グリモア~校門前~
「ここがグリモアか、写真とかで見たことはあるがこうして生でみるとでけーな」
そう独り言を言っている短めで少し乱れている黒髪の少年の名は『黒塚零士』。
1ヶ月前に魔法使いに覚醒した元軍人である。
彼は今入学の際の説明をうけるためある人物を待っているのだが...
「遅い...」
腕時計を見ると予定時刻を既に7分程過ぎている。ふと気付くと先ほどから登校してくる生徒の視線が自分に注がれている。嫌いという訳でもないがあまり好きではない。そんなことを考えていると...
「あれ?もしかして零士さん?」
と聞き覚えのある声がした。誰だと思い振り返ってみると...
「やっぱり!零士さんだ!お久しぶりです!」
「おおお!!七撫か!久し振りだな!」
「覚えててくれたんですね!よかった~」
と安堵の声を発している彼女は『浦白七撫』。俺が軍に居たときに何度か作戦を共にした部隊に所属していた少女だ。どういう経緯で知り合ったかってのは細かく話せば長くなるが一言でまとめるなら『二人ともモンスター持ちだった』ってことだ。その『モンスター』ってのは人間の味方してくれる霧の魔物のことを指している。彼女のモンスターはサボテン型モンスターのメノコ。そんでもって今は引っ込めてるが俺のモンスターは元魔物のダークドラゴン、こいつとの出会いのストーリーもあるんだが長くなりそうだから別の機会に。そういや...
「なんで学園に入ったんだ?」
そう、さっきから気になっていたのだ。学園に入ったってのは聞いたがそれ以外のことは聞いてない。確かに魔法使いで七撫は16歳、学園にいてもおかしくはない。だが七撫は東北守備軍特殊魔法隊に所属している魔法使いだ。軍から抜けるとなるとよっぽどのことがあったのだろうか?だかその回答は以外なものだった。
「上官に『ある人に会いたいからグリモアに入りたいです』って言ったら『いいだろう。その人物が自分にいい影響となるならいってこい』と言われたんです 」
「会いたい人?」
「はい。北海道奪還のときにいた人なんです」
北海道奪還のときにいたやつ?いったい誰だ?あんときは確か学園生と入れ替わりだったからよくわかんねえんだよな...
「そういう零士さんもなんで学園に来たんですか?軍からの指示で?いや、でも制服を着てるってことは...まさか!?」
「お察しの通り覚醒したのさ。1ヶ月前に」
「えええええ!?なんで黙ってたんですか!?」
相当驚いているようだ。大成功。
「お前を驚かせたくてわざと黙ってたのさ」
「もう!零士さんの意地悪!」
「ハハハ、悪い悪い」
数ヶ月ぶりの再開を喜んでいると
キーンコーンカーンコーン
とベルの音が聞こえてきたそれを聞いたのか彼女は
「いけない!もうこんな時間!?それじゃ零士さん私は授業があるのでまた後で!」
といい校舎へ走っていった。それと入れ替わるようにぬいぐるみのようなものがこちらへ向かってくる。もしや...
「す、すまん!ちょっと用事があって遅れた!俺の名前はうのすけ。お前が新しい転校生だな?」
口振りから察するに俺が説明を受けるのはこの兎で間違いないだろう。
「その通り、本日から私立グリモワ-ル魔法学園の生徒となる黒塚零士です。いやーそれにしてもあの実験の成功者に会えるとは思ってもいませんでしたよ」
実はこの兎は過去に行われたある実験のただ一人の成功者なのである。まさかこんなとこで会えるとはな。
「ああーあのことか...俺あんま思い出したくないんだよな...」
「おっとこれは失礼しました」
「いやいや、いいんだ気にしないでくれ、よくあることだからさ。ところでお前って軍から来たんだって?ということは...」
「ああ、エレンとメアリーの知り合いだ。といっても海外派遣で二ヶ月くらい一緒だっただけだけどな」
そう、あいつらと俺は以前少しの間だが同じ軍で魔物と戦っていた。エレンは違う部隊だったがメアリーと俺は同じ歩兵士団だった。もちろん今回のこともあらかじめ連絡済みだ。
「そうか、ということは学園に元軍が三人もいるってことか。随分たのもしいな」
「確かにそうですね。メアリーから聞いた話だと軍にいたときよりかなり弱い魔物が相手だからちょっとしたバカンスみたいだって」
「まあな。実戦経験者だもんなあいつ...おっと、いけねえ。お前を生徒会室に案内しねーと」
そういえばそうだった。俺もすっかり忘れてた。
「じゃあ早速案内頼みますようのすけさん」
「お、おう」
こうして俺らは生徒会室へと歩き始めた。
つづく
とりあえず6月中に2話目を投稿したいと考えています。