら、ふっ飛ばされ倒れているバイサーの元に歩み寄る。

 

「ぐぅぅぅぅうう……」

 

歩み寄る先輩に対して、バイサーは睨み付ける。

 

「あら、まだまだ元気がおありのようですわね。それでは……これはどうでしょうか」

 

そう言った姫島先輩の手から、稲妻のごとき電撃が放たれた。

 

「うがががっががががっががg」

 

その電撃が真面に直撃し、バイサーは激しく感電する。

電撃が落ち着くと、黒焦げになり呻き声をあげるバイサーがいた。

だが――

 

「あらあら、まだまだいきますわよ?」

 

――そんな死に体のバイサーに向かって、姫島先輩はまた電撃を放った。

さすがの俺も、この光景を見て先程まであった怒りがほとんど吹っ飛びなぜかバイサーに対して同情をしたくなった。

 

「朱乃の駒は『女王』……『王』を除いた全ての駒の特性を持つ、最強の駒。最強の副部長よ」

 

そう言っているリアス部長を知ってか知らずか、姫島先輩は電撃をどんどん放ち続ける。

まさに、鬼の所業だ。

 

横を見れば、レイナーレさんが涙目になっていた。ああ、怖いからな。

あの状況を作り出している姫島先輩の顔は、満面の笑みだ。誰だって怖い、俺も怖い。

 

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。今みたいに、自然現象を起こす力よ。特に得意なのは雷……そして、彼女、究極のSだから」

 

それを聞いて、俺の心の中には『でしょうね』以外の言葉が思い浮かばなかった。誰がどう見ようと嗜虐思考もちだと言うことがわかる。

 

そうしている間にも、電撃をさらに放っていく姫島先輩。

 

あの人には、口答えはしない方が良さそうだ。

 

 

「大丈夫よ、朱乃は見方にはとても優しいから」

 

「………だったら、いんですけども」

 

……若干信じられないがな。

 

 

「さて、そろそろ限界かしら?それでは止めは部長に」

 

姫島先輩は、そういうとリアス部長にバトンタッチする。

 

 

「さて、バイサー。何か言うことはあるかしら?」

 

「……殺せ」

 

バイサーがそういった瞬間、リアス部長の手には黒い塊が現れる。あれも魔力って奴なのか?

 

「なら、消し飛びなさい」

 

リアス部長は、その黒い塊を手から放つ。それは、バイサーにぶつかり―――

 

―――バイサーは、痕跡を残さずこの世から跡形も無く消滅した。

 

 

さて、駒ごとのある程度の役割は分かった。幾つか説明されていないものもあるが、多分今いる人数的に駒がここまでしかそろっていないのだろう。まあ、その説明が無い部分はおいおい聞いていくとしてだ。

こうなってくると、やはり気になってくることは一つだ。

 

「ところで、さっき聞きそびれたんだが結局俺の駒はなんなんだ?」

 

やはり、自分のそういった特性を知らなければ戦いには生かせないからな。

俺がそう聞くとリアス部長は口を開いた。

 

「『兵士』よ」

 

チェスはあんまり詳しくは無いが、兵士ってのはつまりだ……下っ端のことか。

 

やれやれ、ジョルノ。俺の新入り生活は前途多難みたいだ。

 

                                   to be continued→




ED YES-Roundabout

いかがだったでしょうか、第七話。
こんにちわ、「半期に一回生になる変態」略して半生です。
まさか、こんなに掛かってしまうとは。本当に申し訳ないです。
この一ヶ月と少しの間、さまざまなことがありました。
ジョジョの扇子がどこかに行ったり、ポーチが壊れてクレイジー・接着剤で治したり、夢の中にプロシュートの兄貴が出てきて「いいか、半生。『早く書かなきゃ』……そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜなら、物書きはその言葉を多い浮かべたときには!実際にもうすでにワードや原稿に物語を書き終えているからだッ!だから、『書き終わった』なら使ってもいいッ!と言うか早く書けッ!!」と言われたりしました。

さて、実は昔から戦闘の描写が若干苦手です。
今回のも、キチンと分かるようになっているか心配です。
結構勢いで書いてるものですから。

それでは、次回もお楽しみに
しーゆーあげいん、BYEBYE!!

感想、批判、誤字修正、ベネ!!―――お待ちしております。
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