龍帝になれなかった少年   作:超人類DX

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見返してやろうと積み重ねた。
しかしアイツはオレの積み重ねを平然と飛び越え、圧倒的な力で捻り潰す。

古賀ちゃんと結託しても何時だって変わらず。

初めは悔しいと思ったけど……それは何時しかやられる事にドキドキするようになり、オレはその時気付いたんだ。

『あぁそうか……オレはコイツにプライドも何も全てをズタズタにされるのが好きなんだ』って。

だってアイツ、ズタズタにしたら放置するんじゃなく何時だって………。


『お前がそうさせたんだ、だから責任とれ』

 霧島一誠という名前は、良くも悪くも学園全員の――生徒会でもある俺達も知る名前だ。

 誰に対しても気安く、誰に対しても引かず、誰に対してもフレンドリー

 そして女子に対しては後輩目線でも馬鹿になる人。

 

 そう思っていた。いや、そう思いたかった。

 だってそうだろ? 俺達生徒会や学園の生徒達からすれば、霧島先輩っていう人は――

 

 

『有明ちゃーん! 俺とデートしてくれー!! 諫早先輩ー! 好きだー結婚してくれー!!』

 

『あ、霧島先輩がまたナンパしてるよ人吉』

 

『おう……しかも生徒会の依頼人と容疑者をピンポイントにな……』

 

 

 こんな感じに。

 

 

『鍋島すうぇんぱーいアーンド女子柔道部ちゅわーん!! 俺に寝技の特訓させておくれぇ!!!』

 

『…………。おい、霧島二年生は柔道部員じゃないだろう? 何故いる?』

 

『……。気付いたら何時も居るんよ……。然して邪魔してる訳ちゃうし、見てるだけならまあエエかなと……』

 

『いや、あの……鍋島先輩を含めた女子を見る目が果てしなく危険を帯びてんですけど……』

 

 

 こんな風に……。

 

 

『貴様等、戦争の時間だ!

働かざる者食うべからずと言うが、私達はむしろこう言うべきなのだ。働いた者は食ってよい!!

欲しい部費は勝利して―――』

 

『良いから早く水着美女のくんずほぐれつを見せろスットコドッコイ!!

つまんねー生徒会長の演説なんぞ後でも良いだろうがこの野郎!! こちとら三日前から高性能キャメラ片手に席確保に動いて――

 

『……。館内の撮影はNGだ霧島二年生。

したがって貴様は退場だ!』

 

『んだと!?

ざけんなこのボケ!! いくら後輩に寛大な俺でも今の言葉は聞き捨てならねーぞオラァ!!』

 

 

 この様に……。

 

 

『はぁ? 全学年の女子の過半数が俺に『ナンパするのをやめさせろ』だと?』

 

『あぁ、そうだ。

陸上部の時も、迷子犬の時も、柔道部の時も、美術部の件の時も、そしてこの前の球技大会の時も時も時も時もっ!! 貴様は事あるごとに女子に手当たり次第ナンパをしていたな? 聞けば一年の時からそうだったみたいだ――

 

 

 

 

『お、喜界島後輩ちゃんじゃないか!

生徒会に入ったのかい? へいへい、その制服も似合うねぇ。可愛い可愛い』

 

『う……』

 

 

 

『……。全然聞いてないどころか、早速喜界島を俺達の目の前でナンパしてるぞあの人』

 

『あ、あの虫め……! めだかさんの有難いお話を……!!』

 

『…………………』

 

 

 何を言ってもめだかちゃんの話を聞きやしない。

 何をしても懲りもしない。

 風の噂じゃ風紀委員に何度もぶちのめされても尚変わらないという、ある意味――いや正真正銘バカな先輩が霧島一誠だと俺達はそう思ってたし、めだかちゃんですら思っていた筈だ。

 

 

『あのー霧島先輩に一つ質問が……』

 

『んー? 何だよ人吉後輩くん、言っとくけどナンパの秘訣は教えねーぞ?』

 

『要らねーよ!? そうじゃなくて、アンタって手当たり次第ナンパをしてみたいだが、めだかちゃんにはちょっかい掛けませんね……と』

 

『はぁ? 黒神後輩ちゃん~?』

 

『キミと同じ学年である事は実に恥ずかしいが、確かに疑問に思う点だな。何故めだかさんには俺達男子みたいな態度なんだい?』

 

『む、確かに私は1度も貴様に『なんぱ』とやらをされた事が無いな……何故だ?』

 

『何故ってそりゃお前決まってんだろ……目付きは悪い、取っ付きにくい、ベットの上だとマグロっぽ――うげぇ!!??』

 

『……………。ハッ!? すまん、ヘラヘラした顔で言われたものだからつい手が……』

 

『いや、殴って正解ですよめだかさん』

 

 

 バカでアホで、先輩として尊敬できる点なんて全く無い普通な人だと思っていた。

 けれど気付くべきだったんだ、めだかちゃんの影響を一ミリたりとも受けず、めだかちゃん相手に真正面から常にヘラヘラと立つ様な人が普通じゃないことに。

 

 俺も知らなかっためだかちゃんの姉と繋がりがあって、十三組とも繋がってる様な人が――

 

 

「しつけーよアホ! そんなキラキラした笑顔向けつつ寄ってくんな馬鹿!!」

 

「差別はよかねーぜ一誠。古賀ちゃんだけに贔屓するのは許されねーよ……そーら、ドスンとのたうち回る程に激しい一撃をこの腹に頼むよ一誠~?」

 

「ね、ねぇやめようよ名瀬ちゃん? いくらイッセーくんが一日限定で素直になったからって、それは違うと思うし……」

 

 

 

 

 

「……。どんな状況、なんすかね……?」

 

「名瀬さんが素顔のまま霧島君にお腹見せながら近付いてる……としか解らない」

 

「く、くじらがあんな笑顔浮かべるの初めて見た……」

 

 

 普通じゃない。俺達はめだかちゃんを取り戻す為に再び赴いた地下フロアーに案の定立ちはだかる霧島一誠、めだかちゃんの姉、古賀先輩の変なやり取りを見ながら改めて思うのだった。

 

 

「! あ、おいそこのポニテ男! あんたコイツの兄貴なんだろ!? 何とかしろよ!!」

 

「え……ぁ……」

 

 

 地下を降りた先に案の定立ちはだるは、俺達の中で現状一番危険と認定したアホな先輩こと霧島一誠。

 わざと残されたと言ってた真黒さん以外のめだかちゃん含めた俺達全員を『何をしたのかすら理解できないナニか』をして気絶させて見せた人は、只今戻ってきた俺達――真黒さんに食って掛かっていた。

 理由は、何でか知らないけど、見ることすら激レアなんだろうなと思う名瀬妖歌――いやめだかちゃんの姉である黒神くじらが素顔のまま、異様にキラキラした笑顔して制服を捲って腹を見せながら霧島先輩ににじり寄ってるからだと思うが……。

 

 

「い、いや……ちょっと待ってくれ。その前に何で僕の妹がキミにお腹を晒しながら近付いてるのか――その理由を教えて欲しいのだけど?」

 

 

 そうだ、そもそも兄である真黒さんはともかく、俺と阿久根先輩と喜界島は黒神くじらを知らない。

 だからこそあんな真似をしてる理由も聞いてないのに何とかしろだなんて兄貴である真黒さんだって困惑するに決まってると俺は思う。何年も会えなかったみたいだし尚更な。

 

 すると霧島先輩は鬱陶しいと言わんばかりな顔をしながら説明しようとしたんだけど……。

 

 

「あ? チッ、邪魔すんじゃねーよ。今オレは一誠からの罰である腹パンを貰おうとしてんだよ」

 

『……………』

 

 

 スッゴい睨みを効かせた黒神くじらが、霧島先輩に代わってこの変すぎる絵面の答えを俺達に聞かせた。

 それを聞いた俺達は、米神を押さえ始める霧島先輩にどういう事なんだと目で訴えるのは仕方ないと思うし、真黒さんが殺気立つのも無理無いと思うんだ。

 

 

「ど、どういう事だい霧島くん? やっと探し当てた妹とキミは随分と仲良しだったみたいだけど……?」

 

「どういうことも何も、そんなもん俺が――」

 

「どう頑張っても一誠に追い付けない。オレが全力でアレコレ策を練ったりしても半笑いでコイツは叩き潰してくる……。その敗北感が……捻り潰されるのが気持ちいいってだけだが……それが何か変なのか? ん?」

 

 

 長年探してきた実の妹の性格が変な方向に曲げられてしまったという現実を知れば真黒さんだってそりゃあ……。

 

 

「……………………………」

 

「お、おい……お前の兄貴が立ったまま泡吹いて気絶してるぞ……?」

 

「ま、真黒さん!!?」

 

「ショックなのは分かりますが、気絶してる場合じゃありませんよ!!」

 

 

 ショックで気絶するのも……多分無理無いと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 くじらの趣味に巻き込まれたせいで、俺まで見事にド変態扱いされてしまったのは、今の彼等を見れば一目瞭然だった。

 人吉後輩くんはドン引きしてるし、イケメンあんちくしょーな阿久根も同じくだし、喜界島後輩ちゃんは蔑んだ目をしてるし……。

 

 

「黒神さんのお姉さんに酷いことをしてたって、明日クラス中に話すから」

 

「ちょ、お、おい喜界島後輩ちゃん? 待ってくれよ、俺がコイツに好き好んで調教プレイをしたってのは誠なる誤解で――」

 

「気安く名前を呼ばないで、このヘンタイ」

 

「おごぉっ!?」

 

 

 ……。元々無かった先輩としての威厳が更に下がって逆インフレを起こしてしまったとしか……今の喜界島後輩ちゃんのゴミを見るような目を見れば解るし、あんな淡白に変態呼ばわりさせるとなれば、いくら俺でもグサリとするものがある訳で……。

 

 

「何スカしたツラしてほざいてやがるのやら……。

今更コイツが変態だなんて解りきった事だろうが」

 

「いやいやいや、それとは別に名瀬ちゃんのせいで余計イッセーくんがドスケベ扱いされちゃってるんだよ?」

 

 

 元凶である大バカのせいで俺は調教大好き一誠くんという風評を植え付けられてしまうのだ。

 俺って只のハーレム王目指してただけのなのにな……。

 

 

「……。もう良いや」

 

 

 女にモテないって現実から逃げてやりたい気分だよ……ホント。

 

 

「あの、まあ……何だ……俺が調教大好きな変態で構わないけど、此処から先は絶対に通さねぇからな。

もうこうなったらヤケクソだ!」

 

 

 しかしながらテメーのアイデンティティを否定してまで女の子にモテたいとまでは思わないし、俺は俺のままでハーレム王になりたいので、死んでもそんな真似はしない。

 ギャルゲーにしたって攻略するのが面白いのであり、その過程を吹っ飛ばす真似をした所で虚しいだけよ。

 喜界島後輩ちゃんに蔑まれた顔されて、久しぶりに心が折れそうになっては居るが、当初の目的である時間稼ぎはちゃんとさせて貰う……その為に俺達三人はわざわざ此処に居るんだから。

 

 

「悪いけど都城先輩さんが来るまで遊んで貰うぜ?

純愛ハーレム好きだったのに、いつの間にか調教プレイ大好きになっちまったこの霧島一誠様となぁ!! オラかかって来いや!!」

 

「うわー……泣きながら笑ってるよイッセーくん」

 

「間違った事は言ってねーのに、何泣いてんだよ」

 

 

 ぶっちゃけ、何をしてもちょこちょこと後を付いて来る物好きが居るしな……ケッ!

 

 

 

 

 さてと……。

 あんな生徒会(ヤツラ)程度じゃあ一誠の性質の1%も引き出せないと思ったんで、逆にわざと一誠のヤル気を引き出させてみたんだが……。

 

 

「そーら生徒会さーん、へばるにはまだ早いぜ?」

 

「はぁ、はぁ……!」

 

「く、クソっ!」

 

「な、なんて出鱈目な……!」

 

「う、うーん……僕の妹が毒牙に……うぅ……」

 

 

 こりゃアレだな。逆に解らなくなったかもしれねぇやコレは。

 

 

「……。名瀬ちゃん名瀬ちゃん、イッセーくんがヤケクソになったせいで余計出番が無くなっちゃったんだけど」

 

「あぁ、古賀ちゃんを追い込んだ阿久根君と宗像先輩に勝った人吉……とついでに何故か一誠に贔屓されてる喜界島っつー女の三人を相手に、マジで人差し指一本で叩きのめしてんだ。そら出番も何もねーわな」

 

 

 その場から一切動かず、一斉に向かってきた生徒会(ヤツラ)を人差し指ひとつで程よく返り討ちにしてる一誠を観察しながら、横で話し掛けてくる古賀ちゃんに頷く。

 

 

「おいおい、折角出戻りしてまであの子を助けようとしてんだから、もうちょい頑張れよ?」

 

「ぐっ……」

 

「こ、このっ……!!」

 

 

 古賀ちゃんを闘わせる時もそうだったが、一誠は基本的に相手に解りやすく力の差を見せ付ける事が多く、この光景はまさにそのお手本の様なものだ。

 例えば――

 

 

「捕まえた!」

 

 

 何度もデコピンで吹っ飛ばされた阿久根君が苦し紛れに一誠の腰回りに組み付いたとしても……。

 

 

「うっ……! 動かな――」

 

「おうおう、どうした柔道界のプリンス? ちゃんと力入れて俺を倒せや!」

 

「い"っ!?!?」

 

 

 一誠の身体は一切動かせず、倒せず、崩せないままその額にまたデコピンを食らってゴムボールみたいに床を何バウンドもしながら吹っ飛ぶ。

 

 

「こ、このぉ!!」

 

 

 人吉の足技のラッシュを前にしても……。

 

 

「はいはいはい…………はーい!!」

 

「ぐはっ!?」

 

 

 蹴りの全てを人差し指の先で止め、挙げ句またデコピンで阿久根くんと同じく弾き飛ばす。

 ……。お前はピッコロ大魔王かよと言いたいが、餓鬼の頃から既にこんなもんだった為今更って奴だった。

 

 

「ったく……時間稼ぎの為とはいえ、手加減するのも楽じゃねーな」

 

「「「……っ!」」」

 

「うーんうーん……」

 

 

 一誠は何もかもが人の域じゃない。

 常に誰よりも圧倒的で、その力は日々拡大していく。 

 宇宙が今この時も際限無く膨張しているように……な。

 

 

「昨日よりまた強くなってるねイッセーくん……」

 

「だな。

前から立ててた仮説だが、どうやらアイツの異常性は成長に関するものだと思う。

時間と共に成長をし続ける……的な」

 

「だとしたらやっぱりアイツ等というか……黒神ですら勝てない訳だよ。

さっきよりも今のイッセーくんの方が何倍も強くなってるんだもんね」

 

 

 直接戦う事が多い古賀ちゃんだからこそ理解してる一誠の異常なる成長スピード。

 誰よりも先に進み続ける異常性。それがアイツの性質のひとつだとすれば、確かにフラスコ計画に必要な人材だと言えるだろう。

 

 

「しゅっしゅっ! ほれほれ、頑張れよ生徒会~? 真正面からとかじゃなく後ろに回って鈍器で殴るとか、もっとアウトローに行こうぜ?」

 

 

 だってそうだろう、アイツを調べ……成長し続けるその理由を解明して薬にでも出来たらそれは間違いなく、人類全体のレベルを一気に引き上げられる。

 それこそフラスコ計画の目的である『完全な人間の作成』も現実に出来てしまう程にな。

 

 

「成長する異常……だけならアイツを知ることにこんな苦労はないんだが」

 

「……。だね」

 

 

 が、それだけで一誠を知った気にはなれない。

 成長する異常性だけじゃないからなアイツは。

 

 

「つ、強いとかいう次元じゃないっ……全く動かせない!」

 

「か、かすり傷すら――その場から動かす事すら出来ないなんて……!

チクショウ! この瞬間にもめだかちゃんは……!」

 

「ヘンタイの癖に……!」

 

「うぐ……!

喜界島後輩ちゃんに言われると地味に傷付くんだけど……」

 

 

 仮に一つめの異常が自身を成長し続けさせるものだとするなら、昔流行り熱で死にかけた俺を一瞬で全快させたアレは何なんだという事になる。

 そのカラクリが未だに解らないが故に、オレ達は一誠が解らない。

 教えろよ……とでも言ってせがめば、もしかしたら教えてくれるのかもしれないけど、オレはそれだけは一誠に言わねぇ。

 

 

「しっかし一誠のデコピンか……。

阿久根君と人吉の額があんな青アザになってるのが見える感じ、かなりスゲーんだろうな……くくく」

 

 

 それを含めて自力で知る事がオレの目的なんだ。

 この役目だけは絶対に誰にも渡さねぇ……。

 

 

「く、くじら……!」

 

「あん? 何だよおにーたま?

起きたんならご自慢のマネージメントであの三人のフォローをしてやれや? じゃねーと奴等のスタミナが先に切れて今度こそ詰むぞ?」

 

「そ、その前に教えてくれ……!

さっき言ってた事はお前なりの冗談だよね? そうなんだよね? そうだと言ってくれ!」

 

 

 ちっ、人が感傷に耽ってるのにこの元・おにーたまが煩いったらありゃしねーな。

 一誠に腹パンされるのが好きなのが冗談だと? …………ヘッ!

 

 

「一々人の趣味にケチ付けんなやおにーたまよー?

一誠の奴にプライド含めた全部をズッタズタにされるのが楽しいと思ってるだけで、否定させる謂れはねーよ」

 

「なっ……ななっ……!」

 

「ちょっと名瀬ちゃん、自分の性癖をこんな状況で暴露しなくても……」

 

 

 そもそも何で変態呼ばわりやら否定されるのかが解らねぇ。

 だって餓鬼の頃からの縁で、ずっと一緒に居た男……それもオレがそれまで持ってた価値観全部をひっくり返す様な奴に幾度と無く叩きのめされ、それが気持ちがいいと気付いただけじゃねーか。

 

 それで変態扱いは心外だぜ。

 

 

「く、くじら! そんな……何をされたからそんな……!」

 

「なに? 何って色々されたな。

開発した薬を注入しようとしたら思いきり頭をどつかれたとか。

『汚いから風呂に入れ』っていきなり素っ裸に剥かれた後激しい水責めをされたりと、二次成長入る頃に『ムラムラする』って野獣みたいに無理矢理――」

 

「出鱈目言ってんじゃねーぞゴラァ!!」

 

 

 ………。チッ、ドン引きさせて次の日にはこの話を全校の女子に広めさせようと思ったのに、しっかり聞いてんじゃねーよバカ一誠。

 

「く、くじらが……ごはっ!?」

 

「お? おにーたまがまた気絶してらぁ」

 

「俺が只の畜生じゃんかよこれじゃあ……」

 

「でも実際、女の子相手にゲラゲラ嗤いながらプロレス技してくる辺り、半ば嘘じゃでもないよね?」

 

 

 ふと見ると生徒会連中は既におねんね。

 おにーたまは勝手に自爆しておねんねしてるという状況になってた。

 

 お、てことは……。

 

 

「よーしよし、これで煩いギャラリーも片付いたし、さっきの続きと行こうぜ一誠。

もういっその事オレの言った事を現実にしようぜ?」

 

「……。一体何がコイツを此処まで駆り立てるの……?」

 

「イッセーくんは気付かなかったと思うけど、基本的に叩き潰された後の名瀬ちゃんって何時もこんなんだよ? 寧ろ私はこれがデフォルトだと思ってたし……」

 

「うそーん……」

 

 

 

 邪魔が居なくなったともなれば、続きをしない訳が無い。

 こちとらお預け喰らいまくって色々と限界なんだよ。

 

 

「オメーのせいでこうなったのは事実だし、責任持ってケアしろや。

解るか? オメーのその理不尽過ぎる力で叩きのめされる度にここら辺が……つーかぶっちゃけると発情しちまうんだよ」

「えぇ……何言ってんのこの子?」

 

「名瀬ちゃんにとっては普通の事……かな?」

 

 

 正解だ古賀ちゃん。

 流石親友だけあってオレの気持ちが解ってて嬉しいぜ。

 

 

「何なら抱いてみるか?

あ、内容は出来れば尊厳を完全無視したエゲツないプレ――い゛っ!?」

 

「……。後で死ぬほど謝る。なんで頼むから落ち着いてくれよマジで」

 

「あ、駄目だってイッセーくん……今の名瀬ちゃんに拳骨しても――」

 

「痛い……ククッ、痛いなぁ……くふふふ! 痛くてたまんねーぜ……!」

 

「……ね? 多分だけど、今日の名瀬ちゃんは色々とタガが外れてるんだよ」

 

「…………。どうしよ、冤罪だと言い張る自信が無くなってきたかも」

 

 

 一誠の拳が脳天に入り、その威力の強さがオレの身体を無理矢理床に縫い付ける。

 ズキズキとした痛みが脳天から伝わり、やがて麻薬の様にオレの脳ミソをグチャグチャにする。

 

 

「ほら、殴ったのは悪かったからさ……な?」

 

 

 それが堪らなくヤバイ。

 その後急に優しくしてくるともっとヤバイ。

 何かもう考えるのとか放棄したくなる程に全部ヤバイ。

 

 

「ふっくくくく! ヤベェぞ一誠ェ……何かヤバイ……!」

 

「何かヤバイって――あっつ!? な、何だコイツ!? 顔が茹で蛸みたいになってるのもそうだけど、滅茶苦茶身体が熱いぞ!?」

 

「う、うわホントだ……。これはまた初めてのパターン……」

 

 

 抱えられてるだけでヤバイ……。

 ちくしょう……オメーのせいで理解しようとも思わなかった感情が植え付けられちまったよ……ばーか。

 

 

終わり




補足

この一誠は既に人の域を完全に逸脱してます。
故にこの時点でのめだかちゃんには完勝しました。

が、そんな彼にも弱点はあるので決して完璧な存在ではない。


その2
受け入れ、知ることにより……名瀬ちゃんのスキル覚醒フラグ――でもない。
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