まあリアルでは無理なんですけどね。ネットでの公言が限界です。これでも大学生って立場の他に塾講師とかもありますから。立場に合わせた嘘は大切です、うん。
今回のお話は、正直これダメなんじゃないかな、って思ってます。
そもそも、ギャグではありません。その上、何が書きたいのか支離滅裂です。小説を書き始めた最初のころを思い出します。
でも、なんとなーく、書きたいなぁ、って思ったので書きました。次のお話は頑張ってギャッグギャグにするのでそれで許してください。
あ、ギャグがない、って点以外で何か問題が発生したらすぐに削除します。
コトリバコ、というお話を聞いたことがあるだろうか。
都市伝説というべきなのか、ほら話と言うべきなのか、はたまたネット上の作り話と言うべきなのか。その出自は正直よくわからないんだけど、まあ内容だけは元から知っていた。もしかすると、ある程度には有名な話なのかもしれない。
というか、コトリバコを漢字にあてはめれば知らない人も何となく察しがつくのではないだろうか。なんせ子取り箱である。子を取る箱である。ほら分かりやすくなった。
そう、その呪いの箱は対象から子を奪う。すなわち、子孫繁栄の力を奪い取る。どのような手段を持ってそれを成すのかはわからないけど、生殖能力をなくすのか、生殖はできるけどどうやっても受胎しないのか、百パーセント流産になるのか、まあそんなところではないだろうか。ぶっちゃけ、こう言う話はそんなリアルな部分を事細かくしたところで面白味が増すものではないのだ。だから、リアルではない部分。アンリアル、非現実的な部分の設定を突き詰めてこそ恐ろしさが増す。
さて、それではこのコトリバコの非現実的な部分とはいったい何なのか。まあ対象から子孫繁栄の可能性を奪い取るという時点で十二分に非現実的なんだけれど、それ以上に怖いところがある。それは、その箱の作り方だ。
とはいってもその点ですら諸説あるので、調べて真っ先に出てきたモノで説明することにする。
まず、箱のサイズ。これは一辺約20センチほどの立方体。そんで、中身。グッチャグチャにした子供の肉や血、髪など。ようするに子供を殺して潰して箱に詰めて呪具にしたもの、というわけだ。子供の死をもって子を成す力を奪い取る。毒を持って毒を制すみたいな感じがあって、何とも皮肉な話だ。
他にもシッポウだかチッポウだかハッカイだかまあなんだか色々あったのだけれど、面倒なので省略。一番重要な部分はもう伝えられたはずなので、まあいいかなぁ、って。
さて、それでは。なんでわざわざ花の女子大生がこんな重くて暗くてドロドロしいお話について調べ、わざわざ語るかのように口にしたかといえば。
「とまあ調べた結果そう出たわけなんだけど、それであってる?」
「んー……たぶん!」
目の前にいる、小さな寄木細工じみた箱から染み出した少女が自らのことを「コトリバコ」と名乗ったためである。
たぶんって、自分のことなのに曖昧だなぁ……
▽
「ふむ……なんだこれは」
大学生活ももう半年くらいが過ぎ、ちょっと涼しくなってきたころ合い。サボりと受講のバランスが何となく分かってきた時期に講義の後寄り道もせず帰宅してみれば、なぜか机の上に寄木細工が置いてある。持ってみると片手に乗るサイズのそれは、思ったより重みがあった。中身がそれなりの重量なのだろうか。
「っていやそうではなく」
昔おばあちゃんの家で遊んだ時のことを思い出して懐かしくなってしまったが、そうではない。なんならその時の寄木細工はもらったので今この部屋にもあるのだけれど、さすがにここまで精巧なものではなかった。あれは20手もなかったし。これはパッと見30くらいはある。そもそも立方体じゃなかった。
であればこれは何なのか。懐かしくなったり大学へネタとして持っていくために注文した記憶もない。記憶って意味では酒に酔って記憶の無い間に買ってきた可能性も考えられるけど、それならそれで今朝見ているはずなのだ。だってここで起きたし。飲みすぎると記憶が飛ぶタイプだから酒を飲んだかどうかについてはあまり参考になりません。
「つっても、この辺りにそんな寄せ木細工売ってるお店ないしなぁ」
というかそんな時間にやっているお店自体ない。あったとしても深夜にベロベロに酔った女性にこんなものを売りつけるお店があるとは思いたくないし。
というか、なんか冷静に考えているけどこれって結構な問題なのではないだろうか。一人暮らしの女子大生の部屋に見覚えのない謎の寄木細工だ。身に覚えがないしこれが間違いないものだとしたら不法侵入によるもので間違いない。普通に大問題である。
「かといって、警察になんて説明すればいいのよ、これは……」
床に座り込みながら机に寄木細工を置き、片手を額に当てる。「帰って来たら身に覚えのない寄木細工っぽいものがありました」というのか。これで盗まれたものもなく盗聴器とかの類もなかったら果たして真面目に取り合ってくれるのか、警察というものは。ドラマしか知らないけど、ぶっちゃけ悪いイメージの方が多い。
「ねぇねぇ」
「あ、ゴメン。今ちょっと考え事してるから」
「はーい」
……あと未成年の立場でありながら冷蔵庫にお酒が貯蔵されているので、ちょっと呼ぶには後ろめたいものがある。父さん母さんの時代は案外暗黙の了解っぽい感じでスルーされたりしたらしいけど、今はいかほどなのかって言う。
「ねぇ、飲み物とか、ない?」
「あ、冷蔵庫の中のペットボトルなら大丈夫」
「わ~い」
とはいえ、このまま放置するわけにもいかないだろう。少なくともこうして目の前に不審物があるのだ。警戒すればするほど不用意に触ってしまったことに後悔があるんだけど、もうそれはどうしようもない。はてどうしたものか……
「……うん?」
と、ようやく思い至った。今私は、誰と会話していたのだ?一人暮らしの女子大生、だぞ?思い至ってしまうと不気味なもので、ギギギギ、とでも音がなりそうな感じで背後を……冷蔵庫の方を見る。そこにいたのは、
「おいし―!」
1.5リットルのペットボトルを両手でもってリンゴジュースのラッパ飲みを実行している、幼女の姿だった。幼い子供だった分少し警戒がとけ、でも聞かないわけにはいかないので尋ねることに。
「えっと、お嬢ちゃんは、どうしたのかな?」
「?」
「あ、うん。そうだよね。何を言われてるのか分からないよね」
はて何から聞いたものか……
「えっと、お名前は?」
まあ、とりあえずこれだろう。名前が分からないのでは会話することも難しい。
「えっとね、コトリバコ!」
「……コトリバコ、ちゃん?」
「うん、コトリバコ!」
ふ、ふむ。中々に攻めた名前じゃないか。これはまた発想の斜め上だぞ。そんなことを考えていると、続く言葉が。
「コトリはね、子供を取る箱の都市伝説なの!」
「……うん?」
都市伝説?都市伝説といったか、この子は。と言うか箱ってことは。
「もしかして、それ?」
「うん、コトリの本体」
「本体」
とっても不思議なフレーズではなかろうか、本体が箱と言うのは。さて……
「やっぱ警察に電話かな」
「信じてくれてない?」
「や、まあ信じるには難しいよねって」
「うーん……じゃあ、その箱、あけて?」
指さされたのはテーブルに乗っている箱だ。おそらくは寄木細工だろうと睨んでいるそれに触れ弄ってみると、角の一つが外れた。瞬間漂ってくるのは鉄の香りで、中で揺れているのは赤い液体で、
「よっと」
「中、見た?」
「見てない見てない、何も見てない。私は何も見てないったら見てない」
「じゃあ、ちゃんと見て?」
なんてことだこの子供、無垢極まりない目で訴えかけてくる。あの箱の中をしっかり見ろと訴えてくる。仕方ないのでもう一度同じ場所へ指をかけると、簡単に外れた。やっぱり中から漂ってくるのは鉄の香りであり、そこに漂うのは赤い液体だ。赤い塊もちょっと浮かんでいる。
パーツを戻す。部屋にどんどん広がってきていた香りは一瞬でなくなった。
パーツを外す。さっきまで以上に鉄の香りが漂ってくる。
パーツを戻す。いっそ不気味になるくらい一瞬で香りが消えてなくなった。
パーツを外す。さあこの状況で誰かが訪ねてきたら一瞬でお尋ね者だぞぅ!
「……はぁ」
パーツを戻した。さてこれ以上認めないでいるのは、さすがに往生際が悪いというやつだろう。深呼吸を一つして、コトリバコちゃんの方を向く。
「とりあえず、君が都市伝説であると認めましょう」
「やっとわかってくれたんだ」
「分からないで行ける状況じゃなくなったしね、うん」
さて、それでは。相手が都市伝説だというのなら、はっきりさせておかなければならないことを聞いておくこととしよう。人間じゃないと信じた以上、その結果現れる効果についても信じるしかない。対策を打つためにもその内容を聞かなくては。
「それで、どんな都市伝説なのかな?コトリバコ、って言うのは」
言ってから果たして答えてくれるのだろうかという疑問が頭をよぎったんだけど、まあ、うん。なんとなく、教えてくれそうな気がする。
「んっとね……子供ができなくなるの」
笑顔で、無邪気に、そう告げてくるコトリバコ。なるほど、一般に出会ったとしたら無邪気さとその内容とのかみ合わなさに混乱するしかない、そんな都市伝説だ。しかしそう言われたところで大して驚くことでもなかった。むしろ冷静に、ああそんな都市伝説なんだな、って感じたのが本音である。
「あれ、驚かないの?」
「ああ、うん」
と、そんな様子を見せていたらコトリバコの方から驚愕の声が。やっぱりこれまでは誰もが驚きの様子を見せたのだろう。さて、言うべきか言わざるべきか……普通に言えばいい、か。
「だって私、元々子供ができない体質だから」
さて、とりあえずコトリバコとやらについて調べるとしよう。この子の言っていることによれば実害はないけど、伝聞はあてにならない。や、ネットの情報があてになるかは別として。
▽
「おいしいね、これ!」
「そうかそうか、それは作ったかいがあるってもんだよ」
とりあえず情報の整理は終わったので、色々とお話するためにジュースとお菓子を出すことにした。クッキーは手作りである。子供ができない体質ということもあって恋愛に前向きでなくなった分か、調理スキルは上がっているのだ。たまーに披露する相手のいない火事スキルを上げても、と頭を悩ませるけど、むしろ一人未確定なのだから必須スキルだ。だから問題ない、うん。ないったらない。
「どうしたの?」
「なんでもないよ~」
よっぽど変な顔をしていたのだろうか、ちょっと反省。
さて、とは言えどうしたものかなぁ。この子についてはどう対処するべきなのだろうか。
「ねえ、コトリちゃん……だっけ?」
「うん、コトリだよ」
「じゃあコトリちゃん。いつもはこの後ってどうしてるの?」
「んー……」
クッキーを両手でつかみながら虚空を見て考えるそぶりを見せる。誰も取らないのだけど、可愛いな、コイツ。
「んっとね、まず呪いをかけるの」
「さらっとすごいこと言ったなこの子」
「で、そのままその人が死んじゃったら、他の人のところに行くの」
死んじゃったら、と言ったけどたぶんそれには自殺も込みなのだろう。確かに、唐突に『子供ができないようにしたよ』なんて言われたら、それもこんな超常現象とセットで言われたら、無理な人は無理かもしれない。異常な現象に発狂することもあるだろう。年齢というフィルタも大きな要素となる。そういう意味では、私の方が異常なのだ。
しかし、これで確定した。死なない限りこの子はずっと一緒だ。だとするのなら……
「よっし、コトリちゃん。一つ質問です」
「?」
「晩御飯、食べたいものある?」
諦めて受け入れよう。とりあえず、呪い云々を抜きにすれば危険なのか安全なのかもわからないのだ。だったら一旦居候として受け入れて、問題が発生したらその都度解決していこう。最悪痛い子だと思われる覚悟で神社やお寺に駆け込んでもいい。教会という手もある。こんな明らかな怪異現象が起こっているのだから、神社やお寺、教会にもそういう何があるかもしれないし。陰陽師とか、エクソシストとか。
「んー……カレー!」
「よし、じゃあ材料を買いに行こう。一緒に来る?」
「行く!」
カレーの材料は、正直足りていない。買い足して、そのついでにこの子のために必要なものも買って来よう。女子大学生にして一児の親にでもなった気分だ。
▽
「今日もいい天気だね!」
「本当に、いい天気」
縁側に座り、コトリとそんな会話をする。この辺りに引っ越してきてから毎日そんな会話をしている気がするけど、そんな日常が楽しいのだ。
あの後、特に実害がないとわかってしまうと可愛いもので大学卒業後も一緒に暮らした。都市伝説とは便利なもので、姿を消すくらいのことは簡単にできてしまったのだ。
「ねえ、今日は誰か遊びに来るのかな?」
「どうだろうねぇ……隙間女さんのお家は旅行にいったし、件ちゃんはどこにいったのか分からないし……さとるくんなんかは、ひょろっと現れそうだけど」
同じ村に住む都市伝説の人たちの名前を上げながら、自然に普通の人を上げなかった自分がちょっと面白かった。よっぽど今の、この生活がしっくりきているらしい。
探し物をしていて日本中を旅しているというお医者様に紹介されたこの村、八尺様の伝承どころか本人がいらっしゃり、その都合からなのか色々な都市伝説が住み着いていた。見た目の年齢が変わらない都市伝説としては、それに理解のある村は居心地がいいのだろう。そんな都合もあって、都市伝説と共同生活をしている人は最終的にここにたどり着くのだとか。
「おばあちゃん、だったらコトリ、八尺様のお家に行きたい!」
「じゃあ、そうしましょうか」
だから定年退職したのをいい機会に、こちらに引っ越してきた。それまで暮らしていた場所に比べると不便なところは多かったけれど、それよりもこの子と一緒に暮らしやすい環境を優先した形だ。もう本当に、自分の子供扱いである。
そんなコトリが外出用の服に着替えにいったのを見送りながら、ふと思う。私が死んだ後、彼女はどうするのだろうか、と。
この村に来た後で聞いた話によると、都市伝説はその都市伝説らしいことを何もしないでいると消えてしまうことがあるらしい。長いこと都市伝説であればそんなしがらみからも解放されるそうだが、コトリはどうなのだろうか。
ひょっとするとあの子は、しがらみから解放されても気にせず続けるのかもしれない。無垢で、無邪気で、それ故に人から子を奪うことがどれだけの呪いなのかを理解していない。目の前で発狂して自殺した夫婦もいたらしいし、そのことを何とも思っていなかった。ただ当然のこととして、それを実行しているのだ。
「おばあちゃーん!準備できたー!」
「はいはい、じゃあ行きましょうか」
私を急かしてくる声を聞きながら立ち上がり、やっぱり自分には何もできないことを察した。お姉ちゃんから始まり、お母さんを経由して今の呼び方になった。そこにはやはり、家族を欲しがる自分がいたのだろう。そんな心で彼女を受け入れた自分には、彼女の在り方に対して何か口を出す権利がない。姉として、母として、祖母として口を出さなければならないと分かっていても、それができない立場なのだ。だから。
「ねえ、コトリ」
「なぁに?」
「私が死んだら、どうする?」
はっきりと、聞いておこう。せっかく楽しいのだから、心残りは可能な限りなくしておきたい。
「また次の人のところに行くよ?」
「……そっか」
だったら、丁度いい機会だし八尺様にお話を聞こうか。この子のことはあそこの息子さんに任せて、ちょっとめんどくさいお話を。
「さ、行こ、おばあちゃん!早く早く!」
「はいはい、そんなに慌てなくても誰も逃げませんよ」
ああ、でもやっぱり。この日常は、手放すには惜しいなぁ。
はい、こんな感じになりました。気が付けば、全体で考えるとそれなりの文字数になっていますね、これ。どこかのタイミングで文字数とかページ数とかを確認して、いってたら何かの賞に応募してみようかなぁ、って。気が付けば大学三年の後期、就職してからは章応募レベルの文字数で小説とか書けませんし。短編集って応募的にはありなんでしょうか?ありだといいなぁ。