とある茨の禁書目録   作:darkrad26

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第六話

 

 

 

 

 

 学園都市にあるとある喫茶店、そこに無気力無表情少女こと滝壺理后はいた。どうやらプライベートのようであり、アイテムの面々はいない。そこで滝壺は何をするでもなく座席に身を預け視線を虚空に向けている。誰かと待ち合わせでもしているのだろうか。

 

 

「ごめん、待たせちゃったかな?」

 

「ううん、大丈夫。そんなに待ってない」

 

 

 やってきたのは御門北斗。今日は黒夜を連れてきておらず1人のようだ。滝壺は北斗を見やると相変わらずの無表情で答える。

 

 

「そうなのかい?それにしては紅茶が冷めてしまっているようだけど」

 

 

 北斗を待っている間に頼んだであろう紅茶はすでに冷めきっているようだ。彼にとってはそのようなことは見ないでも感じ取れる。

 

 

「ちょっと早く来すぎただけだから問題ない」

 

「それでも待たせちゃったのには変わりないから、せめてここのお代はオレが持つよ」

 

「ありがとう、みかど。それで今日は私になんの用?」

 

「この前海鳥を預かって貰ったからお礼でもと思ってね。迷惑をかけていなかったかい?」

 

「大丈夫、大人しくしてたよ。でもお礼なんて別にいいのに」

 

「お礼と言っても食事を奢るくらいしかできないけどね」

 

 

 北斗が彼女を呼びだしたのはお礼をするためのようだ。もっともお礼にかこつけて食事に誘っているようにしか見えず、それは滝壺も察したようだった。

 

 

「……わたしと食事がしたいの?」

 

「さすがにばれちゃったか。滝壺はオレとデートするのは嫌かな?」

 

「私は別にいいけど、むぎのはいいの?」

 

「これは痛いところをつかれたな。でもオレにとっては沈利とは別れたつもりだったし、滝壺が可愛かったからね。君にとても興味があるんだ」

 

 

 話を逸らして誤魔化している。しかもまだ一度しか会っていない相手に面と向かって言うセリフではないだろう。

 

 

「でも私と一緒にいたって楽しくないと思うけど」

 

「滝壺みたいな美少女と一緒ならそれだけで楽しいよ」

 

「みかどは女たらしなんだね」

 

「はは、手厳しいな。……食事までまだ時間があるから少し付き合ってもらえないかな?」

 

「どこへ行くの?」

 

「それは行ってからのお楽しみさ」

 

 

 そう北斗が言った後二人は連れ立って喫茶店を出て行った。女たらしだということが見破られていたが大丈夫なのだろうか。そしてその二人の後を追う小柄な人影があった。

 

 

「私には超手を出してくれないのに滝壺さんとはデートするなんてっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人がやってきたのは高級ブティック。ちなみにここは第七位を除いたレベル5御用達である。当然ながら値段も相当な額になる。

 

 

「服を買うの?」

 

「滝壺のをね。予約しているのがドレスコードのあるレストランだからオレはこの格好でいいとしても滝壺はちょっとね」

 

 

 北斗が苦笑しながら話す。それもそのはず、滝壺の格好はいつも通りのピンクジャージ姿だ。なお、北斗の恰好はいつもと同じスーツ姿である。

 

 

「…私はジャージでいいのに」

 

「まぁたまにはいいじゃないか。代金はオレ持ちなんだしさ」

 

「……今日だけだからね」

 

「ありがとう。じゃあ採寸してもらって衣装を選ぼうか」

 

 

やはり彼女も女の子だからだろうか、異性からの服のプレゼントは嬉しいようで口角が少し上がっている。

 

 

「…とても似合っている。思わず見惚れてしまったよ」

 

「そ、そうかな?こんなドレス着たことないから少し恥ずかしい…」

 

 

 滝壺が着ているのは淡いピンク色のフォーマルドレス。肩口などは大胆に露出しており、普段は隠されているスタイルの良さがでている。やはり着なれないせいか、それとも肌を多く見せているためか頬をうっすらと染め恥ずかしがっている。どこぞのバニー好きが見たら思わず鼻血が出てしまうのではないだろうか。

 

 

「あなたに恋をした。あなたに膝まづかせていただけないだろうか」

 

「大げさだよ………本当に似合ってる?」

 

「もちろんさ! 元がいいんだから普段から着飾ればいいのに」

 

「……考えておく」

 

「ではお嬢さん、お手を。不肖、私がエスコートさせていただきます」

 

「…うん」

 

 

 北斗は仰々しく膝をつくと恭しく滝壺の手を取りその手に口づけする。いきなりのことに滝壺は顔を真っ赤にして慌てふためいている。それにしても北斗、キャラが変わりすぎである。この分だと結婚詐欺師もいけるのではないだろうか。そしてその光景を服の陰に隠れながら見つめる影。

 

 

「やっぱり、やっぱり超胸なんですかっ!」

 

「お客様、その手に握っていらっしゃる服は皺になってしまったので買い取りいただくことになりますが…」

 

「…いくらですか?」

 

「40万円になります」

 

「え゛っ」

 

「(最愛のやつなにしてるんだ?)」

 

 

本人はばれない様に尾行しているつもりだったが北斗にはばればれのようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって二人がいるのはレストランの一室。360度全方位モニターによって自由に風景が変えられる部屋であり、ここで食事をするには相当の値段がかかる。北斗が今日だけでいくら使ったのか見当もつかない。現在この部屋の光景は宇宙に設定されており二人の頭上には満天の星が輝き、眼下には美しい地球が見える。

 

 

「綺麗…」

 

「この映像は現在衛星が撮っているものとリンクしているんだ。この光景の中にオレ達もいると思うと不思議な気分になるね」

 

「うん…」

 

 

 滝壺はこの光景に圧倒されているのか言葉が少なくなっている。出された料理の味もろくにわかっていないのではないだろうか。北斗はそんな滝壺を微笑ましげに眺めている。

 

 

「けど学園都市にドレスコードのあるお店があるなんて知らなかった。学生の街なのにここってそんなに需要あるの?」

 

「ここは基本的にVIP専用なんだ。君のために特別に用意したんだよ。気に入ってくれたかい?」

 

「うん…すごい気に入った」

 

「それはよかった。苦労して用意した甲斐があるというものだ」

 

 

 苦労したといっても北斗はコネを使ってこの部屋を用意したのでそれほど労力はかかっていないし、そもそもそうでなければこれほどの短期間で用意できるわけがない。

 

 

 

 

「会員以外は入れないってどういうことですか!くっこれから超どうすれば……」

 

 

一方、絹旗は店に入れず悔しそうにしながらもなんとか二人の様子を覗おうと試行錯誤していた。

 

 

 

 

 

 

 現在二人は部屋に備え付けられたソファーで北斗が注文した果実酒を眼前の地球を前に飲んでいる。アルコール度数は高めだが女性でも飲みやすいようになっているものだ。普段の滝壺なら警戒して飲まなかっただろうが、今は既に雰囲気に酔ってしまっているのか勧められるがままに飲んでいる。頬は朱に染まりすでに酔っているようである。

 

 

「どうだろう、今日のお礼は楽しんでもらえたかな?」

 

「うん、とても楽しかった。ありがとうみかど」

 

「お礼を言いたいのはこちらの方さ。こんなに可愛い女の子と一緒に過ごせたんだからね」

 

「可愛いだなんて…」

 

「恥ずかしがらないでその綺麗な顔をオレに見せてくれないか?」

 

 

 恥ずかしがって顔を背ける滝壺だったが、北斗は右手を頬に添えると自分の方に向けさせる。両者の距離はわずか10センチ、アルコールと雰囲気に酔っている滝壺はとろんとした目で熱に浮かされたように北斗を見つめている。

 

 

「…みかど……」

 

「北斗って呼んでくれ」

 

「………ほくと…」

 

「理后…」

 

 

 至近距離で見つめあっていた二人の影が重なる。それは周りの光景も相まって幻想的な雰囲気を放っていた。やがて二人はいったん離れたがすぐに滝壺が北斗にもたれかかり、頭を北斗の肩に預けた。

 

 

「(胸がどきどきする……これが恋?)」

「ほくと…私は嫉妬深いからね…」

 

「(………ミスったかなぁ)」

 

 

 内心、冷や汗をかく北斗であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人は今頃どうしているんでしょう。……まさかホテルで超あんなことやこんなことを!?」

 

「いいから早く寝ろよ(まぁヤってんだろうなぁ)」

 

 

 結局、その後の二人の様子を確認できず肩を落として帰宅した絹旗は気になって眠れないようであり、そんな彼女を海鳥は呆れた様子で眺めていた。

 

 

 




長らく更新停止していましたが、いまだに続きを期待している方がいるようなので投稿させていただきました。

更新速度は遅くなると思いますがこれからもよろしくお願いします。
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