P3inP4   作:ふゆゆ

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リモコンを見つけ出し、デビサバ2を無事に見る事が出来ました。
展開は、なん……だと?
といった感じでした。
世紀末過ぎる……
そこがいいとは思いますが……

来週出るらしい伴ちゃんはキルしないで欲しいです……!
伴ちゃんヒロイン化してください!


ベルベットルーム

「ふふ……お許し下さい。納得が出来ていないのでしょう」

 

「…………」

 

 何が納得出来ていないのだろうか。

 それは分からないが、沈黙するマーガレットを見ているとどこか申し訳なくなってくる。らしくもない感情だった。湊は自分が面食いだったのだろうか、そう少し悩む。

 

 

 

「それにしても……貴方様がここにいらっしゃるとは……これだから人は面白い。どうやらあの子も、『答え』に至ったようだ……羨ましい事です」

 

「あの子? 答え?」

 

「おっと、失礼。これは客人に失礼な事をしてしまいましたな。……さてそれでは再度仕切り直しとしましょうか。ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所……人を迎えるのは、二年ぶりでございます」

 

 

「……」

 

「そう、なんですか」

 

 

 どうやら答えるつもりは無いようだった。傍らのマーガレットが喋る気配が無い以上、イゴールから聞けないのならどうしようも無さそうだ。

 

 

 

「さて、右手をお出しなさい。よろしい……ペルソナを出した時の事を覚えておいでかな?」

 

「覚えてます……」

 

「ふむ、ならば。分かるはずだ。この場にいる事も、貴方様が未だ鍵をお持ちである証拠なのですから……」

 

「鍵……? っ!」

 

 

 鍵という言葉に、ペルソナを召喚した時のように、力が集うのを感じた。

 しかし伸ばされた右手に収まったのは、拳銃では無く鍵だった。白と黒が対照的に装飾されたシンプルな鍵だ。

 

 

「これは……?」

 

「――それは契約者の鍵。それがある限り、貴方様はこのベルベットルームの客人です。……貴方様のペルソナ能力はワイルド。他者とは異なる特別なもの。数字のゼロのように、無限の可能性を秘めています」

 

 

 答えたのは、マーガレット。その言葉は相変わらず冷たく、こちらを見る事も無かったが湊はペルソナが覚醒した時浮かんだ言葉を思い出した。

 

 

 

 ――何にでも変われるけど、何にも属さない“力”。

 

 脳裏に語りかけてきた中性的な声の主の言葉。

 その言葉と、マーガレットの言葉は似ていた。つまりはやはりあの声の主は、正しい事を言っていたと言う事だ。

 

 マーガレットの言葉を継いで、その大きな丸い目をぎょろりと動かし、話しを続けるのはイゴール。

 

 

「貴方の覚醒しているワイルドの力、此度は何処(いずこ)へと向かう事になるのか……ご一緒に旅をして参りましょう。私も貴方の運命を手助けする事を約束致します……」

 

「――ただし、貴方様には支払うべき代価がございます」

 

「……代価?」

 

 どうやらこれが最後の話になりそうであった。

 

 代価。

 

 物々しい言葉である。マーガレットの言葉の厳しさもあり、余計にそう感じてしまうのかもしれない。

 しかしイゴールはにっこり……多分イゴールなりの優しい笑顔を浮かべた。

 

「代価は一つ。ご自身の“選択”に相応の責任を持って頂く事です」

 

「選択」

 

「……そう。とはいえ私達は存じております。貴方の――を。だから心配はしていません」

 

「……今何て?」

 

「ふふふ。過保護な事だ……いえ。失礼。こちらの話でございます。――さて。それでは」

 

 

 どうやらやはり、話はこれで終わりだったようだ。

 意識が眩い光に塗り尽くされ、更に上へと浮上していく。

 

 

 そんな湊の下に、イゴールの声が届いた。

 そしてマーガレットの声も。

 

「それではまた会う日まで……ごきげんよう」

 

「またのお越しをお待ちしております」

 

 

 そして湊の意識は覚醒する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いってぇ……! クマの野郎!」

 

「うひゃあっ!」

 

「っ……ここは。戻ってる?」

(さっきのは……夢だった?)

 

 

 陽介を一番下に、湊、千枝と重なって倒れている。

 周りを見ればそこは、向こうの世界へ入るきっかけになった大きなテレビの前のテレビ売り場だった。

 

「えっ? マジで!?」

 

「えっ? ホントだー!! ヤッター!!」

 

「う……(苦しい……)」

 

「うぐぅ! う、上で暴れんなっつーの! 苦しいだろうがぁ! っつーか、有里近い! 何か変な気持になるだろうがー!」

 

 

 その事実に気づいた下敷きになった陽介と、上に座った千枝。

 その喜び故か、千枝は陽介と向かい合う形になっている湊の背を抱きしめる。つまりは重さがそのまま二人にかかる訳だ。体勢の悪さのせいか、千枝が飛びついた瞬間、湊の顔と陽介の距離は息がかかる程に近寄っていた。

 

 しかしながら、陽介は何故かその距離に赤面し、よく分からない事を口走る。それは当然湊と千枝の耳にも入るわけであり。

 

 

「げぇ!! き、気持ち悪っ!! 有里君、は、早く離れないと!! こいつヤバいって!」

 

「うん……何でもいいとは言ったけど、花村はちょっとね。ごめんなさい」

 

「ちょ、ちょっと待てよ! そんなん冗談だろうが! ってか、真顔で謝んなよ! 何かすんごい落ち込むだろうがっ!」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

「えっ?」

 

 

 静寂がその場を支配した。

 湊は既に千枝に腕をとり起こされ、倒れこんでいる陽介に対し頭を下げたままの状態で固まり。千枝は何か悪い物を聞いてしまったとテレビ売り場の天井を見て現実逃避し。陽介は一体自分が何を口走ったのかを、ゆっくりと思い返していた。

 

 そして段々と顔が赤色と青色に支配されていく。

 青色は分かる。しかし赤色は何故なのだろうか。

 

 

「ち、違う!」

 

「……」

 

「……」

 

 バッと身体を起こし、あたふたと弁解し始める陽介。しかし湊と千枝はささっと黙って距離をとるだけだ。

 再度近寄れば、再度二人は離れていく。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 まるで一騎打ちの始まる寸前のような緊迫した雰囲気が、テレビ売り場を支配する。

 嵐の前の静けさとでも言うべき空気。

 

 

 そしてそれは陽介により破られた。

 

 

「っ! お、俺は、小西センパイがあぁぁぁぁっ! ゴフゥッ」

 

「近寄るな、変態!!」

 

「……おぉ。いいキック」

 

 そして千枝の蹴りにより締め括られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま……冗談は置いておいて」

 

「えっ……冗談?」

 

「ひでぇよ……まじいてえよー……」

 

 湊は自身の携帯を取り出した。千枝は冗談だったのかと驚き、陽介は冗談で済ます湊にうずくまったまま恨み言を漏らす。

 しかしそんな二人を無視して、携帯の時計を見る。

 

 時間は一時間も経っていない。

 

「全然時間が経ってないね」

 

「あっ、ホントだー」

 

「うぅ、短い間に俺はもう心も体もボロボロだっつーの……」

 

 

 そして湊は、向こうの気持ちの悪い部屋に居た時の違和感の一つは何だったのかを、テレビの脇のポスターを見て思い出す。

 

「あのポスター……」

 

「えっ? あぁ、柊みすずのポスター」

 

「ん? ああ、そういう事か。何かどっかで見たと思ったら……向こうの顔が無かったポスターと同じ奴じゃねえか」

 

「柊みすず……」

 

「最近ニュースで騒がれてるよね。旦那が、この前死んだ山野アナと不倫してた……とかって」

 

 

 そういえば、この町に来た時車の中のラジオでも、そんな事を言っていた。早紀のインタビューの後にも言っていた事も思い出す。

 何か向こうの世界と関係でもあるのだろうか。

 

 千枝の言葉に、陽介が気持ち悪そうに表情を歪め、吐き捨てるように言葉を続ける。

 

 

「おいおい、じゃ、ナニか……? さっきのワケ分かんない部屋……山野アナが死んだ事と、何か関係があるとでも……?」

 

「可能性は、あるんじゃないかな……あの首吊りの縄とか……」

 

「うっ……思い出しちゃった。あれって、自殺のさ……」

 

 

 現実に起きた事件との、奇妙なリンクを見せる向こうの世界。ただでさえ気持ちの悪い世界だったが、現実味のある身近な事件との関連すると気づいてしまった事で、殊更不気味に感じていた。

 

 

 一同に重苦しい沈黙が訪れる。

 寸前、陽介が身振りも大げさに口を開く。どうやらこの雰囲気は、どうにも息苦しくて堪らないらしかった。

 

 

「わーっ! もうやめやめ! もうやめようぜ、こんな話! もう何か体的にも? 心的にも? 無理っつうか! お、おっ? ななな、何か凄い尿意が……ト、トイレ! トイレが! す、すまん! 今日はこれまでしといてくれ! トイレが俺を呼んでいるぅぅぅぅー……!」

 

 

 そして思い出したように尿意を催し始め、ドップラー効果を響かせてトイレへと走っていった。

 それを呆れるように見ていた千枝。

 

 そんな千枝を見て、何かに気づいた湊が声をかける。

 

「顔色悪いけど、大丈夫……?」

 

「えっ? あっ、何か凄い寒いかも……それになんだか怠いし、気分も悪いし……今日はもう帰る事にする……またね」

 

「うん……また」

 

 

 そして湊は一人でテレビ売り場に佇んでいた。

 一気に静かになったテレビ売り場。CMの流れる音と、ジュネスの歌が湊へとアピールをしている。

 

 

「……どうでも、いいか」

 

 湊はそんなテレビを見て、件のポスターを見て、少し目を閉じた後。ゆっくりと耳にイヤホンを着ける。結局湊は、テレビ売り場を後にする事に決めたのだった。




ゴールデンウィークと言う事で急いで書き上げました。
毎日は無理っぽいですねー……
でも頑張ります!
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