龍帝になれなかった少年   作:超人類DX

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一誠くんが思春期になってからのナンパ勝率。

1256戦1勝1255敗

内の1勝――

1勝目

「へい! そこの後ろ姿までまイカすおんにゃのこぉ! お暇なら俺とこれから―――」

「え、アタシのこと? ってイッセーくんじゃん。
うん、言われた通り暇だし別に良いよ? どこいくの?」

「ゲゲッ、古賀!?
い、いや悪いけど間違えた、古賀に言ってないからチェンジ」




「『僕は悪くない』だと? じゃあ俺はもっと悪くない。」

 知らないもんは知らない。

 黒神めだか後輩ちゃんや生徒会があの後どうなったかなんてのはよく知らないし、正直な所顔を合わせ辛い俺としては時の流れで上手いこと何とかなって欲しいというか……。

 

 まぁだから今日はこのまま大人しく帰って飯を食ってエロ本読んで、ギリギリスケベな深夜番組とか見て寝ようとかそんなん考えてたんだよ。

 だというのにさ……。

 

 

「な、なにこれ……!?」

 

裏の六人(プラスシックス)と……黒神の増援がやられてるだと?」

 

 

 どっかの誰かは俺をこのまま大人しく帰してはくれないみたいだ。

 ったく……儘ならねぇよな色々と。

 

 

「ど、どうしよう? まさか相討ち、って奴?」

 

「つーかコイツ等に刺さってるのは螺か? 随分とデカいが……」

 

 

 結局後の事を放棄して帰ろうと思って一階まで戻った。

 そしたら俺達の目に飛び込んできたのは大量惨殺現場だった。

 

 …………。ってのが簡単な状況なんだが、古賀とくじら――いや今は包帯巻いてるから名瀬か?

 とにかく俺達の目に飛び込んできたのは壁に張り付けにされてる十三組の……えっと裏のなんたらって連中と、同じ十三組である高千穂先輩さんや宗像先輩さんや雲仙君やらその他やらであり、割りと酷めな血塗れ惨殺現場にちょっと引いていた。

 

 

「……。これはもう救急車呼ばねーと始まらないだろ。うんそうだよ、ここはプロの救急隊員に任せて帰った方が身の為だと俺は思うぜ……て事でイタ飯屋に行こう」

 

「そ、そんなあから様にめんどくさそうな顔して言っても説得力が全然無いんだけどイッセーくん……」

 

 

 いやまぁ、誰だって顔見知りの相手が名瀬の言った用途も分からねぇ巨大螺を全身にブッ刺しながら倒れてんだ。

 平然としてる方が変な話なのは分かるけどさ、俺は俺で女の子をぶちのめして快感を獲る鬼畜変態の烙印を平然と惨殺現場を検証中の変態包帯のせいで押されて色々ナーバスなの。

 だから助けるつもりなんて――

 

 

「あ!? な、鍋島先輩さんじゃねーかオイ!!」

 

 

 無い。と思ってた時期が俺にもありました。

 

 

「「は?」」

 

 

 正直ぶっちゃけちゃうと、俺はこの現場を前にしても何にも思わないというか……『うわ、面倒な現場に出会しちまったじゃねーか』的な、帰るのがまた遅くなりそうな現実にうんざりし、この連中がブッ刺されて死んでようがどうでも良いと思ってしまってたんだが……ゴメン、やっぱ前言撤回。

 

 

「誰だ鍋島先輩さんにこんな酷い事したバッキャローは!? テメーかオラァッ!!」

 

 

 色々ステキな鍋島先輩がこんな事になってましたとなれば……反則王ファンクラブ会会長(非公式)霧島一誠としては犯人を刹那でぶちのめさなければ気が済まない訳で……。

 

 

「おいテメーか!? それともおっぱいに埋もれてチョーシこいてたクソガキ風紀委員のテメーかぁ!?

寝たフリしてんじゃねーぞクソボケDV野郎共!!」

 

「「………」」

 

 

 取り敢えず同じく倒れてる十三組の男共を一人一人蹴っ飛ばしながら尋問してやる事にした。

 中には女の子も居たが、流石に女の子に同じ真似はしたくないんでやらないがね。

 

 

「や、やめなってば!」

 

「状況からしてコイツ等の中に犯人は居ねーだろ」

 

「ぬ……!? じゃあ誰が愛しの鍋島先輩を!」

 

 

 名瀬の言葉に『言われてみれば』とは思うが、それでも怒りが収まらない。

 寝技されたい女の子No.1(俺の中で)な先輩さんをこんな目に合わせただなんて、何度も言うが許せん!

 

 

「愛しのってキモいよイッセーくん……」

 

「つーか向こうはどうとも思ってねーだろ。ストーカーかテメーは?」

 

「うるせぇい!

この前ウィンクしてくれたからちょっとなら脈あるわい!!」

 

 

 ええぃ、キモいとかそんなんどうでも良い! 誰がやったかを迅速に解明しなければ俺は怒りで夜も眠れねぇよバカ野郎!

 

 

「よ、よーし……こうなったら気道確保の為に人工呼吸を俺がしないといけないな! そうだろ!?」

 

「ふざけんな、それは許されねーよ」

 

「鼻息荒くしてさ……イッセーくんのえっち」

 

「はぁ!? ば、馬鹿言ってるのはお前等だ! 俺は清い心を以て鍋島先輩さんをレスキュー――」

 

 

 

 

「『うわぁ』『なんだこれは?』」

 

 

 そんな折りに聞こえるは、古賀でも名瀬でもない知らない誰かの声だった。

 

 

「『道に迷ってこんな所に来てしまったけど』『これは酷い』『早く救急車を呼ばないと大変な事になっちゃうよ!』」

 

「あぁん!?」

 

「だ、誰っ!?」

 

 

 その声のした方へ俺達はイライラした気分で振り向く。

 するとそこに居たのは……。

 

 

「『おっと』『怒りで周りが見えてない様子であるそのキミの為に予め言っておくけど』『僕は決して隠れてた訳でもないしこの悲惨な現場を作った張本人でも無い』『故に――』」

 

 

 俺より小さい……女みたいに華奢な他学校らしき黒い学ランを着た一人の人間。

 その人間は『明らかに普通じゃない雰囲気』をビシバシ放ちながらツカツカと此方に向かって近付き、姿を見せるや否や――

 

 

「『僕は悪くない』」

 

 

 惨殺現場にあるのと非常に酷似した巨大螺と、返り血らしきものを頬に付けて笑って俺達に胡散臭さMAXな笑みと共にそう言いやがった。

 

 

 ………………………。フッ

 

 

「『だから誤解はしない――』」

 

「ウェスタンラリアットォォォ!!!」

 

 

 有罪(ギルティ)! サーチアンド・デストロイ!! ブチコロシ確定!

 

 

「でぎゃん!?」

 

「「あ……」」

 

 

 巨大螺持ってます。誰かの返り血浴びてます。

 ………。な、もう確定だろ? ならもううもはも言いませんし言わせません。

 悪くないって後に何か言おうとしてる他学校の誰かさんに対して俺は一気に距離を詰め、プロレス黄金期に活躍した某外人レスラーの必殺技(フェイバリット)をクリティカルヒットだぜ!!

 

 

「ウィィィィ!!」

 

 

 喉元に俺の腕が入り、乱回転しながらぶっ飛んだ学ラン小僧は床へ何バウンドもしながらゴロゴロと糸の切れた人形の様に転がり、俺は人差し指と小指を立てた右腕を振り上げながら勝利の雄叫びをする。

 何か後ろで古賀と名瀬が生温い顔してるけど知らん。

 

 

「ひ、酷い……。

さっきの黒神より割りと本気な辺りが」

 

「あの学ラン野郎死んだんじゃねーか? モロに首の骨の逝った音が聞こえたが」

 

 

 どうやら俺が怒りに任せて殺人に手を染めてしまった事にドン引きしてるみたいだが……ふん。

 

 

「加減はしてやったしお前等も感じたろ?

あの学ランには『何かある』って」

 

「そ、それはそうかもだけど……あれだけモロにイッセーくんの攻撃を受けたら……」

 

「………」

 

 

 んだよ、スプラッターに慣れてるくせに何を不安がってんだ古賀は。

 ほら名瀬を見て見習えよ、平然としてんだろーが。

 それに今言った通りあの学ランは――

 

 

「『いてて』『いきなり酷いなぁ』『お陰で首が折れちゃてるじゃないか』」

 

「うっ!?」

 

「コイツ……」

 

 

 何事も無かった様に起き上がり、首の折れたと宣いながらヘラヘラ笑っている。

 ほら、やっぱりそうじゃねーか……ったく。

 

 

「『あれほど違うって言ったのにキミって人は話を聞かないんだね』」

 

「悪いが俺はおんにゃのこの話しか聞かない主義なんでね」

 

 

 何と無く似た所を感じるこの学ラン野郎の……俺がたまにやるのとやっぱり似てる胡散臭い笑みもまた見抜けてしまうんだよ。

 

 

「だが見た目に寄らず頑丈そうなのは助かったぜ。

最近漫画読んで練習したマッスル(グラヴィティ)の実験台に出来そうだからなぁ……」

 

 

 だからこそ……初対面だけど変な信用をしてしまってるのがムカついてしょうがねぇ。

 名瀬――いや初めてくじらと会った時に感じた気持ちにも似た……チッ。

 

 

「『おいおい』『初対面の人間捕まえてますます酷いなー?』『何か気にさわる真似をしたのなら謝るけど?』」

 

「鍋島先輩さん以下可愛いおんにゃのこ達を串刺しにした――――これはもう死刑確実だろ? 俺はそう思う」

 

 

 俺を救い上げてくれたあの女言ってた俺のもう一つの要素――過負荷(マイナス)

 それがコイツから感じ取れるんだよ。

 

 

「『だから僕じゃないって――』『なんて言ってももう信じてくれそうもないし』『仕方無いからコレで勘弁してくれないかな?』」

 

「うっ!?」

 

「っ……!?」

 

 

 だから何をしでかすのか何と無く分かる。

 UNOで言ったらこの学ラン野郎はDカードを嫌がらせの如く出しまくるタイプの人間であり、自覚・無自覚拘わらず他人を嫌悪させる事が上手い。

 今だってヘラヘラしながら足元に落ちてた螺をこれ見よがしに頭に刺しやがった。

 

 

「『これでお逢いこにしよ?』『僕に暴力を振るった事も』『この現場に関して誤解させてしまって事もぜーんぶね!』」

 

「う、嘘……!

じ、自分の頭に刺して……」

 

「……」

 

 

 チッ、古賀にはもっと教えておくべきだったか。

 ただ強いだけじゃ世の中上手く行かない例であるお手本でもある過負荷(マイナス)についてを……。

 

 

「な、なんなのよアイツ……!」

 

「『んー?』『ただのしがない高校生だけど?』『僕からすればキミのその刺激的な格好について丁寧に説明して欲しいなぁ?』」

 

 

 口を押さえて狼狽える古賀と『人畜無害です』と露骨に見える笑顔で返す学ラン野郎を見た俺は内心舌打ちをしながらちょっと後悔した。

 もしかしたらガチで嫌われるかもしれないから……なんてバカみたいな理由でこういう存在を知ってて教えなかった自分の弱さを。

 

 

「くじら……」

 

「分かってるよ」

 

 

 けど後悔した所で遅いし、『今はコイツをこの場に置くのはマズイ』と包帯で隠した顔越しに目を細めてた名瀬を敢えて本当の名前で呼びつつ目線だけで俺の言いたいことを伝える。

 すると流石というか、伊達に十年以上ツルんでるだけあって、くじらは即座に理解して頷き微かに震えてる古賀を横から支えてくれた。

 

 

「な、名瀬ちゃん……?」

 

「心配すんな古賀ちゃん。あの学ラン野郎が何だろうが問題ねーさ」

 

 

 声はぶっきらぼうだけど、古賀にとっては安心できる一言に変わりはない。

 その証拠に顔色は悪いものの精神的には持ち直しているのが見てわかる。

 後はあと腐れなく撒いて終わりだ。

 

 

「おい、確かにコイツは痴女みたいな格好してるが、それを一々話したくねーだとよ」

 

「『む』『残念だけどそれなら仕方無いか』『じゃあ話を戻すけど何と無くキミとは仲良くなれそうだしこれで許しておくれよ?』」

 

「ケッ、野郎に言われたくもねーよ。

だがまあ……大事なダチが具合悪そうにしてるし、今日は勘弁してやるよ」

 

「『ホントに!?』『わーいありがとう!』『こんな僕を許してくれるなんてキミは何て優しいんだ!』」

 

 

 そう笑顔を見せる学ラン。

 嫌悪感は無いし、ある意味で理解できる所がある故にイラッとしてしまうが、古賀の精神を殺らせる訳にはいかない。

 だから俺は……二人の前で嫌われてしまうかもしれないと絶対に見せたく無かったけど……。

 

 

「だが殴ってしまった事に関しては俺にも落ち度がある」

 

「『え?』『良いよそん――

 

 

 くじらが病気で死にかけた時以来になるこの感覚を表に出すため使う。

 

「だから――――これでお逢いこにしようぜ学ラン君?」

 

「『なの……って……え?』」

 

 

 相反する筈である俺のもう一つなるコレを。

 

 

 

 

 

「『これでお逢いこにしよ?』『僕に暴力を振るった事も』『この現場に関して誤解させてしまって事もぜーんぶね!』」

 

「う、嘘……!

じ、自分の頭に刺して……」

 

「……」

 

 

 イッセーくんのラリアットをモロに喰らって置きながら、首が折れたっていうのに知らない他学校の制服を着た謎の男子は平然と立ち上がり、よく分からない怖さを感じる笑顔を見せ付けられた私は、よく分からないけど寒気に襲われた様に小さく震えてしまって動けなかった。

 

 

「……っ……ぅ」

 

 

 よく分からない。

 初めて見るようなタイプに私はどうすれば良いか解らず、震えが止まらないでいると、それを察した名瀬ちゃんがソッと私を支えてくれ、更にはイッセーくんが私があの学ランの人を見ないようにと私の前に立ってくれた。

 

 

(な、名瀬ちゃん……イッセーくん……!)

 

 

 私の様子が変だと直ぐに気付いてくれた二人に、私は凍える冷たさを感じていた心に暖かみが戻った気がしたのと同時に嬉しく思った。

 名瀬ちゃんは当然として……やっぱりイッセーくんは優しくしてくれるんだなって……。

 えへへ、こんな状況で思うべき事じゃないんだろうけど嬉しいな。

 

 

「『何と無くキミとは仲良くなれそうだしこれで許しておくれよ?』」

 

「ケッ、野郎に言われたくもねーよ。

だがまあ……大事なダチが具合悪そうにしてるし、今日は勘弁してやるよ」

 

「『ホントに!?』『わーいありがとう!』『こんな僕を許してくれるなんてキミは何て優しいんだ!』」

 

 

 とはいえ彼がよく分からないけど怖いと思う気持ちは変わらず、それもイッセーくんは見抜いていたんだろう。

 さっきまであれほど『鍋島先輩鍋島先輩』とムカムカする位騒いでたイッセーくんは急に態度を変え始める。

 

 この時点でアタシの為なんだと嬉しく思うのと同時に、また足手まといになってしまったんだなという罪悪感が心をチクチク突っついた気分だった。

 

 

「だが殴ってしまった事に関しては俺にも落ち度がある」

 

 

 でもそれよりも自分自身の心をチクチクさせたのはもっと別の……。

 

 

「『え?』『良いよそん――

 

「だから、これでお逢いこにしようぜ学ラン君?」

 

「『なの……って……え?』」

 

 

 思っていた以上に……アタシはイッセーくんを知らなかったという事であり――

 

 

「急に殴りかかってごめんなさい。もうしません」

 

「イ、イッセーくん!?」

 

「お前……」

 

「『…………………』」

 

 

 あの学ラン君を彷彿とさせる笑顔を見せながら、自分の目を指で抉り取ったのを見て、アタシは気持ち悪さよりも理解できても無かった現実に泣きそうになってしまった。

 

 

 

「急に殴りかかってごめんなさい。もうしません」

 

 

 何と無くだった。

 あの学ラン野郎が常時見せる雰囲気が、昔から今まで見ることのある、何かに魘されて起きた時の一誠に似ていると思ったのは。

 だから別段奴の奇行やら張り付けたような笑みを見ても何にも感じなかった。

 

 アイツは何時も魘されてから起きると決まって――

 

 

『……。べ、別に? 紅髪の美人とか、黒髪巨乳とか猫耳美少女とか金髪シスターとかとかとかとかのハーレムの夢見てたら、嫉妬深い変な女にNice boat! された夢を見てただけさ……ふぃ~』

 

 

 どう見ても胡散臭い――けれど底冷えするような貼り付けな笑顔であからさまな嘘を言って決して理由を言わない一誠を何度と無く見てきたんだ。

 今更何処の馬の骨とも知らねー学ラン野郎の雰囲気当てられて尻込みする性格じゃねぇ事ぐらい自覚してる。

 

 だからオレはコイツの(マイナス)の面を見ようが変わらない。

 

 

「『……』『何のつもりかな?』」

 

「コレはアレだ、俺なりの反省って奴だよ。

あぁ、もしかして片目だけじゃ足りなかった?

それならもう片目も抉ろうか? それでも足りなければ内臓を。それでも足りなければ骨を。それでも足りなきゃその場で腸ぶちまけながら死んであげようか? そうすれば満足して――」

 

「や、やめてよイッセーくん!」

 

 

 オレもどっちかと言えば今の一誠に近いかもしれねぇが、それにしてもこれはやり過ぎだバカ。

 いくら古賀ちゃんの精神が危ないからって、それい以上のもんをわざと見せようとすんな。

 

 

「もう良いだろバカ。

わざわざ目まで抉って誤魔化そうとすんな。

古賀ちゃんを泣かせたんじゃ意味が無いだろうが」

 

「あ……! し、しまった……」

 

「うぅ……うぇぇん……イッセーくんの目がぁ……!」

 

「『……………』」

 

 

 ある意味学ラン野郎に押され気味だったこの空気を一気に元に戻したのは変わりはない。

 しかしやることなす事昔から極端なせいですっかり古賀ちゃんが泣いてしまい、一誠もそれを見て正気に戻って罰の悪そうな顔だ

 

 ったく……右目なんて抉りやがって。無くなってる右目が血塗れじゃねーかばか野郎……。

 

 

「もう帰るぞ。

おい、そこの学ラン野郎もそれでお逢いこで構わねーだろ?」

 

「『……』『うん僕は別に……』」

 

 

 どうせ一誠の事だからえぐった右目にしても『病気になったオレを治した』ように何とかするんだろうが、古賀ちゃんを泣かしたのは許されねぇ。

 お仕置きされる側だったがお仕置きする側に回らなければならねぇなコレは。

 

 

「くすん……」

 

「いやほらさ……そういう人間も居るよ的なサンプルを見せようとしたんだけど」

 

「だったら何も今やることねーだろうが、このアホ」

 

「………。ぅ、ごめん」

 

 

 実のところ、割りとションボリするコイツを見てるとゾクゾクするしな。

 

 あ? あの学ランはどうしたって?

 さぁな、あの様子じゃあ『まだ地下に残ってる誰かさんを待ち伏せしてた』みてーだし、オレ達じゃないなら関係ねーよ。

 

 

「で、あの学ランにやられた連中の傷をちゃっかり消したんだろ? その右目みてーによ」

 

「え、あぁ……まあ……」

 

「ふぇ? イッセーくんの右目大丈夫かなの?」

 

「おうそうだぜ古賀ちゃん忘れたのか? コイツはまだ何か隠してる事に」

 

「……あ」

 

 

 隠してる……というか出した時のオレ達の反応に怖がってるだけなんだろうがな。

 例えばあの学ランみたいな側面を見せたせいでオレと古賀ちゃんが縁を切るとか……へっ、くだらねぇ。

 

 

「古賀ちゃんは一誠がさっきの学ランが見せた様な側面を持ってると知ったらどうする?」

 

「え? そりゃあ……何で言わなかったんだってムカムカするけど……」

 

「それだけか? 例えば気味悪くなって一誠の友達を辞めるとかは――」

 

「は? いや……イッセーくんが女の子がらみでキモいのは今に始まった事じゃないし、そこんところ含めて大事な人だと思ってるからそんな事しないよ!」

 

 

 他人相手ならどうだか知らねーが、少なくとも古賀ちゃんだって例え一誠がそうだろうと離れるつもりは無い。

 それを未だ分かっちゃいない鈍感野郎が驚いてる辺り、やっぱアホだ。

 

 

「何を勝手に怖がってたのか知らねーが、そういうことだ一誠。

ま、無理に話せなんて言わねーがな」

 

「べ、別に怖がってねーし。聞かれもしないし話す事でもねーから言わなかっただけだし」

 

「あ……ひょっとして嬉しかったの? 今アタシが言ったことが」

 

「はぁ!? 自惚れんなし! 餓鬼じゃねーんだからそんな事一々気にするかよ!」

 

 

 一誠とオレで古賀ちゃんを左右から支え、時計塔から出て歩きつつ勝手に被害妄想してる鈍感野郎に言う事言ってやれば、案の定一誠は動揺してるのを下手くそな演技で隠してやがる。

 明後日の方向きながら強がった台詞を吐くなんて餓鬼の頃から進歩がないし、古賀ちゃんにもバレバレなんだよ。

 

 

「ふーん、じゃあこっち見て言ってよ?」

 

「人と話すときは目を合わせるもんだろ?」

 

「うぐっ……!」

 

 

 確かに一誠はオレと古賀ちゃんの知らない何かを持ってるんだろう。

 考えてみればコイツがどんな家で育って、何があって独りになったかも知らなかった。

 けどそんなもんなんてどうでも良いんだよ、オレも古賀ちゃんもな。

 

 重要なのは今こうしてくだらねぇ会話を交わせる事なんだから。

 

 

「ねーねー?」

 

「なーなー?」

 

「だぁぁっ! お前等のダチで良かったよバーカ! 抱き締めてキスでもしてやりてーぐらいには嬉しいわアホ!!」

 

 

 何処までも化け物だけど、女好きで変態で人間味もちゃんとある……。

 強がり言う癖に寂しがり屋……それが一誠って男でそれを知ってれば大丈夫だとオレ達は思ってる。それで構わねーよ……今はな。

 

 

「今日は厄日だぜクソが……」

 

「そんなに怒ることねーじゃんなー?」

 

「寧ろそこまでアタシ達に悪態付かなくてももう良いってことで良いじゃん」

 

「うるせっ!おだてると調子に乗るから嫌なんだよ! 言っとくが今の台詞にしても仕方無く言っただけだ! でなきゃ誰が……ケッ!!」

 

 

終わり

 




2勝目

「ふっ、どうだい? 今度の日曜日俺と映画にでも……」

「うーん、そこまで言ってくれるなら別に良いけど――あ。
や、やっぱり無理かなぁ……ごめなさい!!」

「え、あ……ちょ、そ、そんなそそくさと逃げなくても良いじゃんか!」




「よし、アタシ達の姿を見たらイッセーくんから逃げたよ名瀬ちゃん!」

「これで一つまた良いことをしたな古賀ちゃん」


中学時の失敗の大半はイッセーの後ろに居た女の子二人のせい……。
高校時代は……オープンすぎて引かれてる。


補足
鍋島猫美非公式ファンクラブ会長の座を持ってますが、他にメンバーは特に居なかったり。
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