都市伝説がキャラ崩壊したそうです   作:biwanosin

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地縛霊って都市伝説なの?というツッコミはなしの方向で。きっと都市伝説って言ってもいいはずだから!はず。・・・だから・・・


地縛霊

さて、唐突だが俺は地縛霊である。・・・こらそこ、何言ってんだコイツ、みたいな目で見るんじゃない。俺だってそう思うんだ。けど事実なんだから。

もう少し正確に言えば、お隣の部屋で自殺に見せかけて殺害されえてしまった哀れな被害者だ。空き巣にキレイに自殺に見せかけて殺害されてしまえば、まあ少しは思うところもある。・・・お隣なのは気にするな。自分が死んだ部屋で暮らしたくなかっただけだ。わかるだろう?

とまあそんな感じの立場な俺なんだが、まあ一応幽霊である。いるだけで変な感じを生みだすらしく、この部屋にこしてきた人が結構早い段階で消えてしまうことには、本当に申し訳ないと思っている。一回除霊士さんが来たりもしたんだけど、なんか怨念が少なすぎて払えなかったそうだ。そんなことならもう少し恨んでおくべきだったか。

 

・・・で、だ。先ほども言ったような立場の俺であるからこそ、三月末という新学期引っ越しシーズンには思うところもある。また誰かが来て追い出してしまうんだろうなー、と。だったのだが・・・

 

「では地縛さん。このお札から先に行こうとはしないでくださいね。体調崩してしまいますので」

「ねえお嬢さん。この状況に順応するのが早すぎやしないかい?」

「だって幽霊とか妖怪とか見馴れてますし」

 

この度、予想通り引っ越してきたお方。18歳のこの春から大学生な彼女は、とっても幽霊慣れしておりました。

 

 

 

 ▽

 

 

 

「あ・・・新入りさん、かな?」

 

久しぶりに聞いた扉を開く音。それに少しばかり感動を覚え、同時にまたすぐにいなくなるんだろうなぁとも思う。やっぱ幽霊物件だし、人はすぐにいなくなる。そう思いながらも浮遊して玄関の方向へ向かうと、今回の入居者は女性だった。伸ばし整えられた艶やかな黒髪に、若干半開き気味の目。すらっと女性にしてはある身長であり、また身長に対して大きすぎることもなく、かといって貧乳認定されない、これぞ黄金比であろうと思えてくる胸部。そして、その身にまとうのは白一色のワンピース。身もふたもなく言ってしまえば見とれてしまった。そうしてぼんやりとみている先で彼女は扉を抑えながら荷物を一つ一つ玄関に入れ、そこでこちらを見た。・・・いや、俺ではなく部屋の方か、見たのは。そもそも俺は幽霊、人に見られる可能性もない。・・・着替えとかも見れたりするのかな、これは。俺が原因で出ていってしまうことになるだろう相手に対してあれだが、興奮してきた。発散方法ないけど。

 

「あ、どうも初めまして。本日よりこの部屋に住ませていただくことになりました。大学生活を行う間ですので4年か6年の間になると思いますが、どうぞよろしくお願いします」

「あ、これはどうもご丁寧に・・・僕、この部屋に憑いちゃってる地縛霊です」

「そうではないかと思っておりました。怨念が低いため確証はなかったのですが、やはりそうなのですね。・・・あ、ご迷惑とは思いますが、荷物を運ぶのを手伝っていただけないでしょうか?こちらの鞄二つはリビングやキッチンで用いる予定のものですので」

「あ、大丈夫です大丈夫です。触れないですけど移動させられますんで」

「ではそのように、どうぞよろしくお願いいたします」

 

このように丁寧に頼まれて否と言うことはない。ポルターガイストをつかって指定された二つを浮かせて、自分のいるリビングまで移動させる。入居者を驚かせるつもりもなかったからあまり使っていないのだが、一応使える。幽霊っぽい能力は何か自然とつかえたものだ。・・・って、あれ?

 

「あ、どうもありがとうございました、地縛霊さん。おかげで楽をできました」

「ああいや、それは別にいいんですが・・・一個お聞きしても?」

「はい。なんでしょうか?」

「俺のこと、見えてます?」

「ええ、見えております。でなければこうしてお話することなどできませんもの」

 

そう言いながら彼女はリビングに入ってきて、俺が運び込んだ鞄の片方を開ける。堂々と開けていたのでついその中身を見ると、塩とか、お札とか、お守りとか、そう言うものでびっしりだ。思わず唖然としてしまう。

 

「さて、これとこれ・・・いえ、こちらだけで大丈夫ですね」

 

だがそんなこと当然ながら彼女には関係なく、鞄の中から数枚のお札を取り出すと立ち上がり、リビングの出口へと向かう。その先には短い廊下っぽいものがあり、個室と浴室、トイレなんかがあるんだが・・・そちらへ向かうことはなく、出入り口で立ち止まった。そのまま柱にお札を押し付ける。手を離しても落ちてこない。お札スゲー。あ、逆側の壁にも張った。

 

「急急如律令」

 

鈴が鳴るような、とは今のような声を言うのだろうか。そう呆然と思っていた俺は、ふと状況を思い出した。思い出したところであれなんだけど。

 

「えっと、それ何やってるの?」

「簡単な結界です。さすがに寝ているところやお手洗い、湯浴みなどを見られるのは恥ずかしく思いますので」

 

あ、これあれだ。俺も普通じゃなければ新居者も普通じゃねえ奴だ。

 

 

 

 ▽

 

 

 

「ふむ・・・つまり、貴女は神社の生まれで」

「はい。生まれから育ちまで、今日この日まで神社で暮らしておりました」

「で、実はそう言うところではこういうことも扱ってるのが都市伝説でもなく事実で」

「幽霊がいらっしゃいますし、その大部分があなたのような無害なものではありませんから、必然的に」

「だから何とも思わない、と」

「そのようになりますね」

 

うーむ、この展開は予想できなかった。確かに言われてみれば俺みたいな幽霊がいるわけだし、一度除霊士と言う人も来たし、除霊されなかったけれど違和感程度はあったんだ。であれば、そう言うこともあるのかもしれない。・・・あるのかな?でも目の前にあるな。

 

「それと、名前を名乗らない無礼についてはお許しください。ご存じないでしょうが、名は自らを守る最後の防波堤のような役目を持っておりますので。互いに」

「・・・つまり、俺の方も知られるとマズかったり?」

「怨念がほぼないため基本除霊はできませんが、私はそれが可能です。であれば、互いにそのような手段は持たないでいるべきかと」

 

まあ、確かにその通りではあるか。ついでに、すみわけをするというのも分からないではないしなにも文句はない。なんだけど。

 

「だとしても、なんで除霊する気にならないので?気持ち悪くないの?」

「怨念のない幽霊は除霊しないのが常識ですし、案外便利なんですよ。幽霊の能力」

「俺の知らない世界だ・・・」

 

一体いつの間に、常識とは変化しうつろうものとなったのだろうか。そりゃ多少は変わっていくものだとは思うんだけど、ここまで違うものがあるものなのか・・・

まあでも、うん。

 

「会話できる相手とか久しぶりで楽しいし、俺としては問題ないかぁ」

「であれば、今後もまたそのようにいたしましょう。院へ行くかどうかはまだ決めておりませんが、四年間は通いますので」

「んじゃまあ、そんな感じで。・・・ずっと気を張ってるの、疲れない?」

「この口調が素なものでして・・・おかしいでしょうか?」

「雰囲気何かと合わせて考えればそうでもない、かな」

 

さて、このおかしな同居生活、どうなるかなぁ・・・

 

 

 

 ▽

 

 

 

「ただいま帰りました」

「あ、お帰りー。干してあったものカゴごと部屋の前にあるはずー」

「あ、どうもありがとうございます」

 

出会いから数日後、大学の入学式。和服をキッチリ着て行こうとした彼女をどうにか説得してスーツで行かせたのだが、この感じだとこれといって問題はなく終わったようだ。結構遅い時間帯だし、早速友人とかできたのかな?

あ、スーツで行かせた理由はただでさえ普通じゃない育ちに性格してるんだから、少しでも悪目立ちしないように、だ。何が起こるか怖くて仕方ないし。

 

「あ、食事は軽く済ませてまいりました。何か食べないと期限が近いものなどありましたか?」

「やー、そんなすぐにくるものはないかなー」

「そうですか。では今日はもういいですかね」

 

と、そう言いながら寝間着(だという和服っぽいもの)に着替えてリビングに来ると、机の上にスマホを置いた。

そう、スマホである。このスマホとかパソコンとかとは縁がなさそうな彼女が、スマホである。・・・まあ、さすがに大学に入ってからはなしで過ごすには対人関係も難しいだろう、と相談の結果なって買ってきたモノなんだけど。元々はレポート用にパソコンくらいしか持ってきてなかった。マジでいるのかとビビった。

 

「さて、では・・・」

「うん?どうかしたの?」

「あ、いえ。今日仲良くなった方と連絡先を交換しまして。学部も同じでしたので今後もお付き合いしていただくことになるお方ですし・・・」

 

・・・えっと、つまり今日仲良くなった子に「これからもよろしく~」的なことを送らないと、ってことかな?何とも遠回しな言い方をするものだなぁ・・・

 

「あ・・・」

「うん?どうしたの?」

「あ、いえ。三十分ほど前にあちらから連絡をいただいていたようでして・・・」

 

あ、ほんとだ。内容は・・・まあ、要約してしまえば「これからもよろしく~」的な感じになるかな。普通のライン、って感じだ。女子ってもっと怖いもんだって言うイメージがあったから少し驚き。

・・・で、だ。

 

「何を慌ててるの?」

「い、いえ。こんなにも待たせてしまったことがとても申し訳なく、」

「気にしすぎだから」

 

急ぎの用事だったならともかくそうでもないんだし、気にするほどではないだろう。・・・たぶん、失礼なことをしてしまった、とか考えてるんだろうけども。

と、そんなことを考えながら見ていると「拝啓、○○様。本日はとてもよくしてくださり、またこのようなものに声をおかけいただき・・・」みたいな文章が、すっごくきっちりした文体で、書かれている。より厳密には上記のじゃないんだけど、むしろあれがかなりフランクにした感じで・・・や、うん。

 

「ちょっと待ちなさい」

「な、なんでしょうか?私はこれから誤字の確認と失礼な表現がないかの確認をし、早く送りたいのですが・・・」

「だから待ちなさいって。ヒかれるから、それ」

 

どうにか止めて、ついでに念力で文字を消していく。万が一にもこれを送ることがないように。

 

「あのね、今時そんな文章友人間で送らないから」

「ですが、それでは失礼になってしまうのでは、」

「ないから。実際、向こうからのメッセに思うところあった?」

「・・・めっせ、とは?」

「メッセージ」

 

この子マジか。マジなのか。マジだというのか。

 

「あ、ああ・・・いえ、そのようなことはありませんが」

「だったら相手もそうなの。むしろ今時そんな長い文章送ってくる人いないんだから」

「な、なるほど・・・そのようなものなのですね」

 

なんでこんなことに驚愕してるの。見たこともない世界、みたいな表情してるの。

 

「で、ですが。私はこのようなしゃべり方はわからないので・・・」

「今日その人との会話ではどうしてたの?今みたいな感じ?」

「ええ・・・そう、ですね。初対面ですので気持ち丁寧になっていたかもしれませんが」

 

ふむ、であれば。

 

「そう言うキャラだと思ってるだろうから、丁寧な口調でもいいと思うよ。ただし短く」

「は、はい。頑張ってみます」

 

そう言うと再びスマホを持ち、先ほどの長文を打ってた時の速度は何だったのかという遅さでポチポチして、最終的に『こちらこそありがとうございました。今後ともよろしくおねがいします』という、丁寧だけどちゃんと短くなったものに。丁寧なのはもういつものことってことでスルーしてくれることだろう。と、少し待つと返信が。さすが現代っ子、スマホいじってたのかな。

 

「返信は・・・『丁寧だね~。あ、明日何時頃に大学つく?』か」

「こ、これはどのようにすれば」

「や、普通に返信しなさいな。いいね、普通に、だよ?君の中の普通じゃなくて世間一般の大学生で言うところの普通、だよ?」

「は、はい。頑張ります。頑張りますので・・・間違っていたら言ってください。見ててください」

 

女子のスマホ、それもメッセ送ってるところを覗いて怒られないどころかむしろ見てるように言われるとか、凄いな。

その後もしばらくの間、昼食は弁当か学食かとか、そんな感じのことをしゃべってからおわりになった。

 

「・・・新鮮で、刺激的な体験でした」

「これ、結構日常的なことだからね」

「が、頑張ります・・・」

「うん、頑張れ頑張れ。でも今日は疲れただろうから寝なさい。水筒俺が洗っとくからさ」

「スイマセンが、よろしくお願いします・・・」

 

それだけ言うと、彼女は自室に向かっていく。言われたとおり寝るんだろう。さて、それにしても・・・

 

「今後も、色々と苦労しそうだなぁ・・・」

 

主に彼女が、新しい世界に対して。

 

 

 

「スイマセン、このぐるーぷらいん、というものは一体・・・」

「あのトークページを複数人で使うもの、みたいな感じかな」

 

で、実際次の日もその次の日も質問が多く、たまに大学から家電話に対して電話して質問しようとしてきたほどだった。最終的には・・・

 

「あ、あの・・・大学からも質問しますので、これ・・・家の中でしたらわいふぁい、というものがあるから問題ない、とのことでしたし・・・」

「そこまでか、君」

 

スマホを一台買ってきて、契約まで済ませてきてしまった。お金持ちすごい。

 

 

 

 ▽

 

 

 

「ふぅ・・・これで全て終わり、ですね」

「送るものは全部送ったし、持っていくものは纏め終わった。俺も確認したから終わりだと思うよ」

 

ちょっとした驚きだった出会いから四年。結局院にはいかず卒業することになったので、これでお別れというわけだ。実家の神社に戻ってやることもあるそうだし。

 

「と、そう言えばこれを剥がし忘れてました」

「あー、そんなのもあったねぇ」

 

そう言いながら剥がしていくのは、初日に張った住み分け用のお札だ。もはや日常の一部になり過ぎてすっかり忘れてた。

 

「さて、これで今度こそすべて・・・」

「あ、そだ。これこれ」

 

と、再びの見落とし。ポケットの中から取り出したそれを、彼女の手に置く。

 

「あ・・・スマートフォン・・・」

「なんかすっかり俺のな気分だったけど、元々は緊急連絡用だしな。ほら、解約もしてこないとだろうし」

 

そう言ってこれで今度こそ終わりだと伸びをしていたのだが、返事の一つも返ってこない。うん・・・?

 

「どうかした?もしかしてそれ、なんかマズいことになってたりする?」

 

一応幽霊な俺が結構肌身離さずだったから何かあったのかと、そんなことを思って聞いてみたのだが。

 

「ああ、いえ。そうではなくて、ですね・・・これからも連絡くらいは取れるものだと思っていたので、そうじゃないんだなぁ、と」

「あー・・・まあ、そうなるなぁ」

 

言われてみれば、スマホを返すわけだしそう言うことになる。

 

「・・・あの、一つ提案があるのですが、いいですか?」

「ん?別にいいけど・・・何?」

「その、ですね。私の式神になりませんか?」

 

式神とな?

 

「えっと、その意図は?」

「いえですね。私、一応国で二番目か三番目に陰陽師(こっち)の世界で立場がある、というか実力がありまして」

「まさかのビックリ衝撃新事実」

 

さらっとすごいこと言われたな、おい。

 

「それで、親から常々傍付きの式神を作れ、といわれておりまして」

「・・・それ、普通の式神と違うの?」

「単純に言ってしまえば、パートナーですね。信のおけるものを、と」

 

ふーむ、なるほど。それで、だ。

 

「それを俺に?」

「はい。ここまで怨念のない幽霊もかなり珍しいですし、信頼できますし」

 

確かに、四年間一緒に暮らしていれば仲良くもなる。信頼だってできるようになってくるだろう。で、そこから考えると適任者が俺である、と。

 

「それ、危なくないの?」

「大丈夫ですよ?戦う方は別の式神に任せます。というか期待してませんし」

 

この子、毒吐くようになったなぁ・・・まあ、危険じゃないってんなら。

 

「んじゃ、一人に戻るのもなんだか寂しいし、ついていかせてもらおうかな。俺地縛霊なんだけど、なんとかなる?」

「はい。別に依代・・・入れ物のようなものを準備すれば」

「お、それはいいものがあるのかな?」

「こちらに」

 

そう言って見せてきたのは・・・まさかのさっきのスマホである。

 

「・・・それでいいんだ」

「馴染んでいるものである程よいですからね」

「なるほどなっとく」

 

確かに、それが一番馴染んでる気がする。

 

「では、承諾もえられましたし契約に移りますか。・・・あ、その前に一つ。貴方を殺した犯人、捕まったそうですよ?」

「あ、捕まったんだ?」

「はい。ちょっと実家と知り合いのコネを使いまして」

 

何この子怖い。というかその情報網が怖い。

 

でも、捕まったと聞いて少しばかりすっきりしたのも確かだ。何も思うことがなくなったわけだし、これからは彼女についていくとしよう。たまに出るズレは楽しめるだろうし。今後の生活がとても楽しみですらある。

 

「まあそう言うわけです。では、契約を・・・あ、名前がまだでしたね」

「そういえば、まだお互いに名前知らないんだもんなぁ・・・おかしな話だけど、改めて自己紹介とか、します?」

「しましょうか。それでは、わたしから。私は―――」

 




こんな感じになりました。オチに違和感。・・・でもこれ以上のものとか書けないもの。仕方ないよね。
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