今年も「とある茨の禁書目録」をよろしくお願い致します!
二〇一六年一月一日元旦。
新年最初の日、科学偏向の街である学園都市といえどもこの日ばかりは学生、研究員の区別なくお正月気分を味わっている。そんな学園都市の第七学区にあるマンション、最上階一フロアを丸ごと占める超高級な部屋。御門北斗の住まいであるそこに御門北斗と黒夜海鳥の二人はいた。
「明けましておめでとう、海鳥」
「明けましておめでとう、北斗」
「しかし私たち暗部連中にとっては明けましても何もないだろうに」
「そんなこと言ってもオレが用意した振袖着てくれたんだな。とても似合ってるぞ」
「ちっ違ぇよっ!これはその……着る服がなくて仕方なくだな…」
「あとでアレイスターに『滞空回線(アンダーライン)』のデータ貰っとかなきゃな」
「ヤメロォォオオオ!!」
黒夜が着ているのは黒地に白い花が散りばめられ金糸で刺繍のされた華やかな振袖だ。口では仕方なく着たようなことを言っていたがしっかり髪を結ってあるあたり抜かりない。頬を染めて照れていた時など破壊力抜群である。ちなみに北斗は茨が巻きついている様が描かれた羽織袴を着ている。…出入りでもあるのだろうか?
「ともかくお雑煮でも食べようか。あとはお餅を入れるだけだからすぐできるぞ」
「私はお餅一個なー」
「はいよ、ちょっと待っててくれ」
「「いただきます」」
「相変わらず北斗が作る飯は美味いな」
「まぁそれなりにはな。ほら、あーん」
「ちょっ…あ、あーん」
「やっぱりオマエは可愛いな」
「何言ってやがる…ってもういいから!満面の笑みで箸近づけんな!!」
お雑煮を食べながら、正月早々二人でいちゃついている。いつも通りの光景と言えばそれまでだが、ただのバカップルである。
「さて、飯も食ったし。…はい、お年玉」
「わーい!…って分厚い!?」
「とりあえず百万ほど入れといた」
「馬鹿だろ…ってか私は別に金を恵んでもらうほど困ってないぞ」
「いいんだよ。こういうのは気分の問題なんだから。オレだってアレイスターからもらったぞ」
「統括理事長から!?」
「毎年もらってるな。レベル5は全員もらってるはずだぞ」
「キャラじゃねぇだろ…」
似合わない所の話ではない。実際もらった当初は罠の可能性を考えたほどである。
「…お年玉………コーヒーでも買ってくるかァ」
「これでようやくまとまった現金が………って借金明細!?…でもちょっと減ってる…」
「毎年欠かさずなんて統括理事長ってのも律義よねー」
「新作の服でも買おうかしら」
「お年玉だ!これも一年いい子にしてたからね☆」
「どこの誰だか知らんがありがとうっ!!!!!!」
「海鳥ー!甘酒飲むか?きな粉餅もあるぞ?」
「初詣行きたいからってなんで学園都市の外に…」
「学園都市の神社なんて厄除けとか言って除菌されるだけじゃないか。風情がない」
今二人がいるのは学園都市外にある神社。初詣に行こうと北斗が黒夜を引っ張ってきたのだ。
「おみくじも引いておこうぜ」
「はいはい、…私は中吉だな。健康に気をつけろだとさ。サイボーグ化してる私に言われてもなぁ」
「一応今度メンテナンス行っとけばいいんじゃないか?」
「それより北斗はどうだった?」
「オレは小吉だが………見なかったことにしておこう」
恋愛運:今年は女難の年。包丁や背後には気をつけましょう。
「…私は刺さないぞ?」
「疑問形かよ!オマエのことは信頼してるから心配なんてしてないさ」
「そ、そうか…私も信頼してる」
「なんか言ったか?」
「なんでもない!それよりお参りしよう!早く行こう!」
「おい、引っ張るなって」
「北斗は何を願ったんだ?」
「ん?刺激的な毎日が送れるようにってのと可愛い女の子と知り合えるよう、ってな」
「また浮気か!?私を放っておいておくなんて許さないからな!」
「オレがオマエを放っておくわけないじゃないか。それよりオマエは何を願ったんだ?」
「それは…って話をそらすな!大体北斗がいない日の朝はすごく寂しいんだからな!それなのにお前は女の匂いを残しながら帰ってくるし!!!」
「はっはっは、自爆してるぞ?海鳥は甘えたがりなんだから」
「黙れェェエエエエ!!!!」
いつも通りな二人。黒夜は自爆して色々口が滑ったようだがここが魅力なのかもしれない。
なにはともあれ今年もいい年になりそうである。
―――いつまでも『海鳥』『北斗』と一緒に過ごせますように―――