とある茨の禁書目録   作:darkrad26

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お待たせしました!

感想で意見を受けて以前の話に少々加筆しました。



第四話

 

 

「すまない、連れが迷惑をかけたな」

 

「悪いのは私じゃない、コイツだ」

 

 

 ソファに腰掛けながらも素直に謝罪する北斗とは対照的に、黒夜はそっぽを向き隣に座る絹旗に責任転嫁を図る。絹旗が近くにいることが気に喰わないのに加え、北斗が申し訳なさそうにしていることにも苛立っているようである。しかしそれは絹旗も同様なのか嘲るように言葉を吐き捨てる。

 

 

「責任転嫁だなんて超無様ですね。自分の過ちも認められないんですか?」

 

「やンのかァッ!?」

 

「超ボコボコにしてあげますよ!」

 

 

 先ほどと同様に一触即発な雰囲気が作り出され、またかと呆れた表情を浮かべる面々。だが今回はさすがに見逃せなかったのか北斗が仲裁に乗り出す。もっとも実力行使での仲裁だったが。

 

 

「はいここで吸収ー。喧嘩は止めような」

 

「「うっ…」」

 

 

 場所は変わって、ここは第三学区にある高層ビルの一角、アイテムの隠れ家の一つであるVIP用の個室サロン。

 基本的にはカラオケボックスを豪奢にしたような施設なのだが、この部屋は年間契約の貸し切り個室で、『二つ星』以上の会員証ランクがなければ借りる資格すら与えられないという、軽く3LDKを超える広さを持つ最高級な感じの部屋である。

 余談だが北斗も一部屋借りており、主に異性関係に使用されている。ホテルといい、個室サロンといい一体いくつ部屋を借りているのか問いたい。

 

 先ほどまでファミレスにいた6人だが、黒夜と絹旗の乱闘のせいで店に深刻な被害が出ており、警備員が駆けつけてくる前に逃げ出してきたのだった。さすがにまた別のファミレスに入る気はなかったようで、麦野に誘われるがままに北斗達が着いてきたのだ。

 しかしフレンダは他の暗部が自分達の領域に入るのが不快なようで難色を示している。

 

 

「結局なんでコイツらまでここに連れてきた訳よ? しかもちびっこ二人を膝の上にロリハーレムつくってるし」

 

「私が決めたことに文句でもあるの? 詳しい事情も聞きたかったし、アンタらも話が聞けてちょうどいいじゃない」

 

 

 部外者を連れ込んだ麦野に咬みつくフレンダだったが一言で黙らされる。多少の不満は残っているだろうがこれ以上意見することはないようだ。

 そんなやり取りを眺めていた北斗は苦笑しながら会話に加わる。

 

 

「コイツらを抱えてるのはまた暴れられても困るからオレの能力で抑えるためだよ。まぁわざわざ密着する必要はないんだが…役得ってことで」

 

 

 抑え役としては適任なのかもしれないが本当にこの男に任せていていいのだろうか。不安が募るばかりである。

 抱きかかえている理由については納得したかに見えたが、当事者である絹旗は納得できないようで北斗から逃れようと暴れだす。いくら麦野の知り合いとはいえ、初対面の男に抱きかかえられるのは抵抗があるのだろう。

 

 

「離せこのロリコン! ってさらに力が抜けていく!?」

 

「力を入れる度に吸いとってるからな。ほら暴れるから下着が丸見えだぞ?」

 

「超死ねぇぇええ!!」

 

「…海鳥とは違ってオマエは可愛らしいパンツ穿いてんだな。うん、これはこれで悪くない」

 

「うぅっ、超汚されました…」

 

 

 力が入らないのかもぞもぞと暴れたせいか、絹旗のワンピースの裾はもともとギリギリのラインだったこともあって捲れ上がっており下着が丸見えになっている。それを見た目成人の男が堂々と見て、あまつさえ感想まで言っているのだから変態以外のなにものにも見えない。絹旗にいたっては羞恥で顔を真っ赤にさせて体を震わせている。不運にも気に入られてしまったらしい。

 

 

「まったくなにをやっているのよ」

 

「絹旗がいじられ役だなんて珍しい訳」

 

「…そんなみかどは応援できないかも」

 

「馬鹿だな(北斗は子供パンツも好きなのか…今度穿いてみよう)」

 

 

 呆れ、驚愕、非難とそれぞれ違った表情を浮かべる女性陣。約一名は言葉とは裏腹なことを考えているようではあるが、まあご愛嬌といったところだろう。

 実に平和である。

 

 しばらく北斗の腕の中でもがいていた絹旗だったが、ようやく無駄を悟ったのか抵抗を止めぐったりとしている。相変わらず下着は見えたままだ。

 

 

「ようやく静かになったな。それで沈利は何を聞きたいんだ?」

 

「まずはそのガキとの関係を聞かしてもらおうかしら?」

 

「こいつはウチ(グループ)の構成員だ。少し面倒見てやったら懐かれてな? ようするに沈利、お前と同じようなもんだよ」

 

 

 北斗の説明も間違ってはいないのだが事実を全て語っているわけでもない。言わなくてもいい話も多々あるのだ。十分な説明とは言えなかったが、麦野のことには興味が沸いたらしい。

 

 

「麦野の面倒も御門が見た訳?」

 

「ああ、沈利と出会ったのはかなり前でな。あの頃はまだお嬢様然としてて可愛らしかったぞ」

 

 

 二人が付き合いはお互いにまだ幼い頃で、暗部に堕ちたばかりの麦野を先輩役として選ばれた北斗が面倒を見、しばらくコンビを組んでいた頃からになる。当時の麦野は本物のお嬢様からの転落だったため、まともな人間関係も築けず、多大な迷惑を北斗にかけていたのだ。

 

 

「麦野が可愛らしいお嬢様!? 今では考えられない訳よ」

 

「ケンカ売ってんのかフレンダァァアアア!! あんまり舐めた口きくと真っ二つにすんぞ!?」

 

「死亡フラグ!?」

 

 

 余計なことを口走って窮地に陥るフレンダ。北斗に言われるならともかく、他人に過去のことを触れてほしくはないようだ。どう見ても本気で実行しそうな雰囲気の麦野を見ても、北斗は笑っているだけで止めようとはせず冗談すら言っている。

 

 

「ならフレ/ンダだな。これからはンダと呼ぶことにしよう」

 

「なんで下半分!? 確かに自慢の美脚だけど!?」

 

 

 冗談にもしっかりつっこんでいるのを見るとまだ余裕がありそうだ。

 

 

「やっぱりフレンダにはいじられ役が超似合ってますね」

 

「…おいコイツいじられてるのに目輝かせてんぞ?」

 

「ドMなんだろ。海鳥はこんな風にはなるなよ?」

 

「大丈夫、そんなふれんだでも私は応援してる」

 

 

 実際に目を悦んでいるのかはわからないが四人の中ではフレンダのドM疑惑は決定したようだ。明らかに面白がっている。

 

 

「私はノーマルな訳よ!って落ち着いて麦野ー!?」

 

「逃げんなよフレンダァァアアア!!!!」

 

 

 照れ隠しか原子崩しを放つ麦野とそれを必死に避けるフレンダ。そしてそれを面白そうに眺める4人。麦野も周囲に被害が出ないように調整しているようだが、滝壺はさり気無く北斗の後ろに避難している。

 混沌とした光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜の学園都市。完全下校時刻をとうに過ぎ、出歩くものがいなくなった街を黒塗りのワンボックスが一台、走り抜けていく。

 

 

「それにしてもなんで『アイテム』の仕事に『グループ』のアンタが着いてくるんですか。しかもアイツを滝壺さんに預けて。超捨てられた子犬みたいな目してましたよ」

 

「最近仕事が少なくてな、能力の関係もあってちょっと暴れたかったんだよ。オレの能力は便利だが面倒もあるからな」

 

 

 本来なら別の組織の人間が勝手に一緒に行動するのは問題があるはずなのだが、この男はそんなことは気にも留めず、我が物顔で着いてきたのだ。麦野も投げ遣りにだが認めたこともあって、絹旗には拒否することが出来なかった。

 

 

「それと海鳥を置いてきたのは、アイツに知り合いを増やして欲しいからさ。初対面でまだ性格を掴みきれてないが滝壺辺りならいい関係を築いてくれるだろ」

 

「私たちみたいな暗部にはその優しさは命取りですよ。もっとも実験の時に研究者連中を皆殺しにしたアイツにとっては超余計なお世話なんじゃないですか?」

 

 

 先ほど知り合ったばかりの人間とはいえ、知り合いが死ぬのは嫌らしい。自分こそ優しさを捨てられていないのを見ると、まだ堕ちきってはいないようだ。それを北斗は複雑な表情を浮かべながら答える。

 

 

「命取り、ね。死ぬなんて有り得ないだろうが忠告には感謝するよ。もし邪魔になるようなら躊躇いなく切り捨てさせてもらうさ。まぁアイツはオレが死んだら仇取ってから自分も死ぬなんて言ってるけど」

 

「あの黒夜海鳥が?超信じられませんね」

 

 

 過去を知っている絹旗からすると、黒夜の言動は信じられないらしい。目の前の男は騙されているんじゃないかとすら内心で思っている。

 

 

「そう思うのも無理はない。だけどアイツは不安定なんだよ。実験で『攻撃性』を植えつけられたせいか本来の彼女の人格に乖離がおきてしまっている。『防護性』のオマエになら多少はわかるんじゃないのか?」

 

「……それは…」

 

 

 予想以上に自分達の情報に詳しい北斗に疑問を感じつつも、思い当たる節があるのか絹旗は言葉に詰まってしまう。その様子を一瞥し、北斗はさらに言葉を重ねていく。

 

 

「能力使用時に口調が変わってしまうのがいい例だ。本人が意図せずとも思考が攻撃的になってしまう。これでも名を得てからは安定した方なんだぞ? なんせオレが引き取った当初なんか他人に近寄ろうともしないで部屋の隅で布団を被って膝を抱えてた。そのくせオレが視界に入ってないと不安になるのか風呂やトイレにまで入ってきやがる」

 

 

 心を開いてくれるまで相当時間がかかったとぼやきながらも、懐かしそうにしている。

 

 

「…想像できませんね。私が見た彼女は他人を嘲笑っているような超嫌なやつでしたし」

 

「その頃から影響が出ていたのか、自分の内心を他人に見せたくなかったんだろうさ。不器用なんだ、どうしようもないくらいな。だから絹旗、オマエもたまにでいいからアイツと世間話でもしてやってくれよ。真実同類と言えるのはオマエくらいなもんなんだから」

 

「…努力はしてみます。笑って話す自身は超ありませんけど」

 

 

 絹旗自身は『防護性』という比較的影響の少ない部分を植えつけられたため黒夜の苦悩を完全に理解できたとは言えない。しかしそれでも思うところがあったのか北斗の頼みに対して神妙に頷いた。

 

 

 

「なんならオマエもうちにくるか?幸いにして部屋は余ってるしな」

 

「生憎ですけどロリコンと住むのは超遠慮します」

 

「遠慮すんなよ、手続きとか面倒なことはやっといてやるからさ」

 

「ですから私は遠慮するとさっきから超言ってるじゃないですか!」

 

「おっとそんなことより目的地に着いたみたいだぞ?」

 

 

 

 先ほどの暗い雰囲気がなかったかのように冗談を交わし、騒いでいた二人だったがどうやら車が目的地に到着したようである。辿り着いた場所は廃棄された区画にある路地裏。夜間はもちろん、昼間でも学生は近寄らない寂れた場所である。

 二人は車から降り、軽くあたりを見回している。

 

 

 

「今回の仕事はここを根城にしている武装能力者集団(スキルアウト)の壊滅です。この前第二位が潰した研究所の職員と繋がりがあったからだそうですが、詳しい理由は必要ないでしょう。逃げ出す奴は放っておいてもいいらしいので超楽な仕事ですね」

 

「なら派手に一発かました後、集まってきた輩を叩くって感じかな」

 

「それが無難でしょうね」

 

「じゃあ、とりあえず絹旗はオレの後ろにでもいてくれ」

 

 

 そう言って北斗が取りだしたのは缶ジュース程度の大きさの物体、スタングレネードだ。それを30メートル程奥に投げ、着弾と同時に爆音と閃光が路地裏を駆け抜ける。相当な衝撃のはずだが北斗は涼しい顔を、絹旗は咄嗟に対ショック体勢を取ったが怪訝な顔をしている。

 

 

「爆音が私たちまで届いていない? いえ、能力で吸収したんですか」

 

「正解。わざわざあんなうるさい音を聞くことないだろ?」

 

 

 北斗が能力で対処したようだが、それなら一言あってもいいんじゃないかと文句を言おうとした絹旗。だが騒音を聞かずに済んだことからそれを飲み込む。

 

 

「どんな仕組みかは知りませんが超便利な能力ですね」

 

「もちろんデメリットもあるがな。……っと集まってきたようだぜ?」

 

 

 今の爆音と閃光を聞きつけたのかスキルアウト達がワラワラと集まってくる。それを確認した絹旗は近くに乗り捨ててあったバイクを軽々と持ち上げると前方の集団に向かって投げつけ、自身もそれを追うように突っ込んでいく。北斗は投げつけられたバイクが衝突すると同時に一瞬でその場から消え去り、次の瞬間には頭部を失った死体が次々と生産されていく。一瞬前まで北斗がいた場所のコンクリートが陥没していることから、高速で踏み込み頭を潰したのだろうが、最早人間に出せる速度の限界を大きく超えており、なおかつその身には返り血など一切ついていなかった。

 

 

「さっさと終わらせるか」

 

 

 それ以降も二人は縦横無尽に暴れまわり、スキルアウト達は碌に抵抗もできぬまま駆逐されていく。悪夢はまだまだ始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び深夜の街を走るワンボックスカー。その中に先ほどの虐殺をおこなった二人はいた。ほとんど疲労していないようで、その姿は行きの時と全く変わらない。

 

 

「あっけなかったなー」

 

「所詮は無能力者ですからあんなものでしょう。それより早く帰って超寝たいです」

 

「そうだな。海鳥には先に帰っておくようにメールしといたしオレも風呂入ってさっさと寝るかね」

 

 

 いくら疲れてはいないとはいえ、もう夜も遅いことから眠気を覚えているようである。

 

 

「そういえば御門はどこに住んでるんですか?」

 

「普段はいくつか所有しているセーフハウスを渡り歩いてるからあまり使ってないが、第七学区にある高級マンションだよ。窓のないビルの近くに建ってるやつ」

 

「…学生の住む場所じゃないですよね。しかもあっさりと他人に教えるなんて」

 

「いいんだよ金なら有り余ってるんだし。普段はあんまりいないしな」

 

「麦野もそうでしたけどレベル5っていうのは金銭感覚が超おかしいです」

 

 

 ちなみに北斗が住んでるマンションはいわゆる億ションだ。いくら報酬の高い暗部の仕事といえども到底無理なはずなのだが…不思議である。

 そんな取りとめもない話をしているうちに、二人を乗せた車はスピードを落とし路肩に停車する。

 

 

「どうやら御門のマンションについたようですね。…では私はこれで失礼しますね」

 

「なに言ってるんだ? うちに住むって言っただろ?」

 

「はい? あれは冗談でしょう? それに超遠慮すると…」

 

「もう手続きも済まして絹旗の荷物も運び入れさせてあるぞ」

 

 

 疑問の表情を浮かべていた絹旗だったが、思いもかけない言葉に驚愕を露わにして北斗に詰め寄る。

 

 

「………はぁ!? いつの間に!? ってそれよりなんで私の荷物が!?」

 

「どこに住んでるか調べさせて運ばせたんだよ。言っとくがもうオマエの部屋は解約しちまったぞ」

 

「なんてことするんですか!! …今日からどこに住めば…」

 

「だからうちに住むんだって。ほら行くぞ」

 

「ちょっ!? 引っ張らないでください! 今日はホテルにでも泊まりますから! って抱きかかえるなー!!!」

 

 

 どうやら絹旗は北斗の家に住むことに無理やり決まったようである。いつの間にそんなことをしていたのかは不明だが恐ろしく仕事が早い。そもそも暗部組織の機密レベルは相当高いはずなのだが、一体どのような手を使ったのか。

 それにこの男は本当にロリハーレムでも築きたいのだろうか。他のアイテムメンバーへの説明が大変そうだ。特に麦野の。

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「おかえり北斗! なんか荷物が運ばれてきたけど一体……ってなんでソイツを抱きかかえてんだ?」

 

 

 北斗が帰ってきたのを迎えるために走り寄って来た黒夜だったが、抱えられている絹旗に目を丸くさせている。

 

 

「今日からコイツもここに住むことになったから」

 

「なんだそれ!? どういうことだよ!」

 

「私にだっって超わかりませんよ…いきなり連れてこられたんですから…」

 

「あぁ…まぁ、北斗だからな。…………諦めろ。私は諦めた」

 

「超不幸です…」

 

 

 疲れた表情を浮かべる二人を置いて北斗はさっさと部屋に入っていく。残された二人は微妙な表情を浮かべていたが、やがて諦めたのか顔を見合わせ中へ入っていく。

 こうして北斗の家に住人が一人増えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オマケ~あったかもしれない話~

 

 

「海鳥ー。風呂入るぞー」

 

「今準備するから待ってくれ」

 

「一緒にお風呂とか超子供ですね」

 

「何言ってんだ。オマエも一緒に入るんだよ」

 

「え? ぬっ脱がさないでー!?」

 

 

 

 

「うぅ、もう超お嫁にいけません」

 

「ならオレが貰ってやるさ。オマエも湯船につかれよ」

 

「わざわざスペース開けてやってるんだから早く入れよな」

 

「わかりましたよ…(……うわー!?)」

 

「「(…見すぎだろ…)」」

 

 

 オワリ

 

 

 

 




しかし人数が多いと書くのが大変ですね。
とくに滝壺なんか積極的に会話に参加する方じゃないので影が薄くなってしまって…
作者の力不足を嘆くばかりです。

感想、意見などお待ちしております。
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