龍帝になれなかった少年   作:超人類DX

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続き続き……と。


『誤解だからね!?』

 言うほど俺は心が強い訳じゃない。

 くじらや古賀が言うほど凄くない。

 重圧から逃げた男……それが俺、霧島――いや兵藤一誠の本来の姿だということを誰も知らない。

 

 故に思う……。

 

 

「『今日中にフラスコ計画を潰す!』

…………。確か私はそんな志を抱いて此処まで来た筈だ」

 

 

 俺は何時かこの生徒会長に負けてしまうんだろうな――ってね。

 

 

「……。洗脳を自力で解いたか黒神。

良かろう、ついてくる事を許可してやろうじゃないか。この地下十三階へな」

 

 

 生徒会の足止めをした。

 その際くじらが一人で勝手にラリった。

 それを古賀と二人で落ち着かせてる間に、洗脳完了済みの黒神後輩ちゃんが都城先輩さんと、何か俺に言いたそうな感じの行橋先輩さんとやって来て、生徒会達を完全に折ろうとした。

 

 しかしボロボロの人吉後輩君が身体を張って洗脳済みの黒神後輩ちゃんと戦い、思い出させる事に成功した。

 

 そして洗脳を解除されて何時もの状態に戻った黒神後輩ちゃんは此処に来た理由を二度と忘れないと自分に言い聞かせでもしたかったのか、計画を潰すと啖呵を切り、それを聞いた都城先輩さんが決着を着ける為に全員を地下十三階へと案内する――――って所が今の状況なんだけど……。

 

 

「あーすんませーん。俺もう帰って良いッスよね?」

 

「む?」

 

「なに?」

 

 

 キッチリ言われた通りの仕事を終えた俺としては、此所にはもう用が無いわけで。

 というか下校時刻になってるし、何やかんやこの場の全員が地下十三階へ行こうとしてるタイミングで帰ると言うと、何故かくじらと古賀以外の全員が『は?』って顔して俺を見るではないか。

 いや何で?

 

 

「いやいや、皆してそんなキョトンとした顔されても困るんですけど? 第一俺この計画全然知らんし、潰されようが残ろうがどっちでも良いし、貰った小遣い分の仕事したし」

 

 

 そうだ。

 元々俺はこの計画に参加してる訳じゃないし、もっと言えば潰れようが存続しようが知ったこっちゃ無いんだよね――なんて急激に落ちるやる気の無さを思いっきり態度に出して告げるんだけど、どいつもコイツもが複雑な目で見てくるのが果てしなく謎っつーか、俺に続いてスッとその隣で平常に戻ったくじらと、苦笑いしてる古賀も同じく手を挙げるこの二人だって同じだっつーか。

 

 

「ついでに言うとオレも帰りたいと思ってるんだわ」

 

「あー……アタシもかなー」

 

『………はぁ?』

 

 

 俺とは違い、フラスコ計画の中心メンバーとも言えるだろう二人までもが帰ると言い始めた事に、いよいよ全員が……それこそ都城先輩さんも眉を潜め始めた。

 

 

「つーかアレだし。今だから言うが、オレだって元々古賀ちゃんの改造の足しになるかとかそんな曖昧な考えで入ってただけだしな」

 

「同じく。

物凄い失礼かもだけど、計画自体がどうなろうとどうでも良いかなぁ……なんて」

 

「なんだと?」

 

 

 ちょっと罰の悪そうに言う古賀と、シレッと言い切るくじらに反応したのは黒神後輩ちゃんだった。

 

 

「それは霧島二年生という存在のせいでしょうかくじ姉?」

 

 

 そう言いながら横目で俺を鋭く見据える黒神後輩ちゃん。

 よく見ればその後ろで生徒会の子達も敵意バシバシな視線を寄越してら。

 ……。まあ、俺がこの子達に仕出かした事を考えれば仕方ないし文句言えねーけど。

 

 

「正解~

オレ達にとって必要なのは、親友の古賀ちゃんとこの女好きの変態だけなんでね。

さっき人吉とやりあってる洗脳されたお前を見てもう大体お前の事は把握出来たし………そもそも初めから大して興味が無い」

 

「っ……!」

 

 

 妹相手にハッキリ言い切るくじらは只今素顔だ。

 それは恐らく、包帯で隠してる名瀬妖歌としてでは無く、黒神くじらとしての本心なんだろう。

 然り気無く聞いていた兄貴の黒神真黒も傷付いた表情を一瞬浮かべたと共に嫉妬した表情を俺に向け来る。

 あれ、これ俺とばっちりじゃね?

 

 

「そういう訳だ。オレとしてもやることがあるから帰りたいんだよ」

 

「やること……?」

 

「あぁ……」

 

 

 『あーあ、絶対コイツ等からしたら、俺は"姉、または妹をたぶらかしたクソ野郎"なんだろうなぁ……』

 なんて遠い気分で何故か横で俺を一瞥したくじらが……。

 

 

「さっさとコイツの家で色んなお仕置きして貰いたくて我慢できねぇ……だから帰る」

 

 

 余計な一言をまーた言ってくれやがった。

 

 

「………………は?」

 

「ばっ!? て、テメ、素面に戻ったんじゃ……!?」

 

「は? おいおいおいおい、今日だけで何度お預け食らって貯まりまくってんだと思ってんだ? 当然素面な訳ねーだろ?」

 

「だと思ったよ名瀬ちゃん……ハァァ」

 

 

 素顔のまま、酔っぱらった様な目でニタニタするくじらに俺はボーッとしていた意識を無理矢理現実に引き戻された気分だった。

 てのも、よりにもよって一番バレたらヤバそうな相手を前に言ってるんだもの……。

 

 

「ま、待ってくださいくじ姉? お仕置きとは一体……?」

 

「あん?

そりゃ勿論、何時まで経ってもコイツに追い付けやしねぇ自分(テメー)の不甲斐なさをお仕置きして貰って正そうとしてるだけ――」

 

「シャラップ!!」

 

 

 これ以上黒神後輩ちゃんに余計な事を言わさんと、ニヤニヤニヤニヤしながら話そうとするくじらの口を無理矢理手で塞ぐ。

 冗談じゃない、只でさえ彼等からの信頼は地底にぶち落とされてるってのに、此処でコイツの性癖に巻き込まれて『女を虐めることに快感を覚えるゲス野郎』なんてレッテルまで植え付けられでもしたら、今度こそ普通科や特別科のおんにゃのこ達とイチャイチャ出来なくなる。

 

 

「もがもが……!」

 

「えぇい黙れ!」

 

 

 そう思うからこそ俺はフガフガと口を塞がれて喋れないくじらの口を塞いだまま後ろから羽交い締めにして、ありもしない余計な誤解を招く事は絶対に喋らせんと必死になるんだが、多分それがいけなかったんだろうな……。

 

 

 

「おい霧島二年生……!

貴様、くじ姉に何をした?」

 

「う……」

 

 

 向けられる視線は『完璧なる誤解』をしてしまってると見て分かる黒神後輩ちゃんの怖い顔。

 あからさまに殺意が籠った形相で俺を睨む黒神後輩ちゃんは、姉の様子のおかしさから何かを察してしまった様だった。

 

 

「ちょっと待て俺は――」

 

 

 これ以上話をがんじがらめにしてたまるかと、俺より小さい背丈のくじらを後ろから羽交い締めにしつつ口を押さえて、しなくても良い説明をして誤解を解こうと努めようとする訳だが……。

 

 

「ふがふが――ぷは!

クックックッ、テメーもガキじゃねーんだから察しろよ? そんなもん当然、一誠の家で身ぐるみ全部無理矢理剥がされた後から始まる『お医者さんごっこ』から始まり、そしてその後うつ伏せにハッ倒され背中をこうグリグリと踏みながら『ヒャッハハハ!! この雌豚がぁ!!』と罵られて――」

 

「もう黙れお前は!!」

 

 

 然るに空気を読むつもりが一切無いくじらのせいで、俺はいよいよ鬼畜ド変態のレッテルが……ファック!!

 

 

「……。な、なる、ほどな……。ふ、ふふ……私の大切な姉にそんな真似を貴様はずっとして来たんだな?」

 

「ちょっと待て! 全部コイツの誇大妄想――」

 

「なんだよー? さっき頭ぶっ叩いてくれたじゃねーかよ~? その時の痛みと共に感じた気持ちよさは本物だったんだぞ~?」

 

「うるせぇ黙ってろぃ!!」

 

『……………』

 

 

 ドン引き視線。

 黒神真黒は死にそうな顔で今にも卒倒しそうだし、都城先輩さんは生温い視線だし、生徒会は心なしか俺から離れてるし、黒神さんはうつ向いたままプルプル震えてるし――

 

 

「へへ……やっぱりお預けされ続けてヤバイぜ一誠。

ほら……主にここら辺が物凄い熱くて死にそうだ」

 

 

 余計な事しか言わないバッキャロウは再び酔っぱらった顔で後ろから羽交い締めにしてた俺の手を勝手に付かんで腹の部分を――あっつ!?!? マジで熱いぞ!

 

 

「こりゃもうアレだな、罵倒やら外身の仕置きじゃ足らねぇ。

具体的には乱暴に……無理矢理に……オレが泣いても構わないぜって勢いの激しい【ピーッ】を――」

 

「何の罰ゲームだバカ! 後生だから黙れ!!」

 

 

 勝手に発情してるくじらから本能的な危機感を感じて離れ、取り敢えず黙れと吠えるがくじらはラリった顔のまま此方に近付いてくる。

 それがまた怖く……生暖かい目をした古賀が意味深に俺の肩をポンと叩くせいで逃げ道を消された気分だ。

 

 

「こ、こう言うのも何だが……。霧島二年生……貴様、それでも、人間か……?」

 

「は? いや、だから全部このドMの勝手な妄想だし、俺は普通のおんにゃのこが大好きな人間―――」

 

 

 その上、どう見てもプッツンしかけてる黒神後輩ちゃんも居るし……。

 クソ……。

 

 

「おぶっ!?」

 

「だったら、私は化け物で良いよ!!」

 

 

 誤解を解くのって難しいというか、やっぱり人生は儘ならないというか。

 いきなり様子が変わった黒神後輩ちゃんの加速が入った肘打ちをモロに喰らい、地下十二階であるゲーセンの壊れた筐体の山の中へとぶっ飛んだ俺は思うのだった。

 

 

 

 

「…………。ねぇ王土? 僕達蚊帳の外だよね?」

 

「だな。まさか霧島の性癖のせいでこうなるとは……」

 

 

 そう俺の隣で小さく話し合ってる都城先輩と行橋先輩に同意したくなるというか、現に俺と喜界島と阿久根先輩は、風紀委員長の雲仙先輩の時久々に見ためだかちゃんの真骨頂・乱神モード――――とは違う雰囲気感じさせる出で立ちで、霧島先輩……いや、変態が吹っ飛んだ先の筐体の山を見ていた。

 

 

「出てこい霧島二年生。貴様がこの程度でやられる訳が無い事ぐらい分かってる」

 

 

 ボディにモロに入っためだかちゃんの肘打ち。

 常人なら内臓がイカれて死んでしまうだろう勢いのあった一撃だが、短いながらも散々変態先輩の異常性を見てきた俺たちはそれで奴がやられるなんて思ってもないし、案の定筐体の山を崩しながら奴は平然とした顔で出てきた。

 

 

「……。打ち込んだ時に嫌な音が聞こえたが……やはり貴様は立つか」

 

「…………」

 

 

 制服が汚れただけで変態先輩は立っている。

 何と無くわかっては居たものの、それでもやっぱりこうして見れば見るほどあの人の異常性は異常だと思わされてしまう。

 

 

「私が勝ったらくじ姉に『ごめんなさい』して貰おうか霧島二年生? それが出来なければ……不本意だがくじ姉から離れて貰おう」

 

「………………………………。あ?」

 

 

 それ故に気付かなかった。

 めだかちゃんが『くじ姉から離れて貰おうか』と言った瞬間、変態先輩の目付きがほんの一瞬本気で殺しに掛かる人間のソレに変化していた事を……。

 

 

「おいコラ黒神。テメーは何の権限があってオレの交遊関係に――」

 

「くじ姉はストイックだった。けれど何かが……いや霧島二年生に変な事を言われたせいでそんな事になったに違いありません!」

 

 

 相変わらずの上から目線性善説を姉である黒神くじらさんに言ってるが……何なんだろうか? めだかちゃんの様子が何時もの違うのだ。

 

 なんて思ってたら、ショック死しそうな真黒さんが息も絶え絶えな状態のまま、今のめだかちゃんを解説し始めるので俺達――そして腕組んで見ていた都城先輩も聞き耳を立ててる。

 

 

「元々めだかちゃんは、他人の技術をラーニングする事が出来た。

それが都城君に洗脳された後も支配性(アブノーマル)を使い、洗脳を打ち破ったから見て分かる通りだ。

そしてめだかちゃんは、都城君から獲た支配性を自分自身に――乱神モードを支配する事により完全なコントロールを可能にした」

 

 

 謂わば乱神モードならぬ改神モード。

 そう顔色悪く解説する真黒さんに俺達は息を飲み、ヨロヨロと立った真黒さんは続けた。

 

 

「他人の異常性を120%再現する異常……完成(ジ・エンド)。それがめだかちゃんの異常だ」

 

「ふん、成る程な。

もしあのまま俺が戦っていたら負けていたのは俺だったという訳か」

 

「……。残酷な事を言うけどそうなるね。キミは自分の異常を支配したいが為にこのフラスコ計画に乗ったんだもの」

 

 

 何処か悔しそうにめだかちゃんを睨む都城先輩に真黒さんがキッパリ言うのを聞いて、俺はめだかちゃんに勝ちが見えてきた気がした。

 何せ、どうであれその完成って異常で変態先輩の異常を会得して完成させれば……。

 

 

「ヘッ、それでも無理だな、一誠(アイツ)を倒すなんてのは」

 

「っ……!?」

 

 

 そう思っていた俺達に水を刺すように口を鋏んできたのは、さっきまで恍惚に満ち足りた顔をしてた筈の黒神くじらさんだった。

 

 

「………。どういう事だい? めだかちゃんの異常を霧島君は上回ってるとでも?」

 

 

 その言葉を聞いた真黒さんがくじらさんに問い掛ける。

 するとくじらさん……そして古賀先輩はフッと笑みを溢しながら俯いたまま棒立ちしてる変態先輩を見つめながら口を開く。

 

 

「これはあくまでもオレと古賀ちゃんの予測だが――」

 

 

 そう言うくじらさんとほぼ同じタイミングだったかもしれない。

 それまで俯いたまま棒立ちしていた変態先輩……いや、霧島先輩の姿があの時みたいに消えたかと思いきや――

 

 

「ったく、くじらのせいで只の変態からクソ変態野郎扱いだぜクソッタレ」

 

「ぐはっ!?」

 

 

 

 今度はめだかちゃんが乱回転しながらフロアーの壁際まで吹っ飛び、ため息を漏らした霧島先輩がめだかちゃんの立っていた場所に立っていたのだ。

 またとはいえ、やはり視えなかった俺達は息を飲む。

 

 

「ぐっ!?」

 

「だがもう、それでも良いかなぁ……なんてよ。

考えてみれば別にキミ等に誤解されちまおうが関係ねーしさ」

 

 

 それは今までに無い、誰に対しても同じものを見るような目だった。

 平等……というか、興味の無い玩具を見つめてる子供の様な澄んだ――そんな目を。

 

 

「一誠は見たもの、感じたものを自分の糧に出来る……それは黒神の異常に酷似してるんだろうが、大きな違いがある」

 

 

 たった一撃でフラフラになってるめだかちゃんに、一気に俺達は焦りだすが、くじらさんや古賀さんは冷静に続ける。

 

 

「アイツは自分の力を無限に進化させられる。宇宙がこの瞬間にも膨張している様に、アイツもまたこの瞬間にも成長し続ける」

 

 

 めだかちゃんですら叩き潰す圧倒的な霧島先輩の真骨頂を……。

 

 

「黒神の異常が完成(ジ・エンド)とするなら一誠は獲た全てを吸収し、無限に進化させ続ける異常だ。つまり何と無く頭に浮かんだネームとしては無限(オールインフィニティ)――――いや、無神臓(インフィニットヒーロー)てとこか? オレと古賀ちゃんだけの変態ヒーロー的な意味で」

 

「そういう事だよ皆。

完成で打ち止めにしちゃう黒神の異常を遥かに上回るって事なんだよ、イッセーくんの異常は」

 

 

 それはまた……めだかちゃんをある意味挫折させる現実でもあった。

 

 

「そ、そんな馬鹿な! めだかちゃんですら敵わないなんて……!」

 

 

 俺は思わず吠えた。

 めだかちゃんの近くに居続けたが故に認めたくなかったから……。

 けれど……。

 

 

「おいおい、あの二人……。ノーヒントだっつーのに自力でそこまで解明したのかよ? しかも『あの変な女』が付けた名前までピタリだし。

ったくよ……妹のキミの前で言いたくねーし、今だけのつもりだが、ほんとアイツ等好きだわ……くっくっくっ!」

 

「くっ……!」

 

「っと、それにしても良いパンチするじゃん黒神後輩ちゃんよ? お返しに先輩のコークスクリューパンチだぜ!!」

 

「あぐっ!?」

 

 

 現実は名瀬先輩と古賀先輩の言った通り、改神モードとなっためだかちゃんの攻撃全てをわざと……それもニタニタしながら無傷ですとばかりに受けきって尚叩き潰してる変態先輩の姿だった。

 

 

「めだかちゃん!」

 

「こ、こんな事って……」

 

「おいおい、黒神も十分スゲーと思うし認めてやるよ。

だが、このバカがその遥か上を行ってた……それだけだろ?」

 

「まあ、そうなるね……ほら見なよ? 黒神が気絶したみたいだよ?」

 

『っ!?』

 

 

 二人が言った通り、いつの間にか、音すら無くめだかちゃんはうつ伏せで倒れ……それを冷たい目で見下ろす霧島先輩の姿がそこにはあった。

 

 

「め、めだかちゃん!!」

 

「めだかさん!」

 

「黒神さん!!」

 

 

 それはまさに敗北。

 黒神めだかの決定的な敗北であり俺達はなりふり構わずに倒れたまま動かないめだかちゃんの元へと駆け寄ったけど……。

 

 

「あらら、あの貧弱くじらで耐えられたから大丈夫だと思って頭叩いたのに、勢い良く顔から地面にキスしたまま動かなくなっちまったな。ちょっと拍子抜けしちまったぜ」

 

 

 俺達の目に映る現実は、決して幻想では無かった……。

 

 

 

 やっぱり異常を覚醒させた黒神でも無理、か。

 分かってた事だが、やっぱコイツは化け物以上だぜ。

 

 

「……。あーぁ……支持率98%の生徒会長に何やってんだろ俺は」

 

 

 倒れてる黒神に駆け寄る人吉達は良いとしても、やっぱ都城先輩はショックだったんだろうな。

 悔しげに一誠を睨んでいるし、おにーたまもショックが隠しきれてないって様子で放心してる。

 

 恐らくこの茶番を見てる理事長は……ハッ、狂喜乱舞だろうよ。

 まあ、んな事はどうでも良い――

 

 

「よーし早く帰ろうぜ一誠。

もうさっきから子宮が疼いてしかたねーんだ」

 

 

 早いとこさっさと一誠にメチャメチャにして貰わないと収まりつかねーんだよオレは。

 

 

「うるせぇよ。お前のせいでド変態扱いされてんだよ俺は」

 

 

 黒神がやられて完全に戦意でも喪失したのか、人吉達は力の抜けた人形の様に倒れた黒神の傍らで塞ぎ込んでしまっている――のは別に気にせず、苦々しく顔を逸らす一誠に早くしろと続ける。

 

 

「良いじゃねーか、もういっそオレ達で妥協しとけ? オラ、お前の好きな胸だって自信もある。吸うも良し。挟むのもよし。

まあ、オレとしては乱暴に激しく掴んで貰いてーがな」

 

「え、あ、ひょっとしてアタシも?」

 

「るせっ!! にこやかに言うと腹立つからやめろ!」

 

 

 黒神が負けてショックだか何だか知らねーし、勝手に敗北ムードになってる奴等には悪いが……お前らじゃあ一誠に追い付く事は出来ないし許さない。

 

 

「はぁ……。

えっとあの、都城先輩さんと行橋先輩さん……。後の事お願いしますね?」

 

「「………」」

 

 

 コイツに追い付くのは、オレ達だけなんだからな。

 

 

「そーいえば黒神に名瀬ちゃんから離れて貰おうかって言われた時、イッセーくん一瞬だけ本気で怒った顔になったよね?」

 

「あ? そうなのか?」

 

「……………。誤解されたとはいえ、くじらの妹とはいえ、ああ言われてイラッとしただけだ。

俺にとって親しい奴はお前等しか居ねーんだから」

 

「「へぇ?」」

 

「だからニヤついてコッチを見るなよ!」

 

 

 最初にコイツの存在を知ったオレが……コイツに教えて貰わずとも自力で理解する。

 

 

「ったくもう……!」

 

「怒るなって、言われてニヤけちまうんだからよ」

 

「そーそー!

大事にされてるなぁ……なーんてね!」

 

「ありがとよ! ケッ!」

 

 

 このまま進化し続け、誰にも理解されない存在になってしまうだろう……割りと寂しがり屋なコイツを独りにはしない。

 それがオレと古賀ちゃんの生きる意味なんだから……。

 

 

「早く帰ってお医者さんごっこしようぜ。勿論、オレと古賀ちゃんが患者役で一誠が乱暴者な町医者の役だ。

内容は、まず恥ずかしがる患者二人に医者が聴診する為に上着を捲るようにと強要し、その次は無理矢理に服を引きちぎってひん剥いてから始まる触診で、その後は――」

 

「…………。おい古賀、くじらはどうしても俺を鬼畜野郎にしたいらしい。

見ろよ、類を見ない良い笑顔してるぞ……」

 

「正直ねイッセーくん。イ

ッセーくんの普段から私達にしてる行いは割りと鬼畜なんだからね? そうでなくても私が知り合う前から名瀬ちゃんはああなんだから……」

 

「…………………。いや俺は悪くない。」

 

 

終わり




補足

めだかちゃんは一誠くんの異常性を学習することはできますが、あくまで学習が出来るだけです。

古賀ちゃんの言った通り、無神臓を覚えて完成させても意味が無いからです。

完成……つまりそれ以上の成長見込みが無くなるから的な。


その2
そんなこんなでこの三人は三人の中だけにある独特な繋がりがあります。

親兄弟ですら入れない……妙な繋がりが。
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