P3inP4   作:ふゆゆ

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お久しぶりです!
お待たせしてしまった方、すいませんでした!
どうか見てやってください!

レポート地獄の第一章が終わったので、記念にデビサバを視聴しました。しかし今週のまでは時間が足らず見られなかったという……

しかしながら、なんというか……アトラス過ぎる!
何なんでしょう、○に過ぎですよ。というかあれは○○○エンドまっしぐらですね。ええ。
救いなさすぎ!
伴ちゃーん!




小西早紀

 忘却の風。

 

 空間をするりと震わせ、湊の耳に届いた言葉。恐らくはあの風の名なのだろうそれに、湊は言い知れない恐怖と悪寒を感じた。

 

 それは絶望だ。何より大切なものが手から零れていく絶望。きっと湊にとっては死よりも辛かった何かが、かつてあった何かが訪れる。

 そんな予感を湊は感じた。

 

 

 湊の冷めた思考回路が、今すぐに避ける事が最善だと結論づける。

 心でも、避けなければいけないものだと理解していた。

 

 

 

 ――だから湊は動かなかった。

 

 

 

 悪寒に震える腕を左右に伸ばし、大の字で仁王立ちし、迫りくる風を待ち受ける。

 

 

「な……に……?」

 

 

 

 後ろからの声が、湊をその場に縫いとめる。

 湊だけならきっと避けられた。けれどその選択は、自身が死より辛いと思う何かを後ろの二人へと押し付ける事に他ならないのだ。守って見せると決めた人達を犠牲にする選択なのだ。

 

 ならば避けられない。避けられるはずがないではないか!

 

 やはり今の自分はおかしいと湊は薄く笑う。この場所に来てから、以前の自分では考えられない程に他人を気にかけている。自分なんてどうでもいい、他人もどうでもいい。そんな自分だったのに。

 今の自分は、一体どうしてしまったのだろうか……

 

 

 ぼんやりと浮かぶ疑問はそのままに。

 

 湊は迫りくる災厄の風にせめてもの抵抗を行う。自らの背後に佇む奏者へと、意思を伝えて。

 

 

「マハラギっ……!」

 

  

 ギラギラと鳴らされる勇壮な赤色の音。轟と唸りを上げて、湊の前方に風を遮る火焔の斜幕が現れた。

 今まで顕現させた火焔の中でも最も勢いの強い火焔だった。

 

 

 全てを燃やし尽くすように空気を呑み尽くす赫火。

 しかし。

 

 

 

 

「く……そぉっ……!」

 

 

 

 火焔は柔らかい風に触れた瞬間、容易く消え去った。僅かな火の粉を宙に残し、それもやがて風に吹かれ消え去っていく。

 

 

 湊の苦悶の声が漏れる。

 睨みつけるような湊の眼など気にもせず、風が迫る、ゆっくりと。

 

 

 そして風が湊に触れた瞬間。湊を黒い霧が覆い尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風は湊を撫でた後、そのままするすると後方の二人へと迫っていった。

 早紀は何か危ない物が迫っているのには気づいていた。

 今まで生きてきて一度も見た事の無い豪炎に意識が向き、そしてその尋常ではない火焔が瞬く間に風に消されてしまった事も見ていた。

 

 そして前方にいた自分の高校の制服を着た誰かが、その風に触れた瞬間黒い霧に包まれてしまったのも見ていた。

 

 

 あの風は、悪い物だ。

 自分の大切な何かを攫ってしまう風だ。

 

 

(……怖い。怖い。怖い怖い怖い!!!)

 

 

 早紀の中から恐怖が込み上げる。

 あの風に触れたら良くない事が起きてしまう。顔を見えなかった誰かのように、黒く染まるのか。それとも、火焔のように消えてしまうのか。

 ――死んでしまうのか。

 

 

 

 そこで早紀は気づく。風の速度は早くない。優しく淡い緑の風は火焔の影響か、それとも人一人に影響を及ぼした故か、するするとゆっくりゆっくり迫りくる。

 これなら容易く逃げ切れる。

 

 

 ――逃げれる。

 

 

 ――逃げよう。

 

 

 ――逃げなきゃ。

 

 

(早く。早く。早く!)

 

 

 どこに逃げるのか。自分が異界にいる事など忘れ、今はただあの風から逃れる事だけを考え、その身を起こそうとする。

 

 

「う、動かない……なん……で? え?」

 

 

 そこで自分の身体が何かに包まれている事に気づいた。

 焦りながらそれが何かを確認し、そして早紀の頭は真っ白に染まる。

 

 

 そこに居たのは花村陽介。

 ――何でここに花ちゃんが?

 

 

 そこで何故だか早紀は分かってしまった。自分の誇張された。しかし少なからずは思い当たる心の闇を聞かれてしまったのだと。

 

 

「あ……あぁぁあぁあ……!」

 

 

 どうしよう。どうしよう。逃げれば。そうだ逃げればいい!

 

 早紀はその混乱した頭で、結論付けた。再度身体を起こそうと陽介の身体を押しやった。

 

 

 ねちゃり

 

 

 陽介の身体を押しやったその手に、粘度のある液体が付着した。焦る思考の中それを確認し、早紀の熱された思考は瞬く間に冷やされ凍る。

 

 

 それは鉄臭い液体だった。赤く、熱い液体だった。

 

 

 それがぴちゃぴちゃと音が鳴る程に溢れている。

  

 

 

 早紀は震える身体を抑え、急いで陽介の身体を手でなぞっていく。それは逃げる為に行っている行動では無かった。すでに早紀の頭の中から逃げると言う選択は消えていた。

 

 今はただ陽介の死を間近に感じ、ただそれをどうにかしたいという想いのままに行動していた。

 

 

 

(どうして、花ちゃんが怪我してるの? ねえどうして……)

 

 

 涙が溢れて来そうになる。じんわりと目頭が熱くてしょうがない。

 どうしてなんて、嘘っぱちだ。理由は分かっている。陽介がこうなってしまった原因の予想などついていた。

 

 

(私のせい? 私を守ってくれたの? こんな弱くて情けない私なんかの為に?)

 

 

 自分は陽介の腕に包まれていた。

 陽介の身体は傷だらけなのに、自分の身体は殆ど傷ついていなかった。

 何かから自分を守ってくれていたのだ。あの自分の姿をした何かの言葉を聞いたにも関わらず。あれが少なからず事実だと理解していただろうに……!

 

 

「……花ちゃん。ごめんね。弱くて、ごめんね。私、花ちゃんが羨ましかったの。私と同じような立場なのに、花ちゃんは私が抑えてた気持ちも全部出してくるんだもの。私が言えないのに、なのに何で? 私が苦しんでるのに、何で? って」

 

 

 

 漸く血が溢れる場所を探し当てた。自分の制服の中からハンカチを取り出し、血だらけの顔を拭った後、優しく血液が流れる頭へと当てる。そして頭を少しでも高くしようと自分の膝枕に乗せ、ハンカチの持っていない手でその頬を優しく撫ぜる。

 

 熱い。

 早紀は血液の熱さに眩暈がしそうだった。

 

 冷たい。

 早紀は冷たくなっていく身体に震えが止まらなかった。

 

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……! それじゃあ、私に八つ当たりしてくる人達と同じなのにね……! 私そんな事にも気づけなかった……! しがらみを無くして、全部忘れて花ちゃんと会いたかったなんて、私間違ってたよね……!!」

 

 

 ぽろぽろと溢れる水が、陽介の瞼へと零れていく。

 滲んで何も見えない視界を幾度幾度も拭い、陽介の煤けて汚れた顔を焼き付けるように何度も見遣る。

 しゃくりあげながら、何度も何度も。

 

 

「私、怖かった。家族が、商店街の皆が、私を悪く言う皆が……きっと私の本音を言ったら、今まで以上に風当たりが強くなるのが、怖かったの。だったら全部今までのままでいい。私が我慢すればいいって、そう思ってた。でも、それは間違いなんだよね……気づいたよ花ちゃん」

 

 

 滲んだ視界でも分かる優しそうな禍々しい風が、最早逃れられない場所まで迫っている事に早紀は気付いた。

 

 ああ。

 もう時間は無いのだと、早紀は悟る。

 

 

 早紀は陽介の頬を両の掌で優しく包んだ。

 

 

「……ぅ、ぅぅ……?」

 

 陽介の瞼が、呻き声と共にうっすらと開こうとする。

 早紀はそんな陽介に苦笑いを浮かべた。

 

 

「もう……花ちゃん。ホント空気読めないんだから……でもね。花ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そんなキミが好きよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして早紀から陽介へと落とされる口づけ。

 それはすぐに離される。

 短く優しい触れるだけのキス。

 

 顔を上げた早紀は、ぼんやりと目を開ける陽介へにこりと笑う。

 そしてその頭をその胸に抱いた。迫る風から守るように。

 

 

 そんな二人へ風は迫り。

 

 

「やっと言えた……私の気持ち。ねえ、花ちゃん……? 私のファーストキス、忘れないでね――」

 

 

 さらさらと通り抜けて行った。

 

 




メガテンⅣ面白いらしいです……欲しい……でも予算が……といった状況です。
それとインデックスのニュース、衝撃的でした。映画はどうなるの!? ペルソナは!? メガテンは!?
ってなりました。

ああー、アトラスブランドだけはどうにかしてください……お願いします!
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